福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

新型インフルエンザ対策(10)医療機関は悪意で薬品を備蓄するのか(2)

2009年03月21日 07時57分48秒 | 医療、医学
 国が2月に公表した関係省庁対策会議の「新イ」対策のガイドライン(GL)の新版の「抗インフルエンザウイルス薬に関するGL」部分に「医療機関等による悪質な買い占めは、公表」という記載がある。この部分はタミフルやリレンザを効率的・効果的に使用するため、都道府県、医療機関、卸業者等による適切な保管・流通・投与を促すためのGLである。

 何でこんなところに「悪質な・・」と言う字句が出てこなければならないのだろうか。国は医療機関、医療関係者をどう見ているのか、大いに疑問である。国は「新イ」パンデミックの機会を利用して利益を得ようとする医療機関があるとでも思っているのだろうか。

 この国がこういう視点でいるのならば如何に国がGLを発表すれども「新イ」対策に協力する気持ちが萎えてくる。

 国はわれわれ医療関係者に積極的な協力を要請していながら、われわれを護る視点での用意は皆無である。僅かにプレパンデミックワクチンの優先投与があるだけで、それで感染症対策の前線に出ろと言う。
 去る3月4日の日医の危機対策協議会で厚労省の「新イ」対策を推し進めている責任者の話でも「医療機関や医療関係者への保障は何も考えていない、パンデミックの時は普く感染する可能性があるのだから医療関係者だけを有利にすることは出来ない」、と説明した。

 ならば、従業員を護るのは誰だ、と言うことになる。医療機関は従業員の感染予防に用いる薬品を備蓄することが必要になってくるが、それを含めて「悪質な・・」と解釈されたらわれわれはやっていけない。どこまでが「良質な備蓄」でどこからが「悪質な買い占め」と判断するのか明らかにして欲しいものである。

 私は県の新興感染症部会の委員長として、医師会の危機管理対策の責任者として、また、病院の管理者として、国に対して、■プレパンデミックワクチン優先投与■感染予防薬配備■感染防御機材配備■パンデミックワクチン優先投与■労災補償■医療機関に対する運営保障、を求めていきたい。そうでなければ会員や職員に「新イ」感染対策の前線に出て欲しい、と要求は出来ない。

 繰り返すが、医療機関による薬品の「悪質な買い占め」など無い。国が用意しないから各現場で考えなければならない。それを「悪質な買い占め」と言うのなら「新イ」対策に協力は出来るものではない。

 「新イ」対策は応召義務の範囲外であり、あくまでも医療従事者の倫理観だけである。だからといって無防備では最前線に出ては行けない。

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