まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

中国の理不尽課税 出向者PE課税

2015-12-20 21:40:17 | 企業一般
○ 中国の課税当局の理不尽課税については、経済産業省のWEB等に掲載されていますね。
ご承知の通り、中国の課税当局では担当者にノルマを課しています。だから、稼げない税務担当者は恵まれないのですね。昔は景気も良く法人所得税も納めていた日中合資会社でも赤字になると、税務署のおっさんに狙われますから注意が必要ですね。特に、日系合弁の少ない田舎町等で、他に中外合資企業の少ない場所は要注意です。
CO2などを蒸気機関車のように吐き出している、古い設備の中国企業等は、環境改善しないとどうしようもなくなってきたので、ときどき見せしめで工場をつぶされることもあるようです。しかし、2-3年前までは、中国の内資企業が、役所から狙われることは少なかったですね。外資系企業は、中国当局の監視下にあることを忘れないでほしいですね。税金だけでなく、技術もですね。技術についても、どういった技術なのかを説明する技術契約登記が必要ですから、しっかり盗める体制ができているのですね。

○ 出向者PE課税とは、海外親会社(日本)からの出向者を、親会社社員の中国における恒久的施設(PE)であるとみなして、出向先の合資企業が、親会社に送金した出向者の給与を親会社が収入として利益を得ているという言いがかりをつけて出向先企業に、出向元(親)企業の所得税を納付しろ、そのために、まず親会社の営業登記と税務登記をしろと言ってくることですね。


○ 今まで法人所得税を納付していたが、赤字を出して所得税を払わなくなると、税務署担当者はノルマを達成できなきから言うわけですね。ただ、他のノルマを達成したら、まあ今年は免除してやろうということもあります。
  出向者の給与は、親会社の基準+出向手当+留守宅手当等で決まります。しかし、現地で全部を受け取っても、中国の田舎では使い切れません。従い、現地企業では、給与総額の例えば2割だけを現地で人民元建で支払います。残りは親会社から現地合資企業に請求して、それを受領して出向者本人の日本の口座に振込むわけですね。この親会社からの請求額を親会社が受領して、親会社が儲けている。従って、この送金額の一定額(30-50%)を親会社の利益として推計課税して、その25%を税金として納税しろと言ってくるのですね。納税しないと、日本に送金するためには、US$5万ドル以上の支払いには、その正当性について当局の承認が必要ですが、この承認を下ろさないで意地悪する税務署員がいますね。

○ 中国法人が海外法人の子会社であっても独立した実体経営を行っており、以下の判定基準を満たしておれば、出向者 PE を構成しないとしています。
1) 子会社の要請に基づき親会社が人員を派遣していること(親会社の人事異動で親会社が決めているのではない振りが必要ですね)
2) 当該人員が子会社と雇用関係を有していること
3) 子会社が当該人員に対する指揮命令権を有していること
4) 業務責任とリスクが子会社にあり親会社にないこと。

○ 上記基準に加えて、国家税務総局は2013 年 4 月に“外国企業の派遣人員の中国内での役務提供に関する企業所得税関連事項の公告”(総局公告 2013 年 19 号)で、中国法人に出向者を派遣する外国企業がいかなる状況下でPE 課税を受けるかのポイントを明確にしています。判断の基本は、出向者の経済活動の成果の責任とリスクの所在であり、具体的には出向者の業績評価責任が派遣元か派遣先のいずれであるかという問題に帰結され、前者であれば派遣元(親会社)の中国内“機構”があり、日中間では連続して6 ヶ月以上の期間に亘り固定的、持続的な活動が認められれば恒久的施設(PE)を構成することになります。PE 認定の判断においては、下記の事項を総合的に考慮するとされていますが、現場の税務署のおっさんは恣意的に解釈して、言いがかりを吹っかけてきます。
1) 派遣先法人が派遣元法人に“管理費”“服務費”的な対価を支払っている
2) 当該対価が派遣元法人が立替払する給与/賞与/社会保険等実費を超える
3) 派遣元法人が派遣先法人から受取る対価を派遣者に払わず一部留保している
4) 派遣元法人の負担する派遣者費用の一部が個人所得税の計算対象外である
5) 派遣元法人が派遣者の人数、役職、報酬基準、派遣先を決定している

○ “較差補てん給与”は、実費である限りはそのことで PE 認定の判断基準とはされないとしているのですが、中国の税務署職員にとっては、実費以下なのか、実費を超える額を親会社が得ているか不明なので、PE認定を一方的に行って、一定の金額を推計課税してくるのですね。上記の5)等は、大半の日本企業行っていることですね。まあ、いったんこういった言いがかりを受けたら、非常に手間暇労力がかかります。少なくとも、出向元・出向先・出向者間の契約書の整備(現地へ行けば労働局指定の雇用契約を結びますが、これは現地の人民元建ての給与しか書いていないので、それ以外に必要ということです)、出向先企業が出向者に指揮命令権のある社内規定などの整備などが必要ですね。
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