息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

このベッドのうえ

2013-07-25 10:32:22 | 著者名 な行
野中柊 著

さらっと読めて読後感もさわやかな短編集。
ふわふわと消えてしまうはかない雰囲気ではあるけれど
女性の心の動きが細やかに描写されている。

そしてどの作品にもお酒が登場する。
それは手づくりの柘榴酒であったり、ワインであったり、
ミントジュレップであったり、マティーニであったり。
エピソードにぴったりと合うお酒は、さらにイメージをふくらませてくれる。
そして少し大人の雰囲気も醸し出す。

勢いで進むだけでは物足りない恋愛。
それはいつも叶うわけではないけれど、人生を美しく彩ることを
彼女たちは知っている。

季節感の表現がとてもじょうずで、いつの間にか自分のその中に入り込んでしまう。
そして折々に登場する食べ物がとても魅力的。
つられてお腹まですいてしまう。

何かがしっかりと残る、という作品ではないが、
心地よい時間と、穏やかな気持ちは残りそう。