息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

Q&Aでわかるおとなの食育新常識100

2014-07-07 10:34:56 | 著者名 わ行
若村育子 著

これはなかなかのお役立ち本。
知っていることもあるけれど、本当にそれでいいのかと不安だったり、
まったく誤解していたりする食情報がQ&Aですっきりまとまっている。
イラストも豊富で、小学生でもわかりやすそうだ。

たとえば食品の酸性アルカリ性というのはいまや否定されているが、
ダイエット情報や健康食品の記事などでは、当然のように目にするので、
信じている人は多そうだ。
卵は赤玉がいい!と高価でもそちらを選ぶという人もたくさんいる。
古い揚げ油は梅干を入れれば復活するなんて、お母さんの知恵袋的に
盲信している人も見たことがある。

こんな知識がすっぱり白黒つけられると、非常に助かる。
曖昧な健康情報に踊らされたり、怪しげなダイエットに飛びついたり
という危険も避けやすいのではないか。

じゃがいもやほうれん草の電子レンジでの加熱はアクが残る、という
知識はあったのだが、少量だけを急いで加熱するならそれもよし、と
メリットを説明されると納得できる。
健康を守ること、おいしく食べること、こだわるべきことを
ちゃんと整理できる。

首交換殺人―心理分析官加山知子の事件簿

2014-06-13 10:44:34 | 著者名 わ行
和田はつ子 著

六本木を舞台に起こった女性二人の殺人事件。
なぜか切断された首が交換されていた。

六本木ヒルズに住む高校非常勤講師は資産家令嬢で、犬を友に
ストイックに暮らしていた。
一方、距離は目と鼻の先ながら、麻布十番のアパートに暮らす
ホステスのほうは、売春しながらヒモに貢いでいたらしい。

まるで接点のない二人に何が起こったのか。
プロファイリングの知識をもつ知子が、二人の半人前部下とともに
捜査していく。

登場人物も捜査の舞台も興味深くて面白い。
犯人がわかってからのスピーディな進行はスリリングで
あっという間に読めてしまう。

ただ、半人前のひとり・永井の「っす」という言葉が
すごく気になって非常によみづらかった。
好みなのだろうし、実際そういう言葉を使う人もいるから
人物設定として仕方ないのだろうが、何しろ多いのだ。

シリーズ化しているらしいのだが、出版社をまたいでいるせいか、
他を知らなくても全く問題なし。
機会があれば他も読んでみようかな。

死神

2013-12-17 10:31:29 | 著者名 わ行
和田はつ子 著

かつて『誰かのせいだった』という作品を生み出したものの、
現在は実家の書店をほそぼそと経営している菅原。
図書館に配達に出かけ、セーラー服の少女の死体を発見した。
少女のカラダは彼が届けようとしていた『日本刑罰史』に掲載されている
特殊な縛り方をされていた。

犯人から送られるメッセージ。第二、第三の殺人予告。
『誰かのせいだった』を読んだという犯人は、何が目的なのか。

ぐいぐい取り込まれていき、引きずられるように読んでしまう。
サスペンスドラマのような展開だ。
主人公が中年で、山を走り回るはめになったりするところなんか
もろにそれっぽいなあ。

謎解きも人物描写もいいし、ストーリーも悪くない。
面白いのだが、個人的にはどうも入り込めないのだ。
これはひとえに作品がどうこうではなく、私自身の問題ですな。
好みってやつ。
たぶん主人公になんとなく共感できないとか、小さな違和感が
積み重なったせいかなあ。
残念だ。

聖女の肉

2013-06-23 10:58:33 | 著者名 わ行
和田はつ子 著

ミッドサマー・イヴ(夏至)の日に首を切断され、吊るされていた家出少女・智香。
胃の中にあったのは大量のヘロイン。そしてなぜか、
中世ヨーロッパの祭典で飲まれていた「ラムズ・ウール」の原料だった。

翌日、東京湾から上がった車の中の死体の胃には、同様にラムズ・ウールの
原料があり、それは少女の親であることがわかった。

よくある無理心中かと思われたが、人類学者・日下部は納得できない。
数日後、日下部が会いに行った友人・小倉が殺されていた。
そのそばには聖スウィズンを奉るアップル・ボビングが置かれていた。

これはなんの関係があるのか。キーは「中世ヨーロッパ」と「山羊」。
智香は山羊のように殺され、小倉は山羊に注目する農場主兼料理人だった。

食と人類学に関する豊富な知識、キリスト教に関する薀蓄などがたっぷり。
私は理詰めでくる話が大好きなので、このあたりは満足。

しかし、それと殺人の解決がうまく絡んでいるかというと、う~ん。

ダイエットに関する意見や、ダイイングメッセージなど、小道具も豊富なのに
うまく処理しきれていないというか、あっさり処理しすぎちゃってもったいない。
もっと使おうよという感じ。

全体的にあとひとつというところか。

まさにいまの季節ということで。

鳥追い

2013-05-22 10:44:38 | 著者名 わ行
和田はつ子 著

女子高生がラブホテルで惨殺された。
ショッキングな事件にはさらにショッキングな要素が数多くあった。

遺伝子操作によって生まれた凶暴なカラスは、次第に巨大化していく
現代のカラスの姿に重なってくる。確かに生物兵器として使えそう。
そして恐竜のような怪人は、ある実を食べて身体が鳥へと変化した
人間だった。
彼らは猟奇殺人を繰り返す。

そんな中、文化人類学者・日下部遼と女性刑事・水野薫のコンビは
類似した事件が佐渡で起こっていることを知る。
「お鳥様」の伝説とはなんなのか。
それはなぜ死を呼ぶのか。

ヒッチコックの「鳥」を思わせる恐怖と、オカルトな香り。
それを解決していく名コンビの呼吸。
お約束の感じは否めないが、そのぶんテンポよく楽しめる。

もう少し伝説とかおどろおどろしい感じがあってもよかったかなあ。
それは単純に好みの問題か。