まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

M&A―投資銀行の機能

2007-03-30 01:32:05 | M&A

○ M&Aのときに、投資銀行等のアドバイザーを起用することが一般化しています。しかし、起用する場合は、ハッキリそのファンクションを認識すると共に事前・契約前に機能と対価をきちんと確認する必要があります。投資銀行は、まず最初に契約書を提示してきます。そこに記載された役務の内容も抽象的です。個別・具体的には記載されていません。出来るだけ具体的かつその内容をブレークダウンした金額提示を受けましょう。(実は、最初の段階で役務の量がわからないし、実際対価のブレークダウンなどする外資系投資銀行はありませんが、交渉は強気で行きましょう。)機能毎のブレークダウンが難しければステップ毎にブレークダウンしてもらいましょう。場合によっては、殆ど機能が無いのに、報酬だけ一人前に取られるケースもあります。注意したいものです。

     ファンクションのある場合

(1)   売り手側アドバイザーで買い手が見つかっていない場合

・ 売却対象企業の情報・資料を整理して、①案件概要と売却対象会社の資料一式=Information Packageを作成して、②買い手を探さないと行けません。買い手を探して、一社ずつ交渉を行うのか、それとも複数の買い手を一遍に集めて一次入札を行い、ふるいにかけて2社ぐらいを選定して、最終落札者を選ぶのかという2つのやり方があります。売り手の意向次第です。買い手が決まれば、その後③プロセスコントロールで案件推進の役割を担います。売却の契約書作成等は、弁護士が作成するのが普通ですので、この点の機能はありません。

(2) 買い手アドバイザーで売り手を見つける場合

・ きちんとした企業、例えば王子製紙なら、対象企業は北越製紙と決めて、TOBの準備を行います。それが正当な方法です。自分でしっかり戦略を決めて、それに一番相乗効果のある会社を狙います。TOB等をする場合は当然証券会社さんのお世話になる必要があります。

     しかし、どの分野のどういった企業が欲しいか、戦略は決まったが、業界がまだ成熟せず分散していて中堅会社が多い場合、対象が海外の企業の場合等には、やはり売却企業を探さないといけません。また、買収対象企業は大体決まっているが、先方が交渉に応じてくれる可能性があるのか、ある場合にどの様なアウトラインなら応じてくれるのか、その場合の金額はどの程度なのか等の探りを入れるときは、やはりなかなか直接行えるものではありません。そういった場合には、投資銀行などを起用することになります。

     ただ、売却企業は一般的に業績が良くないですし、問題が表面的に分からなくても背後に種々の問題を抱えている企業が多いですから注意しましょう。売り手企業候補が見つかったら、相乗効果・相互補完が発揮できそうかよく自分で検討しましょう。投資銀行のアドバイスはあくまで参考までですね、案件が終わって報酬を受け取ったら、何の責任も負わないで去っていく人のアドバイスですから注意しましょう。

     ファンクションがあまりない場合:(=起用の必要の無い場合)

     上記以外は、投資銀行のファンクションはあまりありません。せいぜいプロセスコントロールと買収価額算出ですが、買収価額算出等は、監査法人のコンサルティング会社でも十分できます。

     投資銀行を買い手アドバイザーとして起用すると、Due Diligenceのチェックリストなどをくれますが、一般的なもので、当該案件のポイントが整理されていません。チェックリストは、メーカの場合、商社の場合、ソフトウェア会社の場合、研究開発型企業の場合、即ち業界によって、また対象企業によって重点調査項目が違います。そういった事を投資銀行の人がよく知っている訳でもありません。

     契約書作成については弁護士事務所を起用することで足ります。買収契約も昔は稚拙なものが多かったですが、最近は米国のM&A契約書の影響を受けて、かなり緻密なものが一般化してきました。大手の弁護士事務所なら雛形が揃っていますので、それをベースに少し変更すれば簡単に作成出来ます。弁護士事務所などは、同じ様な雛形をベースに、何件も同じものが使用できます。即ち、何回もお金を取れるということです。

     買収対象企業が決まっており、その後投資銀行を起用する場合があります。売却企業側には既にアドバイザーがいる場合などのケースですね。売り手アドバイザー・買い手アドバイザーと分かれないと利害の衝突がありますからね。この場合の買い手アドバイザーの機能は殆どありません。買い手企業にとっては、自分の買い物ですから、自分が主体的にきちんとやらないといけません。投資銀行をそんなに頼りにしてはいけません。

○ 対象企業について言えば、最近は、優勝劣敗がハッキリしてきて、リストラとか、選択と集中で、売却しそうな部門をもっている大企業もありますし、一方業績の良い買い手企業もありますから、今後もいろんなM%Aがどんどん出てくるように思います。新聞報道も毎日いろいろされていますね。投資銀行も、まあそれなりの機能を発揮してくれる事とは思いますが。

・ M&Aがうまく行って買収が完了すると、投資銀行等のアドバイザリー業務は終了です。買収企業にとっては重要な経営の始まりです。統計的な数字は知りませんが、買収後、企業価値を上げる例は、そんなに多くないとも言われています。M&Aが本当に成功だったか否かの結果は、経営を数年してから出てきます。ダイムラー・クライスラーは今苦況にたっています。投資銀行からの安易な案件紹介などに乗ってはいけません。自分の買い物は自分で考え・行動することが基本です。

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成功するベンチャー企業の条件

2007-03-28 00:08:17 | 企業一般

ベンチャー企業成功の秘訣はどういったものでしょう。経験も踏まえて思いつくことを述べてみたいと思います。

1)コアの存在:これが無ければ成功しませんね。技術の会社なら最先端技術と考えがちですが、そうではありません。顧客が興味を示す、顧客に役に立つ技術です。また、例えばハイテクでなくても、パン屋さんなら、品質がよい国産有機小麦で天然酵母を使って、ともかく品質が良いのが良いですね。チョコレート屋さんやケーキ屋さんでも値段が結構高いですが、人気が高い店があります。お客さんの望んでいるものを作るコアが無ければ、話にならないですね。

2)優秀な人材:ビジネスに困難は付き物です。当初描いた事業計画がうまく行かないといいますか、大抵の場合は外れます。その時どういった対応をするかは、経営者だけではなく優秀な人がお互い知恵を出して戦略を立案し、かつ実行していかなければなりません。やはり人ですね。

3)得意分野を持つ人を組み合わせる:技術開発が好きな人は、たとえその技術が自分で開発したものでも、経営者を雇う。人に任せる。マーケティングが好きな人にマーケティングを任せる。いろんな才能の人を組み合わせて力を最大化する事が大事ですね。

4)何を目指すかハッキリさせる:軸足がぶれてはいけません。目標、即ちどういった切り口で社会に貢献するか、会社の目標・戦略・事業目的をしっかり計画を立て、これの達成を目指す事が良いと思います。目標等はそう簡単には変えてはいけませんが、戦略などはうまく行かないと分かったときは、変更する柔軟性も必要と思います。

5)お金の余裕:これは非常に重要です。お金は見る見るうちに少なくなります。事業を立ち上げるときは、事業にもよりますが、出来れば1-2年、殆ど収入が無くとも会社が回るようなお金があれば理想的です。経営者が金策に走っていては、事業が左前になるばかりです。事業開始の時は、大丈夫だろうと思うお金の2-3倍ぐらい持って始めないといけません。立ち上げの企業にお金を貸してくれる金融機関などありません。即ち当座取引等出来ません。会社が2-3年たって、きちんと事業をやっていたら、金融機関などから始めて融資関連の書類を送ってきます。金融機関は、お金が回っている、収益があり利益を出している会社にしかお金を貸しません。立ち上げベンチャーにお金を貸してくれる人は基本的にはいません。

6)ネットワークの存在:ベンチャー企業は、自分の事業と相乗効果のある事業を行っている企業と出来るだけ連携を計りましょう。連携企業と助け合い、即ちビジネスの紹介や相互補完が出来れば、自分の事業も成長します。大企業では、他の部門と連携を取ることがあります。ベンチャー企業は他の部門がありませんから、仲の良い連携企業ネットワークを築くわけです。展示会など一緒にも出来ます。コストも人繰りも融通出来ます。お互い助け合う企業があれば良いですね。

7)運の良いこと:運は無いより有った方が当然良いです。運も実力の内とも言います。実際、企業が大きく成長するときには、何かしら運の良いことが起こります。不思議なものです。ビジネスがうまく行かず、なんとかしたいともがいているときなど、知り合いがビジネスを持ち込んでくれるときがあります。不思議ですが、何かラッキーな事が実際起こります。それで救われます。これは、真面目に・誠実に・相手の身になってこつこつ仕事を行っていれば、運が巡って来ると言うことかも知れません。

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監査役制度について

2007-03-26 00:35:16 | 商事法務

○ 取締役会設置会社の前提ですが、会社法381条では、監査役は、取締役の職務の執行を監査する。また、監査役は、監査報告を作成しなければならない。とされています。一方、362条第2項には、取締役会は、取締役の職務の執行の監督と規定されています。即ち、日本では、二元的監査制度になっており、その違いは下記と言われていますね。

 監査(事前・事後の検査を含む)≧監督(事前の検査)

     監査役監査=会計監査を含む業務の違法性監査+著しく不当な場合の妥当性監査

     取締役会=違法性・妥当性の監督

       日本の得意な米国の猿まねをして、日本でも日本版SOX法だとか内部統制がやかましいですね。米国は、取締役会による監査だけであり、監査役・監査役会の制度・機関がありません。取締役会・取締役と監査役・監査役会の問題点・あり方・位置づけと内部統制・その分担等について、どれだけ検討したのですか?そういった議論がきちんとされた様には見受けられません。

     監査役の機能強化の為に、従来いろいろ試行錯誤的な事をされて、監査役会設置会社の監査役は過半数が社外監査役でなければならない規定や任期の延長等がされましたが、昨今の内部統制の会社法の規定や議論・動きを見ていると、いつの間にか、監査役はあまり重視されていない感じがしますね。まあ一応会社法施行規則100条3/4項には、監査役の機能強化の規定はありますけどね。

       取締役・監査役・会計監査人等がその任務を怠ったときは、会社に対して連帯して損害賠償の責任を負う(423)とされています。また429条では悪意又は重大な過失があったときは、第三者に生じた損害を賠償する責任を負うとして、注意を怠らなかったことを証明したときを除き、監査役等が、監査報告に記載し又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録をしたとき、会計監査人について、会計監査報告に記載し又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録したときの責任を規定しています。

・ 会社に損害が発生しても、自主的に損害賠償する人などいないですよね。株主からの代表訴訟でないとね。しかし、これも時間がかかるし、普通の個人株主が、自分に損害賠償してくれるわけでもないのに手間ですよね。カネボウ・ライブドア等の場合は、「有価証券の虚偽記載」ということで、証券取引法違反で争われています。取締役については、株主代表訴訟も出てきていますが、監査役を訴えたケースはあまりないのでは無いのではないでしょうか。カネボウ・ライブドア事件でも報道に監査役が出てきません。監査報告書も出している筈なのにですね。何をしているのでしょうか?これらの点からも監査役は影が薄いというか、相手にされていないと言うことでしょうか?

      

監査役制度機能不全の理由等

1.       仲間に対する監査:監査役は、日本では、退任した取締役や取締役になれなかった従業員に割当られるのが普通です。周り、即ち社長や他役員は、かつての上司や部下ですので、監査し難いし、厳しい意見をいいずらい事情があります。

2.       指名権を社長等に握られている:役員の指名は、会長・社長等が掌握している、当然社長などは自分に、「心地いい人」を指名します。会社から報酬も出ます(形式的には、総額を総会で承認を取りますが)

3.      監査組織・スタッフを持たない場合が多い:大企業では、監査役には、そのスタッフ   がいないときちんとした業務が出来ません。何十人というきちんとした組織がないと、監査業務など出来ません。その部門で、どの取引で、どのような巧妙なやり方で、あるいは取引先を巻き込んで違法行為を行います。それをチェックするには専門組織が必要です。内部統制ではこの組織を、会社法施行規則の規定にも拘わらず、一般的にはどうも監査役(会)の傘下ではなく、取締役のコントロール下で組成しようとしています。

4.       違法行為は裏で行われる:粉飾は、巧妙にかつ表に出ないように行われる。2-3人の幹部(カネボウでは社長と副社長)とその部下によって行われるのが一般的。粉飾を行おうとする事を、取締役会等で「粉飾やりまーす」等と馬鹿なこと言う筈ないですよね。社内開示すること等ありえないですよ。監査役が取締役会に出席して、話を聞いているだけで違法性監査(違法行為の発見)などできる筈がありません。

5.       違法であっても書類上は適法であると仮装する:例えば、取引先と組んで期末に利益操作をすることがあります。裏で買い戻しの約束をしても、社内にだす書類は、売買契約書とそれに基づく履行・請求・決済です。裏の覚書に基づいて翌期買い戻し書類をあたかも、そのとき理由が生じて新たに発生したふりをして作ればいいわけですね。

○ 社外監査役は機能するか?

     違法行為の阻止、不祥事等への対応とか、M&Aの買収防衛策発動のときには社外監査役(社外取締役にも当てはまる)が、しっかり意見を言って差し止めてくれるとか、客観的判断を適正に行えて良い等と言われています。社外監査役は非常勤も多いですし、当該会社の業務も精通していません。違法行為は、現場で起こります。現場の経験・知識を知らない人が、現場で行われる操作など見抜ける筈がありません。

M&Aの買収防衛策でも、報酬を受けている、自分を指名してくれた人に対して、防衛策発動中止、あんたも保身などせず止めた方が良いんじゃないのとは、仲違いな祖しない限り意言えないですよね、普通は。

     社外監査役には、上記の1)以外全て当てはまります。社外監査役に期待するのは誤りですね。

結論としては、まあ一番効果があるのは内部告発でしょうね。社外監査役を社内告発の窓口にすれば、ほんの少し良くなるかもしれませんね。まあ、最近公益通報者保護法も出来ましたからね。

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日本の法人実効税率は高いか?

2007-03-23 00:13:15 | 社会・経済

     経団連の御手洗会長の講演↓=「希望の国、日本」の実現に向けて(2007.2.19 於:経団連会館)にて、「イノベーションの推進とならんでもう一つ、日本経済の成長戦略の重要な柱となるのが、法人税の実効税率の引き下げであります。」と言われています。続けて「日本の法人実効税率は現在約40%と、欧州の先進国に比べましても、10%程度高いという状況にあります。――法人実効税率を、現在の40%から30%程度へ引き下げていくことを、掲げているのであります。」と言われています。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/speech/20070219.html

     経団連の会長さんが、嘘とまでは言いませんが、不適切・不正確な事を言っているなあと思いますね。欧州と比べて10%程度高いと言われていますが、本当にそうでしょうか?欧米とは言っていません。これは正解ですね。

     米国では、ニューヨーク州では46%弱、カリフォルニア州では41%弱ですからね。

     では欧州では、確かにイギリスは30%(20084月から28%に税率引き下げすると発表されましたが、環境関連の自動車税は増税するようですね。)ですが、ドイツは39.9%です。フランスは33.3%イタリアは37.25%です(=欧州は30%というのは、やはり嘘と言ってもいいでしょうね)

     日本は、東京は40.7%、標準税率だと39.54%ですね。

(日本は、事業税・法人住民税込み、海外も営業税とか生産活動税など込みの実効税率です)

     イギリスは、法人税率は確かに30%です。しかし、付加価値税率はどれだけでしょうか。17.5%です。EUは、欧州理事会指令で付加価値税は15%から25%ですよね。

     経団連が、40%から30%に下げろと言うことは、当然税収減を他の税源で賄わないといけません。税収を増やす税目は消費税しかないですね。即ち消費税を大幅に上げろ(又は上げざるを得ない)と言うことが背後に有るわけですね。経団連の主張は全く身勝手ですね。企業は栄えても、教育ローン・住宅ローン・日常生活で苦しめられている一般消費者、即ちかなりが会社員ですが、個人レベルでは、消費税をどんどん払えということでしょうか?こんなのイヤですよね!!

・ 経団連の会長さんが言っている事は、我々が身勝手に「所得税を減税しろ、生活改善するために」(税収減なら法人税上げろ)と言うことと同レベルの話です。

・ 確かに、法人課税の実効税率が低くなれば、利益留保は多くなります。銀行・その他社外からの借入・社債等を減らして、投資などに回すお金は増えるかもしれません。企業競争力も少しは増えるかもしれません。しかし、庶民は所得税・住民税等の他に、消費税の大重圧がかかるわけですね。

     同講演で会長はこんな事も言っています。「企業は、研究開発から生産、販売、流通に至るまで、国境をまたいで、常に立地を最適化していくことが求められております。そうした中で、企業の公的負担、とりわけ、法人実効税率の水準が、企業が投資を判断する際の、重要な指標となってまいります。」即ち、大企業は、税務戦略も一つの要素として、例えば中国で外資優遇税制を利用して、税金の安い地域で工場等を保有している訳です。大企業は、既に、低い実効税率を享受しているのです。

     例えばトヨタの今期業績予想は、連結税前利益2兆3000億円、税後1兆5500億円です。

こんな数字を見ると、税前1兆円以上は、その部分に付き追加10%税率アップ、2兆円以上は追加20%アップ等の累進税率にした方が良いのではと思います。トヨタは、自動車という環境を損なうものを作っていますし、エンジン等の主要部品を除けば他から部品を調達して組み立てている組立屋さんなのに、良くこれだけ儲かるな?下請けだいぶいじめているんじゃないのと思いたくなりますね(勿論トヨタの大変な努力によって達成している事は分かります。またデンソーみたいな立派なところはそれなりに儲けていますが。しかし、取引先・下請けいじめの話は良く聞きますね)。やはり儲けすぎはいけないよと言いたい。トヨタだけじゃなく、がっぽり儲けている企業には、追加課税しても良いんじゃないでしょうか。最近は企業は業績を改善していますが、個人の懐は改善していませんという人も多いのでは無いでしょうか?

     まあ、それはともあれ、私は、日本の法人課税の実効税率は、まあいい線行っている、決して高くないなと考えています。

【財務省のWEB

・法人所得課税の実効税率の国際比較

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/084.htm

・付加価値税率の国際比較

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/102.htm

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会社合併―最大の問題点

2007-03-21 16:32:35 | M&A
会社が合併する場合には、いろんな問題が発生しますが、やはり人の統一、これが最大の難問ですね。しかも時間がかかります。

○ まず役員人事ですね。会長・社長は、結構すんなり決まる場合もあると思いますが、両社(特に消滅会社)の役員は全員合併(存続)会社の役員というのも如何か?せっかく役員になったのに、止めるか、また降格か?割を食う人が出てきます。

・ 消滅会社の部課長以上の人は人生に影響しますね。特に役員一歩手前の人等、残念ながら社員としてご退職のケースが多いのではないでしょうか。

○ カルチャーとか、インフォーマルネットワーク、伺いの書き方、社内用語、行動パターンが違います。水と油をどのように統合してみんなのベクトルを揃えるか、消滅会社の役職員のモーティベーションをどの様にアップするのか、マネジメントの力量が問われます

・ たすきがけ人事を合併後何年もやっていた会社もありますが、もうそういった時代でもないですね。しかし、相変わらず融合は簡単ではありません。明治安田生命の不祥事で、旧安田側は「不払いはもともと旧明治の問題」、旧明治側は「金融庁との関係がこじれたのは折衝を担当した旧安田の責任」として非難合戦は泥仕合となりました。結局主要役員陣は総退陣・入れ替えとなりました。しかし、いろいろしこりが残っているかもしれません。しこりはなかなか消えませんね。中央三井信託銀行の場合は、いつの間にか旧三井信託銀行の人が主導権を握ったみたいですけどね。

○ 人事制度―就業規則、給与体系等も統一しないといけません。昔は給与など高い方に合わせていた例が多かったですが、最近はどうでしょうか。経過期間を設けて、人事が巧妙に、一部の人は少し高めに、大部分の人は引き下げている例もありそうですね。その他社会保険(健保・厚生年金)・労働保険(雇用保険・労災保険)の変更手続きも必要ですね。健保の統一は少し手間がかかるかもしれません。

実務上の一番の問題は、厚生年金基金等の退職給付債務の統一だと思いますね。
・ 厚生年金の場合は代行給付している会社と代行返上した会社とが合併する場合など問題になると思いますね。

・ 年金基金の場合は大変複雑な問題になると思います。例えば、退職後10年企業年金を支給している会社と、15年支給、又は第1年金で10年・第二年金で20年の支給、あるいは一生支給している会社(厚生年金基金は終身支給ですね)が合併する場合はどのようにするのでしょうか?基金は、厚生年金の延長の+αの給付を行う場合と、全く違った設計思想・体系をもった企業年金等がありますね。

・ 確定給付年金の予定利率が異なっている場合はどのようにするのでしょうか。

・ 確定給付年金と確定拠出年金制度の会社が合併しようとしたときはどのようにすればいいのでしょうか?

・ また、過去勤務債務の償却が終了していない会社、あるいは積み立て不足のある会社などがあります。最近は株価が上昇しているので積み立て不足もかなり解消してきているかもしれませんが、結構大きな金額になる場合もありますね。

・ その他適格退職年金契約を生命保険会社等と契約している会社と厚生年金基金の制度のある会社との合併の場合にはどのようになるのでしょう。

・ この辺はどのように統一するのでしょうか。一般的には消滅会社の社員の退職給付の算定基準は引き継ぎますが、具体的な引継作業は複雑で人事の人の作業は膨大になる場合も多いと思います。

○ 事業譲受(この場合退職金算定基準を承継しない場合もありますが、その場合は組合・従業員の説得が大変なときも)や吸収分割でも同じ事ですね。重要な事項の割にはあまり契約書に記載されていない様ですね。消滅会社の従業員の退職給付債務をどのような形にして引き継ぐかにより、存続会社の退職給付債務の額に大きなインパクトを与えるケースもあるでしょう。

○ 人事の方や年金コンサルタント・アクチュアリーの人がおられれば、具体例はキーポイントなどいろいろ教えて欲しいと思いますね。

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金持ちになる方法

2007-03-19 00:08:16 | 社会・経済

皆さんもいつもお考えのことに、どうすればお金持ちになれるのかがあると思います。私も、ときどき考えますが、結論としては、まあ真面目に働く、ローリスク・ローリターン人生しか、今となっては仕方がないなと思います。

金持ちになる方法には、4つぐらいあると思います。他に良い方法があれば、教えて下さい。

1)ともかく働く:会社に勤めるなりして一生懸命に働く。これでは決められた給料しかないですから、他にアルバイトして小遣いを稼ぐというのもあるかもしれませんが、これはそう簡単には行きませんね。昔、東南アジアのある国に行ったとき、昼はコンピュータのソフトウェアの仕事をして、夜はナイトバザールで屋台のラーメン屋さんをしておられ人がいました。職業に貴賤は無いですね。偉いと思いました。私も「たこ焼き」ぐらいなら焼けるのですが、土日まで働く体力も気力もありません。そこまでしなくても、まあ普通の暮らしで仕方がないなあと思っています。

2)事業を興す:事業を始める能力と精神力のある人はチャレンジですね。事業家は偉いと思います。私は、事業を興す能力がないから、企業で会社員をしているのです。まあ、少しぐらいは新規事業の立ち上げの経験はありますが。私は、事業家を尊敬します。でも、うまく行く人は少ないです。ハイリスク・ハイリターンの世界です。

3)株式・商品・競馬等で財産を築く株式などで儲けるこつは何でしょうか?簡単です、儲かったら止める事です。儲かったら、次回もうまく行くと思って続けていると、どかーんと損をします。私は、株で儲けた事が無いです。あるそれなりに名前の知れた株式評論家の人が言いました。「私の書いた本を読んで、資産運用の相談をしに来る人がいる。お金を預けるから運用してと。何をアホな事いってくるんだ。儲ける才能があったら、とっくに女房を質に入れて株やってるよ。1ページ10円の原稿、一生懸命書いてるのは、才能無いからだよ。ほんと、世の中、分からない奴が多いなあ」とおっしゃっていました。

4)金持ちの配偶者をもらう(自分ではなく家単位で考える):裏の手がありました。それは資産家の息子や・お嫁さんを貰うことです。日本では世代が下がるときは相続税が利いてきますから、3代目には財産が無くなりますが、2代目ぐらいまではまだ、元が多ければだいぶ残ります。これを狙う手はあります。でも私には家内がいますので、資格無しです。

皆さんは、どれを目指しますか?

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合併・株式交換比率の算定

2007-03-17 16:28:18 | M&A
○ 合併比率は不当・不公正でも、特別決議で承認されればOK。反対株主には買取請求権が付与されているからというのが判例の様ですね。(最判H5.10.5資料版商事法務116号196ページ)。しかしながら時代も変わりましたし、先の大阪製鐵と東京鋼鐵との株式交換契約について、東京鋼鐵の臨時株主総会で、いちごアセットがリードした委任状合戦で個人株主のかなりが反対にまわり、不公正な交換比率に反対を表明した株主の反乱で特別決議が通りませんでした。これからは、やはり(だいたい)公正・妥当な合併比率や株式交換比率が求められるものと思います。では主として未公開企業の場合ですが、どの様に比率を決めれば良いのでしょうか?

○ 合併比率や交換比率は、交渉事ですし、どうせ最後は政治的要素や従業員への配慮等も働いて「えいやー」ですけど、まずは事務的に比率を算出する必要があります。比率算定に当たっては当事会社の評価・株価の算定が同じ基準・基礎及び同じ時点で行われる必要があります。研究開発力や有望技術の潜在力あるいは政治的要素はその後の考慮点です。株主等への説明は、政治的要素は控えめにして、合理性を全面に出してきちんと(詳細とまでは言いませんが)理由を開示して行う必要があります。

・私は、まだ合併比率等の説明書を不勉強のため見たことがないですが、ある会社の(A社B社の合併ではなく、A社のある事業とB社のある事業を新設会社で統合する)共同分割計画書を見ましたが、「DCF法などの評価結果を総合的に判断し、交渉の結果妥当と判断し」程度の事しか書いていませんでした。比率が妥当と判断するのは、当事会社の経営者では無く最終的に株主でしょと言いたいですね。株主が判断できる判断材料が不足しています。もう少し書いて欲しいですね。

○ 同一の基礎と時点で比較しないといけないと言いましたが、案外これが簡単ではありませんね。
○ 株価の算定をどの方法で行うか。個人的には、未公開企業の場合はベンチマーク企業等の株価を参考に類似業種・類似会社比準方式がよいと考えています。一株当たり純資産・利益・配当(配当を除く場合もある)をベンチマーク企業のそれと比準します。相続税財産評価基本通達の類似業種比準方式の場合、昔は利益の比重も純資産・配当と同じでしたが、最近は利益を加重にして3倍にしていますね。利益重視の傾向ですね。

○ 他には、企業価値算出のEBITDAのmultipleの方法も良いかもしれませんが、あまりに利益だけを重視しているのが少し気になりますけれど。この場合は、評価会社のMultipleは、全部同じで例えば、10倍とした方が公平ですね。尚、完全子会社の株式交換比率算定上の評価額を、完全親会社の取得原価としなければならないことはありませんね。

○ 尚、裁判所が株式の評価をどの方式で行っているのかあまりよく知りませんが、相続税財産評価基本&個別通達を踏まえて、配当還元や類似業種で行っているのだと思います。(日経新聞2005年10/13夕刊には、寺岡精工の株式評価―追徴課税の更正処分取消訴訟―で、国税局が類似業種で785円/株が妥当としたのを、適正価格は、配当還元で75円/株と、東京地裁判決で認定した報道がされています。10倍以上違っていても、いずれも時価ということですね。株価というのは、ほんとにどうにでもなる世界?ですね)

○ DCF法はナンセンスだと思いますね。明日結婚するのに、この先ずっと独身・別会社の稼得するキャッシュフローをベースにしますし、担当者のPCのExcelで作る何の客観性も無い方法ですからね。あまりに恣意が入りすぎます。公正・妥当な比率と言う目的には不適切な方法だと思います。

○ 合併・株式交換比率では、つい純資産に基づく方法に重点をおく傾向にあります。これは、未だに旧時代的なBS重視の発想で、PLが従という考え方です。純資産・株数が同じ会社でも、利益が1.5倍―2倍違えば当然株価は違いますね。1株純資産だけを比べての比率算出は非常に不合理ですね。

○ BSでも、古い棚卸資産(例えば1年以上不稼働の在庫)を消却していない・いる会社、売掛金でも回収できないのを計上したままの会社・償却した会社、退職給付債務の計上基準の異なる会社・積み立て不足のある会社・無い会社。給与水準が異なる会社。これらによってBS・PLが大きく異なります。大会社なら何百億円も違いますね。
(まあ、その前にBS,PLの数字を信用出来るかもチェックする必要がありますがね。棚卸資産など実地棚卸と合致しない場合も多いでしょう。M&Aのdue diligenceのポイントの一つですね)

○ 土地の評価も簿価では無く同じ基準の時価ベース、まあ比較的安い価格、例えば固定資産税評価額等に従って統一する必要がありますね。バブルの時に高値掴みをした不動産の減損会計も統一する必要があります。真面目にきちんと減損している会社が馬鹿を見ないようにしないといけません。

○ 上記のような事情がありますから、実際どれだけ同じ基準で評価・算出され、合併比率・交換比率が決められているのか疑問ですね。完全に同一ベースでBS,PLを作り替えるのも大作業ですけど、ある程度はきちんとしないといけないと思います。

○ 合併に際し、合併BSを作成している例を私は知りません。株主がきちんと判断できる時価ベースの合併BS&PL等を作成し開示して欲しいと思います。更に合併比率説明書もある程度きちんと記載して欲しいですね。株主のみではなく従業員等のステークホルダーの納得性の為にもね。

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技術ベンチャーの失敗の原因

2007-03-15 00:56:27 | 企業一般

○ 米国のシリコンバレーでは、多くの企業が生まれています。また同時に、多くの企業が消えています。成功するベンチャー企業、特に大きく成長する企業は、ほんの一握りです。技術の事業化はとても困難な仕事です。基礎研究と応用研究開発との間には、大きな溝(*)があり、これはなかなか越えられませんし、その先の製品化にも更に多くのハードルがあります。また、製品化しても売れるかわかりません。普通は、殆ど売れません。多くの新製品がマーケットの支持を得ることなく消えていきます。

*この溝の事を、「死の谷」(Valley of Death)とか言われています。詳しくは、独立行政法人経済産業研究所 児玉氏のセミナー ↓をご覧下さい。

http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/05020101.html

それはさておき、技術志向のベンチャー企業の失敗の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

1)             技術の過信:よく言われていることに技術の過信があります。優秀なエンジニアの陥りがちな失敗です。長年の研究の成果がやっと出来て、これは使えると思いがちです。特許も取れるかもしれません。しかし、画期的な薬などを除いて、仮に基本特許をとっても、殆ど役に立ちません。その周辺多くの周辺特許もとって、一群の技術の固まりがないと技術だけでは簡単に売れるものではありません。

2)製品力の弱さ:技術的にすばらしいものができても、魅力ある製品にはなりません。

完成技術と製品の間には、大きな溝がいくつもあります。製品はお客様に気に入られなければ使われません。技術的に完成度が高くても、お客様の使い勝手が悪ければ使われません。かゆいところに手が届いた製品でなければなりません。お客さんの無理難題を全て満たした製品など開発出来ませんが、キーポイントの使い勝手のところは、お客さんに満足を与えるぐらいの作り込みをしておかないと、一部のマニアのおもちゃでは製品力はありません。また、使い勝手の部分は、何も最先端技術がいるわけではありません。例えば、ソフトウェアで言えば、GUI(Graphic User Interface)等の開発は、工数はかかりますが、先端技術がいるわけではありません。

3)営業力への過信:よく営業力が弱いから製品が売れないと言われます。これはエンジニアの誤解です。営業は、お客が気に入らない製品を売る力などありません。お客が大型トラックを買いたがっているのに、軽四輪を売りに行っても買ってくれません。なじみのお客さんが一つや二つ買ってくれるかもしれませんが、それで終わりです。営業力のポイントは拡販力であり、製品に製品力が無ければ売れないのです。

最初はマニアに少し売れるようになっても、浮かれてはいけません。その後また下降します。それをより多くの人に売るためには、技術マーケティングの力が必要です。技術マーケティングでは、アップルやインテルのマーケティングを手がけて成功したレジス・マッケンナ(Regis McKenna)の手法を解説した本がでています。これは非常に参考になると思います。

「キャズム」という本です。翔泳社から翻訳本がでていましたが、絶版になったようです。図書館で借りましょう。もし、原著を読まれたい方は、「Crossing the Chasm by Geoffrey A.Mooreをアマゾンでお調べ下さい。

     大企業などに営業攻勢をかけて、担当者等が興味を示す場合があります。しかし、購入については口を濁す場合があります。この場合の深追いは禁物です。彼は、単に調査しているとか、ノウハウを盗むとか、興味本位で聞いている場合があります。

ノウハウを教える場合は、しっかりNDAを結んで、目的も明記、それ以外の利用禁止、知的財産の帰属等を定めてからにしましょう。NDAを結ぶのにためらう人がいれば、さっさと止めることです。こんな客に何ヶ月も引っ張られて、膨大なパワーポイントを作成するのは無駄です。他の顧客を捜しましょう。

4)コスト管理の甘さ:重要な開発にはそれなりに資金を投入しないといけませんが、収入も考えないで開発予算を使ってはいけません。また、取引先に言われるままにお金を払ってはいけません。知恵を出して、取引先への発注価格を徹底的にねぎりましょう。

  「けちで、せこく」が基本です。大企業でもけちでせこく、1円でも50銭でもコストダウンを計っています。

5)お客様の声を聞かない:これは最悪の対応です。お客は無理難題をいう。そんな声にいちいち答えていたら開発など出来ないしコストが著しくアップすると考えて、聞いても対応しない場合があります。勿論単なる夢のような顧客の声に耳を傾ける必要はありませんが、これを満たせば製品力がアップして、他の顧客にも売れるというレベルまでの開発は必須です。

6)戦略の実行とフレキシブルな変更がない:一定の顧客を想定して、戦略を立て顧客の開拓を開始します。顧客が少しは興味を示すが、それ以上進まない場合があります。これは可能性があります。その顧客では無く、その周辺の顧客です。但し、この場合は顧客の要望をきちんと聞いて地道な対応をすることです。戦略・ターゲット顧客の微調整をして、執念深く取り組みましょう。

・ 顧客が、全く興味を示さない場合があります。同じ分野の複数の顧客にコンタクトをしても、しっかりした反応が無い場合があります。この場合はすっぱり戦略の転換が必要です。一度建てた戦略に固執は禁物です。会社が左前になる前に、戦略の転換をしましょう。

7)社長の会社の私物化や適格性欠如:会社は従業員のみんなの力を総合的に発揮するところです。創業者等の才覚で伸びる場合も多いですが、著しい公私混同・会社の私物化を図る経営者がいる場合は、その会社の将来性はありません。従業員も、経営者を見習います。モラルも低下します。陰で悪いことをする可能性もあります。この場合は、転職なども考えないと行けませんね。

ベンチャーキャピタル(VC)等から金を調達すると、現在の事業がいまいちなので、新規の開発等を行う場合があります。特に日本のVCは、金の使途とか管理が甘いですから、経営者もそれにつけ込んで、金の使い方が荒くなる場合があります。これは会社凋落の兆候ですので注意しましょう。

Crossing the Chasm: Marketing and Selling High-Tech Products to Mainstream Customers (Harper Business Essentials)Crossing the Chasm: Marketing and Selling High-Tech Products to Mainstream Customers (Harper Business Essentials)
価格:¥ 2,176(税込)
発売日:2002-08-20

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現物出資に関する規制

2007-03-13 00:14:06 | 商事法務

○ 会社が取得する財産価格の適正性を確保する目的で検査役の調査制度があります。現物出資に関する規制は、今回の会社法で大幅に緩和されました。尚、現物出資の件ではありませんが平成2年の時代錯誤的商法改悪で事後設立に導入された検査役の制度は、合理性が無いとして廃止されました(特別決議は残っていますが)。しかし、まだ規制は残っています。

○ 会社設立の場合には、定款に記載して、更に裁判所の選任する検査役の調査が必要とするのが原則ですが、①500万円以下の少額、②市場価格のある有価証券、③弁護士等の証明を受けた場合(不動産は鑑定士の鑑定評価付き)には調査は不要となりました。また、会社設立後は、取締役会の決定事項となり、上記に加え、④発行済株式総数の1/10以下の新株発行の場合、及び⑤デット・エクイティ・スワップの場合も不要となりました。

     私は、検査役の調査制度(裁判所の選任する検査役は、弁護士経由裁判所に選任を求めますが、かなりの場合、その弁護士が検査役として選任される)あるいは弁護士等の証明の制度は、ピントのぼけた制度だと考えています。

私は、現物出資は、その内容を1)既存株主に事前通知し、その内容に不満がある株主には、株式買取請求権を与える。2)情報を公開する事によって自己規律が働きますから、その概要を登記事項とする。(謄本=証明書を入手すれば債権者にも内容が判明する)とするのが適切ではないかと考えています。

○ 理由は以下の通りです。

1)     例えば、特許権・著作権・商標権等を現物出資する場合、当然の事ですが弁護士等にその評価能力等がある筈がありません。特許権など、その道のエンジニアやプロが読んでも難解ですし、プロの評価も果たしてどれだけ当たるか見方が分かれる場合もあると思います。素人には、やはりもちんぷんかんぷんです。弁護士への説明や、素人にわかる資料作成だけで疲れ果てます。

2)      お友達の弁護士さん・税理士さん等に、算定根拠を渡してお願いして「お礼」をすれば、むちゃくちゃな内容で無い限り顧客の意向に沿った証明を出してくれると思われます。というのは簡単で、弁護士さん等が自分で、別の算定根拠等考えられる筈もありませんからね。即ち、弁護士・公認会計士等の証明は、財産価格の適正性を確保するのでは無く、適正であるかのように仮装することが出来ると言うことです。

3) 例えば特許などの適正価格算出は極めて難しいというか、そんな価格など無いと言うことです。その特許を自分のノウハウや周辺・関連特許と組み合わせれば大きな価値・新製品等を開発出来る人にとっては大きな価値はあります。しかし、そんな特許など興味の無い人には無価値です。豚に真珠。猫に小判です。

4) 内容を開示するということは、不公正・妥当性を欠くことを行うことは、取締役は責任追及される可能性が高くなる訳ですから、逆に現物出資の適正性について合理的説明が必要となり、あるいは客観的資料を取りそろえる必要があり、またその分野(特定の技術なら、その評価が可能な人)の専門家の鑑定等を取締役は用意をしなければいけないと言うことです。

ここで私が言いたいことは、財産価格の適正性を確保する制度に、適正性を判断する能力も資格も疑わしい弁護士等の証明を求めることは、不適切であり、開示の制度でコントロールするのが良いのではないかと言うことです。

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外国VCの投資手法-CB&種類株

2007-03-11 09:28:01 | 企業投資

     日本のVC等の日本のベンチャー企業への投資を見ていると、ベンチャー企業側の事情もあると思いますが、まだまだ普通株式の取得が多いですね。さすがに最近は、同時に投資契約書等を締結して株主の権利などを保持しているケースが増えてきましたが、昔は投資契約もろくに結ばずにともかく株式を取得して、あとは経営者任せ、運任せ、景気任せ、上場してくれたらラッキーとか、いつの間にか破綻してたら、はずれとか、まあほったらかしでいい加減というか、ベンチャー企業の経営者側から見れば、いったんお金を引き出せば、日本のVCは「ちょろい」ちょっと脅せば、まあサラリーマンがやっているから楽賃と言うことでしようね。まあ、これは仕方が無いですね。体を張って、自分の個人財産も賭けて事業をされていますから、一方VCのお金は自分のお金でも無いですし、投資が失敗しても生活は安泰ですし、真剣勝負の事業家に、竹刀をもって「こて」とか言っても通じません。

私も、人生を賭けて仕事するつもりもないです。ローリスク・ローリターンの人生です。(だいぶ話が横にそれました)

     外国VCではそうは行きませんね。一般的にはベンチャー企業経営者に、4年とか5年以内に上場を約束させて、それを資本注入のときに、転換社債や、優先株等により強制でも無いですけど、プレッシャーを与える条文で縛る場合が普通です。勿論、うまく継続的成長が出来ない場合は、これもただの空約束になりますけれども。また、性悪説でも無いですけれども、事細かに契約で規定します(日本のように法令が整っていれば良いのですが、判例法の国なのでというのも理由ですが)。経営者もずっと経営しますとか。ずっと株式を保有しますとかの契約書と同時にいろんな誓約書を出さないといけません。そのかわりVCは汗もかきます。一緒に経営も考えますし、手助けもします。お金だけではありません。

○ 簡単な例として、CBを使った例と、優先株を使った例の条件概要をご紹介しましょう。

① CB(例:US$4 million Convertible Loan Facility

・ Loanですから、金利が生じますがCBですから低金利ですね。

     上場時(直前の上場が確定したとき)に、CBですから、これを普通株に転換します。

     転換価格が問題ですね。額面株の額面(米国の様に、US$0.01では駄目で、台湾とかタイ等の様にNT$10.00とかBahts10とかの場合)、例えば1/4US1m相当現地通貨だけを額面で転換を認めるというのもあるし、US$4m相当現地通貨額とも転換を認める例もありますが、転換価格の設定をどれぐらいにするかですね。

     もし、5年以内に上場しなければ、例えば、10%のイールドを保証して、Loanを返済する。→この部分が経営者に対する圧力ですね。

     Loanですから、優先劣後も決めます。担保付きにすれば、かなりの圧力になりますが、経営者の(再起を潰す)自宅不動産というのは外国ではまず無いでしょう。経営者の保有株式というのはありますが。

        優先株・償還株(取得請求権付株式)

     議決権は、1株1議決権で普通株と同じ。

     配当は、普通株と同じ。

    優先株の優先は、残余財産分配権のみで、普通株に優先する。

     5年以上経過した場合(5年内に上場しない場合)には取得請求権が効力を有する。この場合は、投資金額に 10 p.a (複利)で計算した配当を付して償還する。

     総会は、普通株の総会と同じで種類株のみの総会は、残余財産分配のときに限り開催

どちらが良いでしょうか?ケースバイケースですね。優先株の償還の配当は、あくまで配当可能の剰余金が無いと出来ませんね。 CBの金利は利益剰余金と関係なく払わないといけないですが。まあ、他にもいろんなバリエーションがありますが、典型的にはCBを利用するケースと優先株&償還株を利用するケースが多いのではないでしょうか。

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技術の事業化・製品化

2007-03-08 00:51:04 | 社会・経済

     最近政府が発表した「イノベーション25」には、2025年までを視野に入れた成長に貢献するイノベーションの創造のための長期的戦略指針が示されています。その中で、科学技術・社会・人材のイノベーションが必要であると言っています。具体的には、20のイノベーションの代表例を上げていますが、例えば「ヘッドホンひとつであらゆる国の人とのコミュニケーション」という、実現すれば素晴らしい事も唱われています。

随分先だなあという感じと、やはり、うまく行ってもこれぐらいは掛かるだろうなという思いもあります。

 携帯・デジカメを例に挙げましょう。フラッシュメモリーは元東芝・現東北大学の舛岡教授が1987年に発明されたものです。もう20年もたっています。また同じく固体撮像素子であるCMOSセンサー等は、原理の考案が60年代後半であり、実用化されたのは半導体の微細加工技術が高度化した90年代以降です。電池もリチュームイオンの進化、それだけでは無く、コンデンサーの極小化等も必要です。携帯に組み込まれているソフトウェアは、20年前の大銀行の基幹システムを上回るぐらいの、何百万行のソースコードが入っています。多くの技術・エンジニアの努力の結晶です。ソースコード等は、もう誰がどんなソースコードを書いたのか、中身がどうなっていうのかわからなくなっていますし、ある日突然不具合が見つかりあわてて、応急修理というのが現状です。

     政府が、目標として、従来から構想があった身につけ持ち運びできるウェアラブル・コンピュータを発展させて、ヘッドホン型多言語会話機の様なものを作ろうと花火を揚げるのは良いのですが、実現させるためには、非常に多くの地道な要素技術の積み上げと、その絶妙の組み合わせ、これを如何に普通の人が使えるように製品化し、社会に貢献・浸透させるためには、膨大が人の知恵が必要ですね。しかも絵を描いたとおりになるはずもありません。出来るだけ具体的な計画に落とし込んで、いろいろ失敗もあるでしょうけれど、一歩一歩明るい未来を目指して地道な積み上げを行うしか無いですね。

     政府の提言では、「科学技術のイノベーションには、基礎研究の更なる推進と多様性確保、世界の頭脳が集まる研究拠点づくり、大学等の研究力強化、ライフサイエンス・IT等の新たなプロジェクト推進、基礎研究と市場の間での双方向の異業種連携等が必要と述べています。壮大で長期的な計画です。政権が変わったら、いつの間にか忘れた等とならないようにして欲しいですね。

     しかし重要点があります。今までに政府が打ち上げたプロジェクトで、本当にうまくいったのは、私の理解では70年代後半の超LSIの研究組合の1件だけだったのではないでしょうか。政府は、いろいろ提言などして、莫大な予算を多くの独立行政法人に配賦して種々のプロジェクトに使っています。なぜあまりに多くの失敗ばかりするのでしょうか?なんとかならないのでしょうか???

まあ、政府の予算の無駄遣いはさておき、人のまねの出来ない技術の確立には、最低10年、製品化には更に4-5年はかかると思いますね。大作業ですね。

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1年で2倍の複数議決権株は如何?

2007-03-06 00:35:07 | 商事法務

     欧州の投資会社のポートフォリオを見ると、投資先の出資比率と議決権割合という項目があります。例えば出資比率は20%、議決権割合は30%とかです。これは、複数議決権株を発行している会社が結構あると言うことですね(フランスと北欧がメインであり、ドイツ・イギリスでは1株1議決権が原則です)。日本では今のところ、議決権の無い種類株式として優先株式を発行している会社は最近いろいろ出てきましたが、逆に複数議決権株を発行している会社はありますでしょうか。

多分無いと思いますね。というのは日本では、議決権はあるか、又はないかですからね。

1株0.5個の議決権というのは認められていません。複数議決権株を発行しようとすると、種類株を発行して、株式の種類毎に単元株のくくりを調整する必要がありますから、邪魔くさいですよね。

(公開会社の場合です。公開会社でない場合は1092項により可能)

 

     複数議決権で有名な会社は、グーグルですね。クラスA普通株は1株1議決権ですが、クラスB普通株は1株10議決権で創業者等が持っていますね。

詳細は、ここ↓ Google Form S-1 Page 86

http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1288776/000119312504073639/ds1.htm

○ では、例えば、取得日後1年以上株式を保有している株主には、1株について2個の議決権を付与するという株式は如何でしょうか?即ち、1年未満なら1個の議決権が、1年以上保有で2倍に増えると言うことですね。この制度も買収防止策になりますね。株数は増えないが、時間の経過で議決権が増えるということですね。

○ 保有期間が、一定期間を越えれば議決権が増える、結構合理的ですね。長期保有者・安定株主には2倍の議決権を差し上げましょう、経営に対する発言権も2倍差し上げましょうということです。つまり、その会社に何の興味も無く、ただ儲かるかもしれないと株式を売買する株主には、1株1議決権で十分。デイトレーダー等は、金儲けの手段で一瞬持つだけだし、特に経営に関心がある筈もありません。たまたま基準日に株主で議決権行使書を得てもゴミ箱へ、配当金さえ貰えれば、後は儲かるかしか関心が無いという人も多いですね。

○ 確かに普通の個人株主の場合1千万分の1とかの割合的地位・単位を取得しても経営に影響力がある訳でもありませんが、例えば沿線に住んで優待定期がもらえるので持っている電鉄株、親戚が役員しているので長期保有している株、環境に優しい事をしているので気に入って長く持っている株、そういった安定株主様には2倍の議決権を差し上げましょうということです。(私は、がめついので、議決権より保有期間に比例して配当金が増える株式にして欲しいですけどね!)

○ フランスの会社法では、保有期間により議決権が増える株式があるようです。株式には、記名式と無記名式の両方がある。(日本は、名義を株券の裏に記入しますが法律上は無記名証券ですね)。どちらを選択するかは株主が選択できる。2年以上記名式株式を保有している株主には2重議決権を付与できる。一方10株未満の株式保有者からは総会決議参加権を定款の定めにより奪うことができる(但し、この定めをしている会社は殆ど無い)。尚、一般の株主は、無記名株式なので、会社からは保有期間は分からない。と言うことらしいです。

     会社法では、105-1各号の権利(配当・残余財産分配・議決権)について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができるとしています。ただ、今の解釈では、議決権はあるかないか(優先株等)ですね。

     日本の法制度の下では1株2議決権というのは難しそうですね。では新株の場合なら、新株発行後1年以上経過した場合に行使できる新株予約権付きの株式を発行すれば、出来そうですが、1株ではなく2株2議決権となりますね。1株利益が希薄します。また既存の発行済み株式で1年以上経過したものは無理となりますね。転換権付き種類株式などでも可能かもしれませんが、この場合も株数が増えますし自動的に議決権が2倍になるわけではないですね。

あるいは、これも新株ですが1年を経過すると1株が2株に株式分割されるという株式は考えられるのでしょうか?勿論希薄化しますが。

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特別取締役の取締役会

2007-03-04 16:22:45 | 商事法務
・またまた、ピントのぼけた変な制度を作ったなあと言う感じです。会社法373条では、取締役会設置会社が6人以上の取締役(内1人以上が社外取締役)である場合には、取締役会は、「重要財産の処分・譲受け、多額の借財」(362条4項第1号及び2号)についての取締役会決議については、あらかじめ選定した3人以上の取締役(=特別取締役)のうち過半数が出席し、その過半数をもって行うことができる旨を定めることができるという規定を設けました。普通の取締役(平取)は出席不要としていますね。

・ 従来取締役会の決議については、社長も平取も平等でしたが、この規定では、取締役を特別と普通の2段階に分け、全取締役による取締役会と、特別取締役による取締役会の2種類に分け、取締役会決議の要件・決議の特則を設けています。

・ H14にできた旧商法の重要財産委員会という制度が殆ど利用されていないので、これを廃止して、また新しい制度を作りましたね。どれだけ普及しますかね? 重要財産委員会は、取締役10人以上・社外取締役1名以上の大会社であれば、取締役会決議で、取締役会とは別機関として設置・構成・内容を定め、登記すれば、重要財産の処分・譲受け、多額の借財の取締役会決議事項を、3人以上の取締役で構成する重要財産委員会で決議すれば、取締役会で決議する必要がないとしました。勿論、結果は取締役会への報告義務がありますが。

・ 特別取締役の制度は、経営の基本的意思決定の機動性を計るため、多くの大企業で行われている、上位の取締役による「経営会議」による実質上の決定を、あらためて平取も含めた儀式の取締役会を開催して、形式的に意思決定をしなくてもよいとする制度です。特別取締役は、社外取締役である必要はありませんので、これに選定せずに儀式の取締役会メンバーとしておくことも可能です。

「重要財産の処分・譲受け、多額の借財」というのが全くピントがぼけています。企業にとり重要な意思決定とは、経営・事業(新規事業を含む)・投資計画の策定等です。これらは普通は重要財産の処分・譲受け、多額の借財ではありませんので、経営会議で決定して、また形式的に取締役会で決議することになります。今までと変わりません。例えば3000とか2000億円を投じて液晶最新鋭工場を建てようとか、フラッシュメモリー工場を大増強しようということが重要です。同時にリソース・人をどうするのか等も関係します。この新規大型事業投資に関連して、現在の製造設備を廃棄(=重要財産の処分)するとか、新規土地取得(=重要財産の譲受け)、工場建設・最新鋭機械設備の開発・導入が行われます。自己資金で賄う事の出来ない会社は、社債・借り入れということで「多額の借財」の決議が必要となります。
また、会社を再建しようと、人員再配置等を含む再建計画を策定します。これが重要決定事項です。その為一つの実行行為として、銀座にある本社ビルを売却しようとなります。

・ 即ち、特別取締役による取締役会で決議できる「重要財産の処分・譲受け、多額の借財」は、経営戦略・事業・投資・リストラ計画の策定の結果出てくる業務執行行為・実行行為あるいは実行事務です。「重要財産の処分・譲受け、多額の借財」がどうして経営の基本的意思決定なのでしょうか?勿論株式取得による会社買収等、これに該当する行為があるとは思いますけれども。

・ 上記のように、重要な経営・投資計画等は、実質経営会議+全取締役の儀式の取締役会決議という2重構造から抜け出せていません。「重要財産の処分・譲り受け、多額の借財」は、単にその決議だけを特別取締役会で決議すれば良い問題では無いです。

・ 「重要財産の処分・譲り受け、多額の借財」は、戦略の決定ではなく実行・推進であり、これらを経営会議=特別取締役会で決めなくてもよいでしょということです。実行・推進なら、平取を構成員とする取締役会で十分です。

会社法は、上位の取締役で構成される経営会議を特別取締役会として想定していますが、「重要財産の処分・譲り受け、多額の借財」は、平取で構成する特別取締役会という、一段下位の実行部隊の2軍取締役会の決議になるのではないのかと言うことです。

・ 取締役会が2重になるということは、取締役会決議の統一性に矛盾が生じる可能性があります。取締役会で投資基本計画を過半数ぎりぎりで決議して、いざ実行時にお金が手元にないから借金しようとしたら、お金を借りるのはいやだと反対した特別取締役とその仲間の取締役で取締役会が否決されたら、どうなるのでしょうか?(形式的ですが)決議間で統一性を欠き矛盾します。(まともな会社なら投資計画の時に、同時に資金調達プランも出しますから、あまり考えられないですけど。派閥間の対立のある会社なら、2重の取締役会を設けたときには考えられないこともないですね)

・ 大企業の場合は、従来通り、実質は経営会議で議論・決定し、形式的承認・記録・対外的機関として取締役会で決議をしておけば良いのではないでしょうか。
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ベンチャー企業に必要な人材

2007-03-02 00:30:07 | 企業一般

○ベンチャー企業を立ち上げ、仕事を始めても、なかなかスムーズには行きません。ベンチャー企業は、人、金、物が不足します。大企業の様に、いろんな分野の専門知識・経験を持った人材が足りません。しかし、大企業に勤務して専門知識を持った人が役立つとは限りません。

○大企業で開発した技術を事業化するためにグループでスピンオフした場合、仲間とソフトウェア開発やWEBがらみの事業を興した場合、仲間とお店を開業した場合など、いろんなケースがあります。営業は何とか見つけた、でもマーケティングもして欲しい、では総務・経理は誰に頼もうか等となります。企業は、種々の知識・経験・才能を持った人の集団でないとうまく行きませんが、大企業の人は、あまりに細分化して、ベンチャー企業では役立ちません。器用な人、広範な知識・経験を持った人の方が良いですね。

○まず経理の出来る人が最初から必要ですね。探せば見つかります。会社立ち上げ時には、経理の体系を考えたり、オフィスセットアップの固定資産を一挙に償却資産に計上したりします。しかし、すぐに経理だけでは時間が余ります。何でもやって貰わないと困ります。請求書発行、支払い事務、給与計算、備品調達、出張手配、印刷物・名刺手配、ときにはお客さんへのお茶やお弁当の用意、税務申告は税理士さんに任せるとして、源泉所得税計算・支払い等です。要するに、経理も出来て、総務・経理・人事厚生・その他雑用迄、なんでもうまく切り回せる人が必要です

○やはり困るのが契約書の作成です。

数社の大企業とだけ継続的取引するなら大企業が用意した(不利な事が一杯記載している)取引基本契約を締結して、後は注文書・注文請書だけで出来ます。

     一般的な売買契約等では、契約書の書式集を利用することです。結構いろいろ出ています。いろんな雛形があります。これを利用して、少し変更して、金額・納期・支払い等を記載すればできる場合があります。契約書等、納品してお金を貰えば終わりのケースが多いですから、普通のケースは雛形で間に合いますね。

・しかし、それでだけで済まない場合が業種によってはかなりあります。スポットで少し変わった契約する場合、知的財産の権利の帰属やローヤルティ等、いろんな契約が出てくると、社内で簡単に契約書を作ってくれる人は、普通の会社にはいません。

そうかといって弁護士さんに頼んでも、忙しいですし、お金も一杯取られます。また往々にしてピントのぼけた契約書ドラフトを作成される場合があります。それに遅い・時間がかかる場合が多いです。弁護士さんは法律の専門家ですが、取引のプロでもないし、契約書作成のプロでもありません(勿論、契約書をきちんと書く方もいますが)。契約書は交渉しながらドラフトを詰めていきますが、弁護士さんがビジネス交渉の延長の契約交渉まで普通はやりません。間に入った人が、右左の伝言ゲームと契約書ドラフトの往復をして詰めます。こんなことでは、契約が出来ずに収益機会を失いかねません。

     まあ、ベンチャー企業では、相手方の作成した契約書に、決めた金額が書いてあれば、あとは契約書をろくに内容を読まずに(あるいは読んでも理解せずに)締結する場合も多いのが実情ですね。法務の専任者でなく、契約書の作成も、他の仕事と一緒に出来る人が望まれます。

○他に、社内LAN構築、サーバー構築、WEBの製作、管理維持等も、自前で出来ない会社も多くあります。ただ、これは外部に頼めば出来ます。大企業に頼むと結構な金額になりますが、個人(個人会社)に頼めば、勿論内容次第ですがそんなに高くない場合もありますね。知り合いがいれば「お友達価格」でお願いできる場合もありますね。しかし、やはり最近は、PC・サーバー・通信等の知識・経験を持った人が、やはり社内に一人は必要になって来ました。

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