La douce vie

sweetsや美味しいもの,雑貨,映画,art,音楽,本,マンガ,スポーツ観戦,ice show,旅行等ゆるブログです

江國香織「落下する夕方」

2006-06-30 | book/comic
江國香織さんの本の中で一番好きな話です。
主人公の梨果は長く同棲していた恋人・健吾に突然別れを告げられる。
現実を受け入れられない梨果。しかし、健吾は去っていく。残された部屋に現れた華子は健吾の想い人だった。
梨果はずるずると華子との同居生活を始める。

主人公の梨果はふられた現実を受け入れきっていない。ふわふわと浮いた感情の波にさらされて、時々、ふられたことを忘れそうになるけど、そんな時、元恋人の残酷なまでの正直な態度に現実を突きつけられる。こういう正直さは一見、善良のようでひどく残酷なものだと思う。
だらだらと時が過ぎていく様を読んでいると、とても悲しくなってくる。途中で「おーい、あなたはふられたんだよ」と声を掛けたくなってしまう。江國香織独特の世界観だ。

主人公の女性は共通点が多いがそれは江國香織さんに近いということではないかと思う。私は江國香織さんの本を読むとほとんどの主人公の顔は江國香織さんだけどこの話だけは違う顔を思い浮かべる。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。