まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

未来永劫の罪!

2020-11-23 | ドイツ、オーストリア映画
 「コリーニ事件」
 ドイツの高名な実業家マイヤー氏が殺害される事件が起きる。新米弁護士のカスパーが被告人のイタリア人コリーニの弁護を担当することになるが、コリーニは頑なに黙秘を続ける。事件の調査を開始したカスパーは、やがてナチスに関わるマイヤーとコリーニの過去を探り当てるが…
 第二次世界大戦が終わってから80年近くも経っているというのに、いまだに消えることも癒されることもない戦禍の傷跡や痛み。特にナチスドイツの罪は未来永劫の、人類史上最悪の汚点でしょうか。ナチスの非道さを描いた映画やドラマは枚挙にいとまなしですが、当時の悲劇に加えて長い年月を経ても晴れない遺恨、という現代の悲劇にも胸が塞がります。今回もですが、ナチスの悪魔の所業を見て思ったのは、戦争を知らない世代のドイツ人が、自分たちの国と国民がかつて犯したあやまちを突きつけてくる映画を、どんな気持ちで観ているのか…ということです。加害者側にせよ被害者側にせよ、ナチスに関わった祖父母や父母をもつドイツ人たちの心境はいかばかりか。

 この映画でも、裁判でマイヤーとコリーニの関係が暴かれた時の裁判官と傍聴者のショックや困惑など、何ともやりきれなさそうな様子が印象的でした。断罪したくても簡単にはできない複雑で重すぎる真実。ナチスに蹂躙されたフランス人やイタリア人のように、堂々と声高に憎悪や怒りを訴えられない、なるべく沈黙するしかないドイツ人もまた苦しいだろうな~。日本もドイツに負けず劣らず非道いことをしたようですが、それをガンガン突きつけてくるような映画は、これでもか!とばかりに量産されるナチスドイツのそれほどはお目にかかることはない。ハリウッドやヨーロッパ各地で絶えることなく作られる極悪ナチス映画。言い方は不適切かもしれませんが、格好のネタになってる感じです。

 事件を調査する主人公、やがて明るみになる社会の闇や悪…松本清張みたいな社会派ミステリー映画なのですが、わりとあっさりと新事実や衝撃的事実を見つけちゃうのが、ちょっと肩透かしでした。もっと真相が深く埋もれてたり、主人公に危機が、みたいな設定にしてほしかったです。怖かったのは、元ナチスが戦後も狡猾に生き残って、重要人物として戦後の政界や経済界でも権力を握っていたという事実。法律まで自分たちを守るために改悪してたんですね。魔物とは死滅せず形を変えて、弱い人間を不幸にし続けるものなのですね。

 主人公のカスパー役は、ドイツでは人気俳優らしいエリアス・ムバラク。いかにもトルコ人系な濃ゆい風貌。イケメンではないけど、真面目そう優しそうな好男子って感じ。ドイツには黒人よりも中東系、インド系のスターが多いみたいですね。コリーニ役は、かつてマカロニウェスタン映画で人気を博したフランコ・ネロ。イケジジ(イケてる爺)!今でも全然カッコいいです!シブい!哀愁!抱かれるなら嵐とかよりもネロ爺です。シワも年齢を重ねた男の魅力です。残酷な運命の辛酸をなめつくした重さ、悲しみにが静かに悲痛でした。おっさんなのにいつまでも若者ぶってて軽薄なキムタクとか、ネロ爺を見習ってほしいものです。
 私がこの映画を観たのは、もちろんヤニス・ニーヴナー目当てです(^^♪大きな銀幕で初めてヤニヴとランデヴー

 ヤニヴ、後半になってやっと出てきます。コリーニが少年の時に、イタリアのモンテカティーニで虐殺を指揮するナチス将校役のヤニヴ。白人のドイツ人俳優が避けて通れない仕事であるナチス役に、ヤニヴもついに挑みました。仕事とはいえ、演じてて気が滅入ることだろうな~。絵に描いたような冷酷非情な役。ほとんどサイコパスでしたが、軍服が似合っててとにかく見目麗しい!なかなか鬼気迫る演技、凄みがありました。悪魔のような役は、やはりブサイクよりも美男子のほうが怖くて魅力的。特にナチス軍人役は、ブサメン禁止なイケメンだけに許される役。悪魔なヤニスの登場時間が短かったのは、物足りなかったようなホっとしたような。それにしても。ヤニヴが年取ってあんなフィリップ・シーモア・ホフマンみたいな老人になるとか、ありえんわ~。例えて言うなら、山崎賢人が西田敏行になるに近い違和感でした。

 ヤニヴ同様に出番は少ないけど、おや♡誰?♡と目を惹くイケメンが。マイヤー氏の孫息子フィリップと、カスパーの友だちの一人が、薄くて涼しげで長身骨太という典型的なドイツイケメンで、チョイ役ながら目立ってました。
 裁判所がまるで貴族の館みたいな壮麗さで、さすがヨーロッパな歴史を感じさせる美しさ。日本とはかなり違う法廷内の様子も興味深かったです。

 ↑ ヤニヴ~バリバリの主演映画、早く日本でも公開されないかな~
 
 ↑ 左がフィリップ役のルドウィック・サイモン、右がカスパーの友人役のフレデリック・ゲッツ。ドイツも探せばザクザクと出てくるイケメン大国

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2 コメント

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イケメンがいっぱい♪ (すねこすり)
2020-11-24 21:47:01
たけ子さん、こんばんは☆
ヤニヴくん、チョイ出だったけどイケメンオーラ全開でしたね~。
「山崎賢人が西田敏行になる」……ウケた!(^^)!
最後のお二人、私、記憶にありません! さすがたけ子さん、高性能イケメンレーダー。
しかし、ホントにドイツ人の皆さまは、このナチもの群をどういう心境で見ているのでしょうね。
スターリンなんか、ヒトラー顔負けのことやってるけど、ロシアは中身はソ連のままみたいなもんだから、なかなか表には出て来ないんでしょうねぇ。
なんつったって、プーチンはKGB出身。気に入らんヤツは抹殺!!ですもんね。
でも、あのナチスの制服、不謹慎ながらすごくセンスの良いデザインだと思います。
背の高いイケメンが着たら似合うように出来ている。
「ナチス軍人役は、ブサメン禁止」ですね。ヒトラー仕込みの鉄則です。
コロナのせいで、ポーランド映画祭、断念してしょんぼり(..)です。
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Er sieht gut aus♡ (松たけ子)
2020-11-25 20:46:12
すねこすりさん、こんばんは!
イケメン悪魔なヤニヴに見とれちゃいました~♡
モブ役までイケメンだったので、主役のカスパーもイケメンにしてほしかったわ。トルコ系ではなくインド系にしてコステア・ウルマン、とか。
そーいえば、ナチスに比べるとロシアの非道映画ってそんなに観たことないです。プーチン自伝映画化の際は、マティアス・スーナールツに演じてほしいですね。プーチン氏ご本人はブラッド・ピットにしろ!とか言いそうですが。
そうそう、ナチスの制服はスタイリッシュでカッコいいんですよね。映画でもそれを着こなせる美男俳優しか演じてないような。ヒトラーの面食いぶり恐るべし。
ポーランド映画祭、残念無念ですね。イタリア映画祭、フランス映画祭はどうでしょうか?私はオンラインでイタ映画祭を楽しもうと計画してます。




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