大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

浦和はなぜ真逆のスタイルを選択したか、という背景についての考察

2011-05-09 23:18:57 | サッカー全般
監督を交代させるに当たって、とりあえず考えないと行けないのは、前任者がやって来たことをどこまで継承するのか、あるいは、継承せずに全く違う路線を突き進むのか、ということではあるんだけども、全く真逆のスタイルを選択してしまった例が、今季に入ってからの浦和ではある。ペトロがやっているサッカーについて今ここで論評する気はないんだけども、ここで考えたいのは、浦和がなぜフィンケからペトロへと監督を交代させて、時計の振り子を正反対の方に振ってしまったのかということである。

浦和の内部についてはあまり詳しくはないけれども、部外者から見て考えられる理由というのは、少なくとも浦和のフロントはフィンケのサッカーに対しては不満を持っていたということだろう。それは結果を出していなかったということもさることながら、彼のサッカーのスタイルそのものに対しての不満も持っていたということが考えられる。狭いスペースで人数が集まってのパス廻しで狭いスペースを突破していこうとするが故に広くオープンなスペースにサイドチェンジというのが少ないというのが大体のフィンケサッカーのイメージだったけども、それは得てして相手に人数を固めて守られるとドン詰まりを起こしやすいものだった。まあ、こういうサッカーって大阪のどこかのチームを見慣れていれば判るけども、なかなか相手の守備網を打ち破れ無い時にはすんごくイライラさせられるわけですw

だからこそ、新監督を探す時にいくつかの候補があった中で敢えてペトロにしたという理由は、単純にOBだからという理由(まあ、それもスポンサーやサポを納得させる為の理由でもあるが)というだけではなく、幾人もの候補者と面談を重ねていき、フィンケ時代の試合のDVD等も見せながら、貴方ならどんな処方箋を持っているかと尋ねた中で、私ならこうしますという方法論を候補者が提示する中で決定したのだと推測するのだが、今回の場合ペトロのそれがフロントが求めていたものに一番マッチしていたのかもしれない。つまり、浦和のフロントはもっとピッチを広く使えるサッカーを志向する人物に託したかったんじゃないかという風に思えるわけです。もっとも、そうしたサッカーというのは高い個人能力というのが前提にあって初めて成り立つものではあるんだけども、浦和には日本でもトップレベルの選手らが揃っているし、足りなければ補強で更に必要な戦力を揃えればいいと考えていたのかもしれないわけでそれが今年の補強に繋がっている。逆に言えば、フィンケのように狭いところでパス回しをして数的優位を創りだすやり方というのはどちらかと言えば弱者のサッカーだと考えていた節がある。

もちろんこれは私自身の憶測にしか過ぎないのだけども、そう考えるのが、今回の真逆交代の真相としては、当たらずと言えども遠からずというところだとは思いますけどもね。これは、理由は違うけども、代表監督の人事でも、ガチガチの管理主義者だったトルシエから全く約束事を設けなかったジーコに替わったのと経緯は似ているわけで(それでブッチーはドイツ惨敗後に、その両者の真ん中ぐらいの人物がジーコの後にはいいと考えたらしくて、そこでオシムに白羽の矢を立てたとか。ちなみに、彼はトルシエ-オシム-ジーコの順番の方が良かったと回想している)。

ただ、監督を替えてみて初めてフィンケのやり方にもある程度理にかなっている部分というのもあったのだと再認識しておられる人がいるかもしれない。サイドチェンジがなぜ少なかったのかと言えば、サイドチェンジは余程の精度がなければ、取られるばかりか逆サイドにおいて人がいない為に却ってピンチを招く可能性があるからだし、狭いところでパス回しをするのは確かに取られるかもしれないが、取られてもすぐに切り替えて取り返す為のプレスがかけやすいからだといったようなところが判るかもしれない(実際そういう形で高い位置でのプレスがハ
マることがフィンケ時代にはあった)。

だからまあ、監督を替えるにしても、フィンケがやって来た基本的なスタイルはある程度残しつつも、その上で縦にボールを入れるだとかいうような、味付けを加えられるような監督を選んだ方が良かったかもしれない。まあ、シーズン始まったばかりでその後持ち直す可能性があるとはいえ、今のやり方を指揮官がかたくなに続けるとなると?を付けざるを得ないわけで。

ただ、浦和や日本代表のケースから監督人事について学ぶとしたら、前任者のやってることを否定するのではなく、ある程度認めつつもそこから少し変えていくというベクトルで監督を選択した方がいいということかもしれない。