わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の熔融(剤)について 1

2008-12-23 22:15:23 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
 釉が素地に融着するのは、熔けた釉が、素地の隙間に入り込み、化学結合物を作り、

 冷えて楔状に固着するからです。

 又熔け方も、ある温度に成ったら、各成分が一斉に熔けるのでは無く、熔け易い物質から

 順次ガラス化していきます。

 物質は、どんな物でも、高温に成れば、必ず熔けます。

 ・ その中で、特に熔融剤は、釉薬を熔かし易くする、材料です。


では各物質の熔けた場合を見ていきます。

 ① 珪酸(シリカ)は、熔融剤とは呼ばれませんが、釉の主成分の一つです。

  ・ 珪酸が多過ぎると、熔けなで、釉の中に残り、透光性が減り、マット状に成ります。

    その為、表面が「あばた」に成り、釉飛の原因に成ります。

  ・ 逆に、少な過ぎると、素地との結合が弱く、素地に吸収されたり、素地から

    流れ落ちたりします。更に釉が「煮える」状態で、気泡が発生し易いです。

 ② アルミナ(Al2O3)も釉の主成分です。

   この物質も、珪酸同様、熔融温度を、上げる作用が有ります。

  ・ 量の大小や、温度変化によっても、物理的な性質は、大きく変化しません。

    即ち、釉に硬さを与え、風化や化学的侵食を少なくします。

  ・ 釉に透明性を与え、失透や、結晶生成を防止する作用が有ります。

  ・ アルミナは、釉の粘度を増し、流動性を調節し、素地に安定的に融着します。

  ・ アルミナが多過ぎると、粘度は急激に増し、気泡が発生が発生します。(0.4 モルを超えない事)

  ・ アルミナの原料は、長石からも採れますが、カオリンから採ると、素地に良く付着します。


 これから熔融剤について述べます。

  ジェーゲル(ゼーゲル)式で、R O に相当する物質を熔融剤と呼びます。

  特にアルカリ (これから述べる物質)は、強力な熔融剤で、釉の流動性や、光沢を増し、

  色釉の発色を促進させる、重要な原料です。

  ・ 熔融剤は、2種類(出来れば3種類)の原料を使って下さい。その効果が著しく成ります。

 ③ カリ、ソーダについて

  ・ カリ(K2O)は、長石釉では一般的に、使われます。又ソーダ(Na2O)と置換され、

   より、熔け易く成りますが、光沢はやや落ちます。

  ・ カリやソーダを増すと、光沢は増しますが、風化に対する耐久性は劣ります。
  
  ・ 石灰をソーダと置換すると、R O のモル数が多い場合、貫入が増える傾向になります。

    ソーダは珪酸塩ガラスの中で、膨張(収縮)係数が最大ですので、貫入が発生します。

   ・ 尚、純粋なカり長石や、ソーダ長石は産出しません。お互い少しづつ混ざりあっています。

   ・ 次に、ソーダとカリの熔融剤による、金属の発色の違いを表にしました。
     
      熔融剤 ソーダとカリによる、金属の色変化
  
           ソーダ    カリ    還元        酸化

  コバルト     青     青     青藍(桃紅色)   青藍

   銅      空青  トルコブルー  赤、紫褐     緑、青緑、暗緑

  クローム   草緑    黄緑     青緑       帯黄緑、青緑

  マンガン   暗黄     紫     褐、黒褐     黄褐色、黒褐

  ニッケル    褐      褐     灰色         緑色

   鉄    帯褐黄色    褐     青緑、褐黒    黄赤褐、黒

  チタニウム   黄      黄     暗褐、茶褐    橙黄、 茶褐

以下次回に続きます。

 陶芸釉薬の熔融剤 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 釉薬の調合 (SK-8の釉薬を... | トップ | 釉の熔融(剤)について 2 »

コメントを投稿

釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤」カテゴリの最新記事