常日頃使っている釉でも、特に不都合ではないが、少し変えたいと思う事も多いと思われます。
釉の知識のある方ならば、ご自分で調合し、思う通りの釉に改造できますが、市販の釉を使っている
場合には、どの様にすれば良いかと、思い患う事もあるかも知れません。又、手持ちの釉を使い
何かを添加して、別の釉を作り出したいと思っている方もでいるでしょう。
今回のテーマは、その様な方に対し、少しでもお役に立てる事柄を述べたいと思います。
1) 釉の熔け過ぎ、熔け不足対策。
① 市販の釉には1230℃で焼成する物以外に、1180℃、1200℃、1250℃、1280℃、1300℃等と
表示されているのも多いです。これ以外の温度表示されている釉もあります。
但し、陶芸の窯は容量の大小の他、燃料の差、酸化還元の差、焼成時間、作品の量と窯詰め仕方
など、多くの要素によって、常に一定に焼成できる訳でもありませんが、より安定した釉に
したいと思うのは人情です。
② 釉の性質にもよりますが、多くの場合熔けの過不足は、焼成温度の調整で対応できます。
但し、同じ窯で複数の釉を使う場合には、窯の最高温度は変える訳には行きません。そこで、
熔け過ぎを防ぎ、熔け不足を解消する為に、別の何かを添加する事で解決する必要があります。
③ 熔け過ぎる釉と、熔け不足の釉の表情。
) 熔け過ぎる釉で問題に成るのは、釉が作品の表面を流れ落ち、棚板まで達する事が最大の
問題になります。途中で止まる分には、模様として見れば良い訳です。
) 釉には元々流れ易く調合された釉があり、市販されています。又、流れる事で本来の色調
が現れるものもあります。例えば、結晶釉と呼ばれる釉は、釉が流れて移動する事により、
結晶が成長すると言われています。又、織部釉も若干流れる事で綺麗な色に発色すると
言われています。
) 熔け不足の表情としては、光沢釉であるにもかかわらず、熔け不足でマット調になる
場合があります。更に、表面が滑らかに成らず、「ザラツク」感じとなります。尚、この様
なマット状の釉では、器に汚れが付き易いとも言われています。又、水漏れの原因になる
場合もあります。
④ 熔け過ぎの原因。(ここでは、焼成温度に付いては除外して考えます。)
) 釉の基本的構造は、主に釉を熔かす成分(アルカリ類)、固める成分(珪酸類)、粘る
成分(アルミナ類)の三要素から成っています。それ故、熔かす成分を少なくするか、固める
成分を増やせば良い訳です。但し、一度調合された物から、何かを減らす方法は困難ですので
固める成分か、粘る成分を増やす事で対応します。
) 固める成分の珪酸はSiO2で表わし、「シリカ」と呼ばれる物質で、珪石や珪砂、石英、
水晶などに多く含まれています。一般的には、珪石や珪砂を使います。これらは、陶芸材料店
で、容易に入手できます。又、珪酸は熔融温度を上げる働きもあります。
但し、加え過ぎると、艶消し釉になります。
) 粘る成分のアルミナ分(Al2O3)を添加する事により、流れ過ぎるのを抑える事ができ
ます。アルミナ成分は、長石やカオリン、粘土、黄土等から採るのが一般的ですが、添加する
際には、水酸化アルミニュウムを使用します。これは、素地と釉の密着を良くする働きがある
からです。長石やカオリンの添加では、釉の濁りも少なく、艶消しになる事は少ない利点が
あります。
) 釉の調整以外でも、流れ過ぎを防止する事が可能です。
即ち、施釉を厚く掛けると、釉は流れ易くなります。それ故、若干薄く掛ける事です。
又、窯の中で比較的温度の低い場所があれば、そこに窯詰めする事で、釉の流れ落ちるのが
防止できます。
⑤ 熔け不足の原因。
以下次回に続きます。
釉の知識のある方ならば、ご自分で調合し、思う通りの釉に改造できますが、市販の釉を使っている
場合には、どの様にすれば良いかと、思い患う事もあるかも知れません。又、手持ちの釉を使い
何かを添加して、別の釉を作り出したいと思っている方もでいるでしょう。
今回のテーマは、その様な方に対し、少しでもお役に立てる事柄を述べたいと思います。
1) 釉の熔け過ぎ、熔け不足対策。
① 市販の釉には1230℃で焼成する物以外に、1180℃、1200℃、1250℃、1280℃、1300℃等と
表示されているのも多いです。これ以外の温度表示されている釉もあります。
但し、陶芸の窯は容量の大小の他、燃料の差、酸化還元の差、焼成時間、作品の量と窯詰め仕方
など、多くの要素によって、常に一定に焼成できる訳でもありませんが、より安定した釉に
したいと思うのは人情です。
② 釉の性質にもよりますが、多くの場合熔けの過不足は、焼成温度の調整で対応できます。
但し、同じ窯で複数の釉を使う場合には、窯の最高温度は変える訳には行きません。そこで、
熔け過ぎを防ぎ、熔け不足を解消する為に、別の何かを添加する事で解決する必要があります。
③ 熔け過ぎる釉と、熔け不足の釉の表情。
) 熔け過ぎる釉で問題に成るのは、釉が作品の表面を流れ落ち、棚板まで達する事が最大の
問題になります。途中で止まる分には、模様として見れば良い訳です。
) 釉には元々流れ易く調合された釉があり、市販されています。又、流れる事で本来の色調
が現れるものもあります。例えば、結晶釉と呼ばれる釉は、釉が流れて移動する事により、
結晶が成長すると言われています。又、織部釉も若干流れる事で綺麗な色に発色すると
言われています。
) 熔け不足の表情としては、光沢釉であるにもかかわらず、熔け不足でマット調になる
場合があります。更に、表面が滑らかに成らず、「ザラツク」感じとなります。尚、この様
なマット状の釉では、器に汚れが付き易いとも言われています。又、水漏れの原因になる
場合もあります。
④ 熔け過ぎの原因。(ここでは、焼成温度に付いては除外して考えます。)
) 釉の基本的構造は、主に釉を熔かす成分(アルカリ類)、固める成分(珪酸類)、粘る
成分(アルミナ類)の三要素から成っています。それ故、熔かす成分を少なくするか、固める
成分を増やせば良い訳です。但し、一度調合された物から、何かを減らす方法は困難ですので
固める成分か、粘る成分を増やす事で対応します。
) 固める成分の珪酸はSiO2で表わし、「シリカ」と呼ばれる物質で、珪石や珪砂、石英、
水晶などに多く含まれています。一般的には、珪石や珪砂を使います。これらは、陶芸材料店
で、容易に入手できます。又、珪酸は熔融温度を上げる働きもあります。
但し、加え過ぎると、艶消し釉になります。
) 粘る成分のアルミナ分(Al2O3)を添加する事により、流れ過ぎるのを抑える事ができ
ます。アルミナ成分は、長石やカオリン、粘土、黄土等から採るのが一般的ですが、添加する
際には、水酸化アルミニュウムを使用します。これは、素地と釉の密着を良くする働きがある
からです。長石やカオリンの添加では、釉の濁りも少なく、艶消しになる事は少ない利点が
あります。
) 釉の調整以外でも、流れ過ぎを防止する事が可能です。
即ち、施釉を厚く掛けると、釉は流れ易くなります。それ故、若干薄く掛ける事です。
又、窯の中で比較的温度の低い場所があれば、そこに窯詰めする事で、釉の流れ落ちるのが
防止できます。
⑤ 熔け不足の原因。
以下次回に続きます。