息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

青ひげ

2013-07-11 10:05:02 | 著者名 は行
シャルル・ペロー 著

童話としてお馴染みの話である。

お金持ちなのに人々から恐れられる「青ひげ」の男。
これまでに何度も結婚したが、妻はすべて行方不明になっていた。
青ひげはある娘を妻にしたいと望んだ。
あらゆる贅沢なもてなしの結果、娘は青ひげの妻になる。
しかし、夫の長い留守中に、好奇心を抑えきれず、決して開けてはいけない小部屋をのぞく。
そこにはこれまで行方不明になったかつての妻たちの死体があった。

帰宅した夫は妻のしたことに気づき、殺そうとする。
しかし間一髪のところで妻の兄たちが訪れ、青ひげを殺して妹を助けた。

贅沢な城の中に隠された、地獄の小部屋。
ものすごい演出効果だが、これにはモデルがいる。

ジル・ド・レ男爵。
容姿端麗、身分にも財産にも恵まれた彼は教養人でもあった。
しかし、軍人として百年戦争を経験したことで、残虐な趣味が明確になる。
一時はジャンヌ・ダルクへの傾倒で、遠ざかったかに見えたこの趣味は
彼女の死により、ますます加速していく。

ジル・ド・レ男爵はこの話とは違い、美少年を愛していた。
国のあちこちから美少年を集め、残虐に殺す。
これは噂となり伝説となり、やがて「青ひげ」の物語となったのだ。

ヨーロッパの怪奇や事件を調べるとき、ジル・ド・レ男爵は必ず登場する。
事実は小説より奇なりということばに、これほどふさわしい人はいない。