まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

はみだした女

2015-01-05 | 日本映画
 「紙の月」
 主婦で銀行員の梨花は、顧客の孫である光太という青年との不倫関係に溺れ、光太との享楽のために銀行の金を横領するようになるが…
 去年最後の劇場鑑賞映画。直木賞作家、角田光代の原作小説は、この映画に先立ってNHKでドラマ化もされました。
 女性銀行員が、男に貢ぐために大金を横領…という話は、あの伊藤素子事件が元ネタになってるのでしょうか。素子もそうでしたが、この映画のヒロイン梨花も、男に溺れて身の破滅なんて愚の骨頂!と嗤ってしまう反面、他人の金を湯水のように使いまくって愛欲豪遊三昧だなんて、羨ましいにもほどがある!なんて思わないでもなかったです梨花の所業は、ある意味女の夢というかファンタジー、冒険を実現したとも言えます。

 梨花は若い恋人を愛してたというより、閉塞感とか倦怠感でドンづまりだった日常をブチ壊したい、破滅も覚悟という衝動に突き動かされるまま、もうどうにでもなりやがれ!みたいなヤケッパチでタガが外れてしまったのではないでしょうか。男が自分を愛してないことぐらい、彼女は気づいてただろうし。常識と常軌を逸してしまったのに、理性も残ってるところがイタい、悲しいヒロインでした。ファンタジーを持続するために、あの手この手で必死こいて横領する梨花、その知力と体力をもっと他のことに使ってほしかったわ。男なんかのためにもったいない!と思いました。私なんか、ぜったい男のためになんか破滅しないと自負していますが、そんな自分のつまんない保守的な生き方、臆病な性格ゆえに、絶望的な不幸に見舞われないと同時に、死んでもいい!とさえ思える刹那の至福を味わうこともないんだろうな~と、それはそれで虚しくもなります。
 破滅する美しいヒロインは魅惑的ですが…しょせんは身勝手な泥棒女、詐欺女ですからねえ梨花は。ボケ老人からも騙し盗るなんて、最低最悪。破滅するのが彼女だけならいいけど、夫や上司、顧客など迷惑、被害をこうむる人が多すぎる。旦那なんか可哀想ですよ。まあ、あんまし同情できないキャラにしてたのがナイスでした。すごく善い人なんだけど、すごい無神経で鈍感な男。いるいる、あの旦那みたいな男まわりに。
 わざわざ有名女優を使って映画化するほどでもなく、ウィークエンダーの再現ドラマで十分な内容ではあるのですが。高い評価を得た宮沢りえの熱演は、一見の価値があるのではないでしょうか。

 りえちゃんといえば、三井のリハウスのCMや、とんねるずのコントなど、その美少女ぶりで人気者となり、ヘアヌード写真集で日本中を騒然とさせ、貴乃花との婚約・婚約破棄ですったもんだ、りえママの存在、病的な激ヤセなど、スキャンダラスなタレントというイメージでしたが。若い頃から波乱万丈、紆余曲折ありすぎなりえちゃん、30代になって主に舞台で活躍し、最近は女優として再び脚光を浴びるように。久々の映画主演が話題になったこの作品で、噂にたがわぬ力演を披露し映画賞も数々受賞。たまに見せる虚ろな、狂気の淵をのぞいてるような目つきとか、迫真の凄絶さが。あのスキャンダルが仕事だったりえちゃんが、立派な女優になったものですね。いろんな経験、いろんな男を芸の肥やしに成長した彼女、まさに女優そのものですね。演技は良かったのですが、あのちょっと甲高い声が苦手です。美人ですが、見とれるような美しさではなく、きれいな骸骨みたいな不気味さが。それと、この映画最大の売りともいえる宮沢りえの濡れ場。うう~ん。ぶっちゃけ、めっちゃ期待はずれでした!大したことなかったです。りえちゃん脱ぐ脱ぐ詐欺!
 私がこの映画を観に行ったのは、言うまでもなく池松壮亮目当てさ♪

 光太役の壮亮くん、またまた頑張ってくれてました!そう、ん・色っぽい♪シーンをです。この映画でもよく脱いでましたが、彼って肌だけでも何かエロいんですよね~。艶があるというか。梨花とラブホで初めてセックスするシーン、ねっとりと激しい腰の動きのみならず、半ケツ見えとるがな~エロいわ~。壮亮くん、若いくせに何でそんなにキスシーンやセックスシーンが上手なの。普段よほど…

 光太は、いかにも女が一目惚れしたりするような、わかりやすいイケメンじゃない。一見、フツーの善良そうな男の子。なのに、梨花とのやりとりを見てるうちに、彼の情熱的かつ繊細な魅力に惹きこまれ、それと同時にだんだん薄気味悪くなってくる、怖くなってくる。光太みたいなのを、魔性の男っていうんですよ!無邪気で優しくてけなげな言動に、癒され安らぐ。すごく寂しそうでみじめな風情は母性本能をくすぐり、守って支えてあげたくなる。若い美しい肉体は、いつでも何発でもOK!な活力と精力にあふれてて、淫らな欲情を目覚めさせる。貢がせるといっても、光太から何か積極的におねだりするのではなく、梨花のほうから差し出してくるように仕向けるパターン。誘ってきたのも、梨花のほうから。そう仕向けたのは光太。こ、怖い男!梨花、早く目を覚ませ!とイライラ!意識的な恋愛詐欺師じゃなくて、素直で屈託も悪気も全然ないところが怖いんですよね。そんな天使?悪魔?な、純愛なのか打算なのか謎な、梨花も観客も翻弄する男の子を演じてる壮亮くん。明るく純真な中に、どこか信用できない油断ならないズルさ、翳りも見え隠れする絶妙な演技。ラスト近く、いけしゃあしゃあと元カノとデートしてるシーンで、カメラ目線になる彼の表情!やっぱ魔性!と、ゾっと&ドキっとしました。イケメンなだけの自称俳優のタレントじゃ無理な役だな~と、あたらめて彼の天才ぶりに感嘆。
 梨花の犯罪を暴くお局銀行員役の小林聡美、梨花の同僚役の大島優子も好演。元AKBの大島優子は、元アイドルとは思えぬ若おばさん顔ですが、演技は同じ元AKBの前田あつこより数段マシだと思いました。
 いちばんのインパクト、好演は、ひょっとしたらりえさんでも壮亮くんでもなく、光太の祖父役の石橋蓮司かもしれません。石橋さん、相変わらずいい味だしてますね~。煮ても焼いても食えない因業爺っぷり、笑えました!

 ↑スペシャルドラマ「オリエント急行殺人事件」も楽しみ!共演のジャニタレなんか食ってしまえ!でも脚本が私の苦手な人なので、ちょっと不安…

 ↑去年は映画界で大活躍だった壮亮くん、賞もたくさん受賞今年も映画やドラマにいっぱい出てほしいけど…じっくりと選んだ作品で、納得のいく良い仕事ができたらいいですね壮亮くん

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2 コメント

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三井のリハウス~♪ (くうこ)
2015-01-09 15:13:40
こんにちはー
たびたびコメント失礼します☆

この映画も観に行きたいなーと思い始めたのが上映終わり間際・・。

私はドラマで完結してしまっているので公開当初、食指が動かなかったんですよ。
ドラマの原田知世さんもかなりピッタリでいけてましたよ。
ただ、お相手が満島真之介君だったのがちょーっとイメージと違うかなぁ・・な感じはしましたが。

そして、私も彼女はきっかけは「男」でもそれだけのために横領したのではないと思いました。

・・・これもやっぱり映画を観ておけばよかったかなぁ・・という気になってきましたわぁ。
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サンタフェ (松たけ子)
2015-01-11 11:09:34
くうこさん、おはようございます!
ギリギリセーフで観ることができました!
ドラマも評判よかったですよね。原田知世版も観たかったな~。満島姉弟は、ちょっと苦手かも。
そうそう。男は単にきっかけにすぎなくて、もともと彼女の中にあった破滅願望のせいだったんじゃないかな~。私もいい男に騙されて破滅してみたいものです♪

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