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中国に新幹線は走らない…中国高速鉄道へ車両を初輸出

2006-03-02 | 時事
早めに帰宅してNHKの「7時のニュース」を見ていたら、気になるニュースが。
中国高速鉄道へ車両を初輸出

「中国の鉄道の高速化計画の一環として、おととし川崎重工業や日立製作所など日本企業6社が中国政府から受注した480両のうちの4両」が川崎重工の神戸工場から船出したそうだ。

すぐに思い出したのが、台湾新幹線こと台湾高速鐡路(神戸新聞の記事)。
こちらも今回の中国向け車両と同じ神戸の川崎重工から船出している。
あれから既に2年、台湾新幹線は資金難や土木工事の遅れ、そして「ベストミックス」と呼ばれながらも効果に疑問が持たれる「日本の新幹線方式」と「ヨーロッパ・TGV方式」を折衷するという独自の運行システムの調整に手間取り、当初の台北駅~高雄左営駅間2005年10月31日開業予定は1年延期された。
それでも最近では工事も試運転も順調に進み、連日、日本製の新幹線車両「700T」が時速300キロで試運転を行っている。現地では日本のメーカーのエンジニアやJR東海の運転士達が現地スタッフや台湾高鐡の運転士候補生と一緒に仕事に取り組んでいるそうで、日本人と台湾人のスタッフが息を合わせての懸命の努力で順調な仕上がりを見せているようだ。

中国の高速鉄道は、北京~上海間で2008年のオリンピック開催までに開業を目指すそうで、こちらは日本製の700Tだけが走る台湾と異なりドイツの高速車両ICEと日本の東北新幹線E2(はやて型)が混在して走る。
この時点で、中国の高速鉄道は台湾新幹線と異なり「統一された運行システム」に従って走るという考え方がない事が分かる。
要するに同じ線路の上を全く規格と性能の異なるドイツ製と日本製の車両が行き交うわけである。

日本の新幹線を新幹線たらしめているのは、車両の走行性能ではない。世界最高峰の安全性を誇る「運行システム」…列車集中制御システム(CTC)に守られた完璧の安全性あってこそ、車両がその走行性能を存分に発揮して300キロで疾走することができるのだ(この「完璧の安全性」は伊達ではない。数年前、睡眠時無呼吸症候群の運転士が走行中に意識を失うも列車は停車駅で自律的にぴたりと停車するという「事故」が現実に起きている)。

中国高速鉄道の発想は、運転の土台となる「完璧なシステム」を無視して、ただ車両の走行性能のみに注目しているのではないだろうか?
台湾高速鐡路は日本オリジナルの運行システムは導入しなかったが、日本型を基にヨーロッパ方式の長所も組み合わせようとしている。とにもかくにも「運行システムの重要性」は重視している訳だ。

私には、今回のはやて型車両の中国輸出は、せっかくの車両の性能を生かせないばかりか、もし中国が「速い車両さえあれば無問題!」と考えているならそれは無謀であるばかりでなく非常な危険性を孕んでいるように思えてならない。
想像してみて欲しい。それは信号もない田舎のあぜ道でスポーツカーをぶっ飛ばすようなものだ。
精密で高規格の線路と設備、完璧の運行システム、そして高性能な「飛ばし屋」の車両。これらが渾然一体となって初めて世界に冠たる「新幹線」が完成する。新幹線はシステムそのものである。
やがて中国を走るはやて型車両は、そういう意味で永遠に新幹線にはなれないであろう、悲しい事だが。

それとは別に、中国へのモノの輸出には「違法コピー」という忌まわしい法則がある。日本人が築き上げてきた新幹線車両の技術がコピーされ、やがて劣化コピーされた中国製新幹線車両が市場に出回る悪夢が…ということも考えたが、残念ながら紙数が尽きたので今夜はこれで失礼。





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