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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代陶芸176(大上昇3、大上裕)

2012-08-26 21:35:37 | 現代陶芸と工芸家達
3) 大上昇氏の陶芸
 
  ⑤ 白化粧(丹波白釉)を施す。
 
    赤土部釉と伴に、丹波焼きを代表する技法に、白化粧土を使った装飾があります。
 
    作品には、皿、鉢、茶碗、徳利、壷などがあり、「白丹波」と呼ばれています。
 
  ) 生掛けで、鉢や茶碗などに白化粧土を施す場合は、内側にドロドロした化粧土を掛け、一日
 
     置いてから外側に、柄杓掛けします。こうする事により、作品が壊れる事を防ぎます。
 
     掛け残しも景色の一部に成りますから、あえて補修しません。
 
     白化粧土を掛けた作品は、素焼き後、透明の土灰釉を掛けて本焼きします。
 
   ) 海老徳利。 江戸末期には、丹波焼の半数が徳利であったと言われています。
 
     多くの丹波杜氏が、灘の酒造に従事していた事が大きく関係している様です。
 
     形は、「巾着形徳利」をはじめ「蝋燭徳利」、「傘徳利」、「瓢箪徳利」、「ヘン徳利」(注ぎ口が
 
     細い)など種類も豊富で、装飾技法も、色絵、摺り込み紋、イッチン描き、流し釉、黒釉など
 
     多彩です。
 
    a) 海老(えび)の柄は、江戸時代より描き続けられた文様です。
 
      海老文様の胴体と目玉は、鉄絵の具を使い、足や触覚は白化粧で表現されています。
 
    b) イッチン描き(筒描)が特長の一つです。 生乾きの素地に、直接描きます。
 
      筆にたぷうり白化粧土を載せ、海老の胴体を徳利の胴に描きます。
 
      頭、胴(やや濃度を濃くする)、尾の順で描き、イッチン技法で、触覚と足を描きます。
 
      海老が飛び跳ねている様に、足を描いています。
 
      絵柄は大きく、徳利の天地いっぱいに描かれています。
 
    c) 素焼き後に、透明釉を塗るか、赤土部釉を掛けてから焼成します。
 
 4) 大上昇氏の作品。
 
   ① 赤土部釉壷: 丹波の「丹」は赤を意味し、赤土部釉の赤でもあります。
 
     肩から胴に掛けて薪の灰を被り、熔けて胡麻模様や、灰が流れ落ちています。
 
    ・ 全体に丸い形で、口縁がやや小振りで、器肌は凹凸も無く女性的雰囲気のある作品です。
 
      高 34 X 口径 13 X 胴径 33.5 cm。 高 28.5 X 口径 5.8 X 胴径 23 cm。
 
      高 23 X 口径 11.8 X 胴径 28 cm。などの作品があります。
 
   ② 赤土部釉海老徳利: 高さ 23 cm。
 
   ③ 白丹波花入(狐口細首花入): 高さ20.5  底径 10 cm。
 
   ④ 抹茶々碗: 
 
    赤土部茶碗: 高 6.8 X 口径 13 X 高台径 5.8 cm。
 
    丹波白茶碗: 鉄分の多い赤土に白化粧土を掛けたものです。
 
     高 8.5 X 口径 14.5 X 高台径 6 cm。
 
     高 9 X 口径 12.3 X 高台径 5.8 cm。等の作品が有ります。
       
 5) 大上 裕(おおがみ ゆたか): 1954(昭和29)年~ 大阪豊中に大上昇氏の子として生まれ
 
    ます。現在昇氏の跡をついで、「昇陽窯」を主宰しています。
 
      1978年 同志社大学経済学部を卒業します。
 
   1985年 父昇氏の指導の下で陶芸をはじめます。
 
   1988年 京都市立工業試験場窯業科を卒業します。兵庫県工芸美術展に初入選を果たします。
 
   以後、兵庫県展 、茶の湯造形展(田部美術館)、兵庫県工芸美術展などに出品し、数々の賞を
 
   受賞しています。一方、美苑(伊勢市)、まるこ(岡崎市)、大丸心斎橋店、大丸芦屋店、
 
   桝久(山形市)にて、昇・裕親子展(2002年)などの個展を開催しています。
 
以下(木村盛康氏)に続きます。  
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