息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

ドッペルゲンガー奇譚集 ―死を招く影―

2013-07-22 10:36:32 | 書籍・雑誌
阿刀田高ほか

これもアンソロジー。
ひとつ読み返すと、また読みたくなってしまうんだよなあ。

ドッペルゲンガー、ドイツ語のdoppelganger、もうひとりの自分自身や
分身などのことで、それを見た者は死ぬなどという伝説もある。

一番テーマらしい感じで始まったのは赤川次郎「忘れられた姉妹」。
自分が知らないところで悪評がたち、実は自分は双子だったことがわかったが、
もうひとりは亡くなっていて……と、畳み掛けるように進んでいく。
もちろんそこから話は展開して行くのだが、途中までのセオリー感が、
幼い頃からもっていた「ドッペルゲンガー」のイメージまんまだったのだ。

やはり私自身は増田みず子「分身」とか小池真理子「ディオリッシモ」とかの
異空間へ行ってしまう系が好きだ。
「分身」の舞台となる故郷の洞窟やそこにある石仏なんて、すぐにでも見に行きたい。
今の季節いいだろうなあ。ノスタルジックな夏。
いやいや怖いから行きませんけどね。イメージはいいよねえ。

「ディオリッシモ」は仕事で疲れて乗った電車がいつの間にか異世界へという、
感情はリアル、現象は非現実的というのがとても好みの舞台設定だ。
すごく忙しい日が続くと、心だけどこかに逃げ出しそうになったりするよね。
電車にただ身を任せていたら、なんか違う!ええ?って。
起こらないんだけど起こりそうというか。起こるといいなというか。
いまやそういう働き方から離れてしまったから、よけいにあの感覚が蘇る。

今の自分自身についていろいろ考えているのかなあ。
こういうものを読むって事自体が。
なぜか落ち込む今日である。