まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

永遠の男の子

2014-10-26 | 中国・台湾・香港映画
 「藍宇 情熱の嵐」
 腐女子な映画ファンの間では、BL映画の最高傑作、神作品として語り継がれている名作。そして、冷血人間の私が、思い出しただけで涙腺が緩んでしまう映画。私にとっては、胸の奥深くに大切にしまっている宝石のような映画なのです。時折そっと取り出して、甘い感傷に浸ったり。思い入れが強い映画は、返って思うように語れないので、できるだけ簡潔にmy 愚見を述べてみます…
 民主化の進む中国・北京。バイセクシャルの実業家ハントンは、ランユーという貧しい学生を金で買いセックスをする。純真なランユーに惹かれ、彼を恋人にするハントンだったが…
 天安門事件の前後10年に渡って、静かに深く、そして熱く繰り広げられる、男二人のラブストーリー。とにかく、主人公ハントン&ランユーの個性と、それらを演じた男優たちが魅力的です。

 初セックスの相手である男ハントンを、一途に純真に愛するようになるランユー。彼が、いかにも男娼めいた美青年ではなく、見るからに田舎くさい、素朴で無垢な感じの男の子なのが、映画を気色の悪い腐な妄想話にしていません。同性愛者でも、デフォルメされたオカマっぽさは全然なく、でも年上の男の愛を掻き立てる純情さや優しさ傷つきやすさ、内気な笑顔、そして甘えん坊っぽい仕草、ウルウルした眼差し、捨て犬の悲哀にも似た表情に滲み出す、ごく自然な、図らざる媚のようなものが、ランユーをとても可愛い男の子にしています。『こんなに好きだなんて、変なのかな』…愛する男に抱かれながら、そうつぶやくランユーの、常に痛みの伴う幸福が、胸に切ない。

 ハントンもまた、魅力ある男。金持ちのクールな両刀使い享楽主義者だった彼が、ランユーへの愛に戸惑い悩み、そして腹をくくって愛を貫こうとするまでの葛藤が、きめ細やかに描かれています。愛に無邪気なランユーに苛立ち冷たくしても、隠せない殺せない激しい愛情が、悲しくも美しい。それにしてもハントン、女ともヤれるのはいいとして、男の趣味の守備範囲が広すぎて笑えた。ランユーみたいな純朴イモ系を囲ってるかと思えば、中山きんにくんみたいなマッチョ男子と浮気したり。

 一気に燃え上がる愛ではなく、打ち消そうとしても燻る、熾火のような愛。腐れ縁、と言ってしまえばそれまでですが、一緒にいたら決して安穏には生きられないと解っていても、こいつでないとダメなんだ!な、呪縛的な絆を共有できる相手と出会えることは、何て素敵なんだろう。ひょとしたら、ハントンとランユーの愛は、フツーの男女の恋愛では望むべくもない、やはり夢のようなお話なのでしょうか。ホモだとか、ゲイだとか、そんな特殊性が二人から感じられないのも、神様に選ばれた者しか到達できない、男女の範を超えた魂の愛の、この世とは相容れぬ儚さ・崇高さゆえでしょうか。


 ランユーを大胆(すぎる全裸!ぜんぶ丸見えじゃん!)に、繊細に演じたリィウ・イエ。純朴で薄幸そうな顔も、190cm近くありながら威圧感ゼロな長身も、可愛らしいまでに野暮ったい。デカいけど、その風情、その悲しそうで愛に飢えた表情は、まさに捨てられた子犬そのもの。これは演技?!と信じがたいほどの無邪気な無垢な笑顔。ランユー、いや、リィウ・イエ、まさに天使です。

 リアル&ナチュラルな演技で、観客を瞠目させることが得意なリィウたんですが、この作品でもそうなるシーンがたくさんあります。私が特に好きなシーンは、冒頭のエッチの後でハントンに体についた精液を拭いてもらってるシーン、ハントンがランユーにマフラーをかけてあげるシーン、ハントンに別れを告げられカっとなってズボンをおろし、ご主人様ご自由にどうぞ!と精一杯の皮肉を言うシーン。リィウたんが可愛すぎて切なすぎて萌え度MAXです。心臓に負担がかかるほど胸キュンキュンさせられます。
 それにしても。愛する男を縛らない、追っかけない、でも戻ってきたら何も言わず受け入れるランユーの優しさ、けなげさ、忍耐、自己犠牲は、女も見習わねばなりません。でももしランユーが女の子だったら?単なるバカ女じゃん!と冷笑するようでは、運命の愛には出会えないのです。

 香港映画でも活躍する中国のトップスター、フー・ジュンもハントンを好演。初めてこの映画を観た時は、ワタシ的には“精悍になった船越A一郎”だったフージュン、あらためて観たら若くてカッチョE!スーツがすごく似合ってるのも高得点。ナニハトモアレ、一糸まとわぬベッドシーンなど、フージュンとリィウたんの並々ならぬ役者魂には、惜しみなき賞賛を送らずにいられません。
 DVDの特典インタビューのリィウたんも、素朴で内気で純真そうで、瞳をキラキラさせながら喋ったり笑ったり、感動的なまでの可愛らしさです。ちなみにリィウたん、北野武監督の作品が好き好き大好き!らしいです。
 この映画、日本でもしリメイクされるとしたら…理想妄想リメイクは?
 ランユー 池松壮亮、キミに決めた☆(ポケモン調)
 ハントン ちょっと前までは、仲村トオルか堤真一、椎名桔平がいいかなと思ってたんですが、ハントンって結構若いんですよねえ。カッコいいけど、きっぺいもトオルも真一もおっさんですしねえ。小澤征悦は、男前ですが濃すぎるし演技力に不安が…大森南朋とか平山浩行はどうかな?
 じゃあ、韓国でリメイクされるとしたら?
 ランユー ユチョンがいいかも?「台風太陽」の頃のチョン・ジョンミョンがベストなんだけどね。
 ハントン イ・ビョンホンならチェゴヤ!イ・ジョンジェでも悪くないですね。見た目だけで決めるなら、フージュンにチョイ似のオム・テウンですが。

いつの間にか2児のパパになっていたリィウたん。あの可愛い藍宇に嫁と子どもが…

コメント (2)
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