まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

コンサルタントの起用

2018-02-22 20:46:37 | 企業一般
○ ビジネスを行っていると、自社リソースだけでは不十分、また新規分野、プロジェクトやM&Aなどの場合は専門家も不足ということで、都度専門家をコンサルタントして起用し、調査レポート等を入手することがあります。中には、コンサルタントに丸投げして、そのアドバイス通り行おうとする役員もいますね。自分の頭で考えない、コンサルタントのコメントや調査は一つの参考として利用するのが良いのですが、コンサルタントに稟議書の一部まで書かせて、コンサルタントのコメントを自分の意見のように言うアホ経営者もいますね。

○ コンサルタントは専門家とか思っている人が多いですね。専門家でもなんでもありません。ただ、日本のコンサルタントは、一般的に一生懸命やりますから、また業務着手にあたり依頼主等からいろいろ情報収集しますから、すぐに依頼主の知識レベルに行きます。私も昔コンサルタントをしたときに、有名なコンサルタントからコツを聞きました。
彼は、お客からいろいろ聞きだし、2週間でお客のレベルに達する事と言っていました。
つまり、コンサルタントは専門家ではありません。

○ 例えば市場調査など、各種データを集めてきれいに見やすくまとめて調査報告書を作成してくれます。しかし、ここに大きな間違いと誤解があります。コンサルタントは、普通の人より多少データの集め方やパワーポイントの作成が上手いかもしれませんが、一定の分野の調査レポートでは、その分野の知見があるわけでもないですね。証券アナリストのように、特定の業界・会社を常時チェックしているわけでもないですね。要するに、ポイントは、一生懸命やってくれるかどうかということ、即ち自分でも一生懸命やれば、同じようなことはできるのですね。

○ コンサルタントを起用する場合には、提案書等をみて、それなりにやってくれそうなら、自分では時間もないので、お願いすることになります。するとコンサルタントから契約書のドラフトが送ってきます。コンサルタントの契約の特徴は、

1) 善管注意義務を負って調査報告書を作成しますが、それ以外には一切責任を負わないと明記しているのが一般です。コンサルタントが責任を負わないのは当たり前でわかっているのですが、はっきり契約書に、これ以外は一切の保証は行わないと記載してと言われると違和感を覚えますね。昔、ATカニとかエビとか言う会社が、これからの商社像について、何億円ももらって会社改造のレポートを書きました。結論として、これからは、日本の商社もエンロンのような、Hybrid商社を目指すべきだという報告書を出したら、その直後にエンロンの不正・でたらめが表に出ました。調査会社の報告書というのは、その程度のものだし、責任も負いません。

2) 故意・重過失以外は損害賠償額の最大額は、受領した報酬額を限度とするという規定が入ります。まあ、これは仕方がないですね、ソフトウェア開発等の契約と同じですね。

3) コンサルタントの契約書では、その内容の一部を将来の類似の調査依頼に使えるように著作権は、コンサル会社に帰属すると明記する場合も多いですね。調査報告書の完成・交付時点で、著作権はお金を払う顧客に移転するというのが原則なのですが、まあ別に、将来類似のコンサルを受注した時のために、一部ぐらいなら流用しても良いのですが、はっきり権利はコンサル会社にありと明記する場合があります。がめついですね。権利は自分、責任・保証は負わない、お金はしっかり払えというのが一般的ですね。

○ 調査報告書は、依頼した人・部署の一部の人が読んだり利用したら、それでファイルしてしまってしまう例が多いですね。2度と日の目を見ないですね。しかしコンサルタントなら、一部を利用する機会がありますね。コンサルタントに著作権等の権利を認めるときは、その内容の一部を利用して他社から収益を得ることができますので、著作権の帰属をコンサル会社に認めるときは、必ず値切りましょう。30%ぐらい値引き要求だしては如何でしょうか。

○ M&A等の場合もコンサルタント(FA=Financial Advisor)を起用します。米国のInvestment BankやFAと同じ、米国かぶれの理屈をこねます。Fairness Opinion等も発行します。自分で経済計算しておいて、それはFairです等とよく言えたものですね。それで追加の金をとります。また、最近ではStock DealでもPPA(Purchase Price Adjustment =価格の事後調整)の条項を入れたがります。
EBITDAのmultipleと、それが適正であるかのようなDCFの数字を作って、顧客に提示します。また米国などでは、それがFAのやり方の共通言語ですから、止むを得ない場合もあるのですが、買収価格など「えいやー」で決まるのに、DA締結日からclosingまでのcash flow等をもとに、買収価格を調整する条項を入れたがります。

Closing Dateをもって、買収価格をfinalにするというのは理論的には正しいです。しかし、実務的には150%誤りです。
-えいやーで決めた価格に+/-の厳密計算して意味があるのですか?砂上に楼閣を築く考え方です。
-事後調整など、双方がいろいろ主張してスムーズに行く筈ないのが、ビジネスの常識です。
-株主総会の決議は、総会開催日の株主が議決権を行使するのが理論的ですが、世の中ではそんなことやっていませんね(米国でもrecord dateです)
GCA等に丸投げして、アドバイスしてもらって、その通りに弁護士がSPAを作成、Closing後3か月内にPPAを行うことになっていた案件が、9か月もかかってSPAの価格調整方式では行わず、両者の主張を足し算して割2、別途SPAの該当規定の部分の変更契約書を作ってやったという例を聞いたことがあります。

○ 更に、ClosingのConditions precedentにきちんと記載せずSPAのScheduleに、pending・申請中のライセンス等を、Closingの時にライセンス取得済みかどうかチェックせず、買主に多額の買収資金を払わせた例もあります。後からConditions precedentが満たされていなかったことが判明した事例ですね。勿論アドバイザーは一切責任を負いません。Closing後に買主は駐在員を派遣します。それまでは売主側の経営陣の経営です。売主は、closing時点で、再度rep & warrantyが満たされている証明書を発行しますが、ほんとに満たされているか、ここがBuyer’s repの結構キーポイントのチェック事項なのに、きちんと裏付けがあるかなどチェックしません。満たしているよと書いている書類を、形式的に渡せば売主はxx億円という買収金額がもらえるわけで、売主・買主のFAも高い報酬を手にしますね。

○ コンサルタントやアドバイザー等の言う事は、単なる参考にする、またうまく使いこなすことが重要です。任せるのではなく、「任せて任せず」ということ、起用する側は自分の頭でよく考えるという基本に従うことがお勧めですね。
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子会社への親子ローンとDES

2018-02-10 00:16:05 | 企業一般
○ 事業拡大の為に、インド等の新興国に子会社等を設立して、製造拠点を設立、製品販売に乗り出さざるを得ない状況ですね。海外で子会社を設立しても人材不足などもありますが、当然予定通り事業が立ち上がることなどありえません。ということで、事業が黒字になれば返済も可能になると考え(希望的に想像して)親子ローンを供与(インドの場合は中銀規制のECB loan)を行います。

○ ところが、これまた予定通り返せないことが生じます。先日インド関連のセミナーに行ったら、日系企業は、何年ぐらいで黒字になっていますかという質問があり、まあ数年~7年ぐらいでしょうかという回答がありました。事業計画では、普通事業開始から3年目黒字、5年で累積損失一掃という希望を書いて、社内決裁を取ります。事業に困難はつきものですから、仕方ないですが、ローンでは金利負担もありますし為替リスクもあります。やはりEquityの方が、子会社にとっては楽ですね。返済しなくてもいいですから。また日系企業では、Capital Costを算出して、一定以上のReturnを求めている企業は、多分殆どないでしょうからね。

○ 子会社の立場から言えば、借金に返済の追われるより、Equityにして、落ち着いてビジネスに専念できる方が良いですね。

○ というわけで、親子ローンをEquityにする、あるいはせざるを得ない場合もありますね。まあ、最初から多分ローン返済は無理かもというときは、Convertible Bondを低金利で子会社に発行してもらうという方法もありますが、普通株ではなく、優先株だと柔軟性ある設計ができますね。優先株の場合の利点を挙げてみましょう。

1) 株式ですから、基本利益が無ければ配当しなくても良いですね。米国などの無額面優先株だと資本剰余金等も配当できますが、配当可能利益の規制のある国もありますので、実際配当を行う時には、子会社所在の国の会社法等の規制を守る必要がありますけれども。

2) 利益がでれば償還できる償還株式=Redeemable Stockの発行も、各国の会社法で認められておれば可能ですね。

3) その他、 累積的・非累積的(non-cumulative)とか、普通株配当を行う場合にその配当に参加できる参加的・非参加的( non-participating)な優先株式もあります。

4) 米国のVenture Capital等は、がめついですから、残余財産優先(liquidation preference)の優先株もありますが、4x (times)つまり普通株株主よりも4倍も多くの残余財産分配可能な条件で投資することもありますね。

5) Convertible to common stockもできますね。即ち一定の事項があれば、優先株を普通株にも転換できる株式も発行できるというとこですね。

○ 優先株を親子で発行する場合でも、親子間で優先株発行の契約を結ぶ。そういった優先株を会社として発行するためには、その内容を定款に記載する必要があります。即ち株主総会の承認が必要ですね。でも、最近は株主総会も書面だけでできる、あるいはInternet TV等で開催すれば有効とする会社法の国が増えてきましたので、だんだんやりやすくなりましたね。

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