常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

サボテン

2020年09月16日 | 日記
わが家にサボテンが来て40年近くになる。冬に陽だまりの窓の内に入れるほかは、ベランダの雨のたるところ置くだけで、枯れることもなく生き続ける。
太陽をいっぱいに浴びて、たまに降る雨を多肉質の身体に蓄えて、一年にほんの少し成長するだけが、いつまでも元気な姿を見せてくれる。棘は葉の変形したもので、先端の白い部分はやわらかいように見えるが、どうしてどうして触るとしっかりとした棘である。人工の肥料や如雨露の水など一切必要とせず、最小の鉢と少量の土のみでしっかり生きていく。こんな生きざまに自分もあやかりたいものだ。

サボテンの花は美しい。こんな小さな身体から、びっくりするような大きな花を咲かせる。花茎は10㌢以上に伸び、蕾がピンク色をおびて次第に膨らんくる。もうそろそろと思う頃、玄関先に取り込んで花を楽しむ準備をしていたところ、一晩そこを見るのを忘れ、朝でかけて帰ってくると、もう花が終わって茎が垂れてしまう姿を見つけた。一夜花である。早朝にしっかり鑑賞するのを忘れると、一年に一度しか咲かない花を見逃してしまうことになる。「アレー、サボテンの花が終わっている」妻のがっかりした声が、静かな室内に響きわたる。また一年、花茎が伸びてくるのを待つほかはない。

仙人掌に跼まれば老いぐんぐんと 三橋鷹女
コメント
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