私は人前でに出ることは苦手であったが、立場上避けることはできなかった。
新型肺炎の発生時にはすでに引退していたが、インフルエンザ蔓延期、とりわけ新型インフルエンザ発生時には県医師会感染症担当としてラジオやTVで県民向けの啓蒙活動も何10回もこなした。ある日の夕方にはNHK、民放3社の番組にほぼ同じ時間帯に登場したこともあった。
ラジオやTV番組ではあらかじめ原稿を用意するのであるが、原稿の存在を考えさせないような口調で説明するのは大変であった。
講演・講話も多かった。その場合は、ほとんどの場合、事前に用意したスライドを映しながら行なった。聴いてく下さる方に話している内容をわかりやすく提示する目的もあったが、基本は自分のために用意したカンニングペーパーの様なものである。
優柔不断・ウジウジ人間であってもいろんな乗り越え方がある。
くれぐれも「これじゃダメだ」と自分を否定しないこと。「良くも悪くも今の自分を肯定する」こと。「実力以上に格好良くやろうと思わないこと」これが大切な基本であろう。
「自分は自分だ、他人からどう見られようと関係ない」といくら思っても、どうしても人と比べてしまう。私は自意識過剰人間であった。
他人の視線や、他人の評価が気になり、私は人の前ではいつもビクビクしていた。
これは仕方のないことだ。私は子どもの頃からずっと、他の子供と比べられ、評価されてきた。特に優秀であった兄といつも比べられたことがトラウマになった。
もちろん、他人の目がまったく気にならないとしたら、他人の気持ちも他人の存在も気にならないということになり、他人を平気でふみにじりかねない自分になる。ヒトは一人で生きているだけでなく、他人の中でも生きているのだから。
他人の目に映る自分が気になるから、自分のイヤな部分は隠したい。そう思うのは自然なこと。
私も、それでもみんなに受け入れてもらわなければと、必死で別の自分を演じていた。本当は断りたい。一人でいたほうが気楽でいい。でも断れない。 そのあと一人になると、猛烈な自己嫌悪におちいった。
私が心理学の本などを読み始めたのは、その苦しさの中であった。本から受け取る内容なんて微々たるものだ。読み続けて読み続けて、今になってやっと効果が出てきた様な気がする
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