goo blog サービス終了のお知らせ 

わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る79(壷14、扁壷を作る1)

2013-05-14 17:04:01 | 陶芸入門(初級、中級編)

扁壷(へんこ)とは、丸い壷に対して扁平(へんぺい)な壷、即ち一部が平らたい状態の壷の意味です

本来の意味は、上記の通りですが、現在ではもっと広い意味で使われ、通常の壷に対して、変形した

壷を表し、色々な形があり、壷のイメージからかなり外れた作品も「扁壷」と呼ばれています。

その為、扁壷と呼ばれる器は、イスラム等の世界に古くから存在していると言われています。

逆に、「扁壷」はイスラムを起源とし、中国に伝えられたと言う説も有る程です。

 尚、中国の元から明の時代の初期に、景徳鎮窯で盛んに作られていました。

 注: 「壷」の意味は、我が国と中国では意味が異なるそうです。

    中国での「壷」は、取っ手と注ぎ口の付いた器、即ち、急須や薬缶等を意味します。

    中国で日本の「壷」に当たるのが、広口で胴の張った容器は「罐」(かん)と呼び、広口で底

    がすぼまった形の器を、「缸」(こう)と言うそうで、水や酒を入れる器として使われます。

1) 扁壷の用途。

  a) 元々の狭い意味の扁壷は、携帯用のの酒壷として使われ、両肩に紐を通す耳が取り付いて

    います。陶磁器製以外にも、青銅器などに、類似の物があります。

    沖縄で焼酎(泡盛)を入れる携帯用の器、即ち「抱瓶(だちびん)」と同じ用途です。

  b) 現在では、置物として使われたり、花生け(花瓶)として多く使われています。

2) 扁壷の作り方。

  壷の作り方と同様に、手捻り(紐、タタラ作り)と、轆轤挽きによる方法があります。

  又、一度丸い壷を作り、前後を叩いて平らにして形作る方法と、最初から扁平な形に作る方法が

  有ります。丸い形の他に、厚みの薄い太鼓型や、俵壷(ひょうこ)と呼ばれる俵(たわら)の形をした

  壷、更には、二つの台形を逆さに合わせた様な、角張った形の物もあり、紐作りや型作りの物も

  多く有ります。

3) 扁壷を作る。

  ① 轆轤による成形。

   ) 中型又小型の丸壷を作り、胴体部分を押して扁平にします。

      「扁壷」には首があるのが、一般的ですので、首(更には口縁)のある形を作ります。

      押すタイミングも重要です。土がべた付かない程度に乾燥後で、乾き過ぎない事です。

      轆轤挽きしたらなるべき早い段階で変形する事です。但し変形後に轆轤上で腰や高台脇、

      底などを、削る事が困難になりますので、なるたけ、扁平化する前に行っておきます。

     a) 押す道具は2枚の平たい板を向かい合わせて壷の中心に向かって押しますが、板を

      平行にしたり、「ハの字」又は「逆ハの字」にすると、押された面が、垂直、上向き、下向きに

      成ります。最初の形が真ん丸(球)であれば、押された痕は、円に成りますが、縦長であれば

      縦長の円になり、横長であれば横長の円になります。

     b) 押す量も重要に成ります。即ち量を大きくすれば、当然変形量も増えます。その結果

        直角方向の寸法は伸びます。同時にこの部分に「ひび」が入り易くなります。

        押す圧力により、平らになる面積も変化します。

     c) 押された部分が平らな面ではなく、曲面の場合には、凹面の物(例えば皿の内側)を

       使います。勿論平らな板を回転させながら丸みのある面にする事も出来ますが、かなりの

       技術が必要です。

   ) 丸皿を二枚作り、貼り合せて「扁壷」を作る。

       この場合皿は立てて使いますので、支える脚 と注ぎ口(首)を別途作る必要があります。

      a) 同じ大きさの皿を二枚作り、底側は綺麗な曲面に仕上げます。

         皿の外径と深さ、底の広さによって、「扁壷]の形が変化します。

         丸壷を変形させるより、奥行きの薄い「扁壷」を作る事ができます。

         底側は底削りの要領で削り、なだらかな曲面に仕上げます。

      b) 二枚を貼り合わせる。

         生乾きの状態ですので、接合部には刻みを入れ、「ドベ」を使って圧着します。

         水漏れが無い様にしっかり押し付ける事です。

      c) 脚と注ぎ口を轆轤挽き、本体に接着します。

       イ) 脚は円形の台形にしてから、楕円に変形します。

          楕円の内側に本体を入れ込む方法と、楕円の長手方向の中央二箇所に、「コの字」 

          形の切れ込みを入れ、底に本体を差し込む方法があります。 

       ロ) ここでは轆轤挽きの方法をお話していますが、必ずしも轆轤で作る必要はありません

          要するに、本体が「ひっくり返る」事が無い様な形状であれば良い訳ですが、デザイン

          (見た目)も重要ですので、検討の価値が有ります。

       ハ) 本体は垂直で、左右対称に立てる事が基本に成りますが、拘る(こだわる)必要は

          ありません。即ち、やや後ろ側に倒したり、左右非対称であってもかまいません。

       ニ) 注ぎ口の形状も自由に決める事が出来ます。

          轆轤挽きした円筒形の物や、端反りの物、更には、四角や三角に変形した物など

          自由に決める事が出来ます。本体への取り付けでは、取り付け部分を決め、本体に

          穴を開ける必要があります。取り付け位置を工夫すると、作品に動きが出て面白味が

          出ます。注ぎ口の下部(接合部)も、本体に合わせて切り取る必要があります。

          両方に刻みと「ドベ」を付けて圧着します。

  ② 轆轤で「扁壷」の一種の「俵壷(ひょうこ)」を作る。

以下次回に続きます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする