わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 118 陶芸での失敗事例22?

2015-04-17 21:40:35 | 素朴な疑問
8) 作品移動時の失敗。(前回の続きです。)

 ⑦  窯詰め、窯出し時の失敗。

  ) 本焼き後の窯出しの失敗。

   a) 本焼きの窯出し方法は、素焼きの窯出しとほとんど同じです。

    但し、作品の釉が熔けていますので、若干の違いがあります。

    窯の扉を開ける瞬間は、何回本焼きしても、緊張するものです。今回は順調に温度も上がり

    窯焚きは上手くいったと思っていても、いざ窯の扉を開けるまでは、結果が判明しません。

    扉を開け一目見れば、焼きの良し悪しが判断できます。例え、一部のみしか見えなくても、

    まだ見えない部分の状態が把握されるからです。

   b) 最初に目に入るのは、釉の色です。勿論、作品の形が崩れるている場合や割れている事も

    有りますが、稀な事です。一般には、釉の良し悪しで判断します。それ故、窯出しは昼間の

    日中に行う事が大切です。夜間や電灯の光等では、釉の本来の色が見え難いからです。

    勿論、太陽の明るい光の下で色を見る事もありますが、一般には、日陰の状態か曇天の時が

    良いと言われています。尚、色の確認は、窯出し後に時間を掛けて見ることで、別の発見が

    ある物です。

   c) 釉の流れ具合の確認をします。

    流れ易い釉の場合、適度に流れ望みの作品に成る事もありますが、作品の表面を流れ落ち

    棚板まで到達している作品もあります。この様な時は、棚板から上手に剥がさないと、

    作品が壊れます。特に、「鏨(たがね)」等で無理やり剥がすと、棚板に接している作品の

    一部が割れて「ギザギザ」に成ります。

    棚板には、「アルミナコーチング」と呼ばれる物質が塗られています。これは棚板を高熱

    から守る役目もありますが、主に釉が棚板まで流れた際に、このコーチング材を境に棚板

    から剥がせる為でもあります。即ち、流れ落ちた棚板の裏側から、木槌などで叩き衝撃を

    与えると、コーチング材が作品側に付き、棚板から剥がす事ができます。

    但し、この付着物を取り除くには、「グラインダーやダイヤモンドヤスリ」で削り取る必要

    があります。この作業は意外と大変です。尚「ダイヤモンドヤスリ」は100円ショップで、

    色々な形状の物が市販されています。

    作品を剥がした棚板は、コーチング材が剥がれ、地肌が露出しますので、コーチング材を

    塗り、補修します。補修の際棚板の表面が凸凹しますので、紙やすり等で、平坦にしておか

    ないと、次回の焼成で、作品が水平に置けません。

   d) 望みの釉の色が出なかった原因や、釉が流れ落ちた原因など、施釉の方法や窯焚きその他

    での思い当たる処がある場合には、次回以降の参考にする為、それをノートに記し、

    その対策を考える様にします。但し、意外と原因は判明しない場合が多いです。

   e) 本焼きした作品の底は、「ザラツイテ」いるのが普通です。勿論、素地の肌理の細かさに

    よってその差があります。この状態ではテーブル等を傷付ける恐れがありますので、

    必ず砥石(といし)を掛けたり、作品同士の底を合わせる「共擦り」し、滑らかにします。

    但し、「紙やすり」では綺麗に出来ません。

   f) 水を長い時間入れる花瓶類では、水漏れの予防をする必要があります。

    但し、水が「ポタポタ」漏れ出す場合には、水漏れ防止剤でも止まりません。

    この場合には、再度施釉して本屋焼きする事です。

    水漏れは単に底のみとは限りません。即ち、器の胴体部分から、汗の様に吹き出る場合も

    有ります。但し、胴体からの水漏れが少量の場合、空気中に蒸発してしまう為、気が付か

    ない場合もあります。又、食器類の畳み付き部分は、施釉しませんので、陶器では若干水を

    吸い込みます。又、高台内に施釉しない抹茶々碗等もあります。その為、乾燥不十分で

    作品の底を中心に「黴(かび)」が生える事もあります。これらの作品には、市販されて

    いる水漏れ防止剤を流し込んだり、筆で塗ったりします。必ず、食器用を使う事です。

    水漏れ防止剤を塗った場合、乾燥させる為、一昼夜は必要で、その間水洗いや水で濡ら

    したりすると、水漏れ防止剤の効力が失われます。

以下次回に続きます。
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