わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問  284 陶芸の手順とは1(轆轤作業の手順1)。

2017-05-09 17:48:25 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。経験者であれば、手順の理由をある程度理解していて、手順を誤っても

カバーできますが、慣れない方はどんどん誤りが増幅され、手におえなくなり易いです。

手順はある意味その人の身に付いたリズムと見る事もできます。物事がスムーズに運ばれる為には、

リズムに載る事も大切です。一々次の工程を意識しなくても、自然と行動に移せる程度に慣れるまで

練習を続ける事が早道になります。

具体的に、陶芸に対する手順とはどの様な事でしょうか?

1) 全体の手順

 陶芸作業は、以下の手順を踏んで作業を進めるのが一般的です。

 勿論、人によっては、以下に述べる通りとは限りませんが、その人が何らかのトラブルが発生

 しないので有れば、その人の手順で物事が進めても何ら問題になりません。

 ① 陶芸の作業の手順。

  成形(轆轤、手捻り、鋳込み、その他)-> 乾燥 -> 窯詰めー> 素焼き -> 施釉 

  窯詰め -> 本焼き ー> 窯出し

  但し、焼き締め陶の様に、素焼きや施釉せずに、即本焼きの方法もあります。

  個々の作業にも手順が存在します。

 ② 轆轤作業は特に手順を大切にしますので、轆轤を例にとって述べます。

  轆轤は以下の手順を踏んで作業を進める必要があります。

  (但し、私流です。他の人とは異なるかも知れません。)

  ⅰ) 作りたい作品の形、大きさを決める。又、作品に施す装飾も考えておく必要があります。

   但し、轆轤では円形の作品は得意ですが、四角形や不定形等は、轆轤以外の何らかの手段を

   講じなければなりません。轆轤で各パーツを作り、組み合わせて作品にする場合には、

   各パーツまで形を分解し、手順良く作る必要があります。

  ⅱ) 土の準備(使用する粘土を決め、必要量を集める。)

   「一土、二焼き、三細工」と言われる程、使う土を吟味する必要があります。

   土の種類は無限と言って良い程存在し、陶芸材料店にも数十種類あり、市販されています。

   作品の種類や細工によって、土の種類を変える事は理想的な事です。

   但し、多くの方は常日頃使う土は、おおよそ決っている事が多いです。   

  ⅲ) 使用する粘土の空気(気泡)を抜く為に、土練をしておく必要があります。

   一般的には手練(菊練)又は土練機(真空)で行います。

  ⅳ) 轆轤作業の用具を揃える。

   水桶、竹へら、なめし皮、トンボ(スケール、コンパス)、スポンジ、弓、切糸、その他。

 ③ 成形の手順

  ⅰ) 轆轤上の中央に、土を据え密着させる為、土を強く両手で叩く。土の裾野から水が入り

   込まな様に轆轤に密着。密着が不十分であれば、作業中に土が動き、作品を作る事が出来

   ません。

  ⅱ) 土殺しを行う。(センター出し)

   a) 先ず、両手に水を付け、粘土を濡らしながら、泥(ドベ)を出しをします。

    轆轤を回転させながら、両手で粘土の表面を下か上に撫ぜ、泥を出します。

    轆轤の回転はやや速め、手の移動はゆっくり、粘土の頂点まで移動させます。最低三回

    撫上げます。強く押し付ける必要はありません。水不足に成らない様に、気を付けます。

    (毎回手に水を付ける事)

   b) 土殺しとは、使用する粘土を轆轤の中心に据える事です。

    この作業は轆轤作業で最も重要な事とも言えます。(特に初心者には)

    轆轤の中心に載っていないと、土の重心がずれ、綺麗な回転になりませんし、次に行う

    土の中心に穴を掘り込んだ際、周囲の壁の厚みに狂いが生じます。これは又土を上に薄く

    伸ばした際、高さの狂いと成って現れます。

  c) 土殺しの実務とは。

   両手の掌(てのひら)又は小指の付け根で土を挟み込み、土の中心に向かって力を加え、

   下から上に両手を挙げていきます。途中で手が止まると、その部分でネジ切れる恐れもあり

   ます。土を高く山形にします。高ければ高い程良いと言われています。その際両肘は太ももに

   固定し、両手が「ぶれる」のを防ぎます。(延べ上げ)

   土の天辺に凹みが出来るのは、力が土の中心まで届かず、周囲の土のみが上に伸びた結果で

   力不足が原因です。次に右手の親指の付け根を、上記山形の頂き付近を抱え込み、左斜め

   方向に押し倒す様にして、手を下に下ろしていきます。(轆轤右回転の延べ下げ)その際

   右手と左手で土の円周を押さえ込み、綺麗な外周を作りだします。一度では綺麗に成りません

   ので、3回程繰り返します。この際にも水切れを起こさない様に、毎回手に水を付けて行います。

   ◎ 土殺し終了の確認は、轆轤上の土を左で抱え込み、手が「ぶれなければ」終了となります

  ⅲ) 作品の底を作る。

   a) 土の量が多い時は両手の親指で、少ない時は左手の親指で穴を掘り込んでいきます。

    その際、肘は太ももにしっかり固定します。親指が届かなく成ったら、右手中指一本で堀

    進みます。途中水切れになりますので、指で水を掬い穴に流し込みます。

   b) 底の厚みは高台の高さによって左右されます。一般に輪高台や碁笥底高台など削り

    高台が多いですので、最低でも10mm程度残します。ベタ高台の場合は5~8mm程度

    底の厚みを計る針等があれば便利です。釘と割り箸で作る事が出来ます。

   c) 底の内側を平らに広げる。

    使用時に底の内側が見える食器等は、綺麗に作る必要があります。袋物と呼ばれる作品は

    内側の底は見えませんが、綺麗に作った方が良いでしょう。特に食器の場合、中央がやや

    凹むのは良いのですが、中央が盛り上がった場合には、残り汁が輪状に残り、見苦しく

    なります。

   ⅳ) 土を上に伸ばす。

以下次回に続きます。
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