ウォルター・デ・ラ・メア 著
著者は「幼な心の詩人」とも評される20世紀前半の英国を代表する詩人で幻想小説家。
小学館少年少女世界の名作53巻で「小人のやくそく」というタイトルで読み、
ずっと心に残っていた作品。
ああ、あれが読みたい、と思い立つと止まらず、本棚をひっくり返し書店をめぐる。
今は本はもたない主義と(泣く泣く)決めたので、どうしても読み返せず
ブログアップを断念することも多い。
きっと実家が近かったら、物置捜索とかまでやっちゃうんだろうな。
何しろ何もかもが残っている家だ。状況は想像するだに怖い。
むしろよかったよ、遠くて。
これは「極北のおおかみ少女」とともに収められていたので手元にあった。
荒れ果てた城跡に祖母と住む少女・グリセルダ。
美しく賢い彼女は働きもので、貧しいながらも楽しく暮らしている。
しかし、祖母が倒れたことでどうにもならなくなる。
看病のために働くこともできず、僅かなお金も底をついた。
疲れ果て階段に座り込んで泣くグリセルダの前に突然小人が現れる。
彼は九つのペニー銅貨をくれるなら家事を手伝ってくれると言う。
その間グリセルダは働きに行けるだろうと。
おばあさんには決して見つかってはいけないと。
それを受け、グリセルダは近所の農家へ働きに行く。
小人がしてくれる家事は素晴らしかった。
毎日グリセルダは余分に心づけをもらい、1ペニーを小人のために壺に入れた。
ところが約束の日、壷をあけるとお金はなかった。
単純なおとぎ話のようでいて、不思議な含みを持たせている。
小人は何者なのか。グリセルダのために働いてくれたのではないのか。
そしてさすが詩人だけあって、どこを切り取っても美しい描写が続く。
グリセルダがわずかに残っていたオートミールで作ったおかゆを
祖母の病床に運ぶとき、少しでもおいしくとそっと添えられたリンゴの花。
不思議な小人に連れて行かれた「海の底の岩屋」の神秘的な空間。
報酬にとまつげを要求され、そっと目をつぶって跪くグリセルダ。
そして生まれ始めた小さな恋心。
夕暮れの風も細い小道も、何もかもがまるでキラキラと輝いていて、
手を伸ばせばそこにあるように感じる。
著者は「幼な心の詩人」とも評される20世紀前半の英国を代表する詩人で幻想小説家。
小学館少年少女世界の名作53巻で「小人のやくそく」というタイトルで読み、
ずっと心に残っていた作品。
ああ、あれが読みたい、と思い立つと止まらず、本棚をひっくり返し書店をめぐる。
今は本はもたない主義と(泣く泣く)決めたので、どうしても読み返せず
ブログアップを断念することも多い。
きっと実家が近かったら、物置捜索とかまでやっちゃうんだろうな。
何しろ何もかもが残っている家だ。状況は想像するだに怖い。
むしろよかったよ、遠くて。
これは「極北のおおかみ少女」とともに収められていたので手元にあった。
荒れ果てた城跡に祖母と住む少女・グリセルダ。
美しく賢い彼女は働きもので、貧しいながらも楽しく暮らしている。
しかし、祖母が倒れたことでどうにもならなくなる。
看病のために働くこともできず、僅かなお金も底をついた。
疲れ果て階段に座り込んで泣くグリセルダの前に突然小人が現れる。
彼は九つのペニー銅貨をくれるなら家事を手伝ってくれると言う。
その間グリセルダは働きに行けるだろうと。
おばあさんには決して見つかってはいけないと。
それを受け、グリセルダは近所の農家へ働きに行く。
小人がしてくれる家事は素晴らしかった。
毎日グリセルダは余分に心づけをもらい、1ペニーを小人のために壺に入れた。
ところが約束の日、壷をあけるとお金はなかった。
単純なおとぎ話のようでいて、不思議な含みを持たせている。
小人は何者なのか。グリセルダのために働いてくれたのではないのか。
そしてさすが詩人だけあって、どこを切り取っても美しい描写が続く。
グリセルダがわずかに残っていたオートミールで作ったおかゆを
祖母の病床に運ぶとき、少しでもおいしくとそっと添えられたリンゴの花。
不思議な小人に連れて行かれた「海の底の岩屋」の神秘的な空間。
報酬にとまつげを要求され、そっと目をつぶって跪くグリセルダ。
そして生まれ始めた小さな恋心。
夕暮れの風も細い小道も、何もかもがまるでキラキラと輝いていて、
手を伸ばせばそこにあるように感じる。