志村ふくみ 著
人間国宝である著者が、50年間にも及ぶ創作生活の中で、
染め、織ってきた布の小裂を貼りためた「小裂帳」。
宝石箱のようなこの宝物をそのまま本にしたのがこの作品だ。
著者が織物をはじめたのは1960年前後。
私が生まれるよりも前のことだ。
毎日毎日蘇芳を炊き、染め続けた日々。
茜や紅花が手に入り、夢中になった時間。
藍の奥深さにとりつかれた年月。
それも時空を超えた美しさと価値があるものなのに、
なんとも愛らしい、素朴な魅力もあるのだ。
それは実際に触れることができるものがもつ特性なのだろうか。
ふだん、あまり華やかな色や柄を身につけない私だが、
そのよさはよく理解できる。
格子柄はとくに普段縁遠いのに、こんなふうに見せられると、
その表情の豊かさに釘づけになる。
色の組み合わせと引き立てあい、というテーマで考えるとき、
格子柄は素晴らしい力を見せる。
文章も素晴らしいし、染に使う植物の話も面白い。
ただぱらぱらと眺めるだけでも手に取る価値がある。
人間国宝である著者が、50年間にも及ぶ創作生活の中で、
染め、織ってきた布の小裂を貼りためた「小裂帳」。
宝石箱のようなこの宝物をそのまま本にしたのがこの作品だ。
著者が織物をはじめたのは1960年前後。
私が生まれるよりも前のことだ。
毎日毎日蘇芳を炊き、染め続けた日々。
茜や紅花が手に入り、夢中になった時間。
藍の奥深さにとりつかれた年月。
それも時空を超えた美しさと価値があるものなのに、
なんとも愛らしい、素朴な魅力もあるのだ。
それは実際に触れることができるものがもつ特性なのだろうか。
ふだん、あまり華やかな色や柄を身につけない私だが、
そのよさはよく理解できる。
格子柄はとくに普段縁遠いのに、こんなふうに見せられると、
その表情の豊かさに釘づけになる。
色の組み合わせと引き立てあい、というテーマで考えるとき、
格子柄は素晴らしい力を見せる。
文章も素晴らしいし、染に使う植物の話も面白い。
ただぱらぱらと眺めるだけでも手に取る価値がある。