1) 紐造りと轆轤挽きで大壷を作る。(前回の続き)
③ 乾燥さてから、更に紐を積み上げる。
上に紐が載せられる程度に乾燥させ、強度が出たら、数段の紐を積み上げます。
) 乾燥時の注意。
a) 基本的にはじっくり時間を掛け、日陰で無風の状態での自然乾燥が望ましいですが、
時間的余裕が無い場合には、ドライヤー等での熱風(弱の事)による半強制的な乾燥でも
さほど問題には成らない事が多いです。
b) 乾燥は内側及び外側を主に行いますが、真上(口縁)は乾燥させない様に濡れた布を
掛けておきます。真上を乾燥し過ぎると、その上に土紐を載せる際に、接着し難いです。
c) 乾燥は上部より始まり、腰や底の部分が最後になります。しかし望ましい乾燥は逆で、
腰や底をしっかり乾燥させ、上部は生渇き程度になるのが理想的です。
) 土の紐を数段積み重ね、轆轤挽きします。
紐を巻く際、轆轤の前で腰掛けた状態で巻き上げる事は可能と思われますが、表面の凸凹を
取った後、轆轤挽きする際には、轆轤挽きする位置が高く成る為、立ち上がった状態で
轆轤挽きする必要が生じる事と思われます。普段の姿勢とは異なる為、作業し難いかも
知れません。更に、轆轤挽きで形を造ります。
下部の形状と連続するカーブにし、繋ぎ合わせた事を感じさせない様にする事が大切です。
) 上記作業を繰り返して、背の高い壷を作ります。
場合によっては、二人掛りで轆轤作業を行う必要が起こりえます。
2) 数種類の色土を使った紐を巻き上げて造る壷。(練り上げ手)
1)で述べた壷は、一種類の色の土を使った壷の造り方ですが、数種類の色土を紐状にして、
設計図通りに積み上げ、所定の模様を作る方法もあります。
この場合、積み上げた紐を轆轤挽きする方法と、積み上げた後轆轤挽きでは無く、轆轤を使った
削り作業で、形と色土による文様を付ける方法があります。
・ 色土は、地の土に各種金属の顔料を入れて作りますが、練り込み用の顔料も多数市販されて
いますので、これを使う方が良いかも知れません。
) 前者では、轆轤挽きする事により、色土は螺旋状に上に伸びていきます。
それ故、積み上げた状態の文様とは成らず、成り行き任せの感じと成りますが、ある程度の
希望する文様にする事が可能です。
) 後者は、練り上げ手と言われる方法です。代表的な作家に、笠間在住の人間国宝であった、
故松井康成氏(1927-2003)がいます。
「練上嘯裂文大壺 」、「練上嘯裂茜壺」等は紐状の色土を、計算通りに巻き上げ轆轤の削りで
成形したものと思われます。
尚、練り上げ手の作品には、紐ではな小さな文様を多数作り、それを順番に積み上げ全体を
パッチワーク風の連続文様を作り出す方法もあります。この様な作り方として、 松井氏の作品に
「練上玻璃光大壺」、「練上玻璃光壺」等の作品があります。
ここでは、著作権の問題で、作品の写真を載せる事は出来ませんが、ネット上で見る事が出き
ますので、興味のある方は、ご覧下さい。一見の価値があります。
以下次回(板造りと轆轤挽きで壷を造る)に続きます。