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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸181(兼田昌尚2)

2012-08-31 22:21:16 | 現代陶芸と工芸家達

② 兼田昌尚氏の陶芸

 ) 「刳貫(くりぬき)」技法とは。

    a) 土について: 兼田氏が使う土は、大道土 3 :金峯土 1 の割合で混ぜ合わせ、更に1割

      程度の見島土を配合しています。金峯土(みたけつち)は耐火度を、見島土は鉄分量を

      調整します。

    b) 作る作品は、鉢、茶碗、花器など多彩です。

      作り方で大切な事は、土をいかに締めるかです。一塊の土から作り出しますので、

      どうしても締めが弱く、「割れ」や「ひび」が出易いです。塊が大きければ大きい程、

      しっかり締める必要があります。

    イ) 茶碗など比較的小さな作品では、塊も小さいですが、花器などの場合にはそれなりの

      方法が必要です。

    ロ) 小さな塊の場合には、土を机に叩きつけたり、上から土を落として締めた後、更に掌や

       角材を使って叩き締めます。締める際には、少しづつ全体の形を作って行きます。

       (角材は、薪を削って自作した、長さ40cm程度で、断面は長方形に成っています。)

    ハ) 大きな塊の場合には、大まかな形にした後、角材を使って全体を叩き締めます。

       叩く場所も考慮する必要があります。即ち角のある作品ならば、角が出る様に叩く必要が

       あります。又、兼田氏の作品には、叩いた痕を上手に生かしています。

       逆に、意図的に段差が出来る様に叩いている様にも思われます。叩いていると自然に

       正面が決る様に成るとの事です。

     ニ) 中を刳り貫く。 一日置いて、乾燥させてから作業に取り掛かります。

       使う道具は主に「掻きベラ」です。先端が丸や角のもので、作品に応じて使い  

       分けいます。塊の中央から彫り進み、先ず穴径を大きくしながら、深さも彫り込みます。

       肉厚はある程度(2~3cm)厚くしておき、翌日の仕上げ削りで薄くします。

     ホ) 口の小さな花器などは、底の方から彫り進み、最後に底になる板を貼り付けます。

        底板は底に合わせて形作り、底の大きさよりやや大きくします。合わせ目に引っ掻き傷を

        付けて、指で底板を本体にならしてから、角材でかるく叩き接着させます。

     ヘ) 肉厚を整える。慣れないとこの作業は難しいようです。

        特に段差のある作品では、同じ厚みにする事に苦労するそうです。

        手による厚みの測定や、「掻きベラ」の手応え、それに添えている手の感覚、削る時の

        音などを頼りに、厚みを判断するとの事です。

     ト) 肉厚は作品に応じて変化させます。

        どっしりした、鉢や花瓶などはやや厚めにし、茶碗などは、口縁をやや肉厚にしますが、

       全体的には、やや薄めに削ります。又、無骨な茶碗にしたい場合には、やや厚めにします。

  ) 釉について。「ざっくり感」のある萩土には、白釉や藁灰釉を掛け、白やグレーに時には

      ピンク色に発色させます。釉は流れて作品を叩いた時に出来る角や面に応じて濃淡が

      つきます。これがまた見所の一つになります。

  ) 焼成は三室からなる、登り窯で行っています。   

     焼成された器肌は、灰被りをはじめ、白萩釉が繊細で複雑な表情を見せます。

  ) 兼田 昌尚氏の作品

   ・ 白萩刳貫茶碗 : 高 10、 口径 11.5 cm。 白萩窯変刳貫茶碗: 高 10.2 、口径 13 cm。

     灰被刳貫茶碗 : 高 8.8、 口径 9.8 cm。

   ・ 灰被刳貫水指 : 高 20 、22 X 22 cm。

   ・ 灰被陶筥(とうばこ): 高 12.5、 22.5 X  14 cm。

   ・ 灰被刳貫花器 : 高 38.5、 43.5 X 23.7 cm。などの作品があります。

次回(瀧田項一氏)に続きます。

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