まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

日米の事業譲渡契約の違い

2014-08-10 22:19:29 | M&A

 

  • M&A契約の一形態として事業譲渡がありますね。最近の日本では会社分割の制度ができたこともあり、事業譲渡契約が減少しているのかもしれません。米国では、リストラが盛んですので、不採算部門の売却ということで事業譲渡(Business Transfer,買主から見ればAsset PurchaseといってもAssetのみではなく、その事業に従事している従業員とともに譲渡)契約は、それなりにあるようです。ということで、今回は日米の事業譲渡契約の違いを述べてみましょう。手続きとしては、独禁法の届け出は日米ともに行います。

 

  • 主な違い

  1. 契約書の量:日本の契約書のボリュームは、せいぜい10ページぐらいでしょうか?

    別にこの事業譲渡契約に限りませんが、米国のAsset Purchase契約書のボリュームは、

    詳細なDisclosure Scheduleなどが付きますので、本文50-70ページ&付属書類が数十ページ付きます。全部で120-140ページぐらいでしょうか。米国の弁護士さんは、以前のAsset Purchaseの契約書のcopy & paste60-70%作っているのに、よくもうかりますね。

     

  2. 譲渡対象資産・負債:日本では、譲渡対象資産・負債を契約書に記載します。その詳細を別紙につけることはしませんね。ところが、米国のAsset Purchase契約では、譲渡対象事業は当然明記しますが、同時に譲渡対象から除外される、Excluded Asset & Liabilitiesを記載します。

     

  3. 表明・保証:最近の日本の事業譲渡契約も米国の影響を受けているから、譲渡資産等について表明・保証を入れるようになったでしょうか?昔、私は結構日本でも事業譲渡を行いましたが、その当時の契約書には表明・保証条項は、あまりありませんでした。あっても総論的な包括的な条項を7-8個ぐらい書いておけば、関係者は納得していました。米港ではそうは行きません。詳細に規定します。数ページから10ページぐらいでしょうか。まあ、その表明保証には、会社がきちんと成立していて、またサイン権限者は権限ありとか、どうでもよい規定もいくつも入りますね。事業と譲渡する売主の表明保証が買主には重要ですが、買主も表明保証をします。この買主の表明保証で一番重要なのは、きちんと払う金は持っていますよというものです。米国などはファンドが買収する例も多いですから、買収を決めてから、出資者にcapital callなどしてお金を集める場合もありますからね。

 

 

  4. Straddle Period:この規定は日本の事業譲渡契約では見たことがない規定ですが、米国のAsset Purchase契約では、結構普通に見る条項ですね。Straddle即ち、両足を広げるという意味ですね。事業譲渡の実行日までの税金は譲渡者が、その後の税金は譲受者が負担する条項です。結構厳密に決ますね。M&Aの買収価額自体、エイヤーとラフに決めておいて、その他は厳密に決める、これが特徴ですね。即ち、買収価格は、上位2ケタ、即ち32億ドルとか71百万ドルとか決めるのですが、契約では細かいことをぐじゃぐじゃ決まますね。 


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