桃山時代は、茶室において、香を聞く事が行われ、聞香(ききこう)と 茶の湯とは、密接な繋がりが、
ありました。 又香炉は、飾りとして、用いられてもいました。
それ故、桃山時代の作に、香炉の優れた作品があります。
・ 聞香とは、香のかおりを識別し、味わうことを「香を聞く」といいます。
聞香に用いられる香炉を、聞香炉と言い、香が聞き易い様に、小型で煙返し(縁を内側に曲げる)を
付けない、一重口の香炉です。
1) 黄瀬戸や織部に、獅子鈕蓋の香炉があります。獅子は唐物の古銅を、模しているが、
これを日本化し、桃山文化の優雅(きらびやか)を、表現しています。
楽焼も、獅子香炉を得意とし、初代宗慶の作に、優れた造形の、獅子香炉が有り(後述)、
二代目常慶は、阿吽(あうん)一対の、香炉を得意とし、数点作成しています。
2) 江戸時代に入ると、侘び茶は、千家茶として定着し、聞香を取り入れた、七事式にまで進展します。、
・ 七事式(しちじしき)とは、徳川中期に、表千家と裏千家両家元が、合議の上で作られた物で、
茶道修練(稽古)のための技(方法) の事です。
七つの式作法からなっています。その構成は、花月(かげつ)、且座(さざ)、廻(まわ)り炭(ずみ)、
廻り花、茶かぶき、一二三(ひふみ)、員茶(かずちゃ)の七つですが、このうちの廻り炭は
炉の季節で用い、風炉(ふろ)は、廻り炭の替りに、花寄せがあります。
茶道の事ですので、詳細は省きます。(興味の有る方は、調べて下さい。)
・ この内で、香と関係する式は、且座式(さざしき)で、五人で行います。
客が三人で、亭主を「東(とう)」といい、亭主の補助役を、「半東(はんとう)」と言います。
正客が花を生け、次客が炭を継ぎ、三客が香を焚き、東が濃茶を点て、半東が薄茶を点てます。
(又は、正客が香を焚き、次客は花を入れ、三客は炭を置きます。)
花を生け、炭を継ぎ、香を焚き、濃茶薄茶を点てる且座は、お茶の全てが含まれている方法です。
3) 香炉の名品
① 青磁千鳥香炉(高6.4㎝,口径9.1㎝ 徳川美術館) (中国明代の製作)
円筒形の三つ足で、底部中央に、高台があり、畳付きと成り、足が宙に浮いています。
元宗祇が珍蔵し、今川氏を経て、信長に渡りました。
また利休所持で、三つ足が不揃いであったのを、妻の宗恩が一分だけ、切らせたところから、
千鳥の香炉の名が、生まれたという伝説もあります。(洗心録)
② 宗慶、黒楽向獅子香炉(高18.0㎝ 滴翠美術館)
宗慶は秀吉から楽の金印、銀印を賜った、楽焼の陶工です。
他に、三彩獅子香炉や、黒茶碗天狗(共に梅沢記念館蔵)などが現存します。
この獅子の原型は、「紫銅向獅子香炉」(徳川美術館蔵)です。
③ 赤絵狗鈕香炉(高10.0㎝ 根津美術館)
名物呉須赤絵香炉です。蓋は三方に、穴のあいた蓮弁紋透蓋で、甲に狗が後を振り向いた姿で
表されています。狗の一部に、金彩が残り、嘉靖頃の金襴手で、景徳鎮窯の物とされていますが、
身の方は、呉須赤絵、赤玉紋の手で、石碼窯の物と考えられます。
小堀遠州から、土井家に伝わりました。
④ 仁清作、色絵雉子香炉(国宝 高18.0㎝,長47.6㎝,胴幅12.0㎝ 石川県美術館)
野々村清右衛門(仁清)の、陶芸を代表する、装飾的な飾り用の、色絵香炉です。
雉子(きじ)香炉には、この他に、銀彩の物が知られています。
この香炉は、仁清の細工物を、代表する優作で,頭部の力強い表現を,胴部のゆったり
とした膨らみが支え、尾先を低くして、優美な感覚を巧みに表しています。
黒の上に緑を掛け、細い金の線描で、括った羽毛の表現は見事です。
前田家の注文によって、作ったものと思われ、後に城下、山川家に伝来しました。
⑤ 仁清作、菊紋共蓋香炉(高8.0㎝,胴径8.0㎝ 香雪美術館)
色絵聞香炉で、全面に赤の菊を表し、余白に葉などを補った緻密な作品です。
仁清の同型香炉には、松竹梅絵香炉、剣酢醤(かたばみ)草紋香炉などが、知られています。
近頃は、茶道でも、香炉を使う機会が、少ないとの事です。
以上で香炉の話を、終わります。
ありました。 又香炉は、飾りとして、用いられてもいました。
それ故、桃山時代の作に、香炉の優れた作品があります。
・ 聞香とは、香のかおりを識別し、味わうことを「香を聞く」といいます。
聞香に用いられる香炉を、聞香炉と言い、香が聞き易い様に、小型で煙返し(縁を内側に曲げる)を
付けない、一重口の香炉です。
1) 黄瀬戸や織部に、獅子鈕蓋の香炉があります。獅子は唐物の古銅を、模しているが、
これを日本化し、桃山文化の優雅(きらびやか)を、表現しています。
楽焼も、獅子香炉を得意とし、初代宗慶の作に、優れた造形の、獅子香炉が有り(後述)、
二代目常慶は、阿吽(あうん)一対の、香炉を得意とし、数点作成しています。
2) 江戸時代に入ると、侘び茶は、千家茶として定着し、聞香を取り入れた、七事式にまで進展します。、
・ 七事式(しちじしき)とは、徳川中期に、表千家と裏千家両家元が、合議の上で作られた物で、
茶道修練(稽古)のための技(方法) の事です。
七つの式作法からなっています。その構成は、花月(かげつ)、且座(さざ)、廻(まわ)り炭(ずみ)、
廻り花、茶かぶき、一二三(ひふみ)、員茶(かずちゃ)の七つですが、このうちの廻り炭は
炉の季節で用い、風炉(ふろ)は、廻り炭の替りに、花寄せがあります。
茶道の事ですので、詳細は省きます。(興味の有る方は、調べて下さい。)
・ この内で、香と関係する式は、且座式(さざしき)で、五人で行います。
客が三人で、亭主を「東(とう)」といい、亭主の補助役を、「半東(はんとう)」と言います。
正客が花を生け、次客が炭を継ぎ、三客が香を焚き、東が濃茶を点て、半東が薄茶を点てます。
(又は、正客が香を焚き、次客は花を入れ、三客は炭を置きます。)
花を生け、炭を継ぎ、香を焚き、濃茶薄茶を点てる且座は、お茶の全てが含まれている方法です。
3) 香炉の名品
① 青磁千鳥香炉(高6.4㎝,口径9.1㎝ 徳川美術館) (中国明代の製作)
円筒形の三つ足で、底部中央に、高台があり、畳付きと成り、足が宙に浮いています。
元宗祇が珍蔵し、今川氏を経て、信長に渡りました。
また利休所持で、三つ足が不揃いであったのを、妻の宗恩が一分だけ、切らせたところから、
千鳥の香炉の名が、生まれたという伝説もあります。(洗心録)
② 宗慶、黒楽向獅子香炉(高18.0㎝ 滴翠美術館)
宗慶は秀吉から楽の金印、銀印を賜った、楽焼の陶工です。
他に、三彩獅子香炉や、黒茶碗天狗(共に梅沢記念館蔵)などが現存します。
この獅子の原型は、「紫銅向獅子香炉」(徳川美術館蔵)です。
③ 赤絵狗鈕香炉(高10.0㎝ 根津美術館)
名物呉須赤絵香炉です。蓋は三方に、穴のあいた蓮弁紋透蓋で、甲に狗が後を振り向いた姿で
表されています。狗の一部に、金彩が残り、嘉靖頃の金襴手で、景徳鎮窯の物とされていますが、
身の方は、呉須赤絵、赤玉紋の手で、石碼窯の物と考えられます。
小堀遠州から、土井家に伝わりました。
④ 仁清作、色絵雉子香炉(国宝 高18.0㎝,長47.6㎝,胴幅12.0㎝ 石川県美術館)
野々村清右衛門(仁清)の、陶芸を代表する、装飾的な飾り用の、色絵香炉です。
雉子(きじ)香炉には、この他に、銀彩の物が知られています。
この香炉は、仁清の細工物を、代表する優作で,頭部の力強い表現を,胴部のゆったり
とした膨らみが支え、尾先を低くして、優美な感覚を巧みに表しています。
黒の上に緑を掛け、細い金の線描で、括った羽毛の表現は見事です。
前田家の注文によって、作ったものと思われ、後に城下、山川家に伝来しました。
⑤ 仁清作、菊紋共蓋香炉(高8.0㎝,胴径8.0㎝ 香雪美術館)
色絵聞香炉で、全面に赤の菊を表し、余白に葉などを補った緻密な作品です。
仁清の同型香炉には、松竹梅絵香炉、剣酢醤(かたばみ)草紋香炉などが、知られています。
近頃は、茶道でも、香炉を使う機会が、少ないとの事です。
以上で香炉の話を、終わります。
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