「蝉しぐれ」藤沢周平

以前、内野聖陽主演のドラマ「蝉しぐれ」がとてもよかったので、本で読み返すことにした。内容も結末も分かっているはずなのに、どんどん引き込まれしました。
主人公文四郎は子供の頃、叔母夫婦の家の養子となる。文四郎は真面目な性格の父を尊敬していた。そんなある日、父親は藩政に巻き込まれ、切腹となる。その後、文四郎は若くして謹慎処分となり、世間の冷たい風にさらされる。と前半は突然の悲劇が主人公を襲い、鬱屈した生活が続くのだが、その後、藩政の陰謀に巻き込まれ、話はどんどん展開していく。
この作品は描写が丁寧で、展開が小気味よい。あと、なにより、読後感がすがすがしい。私が藤沢周平の作品が好きなのはまさにこの読後感を味わうためかもしれない。
私と藤沢周平の作品を引き合わせてくれたＮＨＫのドラマだが、9月から再び内野聖陽主演で放送予定(8月6日(金)スタート）がある。「秘太刀馬の骨」だ。実は私の親が面白いと勧めてくれた藤沢周平作品の1冊なのだ。楽しみである。