息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

ゆうきゆうのこころのサプリ

2011-03-31 09:03:32 | 著者名 や行
ゆうきゆう 著 

震災の影響で被災者ではない人にまでも、不安感やこころのアンバランスが目立つという。
それはそうかもしれない。

ここは被災地ではないが、場所によっては震度5強を記録し(建物の屋上では6も!)
常にゆらゆらと余震を感じ、若い世代にとっては生まれて初めての長時間の停電もある。
ちょっとした買い物もできず、電車は混んでいて少なく、通勤の負荷も増大した。
そのうえに原発の恐怖である。

この本も少し関係したものなので、手前みそっぽくなってしまうが、日々の小さなトラブルを
コンテンツにし、その分析と対策を短くまとめている。
つらいなあ、と思ったとき、そのつらいポイントのみを読めるという仕組みだ。

私はだらだら本を読むといくらでも逃避できるタイプであるが、それどころでないという人、
落ち着かないと本を読めない人がいるのはわかる。
実際、新卒で就職したとき、まあ、ほかにもいろいろあったせいもあるが、1年間本当に
本が読めなかった。で、軽いマンガを読んでいた。

そんな人でもぱらっとめくって、少し元気になれるといいな。
この本にはそんな願いが込められている。

ちなみに大家の著書で、しかも結構売れたやつにそっくりの書名の本があるのですが、
まったく関係ないです。

魔王

2011-03-30 15:16:18 | 著者名 あ行
伊坂幸太郎 著

安藤兄弟はそれぞれが特殊な能力をもっていることに気付く。
兄は自分が念じれば相手が必ずその言葉を口にするという能力。
弟はじゃんけんをはじめとして勝負に負けない能力。

前半は兄を主人公にカリスマ性をもつ首相が台頭するきな臭い情勢の中、
そこここにちらつく怪しいバーのマスターをキーパーソンに話が進む。

後半は兄の死から5年。自分がもつ不思議な力に気付いた弟とその妻が
主人公となる。
人々から絶大な師事と期待を集めた首相は、何者かに襲われ、
周辺の人物が次々と謎の死を遂げる。

はっきりとしない結末は読者に対する挑戦状のような。
それとも問題定義のような。
それもよしと思える面白いまとまり方だ。

著者は仙台を舞台にした作品を多く発表しており、在住でもある。
この作品も後半は仙台が舞台となっている。
このたびの震災で何事もなかったのか心配だ。

神々の指紋

2011-03-29 12:19:46 | 著者名 は行
グラハム・ハンコック 著

超古代文明は実在したのか?
言い伝えや伝説、そして自ら遺跡に赴いて調査した結果から、人類史の謎にせまる。

これってトンデモ本という扱いもされているし、著者自体がもとはジャーナリストであるが、
これらの著書に関しては、あえて事実をゆがめていたり、資料の一部のみをクローズアップしていたりと、
決して“ノンフィクション”でないとは言える。
また、読みやすいとは言えない文章の組み立てがあったり、強引な理論の展開に違和感があったりして、
私に限っていえば、すらすら読み進めることは難しかった。

では、面白くないのかといえば、そうでもない。
もともと古代文明だの遺跡だのオーパーツだの、っていう話は大好きだし、このように膨大な資料をもとに
理論立てて説明されるのも興味深い。
要するに、まったくの読み物、それもあえて専門的っぽくして読みづらい演出をしているもの、と考えると
なかなかの出来だ。
誰がそんなもの読みたいんだよ、という突っ込みが入りそうだが、これは過去ベストセラーになったことが
ある作品なのだ。きっと同じ思いを抱いた人が多かったに違いない。

新世界より

2011-03-28 13:24:25 | 著者名 か行


貴志祐介 著

文庫で3冊。ボリュームがあるが、1日半くらいで読み終えた。
読み始めると止まらず、ぐいぐい引っ張られる感じで、暇を見つけては読んだ。

1000年後の日本を舞台に、さらに1000年後を見据えたタイムカプセルに入れるための手記という形で
物語は進む。
現代文明はすべて絶滅し、そこには昭和初期を思い出させるようなのどかな田園風景が広がる。
網の目のような水路を小舟が行きかい、水車が回る。
そして夕暮れになると公民館のスピーカーからドボルザークの「新世界より」が流れ、
あちこちに散って遊んでいた子どもたちが家路につく。

すべての人間達は思春期を迎えると呪力を身に着け、いわば超能力を操るようになる。
貧困にも争いごとにも縁遠く見える平和な社会を保つために、町は注連縄に囲われ、
思想や行動はそれとは気づかせずに管理されており、ことに子供たちの教育は重要視されている。

その教育機関、全人学級で行われる夏季キャンプで、主人公たちのグループが好奇心のおもむくままに
遠出をしたことで、運命の歯車が回り始める。
悪鬼とは?業魔とは?いったい何を指しているのか?
それは実在するのか?
いたはずの姉はどこに消えたのか? 自分の心を奪った少年の記憶はいつすり替えられたのか?

1000年前の図書館のアーカイブ端末から得る知識。文明を否定することでやり直したはずの人類。
では、淘汰された呪力をもたない人はどこに消えたのか?
人間が生命に手を加えるのはどこまで許されるのか、どこからが神の領域なのか?

ありえない設定のはずなのに、リアリティあふれる世界観と描写力で、しっかりとイメージが掴める。
後半は残忍な戦いのシーンも多いのだが、それもこの物語の必然として受け止めることができた。
最後の最後まできて、そうだったのか、と腑に落ちることもあるのだが、決してそれだけではない。
そこに至るまでに少しずつ理解を積み重ねて、初めて納得できる、という感じだ。

ただ、ファンタジーだの呪力だのは受け付けない、という人には、つまらないかもしれない。
あるはずのない空間や時間を著者と共有するのもいいものだ、とは言いたくなるけれど。

まさかまさかの…

2011-03-27 12:19:09 | 基本情報技術者受験
情報処理試験、延期のお知らせメールが来ました。

ITパスポートと基本情報処理技術者は7/10だって。
う~ん。
時間がないからぁ、などという言い訳を微妙にかわす3か月弱の期間ではないか。
これはある程度腹をくくって頑張るしかないか。

最近は秋試験へと照準が移りつつあったのだが、気を引き締めてもう一度
遅い春というか夏試験にトライしてみようと思う。

ここのところ、何でもかんでも後ろ向きになりがちだったのだけれど、
ここはひとつ不幸中の幸いとでも思ってみよう。

……現実は書き込み式ドリルの第一章で早くもつまづいちゃってるんだけどね。