まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

蛇の道はイケメン

2021-10-01 | 欧米のドラマ
 Netflixでドラマ「ザ・サーペント」を観ました。全8話。
 70年代のタイ、バンコク。アランとモニクは宝石商を装って欧米のバックパッカーたちに近づき、薬を盛って殺害しては金品やパスポートを奪っていた。オランダ大使館の外交官クニッペンバーグは、無残な死体で発見されたオランダ人カップルのパスポートを何者かが使っていることを知り、独自の捜査に乗り出すが…

 実際に起こった事件を基にしたドラマだそうですが、にわかには信じがたいです。こんな凄惨で卑劣な犯行がなかなか発覚せず、犯人も捕まらないなんて。アジアでのバックパック旅行、やっぱ危険すぎます。事件のメインステージであるバンコクだけでなく、ネパールやパキスタン、インド、いま話題のアフガニスタンなど、東アジアを股にかけての詐欺&殺人は、インターナショナルで壮大なスケール。各国とも犯罪天国で、たやすく隠したりごまかしたりできる土壌が怖い。シャルル(アラン)の犯罪ってかなり大胆かつ杜撰なのに、誰も気づかない信じないとか怖すぎる。警察や大使館の適当な対応も、先進国では絶対ありえない。パスポート偽造や指紋とかで、すぐにシャルルの足はつくはずなのに、そうはならないアジアのユルさが戦慄ものでした。

 シャルルの犯行以上に、欧米バックパッカーたちの警戒心のなさに驚かされました。お気楽すぎ、スキがありすぎ。あんな惨い目に遭っていいわけはないけど、外国では用心深く!が鉄則な私からしたら、自殺行為に近いハメのはずしっぷりでした。彼らの自由な振る舞いには、どこかアジアを見下したところがあって、自分たちは何をしても大丈夫、許されるという傲慢さが透けて見えました。そんな驕った西洋人へ、シャルルは憎悪の鉄槌を下しているようにも思えました。

 それにしてもシャルルとモニクの犯行は、まさに鬼畜の所業。知能犯罪である詐欺+暴力犯罪である殺人は、「復讐するは我にあり」のモデルになった西口彰の犯罪とカブります。被害者になりすまして生活するところは、身代わり連続殺人の大西克己を彷彿とさせます。どっちの犯罪も、相当の才覚と胆力が必要。シャルルがその能力と魅力をまっとうな道で発揮してたら、きっと尊敬される人物として成功した人生を歩めたはず。悪って、やはり先天的なものもあるのでしょうか。蛇は蛇の道しか歩めないように。
 シャルル役は、大好きなフランス俳優タハール・ラヒム。希代の殺人鬼をセクシーに好演。彼ももう40歳になったけど、いい感じに熟しつつ、かつ青年っぽい若々しさも失っておらず、今回もカッコカワいかった理想的な40歳ですね~。

 男の色気も増して、ますますいい男になったタハール。浅黒い肌がエキゾティックで、英語から不意に変わるフランス語が耳に甘くて素敵。狂気に憑かれたような熱演ではなく、すごく淡々と日常のルーティーンみたいに詐欺も殺人もやってるところが出色。タハールって、どんな役でも社会の底辺臭がして、悲しげで薄幸そうなところが何だか愛おしいんですよね~。ニヒルで洗練された物腰と、ねっとりとした暗い目つきは、まさに美しく危険な蛇のようでした。上半身裸になるシーンが多いのですが、マッチョな肉体美ではないけどガッチリムッチリしたカラダは私好みです。モニク役のジェナ・コールマンは、小柄で小動物的な美人。タハールと彼女の70年代のファッションがおしゃれ!それにしても。愛と恐怖でシャルルに従ったみたいなモニクでしたが、ぜんぜん同情できませんでした。情状酌量の余地まったくなし。ほんとなら二人そろって死刑なのに、神も仏もない結末に唖然
 もう一人の主人公、外交官のクニッペンバーグ役は、これまた大好きなイギリス俳優ビリー・ハウル。

 ビリーって決してイケメンでも男前でもないはずなのに、そう見えてしまう不思議な俳優。この作品ではいつもよりちょっと恰幅がよくなっていて、それがいい感じに作用してカッコよくなってました。長身でスーツが似合います。知的なエリート役もハマります。オランダ人役なのに、やはりイギリス人っぽい。優しい温かい人柄ながら、事件捜査にのめり込んで仕事も夫婦関係も顧みなくなってしまう執着心が、正義感とか責任感を通り越して異常、そんな複雑な役を誠実に熱演してたビリーへの評価、私の中でまた上昇しました。タハールとはほとんどW主演なのですが、二人はいっさい顔を合わせません。直接対決シーンで演技の火花を散らしてほしかったので残念。

 危険なバックパック旅行だけでなく、東南アジアの底辺、闇に沈んでしまい、そこから脱け出せなくなる話もよく聞いたり読んだりしてたので、その怖さも描かれていたことも興味深かったです。気をつけないと、薬漬けにされてダルマ女にされてしまう!危険と同じぐらい、魅力もいっぱいあるアジア。タイにも行ってみたいな~。
 シャルルみたいな殺人鬼役、日本の俳優も挑戦してみればいいのにな~。魅力的な役だと思うけど。キムタクとか若い時にやっとけばよかったのに。今なら意外と似合いそうなのが櫻井翔かな。人当たりはいいけど上辺だけ、実は悪賢くて冷たいところがピッタリ。向井理もよさげ。

↑ 笑ったら超可愛いタハール。ジョディ・フォスターやベネディクト・カンバーバッチと共演し、ゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた新作「モーリタニアン 黒塗りの記録」近日日本公開!

 ↑ ビリーって雰囲気が何だかすごく美しいというか、別にカッコつけてなくてもオシャレな服を着てなくても、洗練されてる感じがします
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2 コメント

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ロンドン五輪にも出ていた (えびすこ)
2021-10-09 15:40:45
後任のジェームズ・ボンドは誰でしょうか?
ダニエルさんは歴代ボンドでは最長年数では?
そういえばダニエルさんがロンドン五輪の開幕式のスクリーンに、007で登場したのが今から10年近く前ですね。
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ロンドン行きたい (松たけ子)
2021-10-11 01:43:18
えびすこさん、こんばんは!
次のボンド、誰になるのか楽しみですね!
ロンドンオリンピックももう10年前のことなんですね~。ボンドと共演したエリザベス女王のノリのよさと開会式での居眠り姿が忘れ難いです。
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