息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

大江戸あやかし犯科帳 雷獣びりびり

2013-07-24 10:25:16 | 著者名 た行
高橋由太 著

本所深川、といっても現代とは違い江戸のはずれ。
夕暮れともなれば人気も少なく、静かな場所となる。
それなのに晴れた日でも雷が鳴るとは?

江戸には妖怪改方(ようかいあらためかた)があり、数多いあやかしたちから
民を守ることになっているのだが。
平和な時代が訪れるとそんな体裁は失われ、強いものほど疎まれる。
妖怪改方はいつか深川の地に追いやられ、それに耐えられない志をもつものは
去っていった。

かつて妖怪改方長官をつとめ、最強であった筧三十郎の死が決定打となった。
筧の妻子は深川でうまいと評判の飯屋を営み、筧の血筋か有能な統子は幼いながら
雷獣とともに母を助けている。
その筧に育てられ、統子の許嫁とされている冬坂刀弥は妖怪改方の同心となったが
実力はまだまだ、あやかしたちに翻弄されるありさま。
妖怪改方に新たな長官・夜ノ介が赴任したことで、ゆるい役人体質そのものの
妖怪改方にも変化が生まれてくる。

耳慣れた妖怪の名前と江戸の町。
まるで手に取るように浮かんできてとても楽しい。
そこここに闊歩する妖怪変化も個性的であり、やる気があるのかないのか
それでいていつの間にか解決へと進む夜ノ介の有能ぶりもすごい。
キャラクターがそれぞれしっかりとしていて、生き生きと動く。
軽快なテンポに釣り込まれどんどん読めていく。

う~んこれははまりそう。
シリーズを読んでしまう自信あり。