葉山嘉樹 著
プロレタリア文学。高校の教科書でも使われていたらしいので、知っている人が多いかも。
ものすごく短いのに、実に細やかな描写力で、労働者の暮らしを描き出している。
一度読むと心の中に沈み込んでずっと残っている、そんな感じがする。
建設中の発電所で働く主人公は、来る日も来る日もセメントを枡で計る仕事をしている。
一日中休む間もなく働いても給料はわずか。
子沢山では食べるのがやっとで、楽しみのいっぱいもままならない。
ある日、流れてくるセメントの中に木箱を見つけた主人公。
やけにしっかりと釘付けされたその中には手紙が入っていた。
差出人はセメント工場で働く女性。
恋人が岩を砕く破砕機に巻き込まれて死亡した。
遺骨さえ残らなかったのに、その日作られたセメントは出荷されていった。
せめてそのセメントがなんに使われたのかを知りたい、という血を吐くような願いが書かれていた。
産業の陰に労働者の命はあまりにもはかない。
毎日を必死で過ごしていても、その日をしのぐのが精一杯というのはあまりにもむなしい。
ワーキングプアの現在を予言しているのか。いや当時から何も変わらないだけなのか。
それでも最後の“細君の腹の中”にいる7人目の子どもは絶望の証のようでいて、
希望の光のようにも思える。
現代ではたったひとりの子どもをもつのも大変な贅沢であるのだから。
プロレタリア文学。高校の教科書でも使われていたらしいので、知っている人が多いかも。
ものすごく短いのに、実に細やかな描写力で、労働者の暮らしを描き出している。
一度読むと心の中に沈み込んでずっと残っている、そんな感じがする。
建設中の発電所で働く主人公は、来る日も来る日もセメントを枡で計る仕事をしている。
一日中休む間もなく働いても給料はわずか。
子沢山では食べるのがやっとで、楽しみのいっぱいもままならない。
ある日、流れてくるセメントの中に木箱を見つけた主人公。
やけにしっかりと釘付けされたその中には手紙が入っていた。
差出人はセメント工場で働く女性。
恋人が岩を砕く破砕機に巻き込まれて死亡した。
遺骨さえ残らなかったのに、その日作られたセメントは出荷されていった。
せめてそのセメントがなんに使われたのかを知りたい、という血を吐くような願いが書かれていた。
産業の陰に労働者の命はあまりにもはかない。
毎日を必死で過ごしていても、その日をしのぐのが精一杯というのはあまりにもむなしい。
ワーキングプアの現在を予言しているのか。いや当時から何も変わらないだけなのか。
それでも最後の“細君の腹の中”にいる7人目の子どもは絶望の証のようでいて、
希望の光のようにも思える。
現代ではたったひとりの子どもをもつのも大変な贅沢であるのだから。