3) 扁壷を作る。
② 轆轤で「俵壷(ひょうこ)」を作る。(前回の続き)
) 高台と頸(くび)を作る。
「俵壷」に限らず、作品に高台を設けるか設けないかの判断に迷う事も多いと思います。
どの様な作品であっても、原則は高台が有った方が何かと便利な事と、見栄えが良くなる
事ですので、設ける事を薦めます。
・ 但し、手捻りで角皿を作り、脚(高台)を付ける際は注意が必要です。脚を着けた為、
作品が歪んだり、割れを起こす危険が増えます。皿の端に高台を付けると、本焼きで、
中央が弛み(たるみ)、脚を中央にすると、四隅が弛みます。これは、土が高温の為、
軟らかくなるからです。
a) 高台のの効用(使い勝手)。
・ 釉を掛ける際に、高台があると、高台を持って施釉ができまので、取り扱いに便利ですし、
指痕も少なく、目立たない位置にきます。更に、「べた高台」の場合には、特別に底を
持ち上げる方法を取らない限り、底には釉が掛けられません。即ち、施釉しない部分が
多くなりますので、強度的、美観的、実用的にもやや不利に成ります。
・ 実用に供される際にも、高台脇に小指などが入り込み、持ち上げ易く成るなどの他、
器本体を触る事も無く、衛生面でも優れ、使い勝手も大変良くなります。
・ テーブルなどに接する面積が比較的小さくなりますので、熱を下に伝え難くします。
更に、作品を「引きずる」様に移動させてしまっても、テーブルを傷つけ頻度は低いです。
b) 見栄え(見た目)の効用。
・ 高台があると、作品本体が床やテーブルから浮き上がった感じに成ります。この事は
器を軽く見せる効果にも成ります。底がべったり床に着いていると、確かに安定感は有り
ますが、落ち着き過ぎて動きなども無く、面白味に欠けた感じとなります。
c) 高台も作品の一部ですので、全体のバランスを考えて取り付ける必要があります。
大きな作品にはそれにふさわしい高台を付ける必要があります。貧弱な脚(高台)
では、不安定でもあり、逆に小物なのに立派な脚は似合いません。
前置きが長くなりましたが、扁壷の脚(高台)について述べます。
d) 轆轤挽きされた扁壷には、轆轤挽きした高台がふさわしいです。
勿論、手捻りの脚であって良いのですが、全体のバランスを考えて、形と大きさを決めます。
イ) 形は台形(撥高台風)に轆轤挽きした脚を、楕円形に変形させます。
楕円形の脚の大きさは、俵本体の長手寸法より短くします。高さも好みで自由に出来
ますが、俵本体の高さの半分以下に抑えておくべきかも知れません。
ロ) 丸い本体(俵)底が、脚の一部に食い込む様に、楕円の脚の長径部の両端を俵に合わせ
丸く切り取ります。
ハ) 脚の最下部(畳付き部)の中央の手前と向こう側に、アーチ状の切り込みを入れると、
見た目に軽さを感じさせます。
ニ) 取り付け位置を決めたら、「ドベ」で貼り付けます。
e) 轆轤挽きした頸(くび)を取り付ける。
「俵壷」には背が低く、径の細い頸に端反りした口が付いているのが一般的です。
勿論、頸が長くてもなんら問題もありません。要は全体のバランスです。
イ) 基本的には、頸は1個取り付けますが、2~3個の頸を持つ「俵壷」もあります。
この場合は、花生(花瓶)として使用される事が多いようです。
複数個取り付ける際、同じ高さではなく、高低差を設けた方が楽しい作品に成ります。
ロ) 頸の取り付け位置が決ったら、本体に穴を開け頸を接着し、取り付け部分を綺麗に
します。
③ 大きな「俵壷」を作る。
本体(俵 の部分)を大きく作る場合には、円柱を閉じて形にする方法ではなく、俵部を二個の
器を作り、繋ぎ合わせる方法を取ります。
即ち、丸味を帯びたコップ状の器を二個作り、両方の口を貼り合わせて、本体を作る方法です
この方法であれば、かなり大きな「俵壷」ができます。
高台や頸を付ける事は、前記と同じですので省略します。
④ 手捻りで「扁壷」を作る。
以下次回に続きます。