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夏のロケット2010 観測ロケットS-520-25打ち上げを見に行きました

2010-08-29 | 宇宙
コテージ叶岳から見晴るかす内之浦の町と山と海。この青空と雲の向こうに観測ロケットが翔ぶ筈だったが…

2010年8月28日の早朝05時00分~05時30分に、
内之浦宇宙空間観測所内KSセンターより打ち上げられる予定だった観測ロケットS-520-25号機
(参考:→観測ロケットS-520-25号機、打上げ迫る!

久し振りに、日本のロケットの古巣である内之浦からのリフトオフということで、
僕も前日から現地・大隅半島の鹿児島県肝付町に駆け付けました。

既に一度、実験装置不具合により打ち上げが延期されている観測ロケットS-520-25号機、今度はキッチリ翔んでくれますかどうか…
でも今はあれこれ考えるより、信じて待つしかない!そう、
“きっと翔ぶ!絶対に翔ぶ!…はずだよね と信じて。

平成22年8月27日(打ち上げ前日)

今日は金曜日ですが、有給休暇を取得しました。
休日ですが通常の日と同じ時間に起きて、同じように身支度や朝食を済ませ、出勤するように(笑)内之浦へ出発。

熊本県八代の自宅から約4時間弱で、内之浦に到着。
先に現地入りしている“副部長”こと文系宇宙工学研究所金木犀さんに「今着いたよ~」と電話連絡を入れ、先ずは宇宙空間観測所へ。




山の上の宇宙空間観測所へと向かう道の向こう、山の稜線に聳える2つのパラボラアンテナ。
宇宙ファンには「大うっちーさん」と「小うっちーさん」のうっちー兄弟として有名です。
また、「大うっちーさん」こと34mパラボラ(写真右側)は、小惑星探査機はやぶさの地球帰還時に最後まで通信運用を行っていたアンテナなのですよ。

観測所入場口で見学の受付を済ませて、そのままクルマで宇宙空間観測所構内へ。

明日、S-520-25号機が打ち上げられるKSセンターへの入り口は封鎖され、
関係者以外立ち入り禁止となっています。

でも、宇宙空間観測所で一番高い場所にあるテレメータセンター辺りまで登って行くと、KSセンターを上から見下ろすことが出来ます。


明日の朝にはあのコンクリートのドームの向こう側にロケットランチャが据え付けられ、
S-520-25号機が打ち上げられることになります。

打ち上げ準備が進行中なのでしょうか、
数名のスタッフの方の姿が、ドーム周辺に確認出来ます。
この場所で打ち上げが見られれば最高なのですが、明日の打ち上げ時刻には当然ながら宇宙空間観測所内を含む周辺地域は立入禁止となります。

 
振り返ると、背後には「大うっちーさん」34mパラボラがそそり立ちます。
お椀が真上を向いているので、衛星との通信運用はひと休み中かな?


しかし相変わらず、建屋の老朽化が深刻に進行中ですねぇ…
何とかならないものか。
それに、空模様の雲行きも何となく怪しくなってきたのが気になります。
打ち上げ時に雨が降ると、観測ロケットは翔びません。明日の朝には是非ともスッキリ晴れてくれないと困るなぁ…


一方、「小うっちーさん」20mパラボラは真横を向いて通信運用中の模様。

その後、宇宙空間観測所内の麓側にあるM台地で金木犀さん達と合流。necovideoさんがご一緒。後できみさんも合流予定とのこと。
今夜の宿泊地と打ち上げ見学ベースキャンプとして押さえておいてくれたコテージ叶岳へと移動。
熊本からここまで頑張ってくれた愛車ビストロ君を駐車場に留置して、荷物をロッジ内へ運び込みます。とは言え、1週間近い滞在となる上に立派な撮影機材と通信機材で大荷物の皆さんに対して僕は1泊2日の予定なので殆ど荷物はないのですが。機材もコンデジと携帯電話だけだし(苦笑)

荷解きを済ませてから、金木犀さん達のレンタカーに全員同乗して内之浦の町へと食料や日用品の買い出しに出発。
男所帯でロッジでの自炊なので、何だかキャンプや部活動合宿のようでワクワクします。
でも、明日は早朝の打ち上げなので夜明け前の起床となるので、お酒を控えないといけないのは少々残念ですね。

町内のAコープ(農協系のスーパー)で飲料水(何故かロケットを見に来る皆さんには「ヨーグルッペ」という乳酸飲料が好まれます。九州では普通に売っているんで僕は特に何とも思わないんだけど、九州外ではまずお目にかかれないレアな飲み物として人気があるんだとか…)と肉や野菜のパックを購入。
今夜はこの食材で“副部長”が男の手料理を振舞ってくれるそうなので楽しみ。

レジ横に貼られた「海での遊泳禁止」の呼びかけを見て、先日水死された今回の観測ロケット実験の関係者の方の御冥福を祈りつつ、我が身を引き締めてロッジに戻ります。
しかし、コテージ叶岳って本当に叶岳の山頂にあるので、麓の町と行き来するたびに運転テクニックを駆使して山道を登り降りしないといけないし、相当のガソリンも消費してしまうのが難点だな…

その後は、皆でダラダラだべったり仮眠を取ったり、副部長の“男の手料理、炎の肉野菜炒め”に舌鼓を打ったり。
しかしそのうちに空模様はどんどん悪化して、とうとう時折激しい雨が降るようになってしまいました。
「TVやWebの天気予報では、明日の鹿児島の天気は晴れのち曇りなんだけどなぁ…」
「通り雨で、このまま雲が流れて行ってしまうといいんだけど」

最終便で空路鹿児島入りしたきみさんを、空港バスの来る鹿屋市までピックアップしに行く頃には、断続的に豪雨と共に台風並みの強風まで吹く有様に。でも、こればかりはどうしようもありません。
今日は取りあえずこのまま明日の打ち上げに備えて寝ることに。
おやすみなさい。雨が止みますように、ロケット翔びますように…(むにゃ…)

Zzzz…



平成22年8月28日(打ち上げ日)

午前3時に副部長のセットしておいてくれた「はやぶさ帰還カプセルのビーコン」音のアラームで目が覚めて、ベッドの中でもぞもぞしていましたが、次の瞬間
「打ち上げ、中止ー!」 という声で一気に覚醒。
現地で取材されていた宇宙作家クラブの方が逸早く、悪天候での打ち上げ中止決定の第一報をTwitterに書き込んで下さった模様とのこと。
打ち上げは、中2日空けて31日に延期されたそうです。

ああ、前回の種子島でのH-IIA17号機に引き続き、また直前の打ち上げ中止か…
寝起きの頭でそんなことを考えながら、ベッドの横の窓を豪雨と暴風が叩いていることに気が付きました。
「ああ、やっぱり雨は上がらなかったのか…この雨風じゃ、なるほど打ち上げは無理だわな、納得…」

その後、誰ともなく「じゃ、また寝ようか…」ということになって、そのまま皆で二度寝を決め込んでしまいました。ま、他にどうすることも出来なかったのですが…

次に目が覚めると、もうすっかり夜が明けています。
「ああ、よく寝た!」

ロッジの外に出てみると、雲はまだ多いですが気持ちのいい青空が見えます。
「打ち上げ中止の後は、大抵天候が回復するんだよな…チクショー!!www」

さて、これからどうするか。
僕は明日まで休みだけど、ロケットは3日後まで翔ばないので明日まで根張っても仕方がない。という訳で今日中に熊本に引き揚げることにしました。
せっかくなので今日はこの後、皆と一緒に内之浦を見て回ることにします。

先ずは副部長の握ってくれたおにぎりの朝食を食べてから叶岳ロッジを引き払って、山を降りて温泉へ。
内之浦の町にあるコスモピア内之浦では、日帰り入浴で本格的な温泉を楽しむことが出来ます。
ロケット待ちの緊張から解き放たれた身体を温泉で伸ばして、すっかりリフレッシュ。

次に、本来なら今朝ロケット打ち上げを見る予定だった場所である宮原の見学席へ。

報道も一般も、同じ場所に誘導されるようです。


実験場下での釣りは危険だから禁止と呼びかける立て看板も。
ロケット実験の日付は、もう31日に修正されていますね。


見学席の雛段。
ここはかつて、M-Vロケットの打ち上げが行われていた頃はプレス関係者専用だった場所ですが、観測ロケットの場合は一般人も入れるんですね。


宮原見学席から見た内之浦宇宙空間観測所。
うっちー兄弟やM台地のロケットランチャに囲まれて、KSセンターのドームがよく見えています。
今朝ここから観測ロケットS-520-25号機の打ち上げを見られたら、さぞかし素晴らしい眺めだったでしょうねぇ!


見学席の裏手にある、宮原精測レーダテレメータセンター。
ロケット打ち上げ時に追尾を行ない、制御します。
新しく建設された10mパラボラアンテナも見えますね。


内之浦の町に戻る途中に通った国道448号線の橋の上からも、KSセンターがよく見えます。
ここは観測ロケット打ち上げ時に立ち入り規制される区域の外にあるので、ここから打ち上げを見たり撮影する人も多い名所なんだとか。

さて、一通り観測ロケット関連の場所を見た後は…


出ました、えっがね(伊勢えび)!!
宇宙空間観測所の関係者の方も打ち上げ後に祝宴を催す為によく訪れるというお店、網元さんで昼ご飯です!
こんな豪勢な昼食が、手頃なお値段で楽しめるんですよ~


お刺身も食べて、〆はお造りの殻で出汁を取ったえっがね味噌汁じゃー!どうだ参ったか!!www
内之浦ではちょうどこの時期の伊勢えび漁解禁に合わせて、内之浦えっがね(伊勢海老)祭りも開催されています。

ああ~美味しかった。そろそろ帰ろうかな。
ロケット打ち上げは見られなかったけれど美味しいえっがねが待ってる、内之浦はいい町です。
みんなでまた来るぞ!

観測ロケットS-520-25号機、31日は無事に翔びますように!
 そして今回御一緒した皆さん、
来月11日のH-IIAロケット18号機による準天頂衛星初号機「みちびき」の打上げで、種子島でまたお会いしましょう。

 天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

※平成22年8月31日午前5時20分追記:S-520-25号機、先程打ち上がりました。
熊本県Y郡の自宅近くからも、夜明け前の空に上昇する噴射炎をはっきり確認出来ました。
…次は、現地で見たい!


4 コメント

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えっがねえっがね (bbsawa)
2010-08-30 00:20:28
こんばんは。遅番帰りでの書き込みです。
観測ロケット打上延期は残念ですが、お昼御飯は超豪華。うらやましい。
衛星ヶ丘展望台から遠くに見える宮原レーダー台地が見学席ですか。大きくみるには400mmクラスの望遠レンズか双眼鏡が欲しいですね。
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ロケットが駄目でもえっがねがあるwww (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2010-08-30 20:14:10
おばんです。
内之浦はロケットとえっがねの町です。魚も美味しいですよ~

宮原のお立ち台からだと、ちょうどKSセンターやM台地が真正面に見えるので、ロケーションは申し分ないです。
双眼鏡があれば尚いいですね。

今後、ここから翔び立つことになるイプシロンロケットの運用開始も楽しみです!
(尤も、イプシロンの場合はこの場所から一般人が見ることは出来ないでしょうが…)
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えっがね! ()
2010-08-30 23:48:21
っていうんですね。伊勢エビのこと。
きっとぷりぷりしてとっても美味しかったんでしょう?!
あ~美味しそう。
打ち上げは残念でしたがその他の楽しみがあって良かったですね。
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ロケットの仇をえっがねで討つ (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2010-08-31 05:27:48
庭さん、おはようございます。
えっがね、濃厚で甘みがありましたよ。歯ざわりはちょっとヒラメのえんがわみたいでした。

この次は「ロケット打ち上げを見て、その後えっがねで乾杯!」といきたいものですw
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