わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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釉薬とガラス 5(アルカリ元素2)

2011-10-23 22:08:01 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
4) 三要素の原料

 ② アルカリ土類(金属)の種類と効果

   アルカリ土類は、一般的には、アルカリ元素と組み合わせて使います。

   単体では、アルカリ元素より、効果が薄いですが、アルカリ元素と共同で有効に使う事が出来ます。
  
  ) カルシウムは、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、石灰石、大理石より釉に取り入れます。

    炭酸Caは、石灰石として、大量に算出する為、安価です。更に800~900℃程度で、熱分解して、

    酸化Caと炭酸ガスに分解されます。

   a) カルシウム単体では、融点は高い(酸化Caでは2572℃)ですが、二酸化珪素(SiO2)との間で、

     共融現象を起こし、1160℃で熔る様に成ります。

   b) CaOが多くなると、微細な結晶を生成し、マット釉に成ります。この方法が一般的にマット釉を

     作る方法です。

   c) アルカリ元素に比べ、熱膨張率が低い為、貫入の発生を抑えます。

   d) 磨耗などに対し、機械敵強度が増します。又、化学的な耐久性も増します。

   e) 温度の上昇と共に、急激に粘性が少なくなります。(流れ易い釉に成る)

   f) 素地と釉の中間層の形成を促し、釉の密着度が強固になります。

   g) 釉の色に変化を与える事はありません。(他の原料には無い特徴です。)

  ) マグネシウム(Mg)

    酸化Mg、炭酸Mg(マグネサイト)、ドロマイト(炭酸Caと炭酸Mgとの複合剤)、

    タルク(滑石、3MgO・4SiO2・H2O)などが、原料になります。

   a) 高火度釉として使います。少量入れると熔ける温度を下げ、光沢のある釉を作ります。

   b) 1100℃以下では、少量でもマット釉を作ります。量が増えると熔ける温度が上昇し、1200℃以上で

     微細な結晶が生成され、マット状になります。

   c) 失透剤としては、酸化錫やジルコンが代表的な原料ですが、効果はやや弱いながら、Mgも

     十分効果を発揮します。

   d) 他のアルカリ類に対して熱膨張率が低い為、貫入の発生を抑えます。

   e) Mgは釉の粘性(粘度)に影響を与えません。

   f) 表面張力が大きく成り、「ちじれ」(かいらぎ)を起こし易いです。

   g) 機械的強度を増し、酸や磨耗に対して強くなりますので、タイルなどの建築用陶器の釉として

     多用されています。

   h) 釉の色調を変化させます。酸化コバルト(呉須など)は青(藍色)ではなく紫色に、

     酸化クロムは、緑色ではなくオリーブグリーン色になります。

  ) ストロンチウム

以下次回に続きます。
     
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