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国立歌劇場の切符

2012-11-13 | 映画・演劇・コンサートを観る
Vienna,Tram


宮脇俊三さんは1995年の秋にヨーロッパ鉄道紀行の旅でウィーンに滞在された折に、
国立オペラ座(Staatsoper)で当日券を買って「セビリアの理髪師」 を観られたそうです。
6階の立ち見席という文字通りの天井桟敷で、値段は20シリング(当時はまだ欧州統一通貨ユーロは無かったんですよね)、
これは当時のレートで日本円で200円程という破格の安さだったとか。

現在でもウィーンの国立オペラ座では伝統的に格安の当日券販売は行われているそうで、
色々調べてみるとさすがに200円ということはないですが、それでも確実に千円以下の破格値で世界最高峰のオペラをシーズン中はほぼ毎晩観ることが出来るというのだから、文化都市ウィーンの市民が羨ましい限り。

ところがここで、インターネットが世界中に張り巡らされた現代社会の恩恵を受けようと務める旅行者にとっては福音が。
ウィーンを始め、ヨーロッパ各国の首都で燦然と自国の文化の高さを誇示するように鎮座まします国立歌劇場は、今ではそれぞれ公式ホームページ上で正規のチケットをオンライン販売しているのです。
しかも素晴らしいことに、オンライン販売のチケットは基本的に業者のマージン等は一切含まれない“現地価格”。
もちろん座席のレベルによって価格はピンからキリまでですが、一番お値打ちなのは高層階バルコニー席の最前列で、これなら高くても数千円で買うことが出来る(このクラスの座席は地元の常連音楽ファンに大人気だとか)。
日本人旅行者も、自宅に居ながらにしてヨーロッパ各国の綺羅星のような国立歌劇場の切符を彼の地の市民と同じ価格で買うことが出来るなんて、ちょっと素晴らしいと思いませんか?

僕も今回、ウィーンとブダペストとプラハの国立歌劇場の切符をそれぞれの公式ホームページからオンラインで購入しました。
一番安かったのはプラハで200チェコ・コルナ、現在だいたい1コルナが4円弱ですから800円くらいですかね。
宮脇先生の20シリング天井桟敷ほどではありませんが、この価格なら成程毎晩でもオペラを観に行きたくなるというものです。
嗚呼、やっぱりヨーロッパの市民が羨ましい!

せめて僕も旅の間は、束の間彼の地の住人になった気分でオペラ座通いを愉しむとしましょうか。
ブダペストでは愉快なオペレッタ「こうもり」が、
プラハでは誰もが知っている情熱的な悲劇「カルメン」が、
ウィーンでは…波瀾万丈の天才音楽家の人生最後の傑作「魔笛」が、僕を待っているのです。

そう考えただけでも、何て楽しいんだろう… オペラ観劇の興奮は、既に始まっているのですね。