まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

ベンチャー企業の資金調達

2007-06-27 00:11:24 | 企業一般

○ ベンチャー企業が資金調達するには、どうすれば良いでしょう。大体以下ぐらいでしょうか。

         自己資金

         独立行政法人(科学技術振興機構、IPA)等の開発補助金

         ベンチャーキャピタル(VC)からの(主として)エクイティーファイナンス等

         公的融資

         民間金融機関の融資

         その他―手を出してはいけないビジネスローン

       【自己資金】事業を始めるときに、事業計画だけでVCから資金を集めるのは一般的には難しいですね。やはり、事業を始める人が自己資金を貯めて始めるケースが多いと思いますが、当然なかなか資金が集まりません。勿論例外はありますが、例えば、研究者が先進技術を権威有る機関から認められて、これを事業化するときとか、既に類似業界で相当の実績を持った人が新たに事業を始める場合(例:産業再生機構で実績を積んで、新たに再生事業を行う)等ですね。

・ 大企業で新規技術を研究開発して、ある程度完成した場合、普通はその企業で事業化を考えますが、事業化できる技術は少数で研究を中断する場合があります。そういった研究者が、その大企業や合弁パートナーを募ってスピンオフして事業化を計るケースもあります。どうせスピンオフするなら、最大限親から資金を引き出して始めましょう。

この場合、よくある問題は、研究者は自信をもって事業を始めますが、単に要素技術を開発しただけで、顧客の気に入る製品化にはまだまだ距離が長い場合が多いですから、2-3年ぐらい売れなくても会社の資金が回るぐらいの資金を引き出して会社を作ることですね。

       【開発資金援助・補助金等】IPA(情報処理推進機構)や科学技術振興機構では、開発資金を援助してくれます。例えばIPAに、開発資金の申請・応募して、採用されれば開発資金を出してくれます。開発成果物は共有となり、その後更に自己資金等で開発して自由に販売出来ます。但し、開発資金の2割は共有の対価として、5年にわたり払わないといけませんし、ローヤルティーも(チョー安い料率ですね)払わないといけませんが。

開発資金が足りないときは、こういった制度を利用するのも良いと思います。但し、注意しないといけないのは、IPAは成果物納入後に代金支払いですので、長期の開発機関の資金は、お金をもらうまで自己資金ですので、キャッシュフローに注意しないといけないですね。

       VC資金】有る程度事業は回り始めると、まだ赤字でもVCからの資金を集められます。最近のVCは金余りで投資機会を探しまくっていますので、事業計画をきちっとして、きちっとした資料を作ればお金を集められますが、将来株式公開を目指すとか投資条件が付きますので、また他人のお金ですので、きちっとしないといけません。勿論お金を出す前に、Due DiligenceVCが行い、投資に際しいろいろ条件が付きます。非常勤取締役が派遣され、経営をアドバイスしますので、そういった声をきちんと聞くことが大切ですね(まあ、VCの非常勤役員が、事業をどれだけ理解して役立つから疑問の時もありますが)。VCを1社にするときもありますが(良い事業とVCが考えたとき)、複数のVCが投資をするときもあります。発行価格や持株比率等どのように考えるか注意が必要ですね。

○ 【公的融資】最近は、ベンチャー育成の為いろんな機関・自治体等が外郭団体を通じて融資をしてくれます。これを申請するのも手ですね。但し、あまり金額が多くないですね。マックス数千万円ぐらいでしょうか。大きな事は出来ませんね。

       【金融機関の融資】民間の金融機関は、中小企業への融資拡大を求められていますし、最近はベンチャー企業への融資もしてくれますね。但し、

         商工中金とか民間銀行が融資をしてくれるのは、まあ会社設立3年目ぐらいからですね。② 経営者の個人保証を求められます。③税務申告書等いろいろ書類を出していろいろ調査されますし、最初から長期の資金は貸してくれません。また金額も3000万円とか5000万円ぐらいです。

       【その他―ビジネスローン】その他、よく分からないところからビジネスローンの勧誘がきます。まともな会社もありますが(銀行系のビジネスローン会社など)、高利ですので、何としても借りない事です。

○ 資金ショート:従業員へのボーナス支払い等で一時的に資金ショートが起きる時があります。経営者は、資金繰りが事前に分かりますので、何ヶ月も前から資金マネジメントをしっかりしましょう。どうしても一時的に足りないときは、事前に取引先に頼んで支払時期をずらしてもらうようにしましょう。

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会社は誰のモノか?

2007-06-24 11:51:19 | 企業一般

○ 経産省企業価値研究会の2005.5.27報告書P17には、「会社は誰のものか」という意識が変化しているとして、以下のような内容が書いています。

     法律的には、株式会社は株主のものである事は言うまでもない。

     95年に発表された調査では、米国では約8割弱、英国では約7割の者が株主と回答したが、ドイツ・フランスでは約8割の者がステークホルダー全て、日本では97%の者がステークホルダー全てのものと回答した。

     053月日経新聞が、経営者と(証券)市場関係者を対象としたアンケートでは約9割は「株主のもの」と回答し、会社は株主のものという考え方が日本でも重視されるようになった。(分母・対象者が違う統計を意図的に持ってきています)

     法律に株式会社は株主のものと言う規定はありますか?私は見たことがありません。株主は株式の保有者です。従い総株主は総株式の保有者です。総株式=法人たる株式会社なら、(総)株主は株式会社の所有者と言えると思います。しかし、こういった考えは無さそうです。通説では、株式を、株主=社員の地位との関連で理解する株主(社員)権としてとらえ、株主権を自益権と共益権に分けて理解します。しかし、株式とは株主が会社に対して有する利益配当請求権という債権であるという株式債権説等もあります。この説によれば、株主は会社の債権者であり所有者では無いことになるのでしょうね。

     人が人を所有する、即ち株主(個人・法人)が法人(人)を所有するという考えは、(奴隷制の存在しない)現代社会ではありませんね。(東大岩井教授は)モノとしての会社は株式であり、株主はモノとしての会社の所有者である(二階部分)。そして会社を人として扱うことで会社自身が会社財産を所有するという二階建ての構造をしていると言われています。

     企業では、資本と労働との協力で事業を行い、価値を創造する生産要素を投入し、財・サービスを生産し販売します。この過程で生ずるアウトプット(産出)からインプット(投入)の価値を控除した差額が、企業の付加価値であり、付加価値から他人資本への金利支払いを行い、労働に対する賃金を支払い、残余が最終的にリスクを負担するのが株主であり、その株主の資本の取り分であるとします。従い、株主は、企業の所有者であり、ガバナンスを付与されるとされます。

○ ここからが私のユニーク(非常識?)な考え方です。会社は、株主と役職員(役員と使用人)のものです。株主だけのものではありません。

・ 貸借対照表 純資産の部の自己資本(今度の会社法ではいつの間にか、会社計算規則で「株主資本」としていますが)を見てみましょう。資本金・資本剰余金と利益剰余金等が記載されています。

利益剰余金は誰が生み出したのですか?明らかですね、その会社の役職員が汗水流して働いたからですね。確かに、株主から提供された資本を元手として使用しますが、利益剰余金は株主が生み出したものではありません。株主には、役職員が生み出した利益からしっかり、資本使用料としての配当金を払えば良いのです。即ち、株主から提供された資本と役職員の労働で、純資産を増やしているのです。なぜ純資産を増やしていない株主が、利益剰余金まで全部取るのですか?全部取る資格など無いですよね。

・ 例えれば、株主が土地を役職員に提供します。役職員は一生懸命働いて賃貸ビルを立てて稼いでいます。この収益から株主=地主に地代=配当を払います。今の、株主資本は全部株主に帰属するという発想では、この賃貸ビルも、土地を貸しただけの地主の所有に自動的になります。こんなバカな発想はないですよね。株主はドロボーですよね。労働者は株主の奴隷ではありません。労働者は会社に利益をもたらしています。労務そのものの出資は持分会社の無限責任社員は出来ます(5761項六号)けど、ここでは労務の結果稼得した利益を自己資本に充当していると考えるわけですね。

     株主は、その会社が気に入らなければ株式を売れば良いです。かなりの株主が、所有者意識等持っていませんね。利回り・配当と株価しか興味をもっていません。そんな株主は、いやならとっとと株を売って出ていって下さいということです。

     少し話が変わって恐縮ですが、会社所有ではなく、会社支配の話になりますが、日本ではかなりの従業員が何十年と企業で働きます。従業員は、株主のようには簡単に会社から逃げられません。家族も含め従業員の生活がかかっています。株主等の声よりも従業員の声を経営に反映させる方がはるかに重要ですね。それによって一層付加価値を増やせるのではないでしょうか。ドイツでは共同決定法があります。例えばソフトウェアのSAPの監査役会メンバーは8人が株主により選任されていますが、あと8人は労働者から選任されていますね。監査役員は、従業員・労働組合と株主総会で選任され、監査役員で構成される監査役会が取締役を選任・解任します。私は、会社の所有者は、株主と役職員であり、株主と役職員が取締役を選任すべきと考えています。(日本の実態は、現役員が取締役を実質選んでいますが)

○ どうして日本は、米国・英国のまねばかりするのでしょう。役所も経済界も大企業も、猿まね日本です。日本の会社は、役職員と株主のモノです。

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楽天の片思い

2007-06-20 00:12:38 | M&A

楽天vs.TBS(東京放送)の件について感想です。

【楽天の攻め方について】

     HOYAPENTAXの件では、例のごたごたで信頼関係が大きき毀損されました。これの修復は簡単ではありません。楽天vs.TBSの件では、楽天は黙ってTBSの株式を取得しました。こんなやり方では、最初から信頼関係を築こうとする姿勢がありません。共同事業・業務提携の重要な基礎は信頼関係の構築と相手に対する謙虚な姿勢です。金の力に任せた腕力でどうして、会社や人が動くのですか?今から信頼関係を築くのはもう無理ですね。

・ それにしても楽天は日本の企業社会の風土・既存秩序を無視したやり方をしましたね。TBSに無断で株式を買い占めたこと。事業提携するなら、まず業務提携の提案から進めて、合弁会社を設立などして、共同で事業を進める。お互い安定株主となろう。相互持ち合いをしよう。即ち信頼できる友達関係になって始めて、一方的ではなく相互の資本提携というのが、まだ日本の常識ですね。

     TBSの株主・持株比率をきちんと分析して、自分の行動に賛同しうる可能性のある株主・株式比率、それと逆に会社側の安定株主比率を見極めてから株式購入をしなかったのでしょうかね。勿論楽天の株式取得が判明してから、会社側シンパの安定株主対策を考慮に入れないといけませんが。

・ 同じ様な事は昔もありました。1996年ソフトバンクが、オーストラリアのメディア王ルパート・マードック氏が率いるNews Corp.と合弁会社を設立し、間接的に全国朝日放送(テレビ朝日)に資本参加するといいました。この件うまく行きましたっけ。当然うまく行きませんでしたね。

・ 三木谷さんは、片思いをしたことないのですかね。片思いはうまく行きませんね。委任状争奪戦で、過半数の議決権をTBS側が確保したことが報道されています。取引先や金融機関がTBS側についたと報道されています。

     まだまだ日本では敵対的買収は受け入れられませんね。楽天は、総会で、①取締役2名の普通決議による選任と②買収防衛策の定款への記載の特別決議承認を求めています。

TBSの定款には、取締役選任について、日本の会社定款で一般的な累積投票の排除を規定しています。従い、取締役選任決議も否決されますね。仮になっても当然過半数はTBS側指名の取締役が選任されますし、2人が取締役になっても彼らの提案が通る訳ないですね。進駐軍の社外取締役になっても、多勢に無勢何も出来ません。四面楚歌ですね。また買収防衛策も会社提案が普通決議で承認されるでしょう。楽天は、定款に規定していない買収防衛策は、会社法(295条)違反として、決議取消又は無効確認訴訟を起こすのですかね。

TBS側の対応について】

○ まあ、TBS「企業価値評価特別委員会」という買収防衛策発動を審査する委員会もいんちきですね。会社側が指名して、おそらくそれなりの報酬を会社側からもらう委員など、独立性はありません。やらせの茶番劇組織ですね。事業の機微、技術的知見、新規ビジネスクリエーション力について経験も知識も無い人を委員に任命して、企業価値をアップさせる買収者か毀損する買収者かを判断するというものおかしな話ですね。新聞社の社長、石油会社の会長、元銀行&現郵政の社長、弁護士、公認会計士&法科大学院教授が、どうして通信・放送事業の会社の企業価値を審査する資格・適格性と見識があるのですか?結論は見え見えです。

・ 2005.5.27の経済産業省・企業価値研究会の「企業価値報告書」・経済産業省・法務省の「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」もちょっと欠陥レポートですね。株式を敵対的買収者に売却するのも株主の意思ですが、その売却株主の分析が全くされていません。会社法施行規則127(株式会社の支配に関する基本方針)は、この報告書と指針を規則にしたものですね。

  

・ 買収防衛策は、発動された場合、敵対的買収者だけ、その他一般株主と異なる扱いをします。これって株主平等に反していませんか?この点どの様に考えれば良いのでしょう?会社法247条の募集新株予約権の発行をやめることの請求について、「発行が著しく不公正な方法により行われる場合」をどの様に考えるかの問題でしょうか。

     TBSは敵対的買収者(=濫用的買収者)の定義を買収防衛策に規定しています。7つの類型を定めています。これを読むと、楽天は濫用的買収者に該当しないとも読めますね。大半は(①から⑤まで)ライブドアvs.ニッポン放送の東京高裁決定の4つのケースですね。それに⑥に「放送事業者としての公共的使命に照らし不適切」最後の⑦に「その他当社の企業価値の維持・向上を妨げるおそれのある者又は放送事業者としての公正性ないし中立性確保の観点から問題があると疑われる者」としています。ハニカミ王子に盗聴工作する会社が偉そうなこと言ってますね。⑥など自分の会社の事言っているのですかね。ところで委員会は楽天は⑥or⑦に該当すると結論を出すのでしょうね。

http://www.tbs.co.jp/company/img4/ketugituuti80.pdf

【結論】

○ 楽天は、どれだけお金をつぎ込んだのでしょう。1000億円ぐらいでしょうか。これからどうするのですかね。

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買収防衛策導入と総会決議

2007-06-15 00:30:49 | M&A

       買収防衛策の導入が盛んです。今回の総会で決議し導入しようとする企業が相次いでいます。取締役会決議だけで導入(例えば新日鐵など)するのではなく、株主総会に計るというのは良いことですね。ところで、この際につまらない疑問があります。即ち会社法295条の株主総会の権限の規定との関係です。同条2項には「取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。」と規定されています。即ち、買収防衛策については、定款に規定していない限り株主総会で決議出来ないという考えになるんですね。

○ 注意深い、きちんとした会社があります(例えば古河電工等です)。今回の総会ではまず定款変更を決議し(決議時点で効力が発生)その後に買収防衛策の決議をする会社です。これなら会社法上全く問題ないですよね。

○ 定款の変更案(買収防衛策の導入等)―下記条文を追加(古河電工の例)

1.      株主総会は、当社株式の大規模買付行為への対応策(以下「買収防衛策」という。)の導入、変更または廃止を決議することができる。

2.      前項に定める買収防衛策とは、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針に照らして不適切な者によって支配されることを防止するための取組みとして、事前に定める一定の手続きおよび基準等をいう。

       定款に規定せずに、買収防衛策を総会で審議・決議して導入する企業があります。理由としては、①もし上記の様な規定を設けると、株主総会決議となってしまう(*)。つまり機動的に取締役会決議で導入出来なくなるのでわざと規定を設けない。これがかなりのケースなのかもしれません。又は②単に会社法の規定を見過ごしている場合もあるでしょう。

* 古河電工の買収防衛策については、3年間有効としていますが、廃止については株主総会又は取締役会決議で廃止できる旨規定されているので、取締役会に廃止について授権しています。

     会社法の規定は硬直的ですから、仮に定款に規定していなくても総会で決議すれば、株主の意思ですから会社を拘束すると思いますね。ただ、変な株主がいれば、定款に規定していないのに、総会決議をしたのはけしからんということで、総会決議取消又は無効確認の訴えを出す株主が出てくる可能性もありますね。

       では具体的にどういったケースで問題になるのでしょうか?

1)           楽天vs. TBS(東京放送)の場合

     TBSの定款を見ましたが、買収防衛策の定款の規定がなさそうです。しかし、今回の総会で定款に防衛策の規定を設けることなく買収防衛策の決議を普通決議で行おうとしています。一方楽天の株主提案は、三木谷氏と増田氏の取締役2名選出の件と定款の一部変更の件です。定款変更の件は、「買収防衛策は、株主総会決議により決定する。この決議は特別決議とする」という提案です。

http://www.tbs.co.jp/company/img4/ketugituuti80.pdf

  定款変更決議ですので、特別決議です。楽天の20%弱という持株比率と、TBSシンパの株主の議決権を考えると、この株主提案が通る可能性は少ないのではないでしょうか?それぐらいは楽天にはわかるでしょう。今の状況を考えれば、一方的片思いでかなりの株主から相手にされていないようですからね。

 ・TBS側の買収防衛策は、普通決議ですので通る可能性があります。従い楽天案否決。TBS案可決の可能性があります。その場合の楽天の対応は、法令・定款に規定の無いことを決議したということで、TBS買収防衛策の承認決議取消又は無効確認の訴えを行う可能性がありますね。TBSは会社法295条2項の規定忘れているんですかね?

2)     ドトールの場合

他にも、イレギュラーな例として定款に記載していない買収防衛策の例を挙げましょう。日本レストランシステムと共同で、株式移転による完全親会社設立の特別決議の承認を得ようとしています。投資ファンドの株主であるハービンジャーが、企業価値を損ねると反対していますね。この特別決議が通れば、ドトールの株券は上場廃止で、親会社の株券が上場されます。親会社の定款案にも買収防衛策の規定はありません。ドトールは、今回の総会で普通決議にて買収防衛策の導入を目指しています(株式移転案が通れば、上場廃止になるまでの3-4ヶ月間の効力しかありません)。

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社外役員と報酬

2007-06-14 00:51:07 | 企業一般

     最近社外取締役や社外監査役を起用する例が増えています。社外取締役は委員会設置会社の様にMUSTになっている例もありますね。ところで、これら社外役員が取締役会でどんな発言をして、どれだけ役に立っているか、またどれだけ報酬を得ているのでしょう。

     ごく一部の会社、例えばHOYAやコニカミノルタ(両社とも委員会設置会社)では、取締役会がかなり機能しているのではないかと思います。HOYAPENTAXの買収の件などでいろいろ話題になりましたしね。しかし、大多数の大企業の取締役会では、どれだけ、社外役員が実質の議論に加わり意思決定に影響を与えているのか、はなはだ疑問ですね。

     大企業では、かなりのケース、経営会議等で実質討議・決定され取締役会では取締役会規則などで決められた決議を行うために、単に形式的に開催されているのが多いのではないでしょすか。大企業だと大抵の会社は月最低1回は取締役会を開催しますが、決議する案件も多く、ぽんぽんと事務的・形式的・儀式的に承認を出しているのではないでしょうか。

○ 会社法施行規則の118条以下には「事業報告の内容」を定めています。公開会社(=会社法上の公開会社)の特則は119条に記載されていますね。これを受けて120条では会社の現況に関する事項、121条では会社役員に関する事項、122/123条では、株式・新株予約権に関する事項の記載を求めています。そして124条では、社外役員を設けた会社の特則を定めています。

・ 124条ではいろいろ書いていますが、いくつかピックアップすると、

当該事業年度における主な活動状況として

 取締役会への出席の状況

 取締役会における発言の状況

 当該社外役員の意見により会社の事業の方針又は事業その他の事項に係る決定が変更されたときは、その内容

 法令又は定款に違反する事実その他不当な業務の執行が行われた事実があるときは、各社外役員が当該事実の発生の予防のために行った行為及び当該事実の発生後の対応として行った行為の概要

報酬等の総額

     会社法では、社外役員には、本来上記の/ニ等を期待しているのでしょうね。期待しても、現実はまだまだほど遠い儀式の取締役会では、如何なものでしょうね。

     社外取締役など、他社の現役の社長・会長等を選任している例があります。自分の会社の事でも大変なのに、他社社外取締役になってどれだけ機能しているのでしょうか?昔からの仲良し倶楽部的な慣例もあるのかもしれませんが、止めた方が良いのではないでしょうか。例えば大企業でもトヨタや新日本製鐵など、社外取締役など役に立たないと選任していませんね。

○ ところで、気になる点があります。これら社外役員はどれだけ報酬をもらっているのでしょう。機能に見合った報酬を得ているのでしょうか?役員の報酬・賞与・年収等については、「政経研究所」が毎年まとめて本にして公表しております。

http://www.sri-publications.co.jp/index.html

また、少し古い統計(2002.5.13公表)ですが、日本能率協会がWEBでも公表しています。

http://www.jma.or.jp/release/23.html

 ・この日本能率協会のレポートの(12)では、社外役員の報酬について触れています。

  社外取締役の最高額は、2100-2200万円1社、1300-1400万円1社、その他は1100万円以下です。また社外監査役の最高額は,1500-1600万円1社、1100-1200万円1社、その他は1000万円以下ですね。

     ある会社の2006年度の事業報告書では、社外取締役4人、報酬額92百万円(単純に4で割れば2300万円/-この金額は新聞でも公表されている)、取締役会開催は20回、出席が一番少ない人は12回=1回当たりの報酬は192万円「経営上有用な意見等」を述べられたと記載されています。また、社外監査役3人、31百万円(1033万円/)、出席が一番少ない人14=74万円/「意見等を行っております」と記載されています。

1回2時間ぐらいですかね。まあね。どうなんですかね?!「有用な意見」って何ですかね?私も、金持ち会社の社外役員になりたいですね。居眠りしてても貰えるんですよね。

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行動基準と現場の実際

2007-06-11 00:37:04 | 企業一般

     最近、大企業では、企業の行動指針や役職員の行動基準を定めています。どれも当たり前の事で、もっともだと思いますが、それによって果たしてどれだけ現実の行動・対応がよりよく変化しているか疑問ですね。この種の行動規範は、制定しても、表題ぐらいは見ても、当たり前のことが書いているので、中身をきちんと読まない社員も多くいるような気がします。まあ、行動基準だけでなく、社内規則一般の話ですが、大企業では膨大な社内規則が制定されていますが、それをきちんと読んで居る人(経営陣も含めて)は殆どいませんし、仮に読んでもいちいち覚えていませんね。まあ、何かあったら担当部局と相談すれば、それで良いのですけど。

○ 企業の行動指針及び役職員の行動基準としては、どこの大企業も内容は、大同小異で、大体以下の様な内容が制定されています。

① 企業の価値を高め、事業を通じて社会に貢献する。

② 人権を尊重する。

③ 環境に配慮、保全する。

④ 法令・社内規則を遵守する。

⑤ 情報開示を計る。

⑥ 自らのまた他社の知的財産を尊重する。

⑦ お客様を尊重する。

⑧ 品質の確かなものを提供する(メーカの場合)。

⑨ 適正な営業活動・調達活動を推進する。

⑩ 財務・会計に関する記録や報告は、適時・正確に行う。

⑪ 不適切な支出を禁止、寄付・政治献金等も常識内で行う。

⑫ 地域社会との調和を計り、役職員に社会貢献活動を推奨する。

     どこの会社も大体守っています。従来の日常活動を、健全な常識をもって行えば、問題ありません。従い、99%守られていますが、後の1%がなかなか守られないと言いますか改善がされません。1%ぐらいですが、行動基準に反する行為が行われているような例も多いのではないでしょうか。少し、具体例を挙げましょう。これは、行動基準を制定しても、従来の自分の行動を変えたりする人が少ないこと、あるいは行動基準をサポートする気配りのある制度等を同時に導入しない事も原因だろうと思いますね。

     具体例としては、以下のような事ですね。

     発注した後、仕様変更・追加して、下請けが当初の条件のまま受けさせられる。―現場は予算を決められます。それをオーバーするのをいやがります。本来なら、追加予算で増額改定しないといけないのに、そんなことしません。

     下請代金支払遅延等防止法が十分守られていません。納期の関係で、発注書もないまま作らされるとか、60日を越えた代金支払い条件を受けざるを得ない事など日常茶飯事です。余程の事が内限り、下請けは文句を言えません。

     基本契約書に一方的で不利な条項が昔のままそのまま残っています。下請けなどは基本契約書はだまって判子を押さざるを得ません。その中には、例えば、下請けが開発したもの(ソフトウェア等)を、納入品の中にいれたら、その権利は発注者に帰属する等と書いているものがあります。何が「知的財産を尊重しましょう」等と行動基準で言っているのですか?弱い者いじめですね。

     行動基準を制定しても、その内容趣旨を理解して、日常の業務を見直すことが必ずしも行われていません。今迄のまま業務を推進しています。経営者は、行動基準を制定しても、それが隅々まで現場まで徹底するような配慮をしていない場合があります。事務当局が時代の流れ・雰囲気を感じて制定したもので、企業としては経営姿勢を対外的にアピールできますが、アピールするものではなく、社内できちんと発想・行動まで見直して遵守すべきものですね。現場は直ぐには変わらないけど、現場を変えないといけない。そこを変えていくのも経営力の一つだと思いますね。

最近は、内部統制・情報セキュリティの件等もあり、ますます規則がどんどん制定されています。

りっぱな規則を作っても、大抵の人は中身を知りません。規則がますます制定されている割には、相変わらず企業不祥事が多いですね。やはり経営者の高度の倫理観と企業文化醸成の方がはるかに重要だと思います。

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経営権の移管手続き

2007-06-07 01:55:25 | M&A

○ オーナー型の中小企業の株式を買収・取得して経営支配権を取得する場合を考えて見ましょう。当然、株式の譲渡日に株券発行会社については株式を表象する株券を買主は、代金を支払いの上取得(株券受領書を売主に交付)しますし、また株券不発行会社については株式を取得します(*)。しかし、これだけでは収まりません。株式譲渡=経営支配権移管の手続きと同時に、一般的に関係者が行うべき経営権移管の事務等を列挙してみましょう。これらの移管事務については、最近は株式譲渡契約締結日より譲渡日までに、関係者が行うべき約諾事項(Covenants)として、ある程度契約書に記載するようになりました。これを満たす事により譲渡が実行されるわけですけど、譲渡日の事実行為(代表印の引渡等)もありますので、そういった点も少し書いてみましょう。

l       株券不発行会社の株式譲渡方法は以下ご参照下さい。

http://masaru320.mo-blog.jp/business/cat5651544/index.html 

○ 対象会社の約諾事項(履行又は遵守すべき事項)

(1) まず、重要なのは従業員にきちんと説明し、従業員の協力を得ることですね。

(2) 銀行等の債権者、主要取引先に適切に説明し、経営支配権・経営権委譲に支障を来さないようにすることですね。

(上記(1)&(2)等は、頭‘法律’の弁護士や法務部員作成の契約書に書いていない事が多いですから注意が必要ですね)

(3) 上記の状況を買主に報告して、必要に応じて売主・経営者・買主で適宜丁寧に対応す  ることですね。

(4) 通常の業務の範囲を越えた業務を行わない事。

(5) 譲渡日まで、資産を毀損する行為を行わないこと(善良なる管理者の注意義務をもって資産を管理する事)。権利・義務(取引先に対する債権・債務関係のみならず、従業員の賃金改定その他従業員に対する労働契約上の権利・義務等を含む)に関し重要な影響を与えるような変更を行わないこと。

(6) 売主の株式の譲渡承認申請について、定款の規定に従い承認を与える事。

(7) 事情変更の無いこと。

(8) (相手がいまひとつ信用出来ないときは)買主の承諾無くして、株主総会・取締役会を開催して、剰余金の配当、株式分割、新規借入、組織変更、企業再編行為、新株若しくは新株予約権の発行、担保の設定等又はこれらと同等の行為を行なわない事なども規定しますね。

○ 売主/対象会社の約諾事項

(1) 株式の譲渡承認を申請して、譲渡承認通知書を対象会社から得ていること。

(2) 売主(会社の場合)の取締役会で、株式譲渡の承認を得ること。

(3) 売主と対象会社との債権・債務・担保等の関係を解消・解除すること。

(4) 譲渡日をもって、役員(取締役及び監査役)が辞任する辞任届を取得して、買主に提出すること。

○ その他重要なこととして、株式譲渡価額にも大きな影響を与える退職慰労金の件があります。買収に伴い退任する役員とその退職慰労金については、株式譲渡契約に記載しておかなければなりませんが、決定した事項の実行(支払い)を、売主・買主(旧経営陣&新経営陣共同で)速やかに行わなければなりませんね。

○ 株式譲渡の実行日に、株主総会を開催(即日総会でもよいし、旧経営陣に招集手続きをとってもらっておいてもよい)して役員の総入れ替えを行う場合も多いですね。

また、旧経営陣からの新経営陣への重要物品(*)・重要書類(**)の引き渡し等もしないといけません。勿論会社の規模や内容もいろいろですし、一日で全部出来ないことも多いですから、売主・買主が協力して、何日もかけてスムーズな事務の移管を行うことが通常だろうと思いますが。

     法務局届出代表印・銀行届出銀行印・金庫の鍵・暗証番号(場合によってはオフィスの鍵など)―代表印等新代表取締役印を調製して変更する場合も多いですね。

** 土地・建物が主要資産の場合などは、Due Diligence等で確認した登記済証(権利書)等も再確認、その他金庫の中の重要書類(重要契約、知的財産関係書類等)の確認が必要な場合もありますね。

余談:社長室明け渡しのときに、社長さんがなじみのもの(会社の資産)をそのまま持っていく場合があります。まあ、(金額が大した事なければ)多少大目に見るのも人情ですね!

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事業経営者と投資ファンドの発想の違い

2007-06-04 00:12:18 | 企業一般

       最近のニュースを見ていると、投資ファンドが上場企業の株式を大量に取得し、更にTOBをかけたりしていますね。例えば、米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンが518日、ブルドックソースに対して株式公開買付け(TOB)を開始しました。これらのニュースを読むにつけ、事業経営者とファンドとの発想の違い、行動原理の違いというものを感じます。上場企業の経営者は、ファンドの行動原理を良く理解して、取引先などの安定株主作りをしないといけないと思います。

○ 事業家は、顧客に製品・サービスを提供して事業を拡大します。一つの事業を大きく育てるのに、一部のIT企業等を除けば5年はかかります。特にメーカ等は、要素技術の開発期間等を考えれば、まともな事業に育つまで10年はかかります。

経営者は、長期的視点が必要ですし、継続的な設備投資、プロダクトサイクル、会社業績推移を考えれば、できるだけ借金はしたくない、十分な留保を持とうと考えます。

       投資ファンドは、長期的視点に立った投資をすると言ってるファンドでも、2-3年とかの長さで考えるのが通常ですね。日経ビジネスの記事(5.21)でスティール・パートナーズの代表が、自分たちの投資は「長期的視野に立って企業価値を高めようとしている」等と言ってますが、彼らに取ってみては企業価値を高めているつもりかもしれません。しかし、視点・発想が違います。

これは、欧米のコーポレートファイナンスでは、負債(Debt)も積極的に利用しDebt-Equity Ratio(DER)を重視して、EquityROE(Return on Equity)を重視するからですね。外国投資ファンドからみれば、お金を溜め込んでいる会社は、資産の効率的利用をしていない、もっと配当をしろということだと思います。

 経営者に取ってみれば、ファンドから「配当を増やせ」「資産を効率的に利用しろ」等とプレッシャーをかけられても、「何言うてんね」ですよね。「要求だけして何が価値をあげてんのか」ですよね。

       ファンドが出来ることは限られています。企業経営など出来ません。そんな能力はありません。出来ることは、①財務リストラの手伝い(資金提供・資本/借入のDERの調整)②同業他社・相乗効果のある企業も買収して統合を計る、又は他の提携先を紹介する③経営者を見つけてきてすげ替える(但し、簡単にはそんな経営者は見つからない)の3つです。この3つのうち、せいぜい①ぐらいしか出来ませんし、株式を買い占めて要求だけする投資ファンドも多いですね。

       経営者のメインの仕事は、社会に役立つ製品・役務を提供する事業を拡大し、また新規事業を育て企業の長期的視点で付加価値を高める経営をすることです。一方、ファンドは、あくまでも短期的に利回り・IRR(内部収益率)の世界です。長期的視点で投資をしている等と言っても、しっかり儲けるチャンスがあれば、さっさと逃げてしまいます。即ち、ファンドは狩猟民族ですから獲物を食い尽くせば逃げますが、事業経営者は、経営者を交替することがあっても、農耕民族ですから田圃を捨てて逃げるわけには行きません。

       会社を上場させる・上場しているということは、農耕民族の世界に狩猟民族の世界を持ち込むことです。長期的視点の事業拡大・育成と、短期的に獲物をファンドに与える、相矛盾する発想と行動の世界に入ることですね。今までのような持ち合い・安定株主の世界が薄れて来ました。投資家も、昔は麻布自動車(渡邊喜太郎氏)・ブーピッケンズとか、光進の小谷氏、秀和の流通株買い占めなどは「私利私欲の投資」でしたが、最近はファンドです。即ち背後に、がめついリターンを要求する投資家ですが、もとはと言えば、年金基金等でみんなのお金です(ただ、今までのところは米国の年金基金が多いですが)

       事業経営者は、自分の企業の会社のビジョン・方向性、文化、発想を、機会のある毎に、きちんとIR活動をして、理解をしてもらうとともに、実績を重ねて企業価値を増大させていかなければなりません。どういう企業なのか投資家に「顔が見える」企業にして、投資家とのコミュニケーションを普段から心がけるように、安定株主を増やすようにしないといけないと思います。

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会社法―計算書類承認の意味 

2007-06-01 00:13:24 | 商事法務

       定時株主総会で、株主は、取締役の作成した計算書類を承認します。事業報告については、取締役からその報告を受けるだけですけれども。私には、この計算書類の承認の意味が、今ひとつよく分かりません。また、今度の会社法では、監査役の監査を受けた後の計算書類を取締役会で承認することになりましたね。この承認の意味もよく分からないですね。

○ 即ち、総会で承認・報告の対象となる計算書類・事業報告は、

       監査役設置会社では監査役の監査を受けたもの

       会計監査人設置会社では、計算書類について監査役(監査委員会)及び会計監査人の監査を受けたもの、事業報告については監査役(監査委員会)の監査を受けたもの

       取締役会設置会社では、取締役会の承認を受けたもの

       それ以外の会社では取締役の作成したものですね。

但し、会計監査人設置会社では、取締役会の承認を受けた計算書類につき会計監査人・監査役(監査委員会)の適法意見が揃えば、総会承認不要となり内容を報告すれば足りることとなっています(439)

       通常の企業は、取締役会設置会社&監査役設置会社が多いでしょうから、会社法4363項の規定により、監査を受けた後の計算書類を取締役会で承認することになりました。

     従来の商法の手続きに従えば、例えば3月決算会社の場合、4月下旬の決算取締役会で、決算内容を取締役会として確定して、これをしっかり監査して下さいということで監査役に提出・附属明細書も後から提出して、監査してもらっていましたね。

     これに基づき、監査役が実際どれだけ監査するかどうか別として、一応きちんと監査して、その結果を監査報告書としてまとめ、普通は適法意見をつけて、この監査報告書を添付して、株主総会で、株主の承認を得るために議案として提出し承認決議を受けていました。

     今回の会社法の規定(4633)では、監査役の監査を受けたものを、取締役会として承認することになりました。この承認の意味が分かりません。承認しない場合はどうするのでしょうか?

従来(商法):取締役会で承認→監査役に提出(*)→監査&適法意見の監査報告書→株主総会提出(招集通知に添付して参考書類として送付)→株主総会承認

* 旧商法では、例えば中会社について総会会日の7週間前までに(付属明細書は、計算書類提出後3週間以内に)監査役に提出とかの規定がありましたね。

会社法:取締役会で計算書類の作成&確定→取締役の監査役への計算書類の提出→監査&適法意見の監査報告書→取締役会承認(=この承認の意味が不明)→株主総会提示(招集通知に添付して参考書類として送付)→株主総会承認

○ 【取締役会での承認】何かおかしくありませんか?取締役(代表取締役)が作成して、それを取締役会で承認して、監査役に提出して監査してもらうというのが順序でしょ?そして監査役の適法意見の監査報告書を添付して、株主総会に承認のために提示するのが手順だと思います。

なんで、順番を逆にしたのでしょう、前後どちらでも同じという考えはおかしいと思いますね。勿論、監査役の監査で修正事項が出てきた場合は、もう一度(今度の会社法の流れである)取締役会の承認が必要だと思いますが。

       【株主総会での承認】株主総会での計算書類の承認の意味については、(学者は)計算書類の内容が正確である、会計処理に間違いがなかったという事実を株主が総会で確認する事であるとか、この承認は計算が正当であることを承認することである等と言われています。これが私には意味不明です。

     株主が帳簿閲覧権を行使して自分で調べれば、計算書類が正当であるか否かはある程度言えますね。しかし、そんなことする株主がどれだけいますか。中小規模の内紛会社ぐらいしかやらないですよね。どうして正当であると株主が言えるのですか。例えば、幹部が仲間内の飲み食い・ゴルフ代金を、得意先の名前を入れて交際費にしたり、タクシーで自宅まで頻繁に帰って、会社の交通費にしたり、取引先と組んでソフトウェアの架空発注をして、取引先と個人でコンサルティング契約結んで、一部キックバックを受け会社に損害を与えているけど「ばれていない」場合、食材調達のシェフが納入業者から高値で買い入れてリベートを個人口座に入れたり、世間ではまあいろいろありますね(最近も某NECとかで事件があったと新聞に載っていましたね)不正経理等、計算書類だけを見てどうしてわかるのですか?分かるわけないですよね。計算書類は結果表示の書類です。その作成過程で計算が少しぐらい操作されていてもわかりません。たまたま少し真面目な監査役が、いろいろ調べても、そう簡単には分からない不正経理など世の中にはいくらでもありますし、大企業など調べきれるものでもありませんね。(NECのケースは税務調査でわかった訳ですね。監査役が監査で見つけたわけではありません)

     株主としては、監査役がどれだけ真面目に働いているか分からないけど、適法意見の監査報告書も出してるのだから、少しぐらいいろいろあるかもしれないけど、「まあいいや」、計算書類に表示されている経営成績(PL)及び財政状態(BS)等について、結果としてはまあこれを認めましょうと言うことだと思います。即ち、計算書類の内容が正当・正確なので承認するということではありません。自分で調べもせず正当・正確なので承認等とどうして言えるのですか? ちょっと解釈がおかしいのではないかということですね。

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