まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

童貞秘書は見た!

2010-10-24 | イギリス、アイルランド映画
 「終着駅 トルストイ最後の旅」
 超久々の映画鑑賞♪
 1910年のロシア。憧れの文豪トルストイの秘書となった青年ワレンチンは、トルストイに財産を放棄させて民衆に与えようとする弟子チェルトコフと、それに猛反発するトルストイの妻ソフィヤとの対立を目の当たりにする。理想と妻への愛の間で苦しむトルストイは、ついに家出を決行してしまうが...
 秋の映画鑑賞に相応しい文芸作品かと思いきや、なかなか笑える喜劇でした。財産争い、新興宗教に似た思想運動と理想郷の胡散臭い怪しさ、金持ちの老人からカネを引き出そうとする人々の策動、などなど家庭内争議や社会的トラブルは現代の庶民にも通じる下世話さが、エゲツなくも楽しく描かれていました。
 トルストイとソフィヤの夫婦愛が、ベタベタしく辛気臭くなかったのが良かったです。そのラブラブイチャイチャぶり&ぷっつんバトルぶり、ほとんど困ったちゃんなバカップル。ジジババなのに烈しすぎると呆れつつも、いつまでも熱い感情が失せない二人は、ある意味理想の夫婦なのかもと羨ましくもなりました。

 ソフィヤのエキセントリックでチャーミングな鬼嫁ぶりが、この映画の白眉です。確かに性格も言動もキツくて、嵐のような狂気的ヒステリーにはトルストイじゃなくてもドン引きしますが、悪妻とは全然思えなかったです。財産は誰にも渡さん!といきり立つ姿は、ほんと般若そのものだけど、強欲というより健全に現実的なだけに思えました。私だって、老いた夫がわけのわからない連中に言いくるめられて財産を丸投げしそうになったら、必死になって闘うだろうし。ソフィヤはカネにではなく、夫の愛に対して強欲なのです。夫が自分よりも他人や社会を大事にすることが我慢できない、という凄まじい愛の独占欲に圧倒されました。あんなに人を愛せる、愛されるって、素敵だけど怖い...
 トルストイを挟んだ、ソフィヤとチェルトコフのバトルが愉快でした。言いたい放題の陰口や、直接対決罵り合いは、エゲツなさすぎて滑稽。特に、チェルトコフを卑劣なホモ呼ばわりするソフィヤには笑えました。 
 トルストイ爺さんのキャラも興味深かったです。夫としては大らかで優しいけど、作家・思想家としては非情。凡人の私などには、到底理解できない彼の胸のうちですが、カリスマ性のある偉人は、みんなそうですよね。わかりやすい、フツーの幸福を追求・享受してる作家の作品なんて、つまんないものばかりだと思うし...
 この映画、キャストが素晴らしかったです。
 ソフィヤ役でオスカーにノミネートされたヘレン・ミレンの、クールかつダイナミックな演技に惚れ惚れ。ヤな女も彼女が演じれば、すごくカッコよく見えるんですよね。おんな丸出しなのにネチネチ陰湿じゃなく、ドライで活き活きしてるところが、ミレンおばさまの魅力でしょうか。イヤミや皮肉も彼女の口から出ると、もっと聞きたいウィットになります。狂気錯乱ぶりも、見てるほうが疲れる憑かれたような熱演!ではなく、何だか笑いを狙ってやってる節があったところにも好感。池に入水して、引き上げられた時のゾンビな姿も、怖すぎて笑えた。
 ワレンチン役は、my 英国王子ジェームス・マカヴォイ

 マカぼん、か、可愛い今まで見た彼の中では、1・2を争う可愛さでした。ちょっとポッチャリして小熊みたいな見た目もだけど、ワレンチンのキャラがキュートすぎる。純粋で真面目で、しかも童貞(笑)。ソフィヤたちの諍いにオロオロする姿とか、淫乱な元女教師に夜這いされ犯され?る姿の可愛らしさときたら!童貞喪失シーンのマカぼんは、とにかくファン必見!微笑ましい早漏演技に萌え~童顔同様、マカぼんの優しく澄んだ声も、少年っぽくて好きです。
 家出文豪トルストイ役は、「サウンド・オブ・ミュージック」のトラップ大佐ことクリストファー・プラマー。素敵じいさま俳優として、お元気にもっと活躍してほしいものです。チェルトコフ役のポール・ジアマッティも、立派に見えて何か胡散臭いという役を好演。ワレンチンくんを誘惑する女が、ジュリエット・ビノシュ似の年増でちょっと...
  
 年上嫁との間に、待望の第一子が誕生したマカぼん。おめでと

 
コメント (6)
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