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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代陶芸168(窖窯の焚き方について1)

2012-08-17 21:01:43 | 現代陶芸と工芸家達

陶芸をしている方は、薪での焼成を一度は経験したいと、思っている方も多いと思います。

薪窯には、登窯と窖窯(あながま)に大別されますが、実際薪で良い作品を得る為には、土の種類や

窯詰めの仕方、更には焼成方法など、知っておくべき事も多いです。

以前には主流であった登窯は容積が大きく、大量の作品を作る陶芸家や、窯場の共同窯で

使用する以外は、ほとんど使われなくなっています。(公害問題も大きく影響しています。)

1) 一方窖窯は、小規模であり窯自体を貸してくれる所もありますので、近年個人や陶芸

   グループなどで、割合容易に薪を使う窖窯が利用される様になり、人気も上がって来ています。

 ① 窖窯での焼成には、それなりの心得が必要です。

    釉を使わず、自然降灰の松灰と炎に任せる薪窯の魅力は、焼肌が紅やオレンジ色になる

    「緋色」や、松灰が流れる「ビードロ」、そして薪のオキの中で出来る「焦げ」等が起こる事です。

    これらが単独で起こる場合と、複合的に起きる場合があります。いずれも窯任せの状態です。

    その結果は、窯出しの際に判明される物ですが、どの様な焼き上がりを望むかによって、土の

    選択や作品の作り方、窯詰めの仕方、更には、焼成方法によって、その出来不出来が決ると

    言われています。

  ) 土選び: 一般に信楽の土と伊賀の土を使う事が多いです。

     (勿論備前土もありますが、備前は焼き方が他とは事成りますので、後でお話します。)

    窖窯では焚き口と煙道との温度差は大きく成り易いですが、土の耐火度も1300℃程度は欲しい

    所です。これに適合する土として、「古信楽」の細目と粗目と、「古伊賀」が挙げられます。

    a) 「古信楽土」は、長石粒(ハゼ石)を含み、この長石が美しく熔け、大物の作品に向き、

      緋色も出易い土です。「白信楽土」は、長石や珪石を含みませんが、松灰が掛り流れ易く

     なり、繊細な作品向きに成ります。尚、緋色は土に含まれる鉄分と、薪の炎に含まれる

     「アルカリ」成分が反応して、現れると言われています。

    b) 「古伊賀土」は長石を含み、熔けて弾けて豪快さが表現でき、緑色の「ビードロ」が映える

       器肌に仕上がります。この土は耐火度が非常に高く(1350℃程度)、更に数度の窯入れ

       にも耐えられます。鉄分の少ない白めの原土に、磁土と赤土を3~4割混ぜる場合も

       有ります。原土のみよりも、ビードロが載り易く、緋色も出易いと積極的に使う人もいます。

       尚、 土は信楽や滋賀土を専門に取り扱っている業者も多いですので、そこから取り寄せて

       いる方も多い様です。

    c) 「黄ノ瀬土」と「篠原土」も昔より、窖窯の中で緋色が出易い土として使用されています。

      現在名前は同じでも、昔と同じ土を見出すのも困難かも知れません。

      それ故、各種の土をブレンドして使用している陶芸家もいるようです。

    d) 薪窯の煙道近くは、焚き口より温度が低くなりますが、逆に還元が強く掛かる場所でも

      有ります。その為炭化焼き風の作品に仕上げる様に、信楽の赤土系や黒御影土の作品を

      置く場合もあります。

  ) 窖窯に向く作品の造り方

以下次回に続きます。

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