まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

公取による独禁法の運用

2015-11-29 20:20:51 | 社会・経済
○ 昔は、公取は吠えない狼等と揶揄されていました。最近は、少しは活躍していますね。また、国内志向だった運用ガイドラインも、外国企業との競争状態も考慮したものに改定しています。届出も、大昔は、どうでもより小さな案件まで届出義務がありましたが、最近は、一定規模以上のものにしています。まだまだ、小物の案件まで届出義務を課していますけれども。

○ 日本の公取は、アメリカのFTC等と違って人員も少ないですね。また競争法制定というのは世界的兆候なので、中国でも制定されています。きちんとしたガイドラインを外国系企業も含めて公正・公平に運用してほしいのですが、中国の場合は自国企業に有利、外国系企業に不利な運用のようですね。中国では年度検査もあり、技術支援なども契約登記をしないと外国への送金ができません。まあ、外資系企業は監視されていると、契約登記という外国技術を学ぶ(盗む)手立ても用意しているのです。マレーシアやタイなどでも、海外の影響を受けて競争法はあるのですが、ガイドラインもきちんとしていないですし、タイの独禁法当局は発動・摘発も行ったことがないですね。まあ、いいんじゃないでしょうか。

○ 日本の独禁法の規制は、私的独占の禁止、不当な取引制限、事業者団体の規制、独占的状態の規制、不公正な取引方法の禁止、下請法に基づく規制等ですね。頻繁に事案が見つかるのが、不当な取引制限(カルテル・入札談合等)、不公正な取引方法の禁止(再販売価格拘束・優越的地位の乱用等)と下請法(下請け代金支払い遅延)の規制ですね。相変わらず、大企業が下請けをいじめる例が多いですね。書面交付をしなかったり、人の派遣を絡み合わせたり、抱き合わせ販売をしたりですね。

○ 公取にはきちんと規制してほしいですが、あまり厳格にはやらないでほしいですね。例えば、商店街などで同じ製品はどの店も安売りの時を除き同じ価格で売っています。田舎の観光地など、お土産など同じ価格ですね。大都会は別として、田舎などでビジネスで競争などしたら事業が成り立ちませんね。だから、相手のマーケットは尊重する、価格もあうんの呼吸でほぼ同じ、別に相手と協定・合意をしなくてもいいんです。共存共栄の精神があればですね。これは重要ですね。日本には、1億25百万人の人が暮らしています。これらの人が生きていく一つのシステムです。

○ 従い、まあ公取もあんまり頑張らないでほしいですね(頑張れるほど人もいないけどね)。何を規制するかは簡単です。「やりすぎ」「独り占め」「新規参入妨害」を、通報システムなどで集めればいいんですね。


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中国影の銀行のリスク負担者

2013-08-01 00:17:48 | 社会・経済

 

 中国の影の銀行(シャドーバンキング)について、NHKのクローズアップ現代や日経ビジネス(722日号)などで、リスクがあるとの指摘がされています。日経ビジネスによれば、2009年末に1兆元だった理財商品の残高は、20133月末現在82000億元(約131兆円)にまで拡大したとしています。融資平台が、地方政府の指示でインフラや不動産開発を行っている。デフォールトになったときに誰が損失を負担するか不明瞭と述べています。<o:p></o:p>

 

 

 影の銀行の仕組みは以下であり、オフバランス(銀行のBS上に表示されていない)になっていると言われています。<o:p></o:p>

△個人・企業 

↑理財商品販売↓投資

△銀行・信託会社

↓投資・融資↑返済(デフォールトの可能性)

△融資平台(プラットフォーム)

↓不動産等に投資・融資↑償還・返済<o:p></o:p>

 

 

○ ○ 日経ビジネス等では、専門家のコメントが記載されていますが、肝心な点については触れられていません。なぜ銀行がお金を貸しているのにオフバランスになっているのかという点です。実は、これは銀行がお金を貸していないからなのです。<o:p></o:p>

 

・ 中国のオフバランス取引には2種類あります。信託会社が大衆向けに資産運用商品(*)を販売する信託融資と銀行が仲介を行う委託融資です。このうち資産運用(=理財)商品について、2005年には約600の販売が2010年末には約12,000まで増えたようですが、この商品は大衆向けであるところから、2010年末以降、中国銀行業監督管理委員会(=銀監会)が規制に乗り出し、急激に減少しました。従い現在は、銀行の委託融資が膨らんでメインになっていると思います。<o:p></o:p>

 

*銀信合作:商業銀行が信託会社を通じて組成された資産運用商品を顧客に販売し、その資金を不動産開発等を行っている地方政府系企業等に貸し出すこと。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 オフバランスなので銀行のBSに表示されません。しかし201012月に中国人民銀行が、「社会融資総量」規制を行い、従来把握していなかった銀行のオフバランス資産の報告義務を課し、また一部のオフバランス資産を預金準備率の積み立て範囲に含めました。

(尚、融資総量規制には、株式・債券市場を経由した資金調達を含みますが、中国では、まだこの調達は萌芽期で未発達です)。従い中国の中央銀行である中国人民銀行はオフバランス取引のボリュームもある程度把握していると思います。<o:p></o:p>

 

 

 中国では、企業が企業に融資を行うことは法律で規制されています。即ち、会社は会社に資金を貸せないのです。銀行の委託融資とは、企業が自分の資金を、銀行に委託して貸し付けるのです。銀行は、受託手数料として0.3%とか1.0%とかを乗せて企業に貸し付けますが、リスクは自分の資金を貸し付ける貸付者が負います。即ち、銀行の業務収益は受託料であって融資額ではないのです。ですからオフバランスにできるのです。<o:p></o:p>

 

 

 過去の有名な例は、広東省政府系の広東国際信託投資公司(GITIC)の破綻があります。でたらめな投資、オフバランス取引を行い、1998年に中国人民銀行の命令で閉鎖されました。資産215億元、負債363億元でした。破たん処理は、個人に対する未払金は元本返済だけ(金利は対象外)、その次は未払賃金、社会保障福祉費、税金に充当し、法人債権者には貸付元本の12.5%のみ返済。即ち、87.5%が切り捨てられたわけです。その法人債権者は外国債権者、多くが日本の銀行でした。当初、地方政府系でもあり、政府が面倒を見るという甘い見方をしていた日本の銀行は、バッサリ切り捨てられたわけです。この時期19972000年に、人民銀行により閉鎖を命じられたのは、他に中国農村発展信託投資公司、その他の投資公司等があります。当時の債権者=貸付者は外国の銀行でしたが、現在の委託融資の貸付は中国で早めに大都市で不動産業等を行い儲けた企業等かもしれません。<o:p></o:p>

 

 

 リスク負担は、一次的には余裕資金などを銀行経由委託融資している企業が負います。これが中国発金融危機に発展するかは、シャドーバンキングの実態をある程度つかんでいる人民銀行が、他山の石としての日本のバブル時代の融資、米国のサブプライムローン等の違い・状況をよく研究し、合わせて中国経済の冷え込みをきたさない様にしながら、先手先手と手を打つかどうかということになると思います。<o:p></o:p>

 

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会社は誰のものかを考えよう

2012-06-02 11:01:31 | 社会・経済

 

 米国では会社は株主のものと考えられていますね。また、純資産のことをShareholder’s EquityとかShareowner’s Equityといいますので、日本語にすると株主資本ですね。2005H17.5.27に公表された、企業価値研究会の「企業価値報告書」では、「会社は誰のものかという意識の変化」(報告書P17以下)について記載されています。それによると我が国の会社法制を基にして考えると、法律的には、株式会社は株主のものであることは言うまでもない。しかしながら、会社は、従業員や地域社会など、既に会社に対して関係投資を行っている、いわゆるステークホルダーのものでもあり、どちらも真実であると言える。 日本においては、従来から、会社は株主のものというよりも、むしろ従業員や取引先、地域社会といったステークホルダーのものであるという考え方が強かった。 例えば、95年に発表されたある調査によると、「会社は誰のものか」という質問に対して、米国では約8割弱、また、英国では約7割の者が「株主」と回答したのに対して、大陸欧州諸国のドイツやフランスでは、約8割の者が「ステークホルダー全て」と回答していた。また、日本においては、97%の者が「ステークホルダー全て」と回答していた。しかしながら、10年たった今では状況は大きく異なっている。今年3月、日本経済新聞社が行った経営者と市場関係者を対象としたアンケートによると、「会社は誰のものか」という問いに対して、経営者と市場関係者の約9割は株主のものであると回答しており、アンケート結果によれば、「会社=株主のもの」という考え方が日本においても重視されるようになってきている。」<o:p></o:p>

 

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 企業価値研究会報告書では、りっぱな先生方などの討議を経て作成された割には、「買収防衛策導入」という意思のもと、予断や英米偏重の一部の偏狭的な考えをあたかも普遍的なことであるような言い方をして、十分な検討を行うこと無しに猿まね導入しております。ではどんな点が問題なのでしょうか。

1) 「法律的には、株式会社は株主のもの」:会社法に会社は株主のものであるなどという規定は存在しません。米国などの考え方を疑問に思わす、深く考えもしない法学者等が言い出したことでは無いでしょうか。もっと基本的なことをしっかり考えて議論して欲しいと思います。例えば、所有ではなく、株主権をゴルフの会員権みたいな構成・理論建てすることも可能なのではないでしょうか。

所有権というのは、民法学者は「物を自由に使用・収益・処分する権利」のことですと言っています。株主は会社の財産を自由に処分できますか。勿論出来ません。収益も、その会社の取締役に経営を託して得ます。また株主は自分の払込んだ資本を処分する権利も、変形として解散決議としてはありますが、直接の処分権はありません。どうしてこれで、会社は株主のものなどという理屈がなりたつのか不思議です。基本的なまた本質的な事を究める姿勢の無い法学者が勝手に言っていることです。全く怠慢としか言いようがありません。<o:p></o:p>

 

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2従業員や地域社会など、既に会社に対して関係投資を行っている、いわゆるステークホルダーのもの」:この言葉はでたらめです。従業員は労働力という資源は提供していますが投資はしていません。地域社会も投資はしていません。結局ステークホルダーのものと言っても、その中心はその会社の、役員だけではなく、役職員全てのものと考えるべきではないでしょうか。<o:p></o:p>

 

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3) 経営者と市場関係者の約9割は株主のものであると回答:アンケートの分母が違うものを意図的に持って来ていますね。会社は株主のものということを正当化するために、意識的に自分に都合のよい統計を持ってきただけです。こういった経産省の役人の意図的な操作を真に受けてはいけません。企業の経営者も、建前として「会社は誰のもの」と聞かれれば、一番波風が立たない株主のものと答えます。しかし、日本では、経営者も内部昇進ですから、本音で言えば、自分たちが育ててきた会社、役職員の会社と言うのでは無いでしょうか。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

 「会社=株主のもの」という考え方は、英米の発想であり、世界共通のものではないのです。誤った考え方です。全く、その会社で働く役職員を無視した非常識な考えであり、この非常識を常識と考えている人が多いのはおかしいし改めて欲しいと思います。会社で働いて、利益を上げているのは、その会社の役職員です。その役職員が知恵を出し努力して取引先・お客さんの要求に応えて汗で稼いだ利益が、どうして株主のものになるのでしょうか?株主には、出資の対価として配当が分配されます。それでいいのです。株主でいることがイヤならマーケットで売却すればいいのです。「会社=株主のもの」というのは、アメリカの奴隷制度の発想と同じです。奴隷が稼いだものは雇い主(奴隷の所有者)のものとする考え方です。こんな不公正な考え方はありません。<o:p></o:p>

 

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 しかし、米国でも1974年のERISAEmployee Retirement Income Security ACT=従業員退職所得保障法)発足を引き金とし、急激に労働者が拠出する年金基金などが株主として登場しました。従い、奴隷であった労働者が回り回って株主側にも立って来たのです。従い、結果として奴隷でもあり投資家でもあるという二律背反の地位を獲得してきたのです。<o:p></o:p>

 

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 しかし金融が暴走し米国の市場原理主義の価値観は、金融危機で崩壊しました。この反省に立ち、今までの考え方を反省し改めるべきなのに、改まっていないのは如何なものでしょう?市場原理主義でも、また欧州の産業民主主義でもいいのですが、究極の目的を考え「人々に金銭的な面から公正妥当に幸せを与えるもの」という点を根本的な出発点とすべきです。会社は株主のものと考えるのは公正妥当ではありません。日本の猿真似学者、経営者、市場関係者、専門家が、この役職員・労働者の貢献と利益を無視する発想に染まっているのは如何なものでしょうか。米国でも、健全な常識を持っている、ジョンソン&ジョンソン社=J&Jなどは、こういった考えは持っていません。<o:p></o:p>

 

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 ①日本では、企業は持ち合い株式が減ったとは言えまだ持ち合いが行われている。従いお互いステークホルダーの物と言ってもお互い様ということもあります。結局会社は、その会社で働く役職員のものと考えるのが良いのではと思います。②日本では、経営者はその次の経営者を指名します。米国で時々見られるように株主指名の社外取締役がCEOなりを指名する構造にはなっておりません。③また年金基金の運用はまだまだ国債なので債券中心であり、株式が中心になっていない。即ち労働者=究極的には投資家・株主という構造にはなっていなないのです。こういった根本的な構造の違いを十分考察すること無しに、会社は株主のものという、英米の浅薄な不公正な考えをそのまま持ちこんだ、浅学寡聞の学者・経営者・資本市場関係者の間で一般化していることがおかしいのです。<o:p></o:p>

 

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 ○ 会社は、そこで働く役職員一同のものです。会社は、役職員の貢献に答える十分な給与・福利厚生を充実し、役職員の競争力・モラルアップを計り、一層の付加価値を作り出す力を持ち、世界のメガコンピティションに対抗できる会社を作る必要があるのです。その基軸に「会社は役職員一同のものであり、役職員に金銭的な面と遣り甲斐という精神面から幸せを与える組織」という認識を持つことが重要だと思います。

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中国市場は大変異乱躁

2011-10-16 18:05:33 | 社会・経済

○ 今回は前回に続いて「VCのベンチャーへの種類株投資②」を書く予定でしたが、突然気が変わって中国市場の攻略のヒントを書くことにしました。これは中国ビジネスのコンサルタント会社である華鐘コンサルティングが発行している日刊「華鐘通信」の10月13日号に掲載されている記事からの引用です。

○ 中国市場を攻略するには、中国市場の特徴をまず把握することですね。
① 中国市場の基本的な特徴は以下であると言っています。
 (1) 地域が広範で、市場空間が広く、機会が多く、前途は巨大。
 (2) 変:発展が速く、変化が速く、政策の変化が多い。
 (3) 異:地域差、産業毎の差、体制の差、営業販売の水準差などが極めて顕著。
 (4) 乱:法律や制度が充分には整っていない、偽造・模造や権利侵害が時に発生、
     市場の秩序の乱れ、商業上の信用や商業倫理が普遍的に欠乏している。
 (5) 躁:短期的な行為が多く、市場の過熱や過冷、過度な競争を引き起こしてしまう。

○ 中国市場は、ひとつの国に複数の市場、複数レベルの市場があります。地理上で区分しただけでも、顕著な違いのあるエリア、市場がたくさんあります。また、農村から中心部の都市にいたるまで、4段階の異なる市場に分けることができ、それぞれの市場にて異なるマーケティング戦略が必要ですね。
4段階の市場とは、以下ですね。

 ・ 一線市場上海、北京、広州、天津等の大都市
 ・ 二線市場:南京、杭州、合肥、済南等の省都

 ・ 三線市場:蘇州、徐州、常州、温州、寧波、金華、湖州、嘉興等の地級市
 ・ 四線市場:余姚、常熟等の県級市

変化が多く複雑な、転換途上の市場において、西側諸国の市場における営業販売理論や戦略、方法をそのまま持ってきても、なかなか成功には至りません。

○ この特徴を踏まえ、中国市場攻略のキーポイントとしては「正確で効果の高い情報の把握」がまず必要との事。
フィリップ・コトラーは、『営業販売は情報量により変化するものであり、販売力によるものではない』と語っているようです。中国のような複雑で変化の多い転換途上の市場においては、マクロ環境、産業や市場の現状、ライバルの状況、前人の成功と失敗の経験等の情報を正確に効果的に把握して初めて、市場のトレンドを追って営業販売の機会を手にすることができるとのことです。

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企業価値研究会報告書の根本的誤り

2011-08-21 12:47:59 | 社会・経済

 

 著名な学者や実業界・M&A業界関係者などを委員として、企業価値研究会が発足し、いくつもの報告書が出されました。これらの報告書を参考にして、多くの企業では無批判に、殆ど発動もされない買収防衛策が導入されたりしました。またMBO報告書等は、健全な常識に立てば当たり前の事しか書いていないのですが、裁判官もよりどころがないので、この報告書を読んで裁判の判断を下しているのも見受けられる様です。私はいくつかの報告書を読みましたが、違和感を感じました。一言で言えば、アメリカの価値観が前提になっているし、その偏狭な発想から抜け出ていないということです。具体的には以下ですね。

【根本的誤り】

 「企業価値」の定義。

  市場原理主義は善である。

  会社は株主のものである。

 「企業価値」の定義。

H17.5.27に公表された企業価値報告書では、企業価値とは、「会社の財産、収益力、安定性、効率性、成長力等株主の利益に資する会社の属性又はその程度をいう」、換言すると、会社が生み出す将来収益の合計とし、株主に帰属する株主価値とステークホルダーなどに帰属する価値に分配されるとされています。どうして将来収益の合計なのでしょうか?どうして「株主の利益」と言っておきながら、換言すると、付け足しのように「ステークホルダーなど」と、言うのでしょうか?

米国かぶれの単細胞的発想である「将来キャッシュフローの現在価値の総和」であるとの考えです。これは間違いです。どうして将来収益ですか?右肩上がりの経営計画を立てて、獲得できるか不明の将来のフリーキャッシュフローの現在価値が企業価値だという発想です。

私は、「企業の存在根拠は社会への貢献であり、価値とは現在の貢献度・大きさである」と考えています。敢えて数量化すれば、その会社の生み出す「付加価値額」です。付加価値額ですから、営業利益や人件費等を含みます。従業員を減らし人件費を削減して利益を生み出し、株主への配当を増やす企業が、どうして企業価値のある企業と言えるのでしょうか。企業価値研究会のコアであり出発点である企業価値とは何かという、一番肝心のポイントが間違っているのです。

 市場原理主義は善である。

ドイツのシュミット元首相は、もう12-13年も前に、市場原理の抑制が社会の安定に必要であると言われていたようです。(福島清彦著 ヨーロッパ型資本主義 講談社現代新書)。「間違った米国流の新しいイデオロギーがある。その一つが「株主の価値」である」「株主のための価値極大化が推進されると、会社の顧客、同僚、会社の従業員に対する責任がとれないという危険があることを確認しておかなければならない」「いずれにしても、二つの基本的な認識を見失ってはならない。第一に、社会で進行する超高齢化時代にあっては、超福祉国家を作ることはできないこと第二に、「勤労する貧困者」という新しい下層階級を出現させてはならないことである」「従って、ヨーロッパ大陸の産業民主主義国家ではアメリカ的な見本は問題外である」等ですね。

米国流の市場原理主義は、リーマンショック後、悪であるような批判が起こりました。私は悪とは思いません。市場原理の抑制が重要であり、その功罪をきちんと見極める事です。それが報告書には反映されていません。言ってみれば、市場原理とはビールです。ビールをかき混ぜ泡が異常に膨らんで消えたのがリーマンショックです。ビールは液体が詰まっていないとおいしくありません。また液体だけでは、経済が活性化しません。適度の泡が必要です。即ち市場原理の抑制が必要なのです。企業価値の視点から言うと、株主中心で、企業価値を考えてはいけないという事です。

  会社は株主のものである。

株式の保有者は株主ですが、株主が会社を保有する等という規定は会社法にはありません。どうして会社が株主のものなのですか?株主は企業価値を生み出しますか?企業価値を生み出すのは、その会社の役職員の汗と努力と情熱です。株主ではありません。勿論、株主と提携、その資源と相互補完・相乗効果のある事業を行い、企業価値を増大させることがあることは承知しています。しかし、企業価値を生み出すのは株主ではありません。従い企業価値の増大・成果を享受するのは、株主だけでは無く、企業の全てのステークホルダーなのです。会社が株主のものである等という発想は、米国の投資銀行や数字の儲けを追求する機関投資家等の利己的な発想です。企業価値研究会の委員は、こういう発想をもった人たちを集めて、報告書を作成したのです。日本の企業社会に関係する多くの人の一般的で健全な認識とは違うのです。

米国でも、立派な企業は、健全な常識を持っています。例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)です。J&Jのコアバリューは「我が信条(Our Credo)」です。企業理念・倫理規定として、J&Jが果たすべき4つの責任とその対象を明確にしています。

第1の責任は、製品・サービスを使用してくれる顧客に対する責任。第2の責任は、社員に対するものであり、社員は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められ、社員は安心して仕事に従事できなければならない。待遇は公正かつ適切で、働く環境は清潔で、整理整頓され安全でなければならない。第3の責任は、我々が生活し働いている社会に対するものである。良き市民として、有益な社会事業・福祉に貢献し、適切な租税を負担する。我々は社会の発展、健康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。我々の第4の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。事業は健全な利益を生まなければならない。我々は新しい考えを試みなければならない。研究・開発は継続され、革新的な企画は開発され、失敗は償わなければならない。新しい設備を購入し、新しい施設を整備し、新しい製品を市場に導入しなければならない。逆境の時に備えて蓄積をおこなわなければならない。これらすべての原則が実行されてはじめて、株主は正当な報酬を享受することができるものと確信する。

 経産省・役所の研究会報告等は、一定の方向に誘導しようとするものです。そのまま鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えるのです。考えることが重要なのです。

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NPOを株式会社・合同会社で設立する

2010-01-03 22:25:20 | 社会・経済

       最近環境、国際協力等様々な分野でNPO活動が活発になって来ており、またその重要性が増しています。しかし、多くのNPOが法人格をもたずに任意団体として活動しています。しかし法人格を持たないと、いろいろ不便です。事務所を借りたり、銀行口座を開設したり、物を購入するのも、理事長名義になります。また理事長が交代したらその変更手続きも手間です。法人格を持つと団体名で法律行為ができますので便利ですね。

       政府も、NPOの重要性と意義を認め、NPO法人(特定非営利活動法人)の設立促進を諮るため、特定非営利活動促進法(H10年施行)を制定し支援しています。しかし、実際はなかなか手間がかかるようです。

設立の申請書類だけでも12種類(①設立認証申請書、②定款、③役員名簿、④就任承諾書、⑤社員名簿、⑥確認書、⑦設立趣意書、⑧設立意思決定を証する議事録、⑨⑩初年度及び翌事業年度の事業計画書、⑪⑫初年度・翌事業年度の収支予算書)あります。これら書類は出せば終わりではなく、翌年度からも同様の書類・変更等の届出、定款変更の認証申請・届出を行わないといけません。余程しっかりした組織でないとやっていけません。

詳しくは、内閣府 NPOホームページ↓ 設立及び管理・運営の手引き ご参照  http://www.npo-homepage.go.jp/found/npo_guide.html

  

○ 税法上の認定NPO法人になれば、個人の寄付金は寄付金控除の対象に、また法人では、通常の寄付金の損金算入限度額に加えて別枠で損金算入ができる等、また当該法人についても収益事業から得た益金から収益事業の損金にプラスアルファの損金算入ができるというメリットがあります。でも、NPOで収益事業を行って課税所得のあるNPOってどれだけあるのでしょうか?まあ、殆んどないでしょう。

       ということで、こんな邪魔くさいことするなら、株式会社の形式を使ってNPOを作ったらどうでしょうか。まあ、会社設立登記、税務署等への設立届けと変更時の変更届は必要ですが、経理さえきちんとすれば、大丈夫ですね。物を販売したりしているNPOも多いですが、活動資金の一部であり、利益を上げているところなどまずないでしょうね。課税所得もまず発生しないので税金を納めることもないでしょう。但し、固定資産税、住民税の均等割り、事業税の外形標準の部分については少し納める必要がありますけれどもね。

       運営については、具合的には以下等が考えられるでしょうね。思い付きですけど。

・ 定款の目的NPOの目的を記載しておけば良いですね。

     役員:代表取締役理事長・総裁でも隊長でもご自由に、取締役理事とか適当に作ればいいですね。

     会員NPOは会員制ですね。しかし株式会社という形式を利用したら株主ですね、合同会社なら社員ですね。

     会費の徴収:新株予約権を理事長なりに発行しておいて、新規会員にはその予約権を譲渡して予約権を行使して払込をしてもらう、これを会費の払込とすれば良いですね。翌年からもその新株予約権を行使してもらって会費を毎年納入してもらうわけですね。

変更登記が少し手間ですけど、会員募集を一定の時期にして、登記の回数を減らせばいいですね。

     株主(会員)の権利:会社法105条には株主の権利として、1)剰余金配当を受ける権利、2)残余財産の分配を受ける権利、3)議決権が規定されています。1)&2)の両方を与えないのは会社法違反ですので、形式的に与えておけば良いですね。NPOですから所詮は利益など出ませんからね。

こんな感じでしょうか。NPOを設立しやすい株式会社(あるいは合同会社)で設立するのも手だと思いますが、如何でしょうか。

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企業の目的と存在意義

2009-12-30 21:36:42 | 社会・経済

     今回は重たいテーマですね。企業の存在意義とは何か、また誰のために存在するかです。会社は株主のモノなどという軽薄な事を言う人が多くいます。政府の企業価値研究会でもそんなレポートを出していましたね。困ったものですね。株主は出資者ですが、資本金・準備金の額の減少を行わない限り、資本金・準備金は戻って来ません。出資の時点で株主の手から離れているのですね。分配可能剰余金(主としてその他利益剰余金)が生じれば配当はありますけれども。会社は、株主と役職員のものですね。株主のモノなら株主の自由にしていいのですか?そういう訳にはいかないですね。今の一部上場の大企業(創業者・オーナー型の会社以外)で株主が会社の方向性・方針を決めている会社がありますか?自分のモノなら自分で方針を決めるのが当たり前ですが、そういった事もしませんね。ところで、雑談はやめて、本題に入りましょう。

     企業の第一の目的は社会への貢献です。企業価値とは、社会への貢献の度合いです。具体的には顧客に有益なモノ・サービスを提供する事です。顧客が、モノ・サービスを購入してくれるから売上が計上出来ます。企業が成り立つのです。売上の計上できない企業はすぐに潰れます。当然です。これが基本であることは明らかです。また、モノ・サービスを提供するには、それなりに仕入などをしないといけません。仕入元にとって自社は顧客です。これの様々な組み合わせと循環で多くの企業、ひいては企業社会が成り立っているのです。ビジネスというのはGive & Givenです。モノ・サービスを提供(Give)するから、それの正当な対価としてお金がもらえるのです(Given)Give & Takeだとか、Win Win等という言葉を言う人がいます。ビジネスを分かってない人が言う言葉です。顧客によりよいモノ・サービスを提供し続けるには、モノ・サービスの質を高め、コストの低減を計り、利益を出しビジネス・企業を存続させる必要があります。

② 企業の第二の目的は役職員の雇用です。モノ・サービスは誰が提供するのでしょうか。企業で働く役職員です。コストの低減を計り、利益を出し、よりよいモノ・サービスを生み出すのは、株主ではありません。その企業の役職員です。役職員が人間的に成長するから企業の成長があるのです。従い、社長や役員は、職員が人間的に成長できる風土・文化を企業に植え付ける事が重要です。役職員は尊重され、安心して仕事に従事でき、処遇は公平であり、応分の報酬・給与が与えられ、健全な家庭を持つことが必要です。

 

     企業の第三の目的は継続性です。企業は、常に顧客が購入する、新しいモノ・サービスを継続的に提供する必要があります。これにより、継続的に売上が上がり、継続的に役職員を雇用できるのです。そのためには、企業は健全な利益を生まなければなりません。利益を生むことにより、研究開発、設備投資、新製品・新サービスが提供出来るのです。利益を生まない企業は、すぐに消えて無くなります。利益をきちんと確保することにより、法人税等の租税を支払い、国や自治体にも貢献できます。

上記を満たしたときに始めて、企業は株主に配当をすれば良いのです。継続性があるから配当も継続されます。上記①は会社法では債権者保護の切り口で規制しています。②はPLの視点で言えば費用ですね、主として労働法で規制されています。③は経営です。創業は安く守成は難しといいます。継続性というのは難しいことですが、これが重要ですね。

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学者型技術者&どぶ板型技術者

2009-09-01 01:08:16 | 社会・経済

       今回は、ちょっと変わって技術者の話です。私は技術者ではありませんが、技術の事業化会社の役員(常勤の代表取締役)を数年やったことがありますので、その経験なども踏まえて、技術者像を書いてみようかと思います。

○ 技術者は2種類に分けられると思います。学者型技術者どぶ板型技術者です。

  学者型技術者は、先端技術の研究を行い、学術論文を発表して学会で認められたり、大学の先生と共同研究したりします。でも先端技術ではお金になりません。ビジネスとしては成り立たないのですね。この先端技術が実際に世の中に広まり役に立つのは、7,8年から15年先の話ですしかも、花が咲くのは千三つとはいいませんが、百に3つぐらいでしょうか。でも大当たりは千三つぐらいかもしれません。

こういった先端技術を事業化しようとしても無理ですね。せいぜい政府の独立行政法人からの仕事や研究所との共同研究ぐらいしかビジネスになりません。継続性もマーケットもありません。先端技術や特許の事業化というのも道は千里で、先が見えません。

産業革新機構が出来ました。新銀行東京は見境無くでたらめ融資をしましたね。産業革新機構は、どういった投資をするのでしょうね。ベンチャー企業へのお金という点では、融資でも出資でもリスクマネーとしては殆どかわりませんね。

「機構の成否を握るのは先端技術の目利き能力」であり、能見社長は「出資企業や創業支援推進機構や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などと協力して取り組んでいる」と言われています。どうしてこういった組織に目利き能力があるのでしょうかね。あるわけないでしょ。

また、投資銀行やファンドで投資経験を積んだ人材を採用しているようですね。まあ彼らは、「とらたぬ投資計算」は得意ですが、技術会社への投資眼というのは、人によって少し違いますが、おおざっぱに言えば「下手な鉄砲でも数打ちゃ当たる」ですからね。産業革新機構も、融資ではなくEquity投資で第2の新銀行東京みたいになるのでしょうかね?私が役員をやっていた会社にもベンチャーキャピタルからいろいろアプローチもありましたが、WEBを読んで理解もできないファンドマネジャーには会いませんでしたね。時間の無駄ですからね。もっともfinancial investorを入れるつもりは最初からなかったですけどね。

目利きが出来る人とは企業の一線で活躍してお客さんと接している技術者ですね。時代の方向性を感じ取ることができる人です。NEDOで研究論文書いたり読んでいる学者型技術者には無理でしょうね。例えば、デジタルカメラの目である半導体のCCD(Charge Coupled Device)の将来性にいち早く目を付け人材・資金を投入したソニー元社長の岩間和夫みたいな人ですね。CCDの発明自体は日本ではありません。米国のベル研究所が69年に発明しました。 しかしソニーは70年から研究開発を開始し78年にやっとCCDカメラの開発に成功しました。8年がかりです。大変な苦労です。

東芝でフラッシュメモリーが発明されたとき、誰が注目しましたか?あるいはAT&Tでトランジスタが発明されたとき誰が注目しましたか。AT&T20世紀で最も革新的で価値ある発明の使用権をタダ同然の2万5千ドルで売りましたね。目利きと言われる人の言うことなど殆ど当たりません。

       どぶ板型技術者について言いましょう。こういった技術者が技術関連ビジネスを作り、広めるんですね。時間軸としては、それでも初期の製品が完成してマーケットに受け入れられ始めるには、まあ3年ぐらいはかかりますね。

どぶ板型技術者は、基本的には顧客志向です。顧客のところに行って自社技術・製品の売り込みをします。でも、簡単に採用などされません。予算も今あるわけでもないですね。

顧客の声に耳を傾け、地道に改良します。しかも特定顧客だけの無理難題を聞いたら汎用性がなくなります。こつこつ製品の改良を重ねて、2-3年ぐらい立てば、トンネルの出口が見えます。そして徐々に製品を買ってくれる顧客が出てきます。

どぶ板型技術者の用いる技術は先端技術ではありません既存技術の組み合わせと改良です。ですから、顧客にも受け入れやすいのです。自分だけではなくいろんな技術の得意分野をもった技術者が必要ですがキー技術者がいれば、その人の下が数人-10人ぐらいは、普通の能力の技術者を雇えます。そういうグループを徐々に広げて行けば、少しは雇用にも貢献します。どぶ板型技術者が顧客の声をもとに改良すれば、顧客に喜んでもらえます。喜んでもらえるということは、社会の中で必要とされるのです。即ち、それに対してお金を払う人が出てくる即ちビジネスとして成り立つということですね。

どぶ板型技術者を見つけて、製品改良の資金を提供するのがベンチャーキャピタリストの役目です。

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産業革新機構について その②

2009-08-08 00:35:47 | 社会・経済

前回に引き続いて、産業革新機構についてです。今回は、投資対象と、投資の意思決定機関の産業革新委員会という、投資対象評価等出来る筈の無い集団無責任機関の「産業革新委員会」について述べます。

●投資対象:投資対象として以下の3つが書いてありましたので、それぞれについてコメントします。

     大学の特許の事業化:独立行政法人の科学技術振興機構(JST)は、大学発ベンチャー創出推進を行って来ました。「大学発ベンチャー」と言っても、実際は、大学の先生とベンチャー企業等が共同で申請して研究開発費等を受領していますので、民と学との協力による特許・技術の事業化ですね。

かなりおこなわれているようですが、全般的にはそれ程目立った成果は出ていないのではないでしょうか。大学発技術の展示会などでテーマを見ても、ちょっとRemoteというか、実用化という視点がないのが多いですね。社会に役立つ技術というのは、お客さんが興味を示し買ってくれる可能性のある技術・特許ですね。厳しい言葉で言えば、自己満足・唯我独尊では社会に貢献しませんね。

有力な特許を取得していても、それが事業化に結びつくと考える事自体、全く技術の事業化を理解していない人の発想ですね。仮にコアの特許を取得しても、事業化をするためには、関連特許、周辺特許を押さえないと事業化等出来ません。そんな周りの特許まで大学で取得している例を私はあまりしりません。大学には、そんな周辺迄開発できる人材、時間、技術、人(大学院生等)の継続性はありません。特許を元に要素技術のいくつかを開発しても、事業化の道のりは長く険しいですね。

でも成功例が無いかと言えば、少しはあります。筑波大学山海教授のロボットスーツの会社、サイバーダイン株式会社(http://www.cyberdyne.jp/index.html)ぐらいでしょうか。これも一朝一夕に出来た訳では無いですね。いろんな技術の組み合わせの成果ですね。20年間のロボット技術研究の成果です。こういう将来性の明るい会社には、多くの企業がお金をもって集まります。官民ファンド等のお世話は、大きなお世話ですね。

大学発ベンチャーは、山ほど出来ましたね。補助金を売上計上して、売上がたった等という馬鹿げた事も行われています。大学院の学生の事業化・企業化もありました。ただの事業遊びですね。かなり消えました。そんな大学院生の開発するおもちゃでどうして事業として存続・発展できるのですか?

     技術力はあるが資金の無いベンチャー企業

例えば、バイオベンチャーが一時はやりました。大学の先生が関与したベンチャーもありました。いくつかのベンチャーには金が集まりました。技術力があるのでお金が集まったわけですね。今は、これらベンチャーの話はあまり聞きません。たまに聞いても、累積損失が一杯の事業の現状の話です。

技術力がないと話になりませんが、それが売れる技術か、買ってくれる人がどれだけいるかですね。お客さんがいて始めてお金がもらえて事業として成り立つわけですね。

技術力があるかないかという視点がおかしいのです。要するに売れる技術を持っているかどうかなのですね。しかし、他にまねされない売れる技術の確立には短くて数年から10年ぐらいかかります。この産業革新機構というのは、成功するかどうかわからないのに、5年―10年ベンチャー企業を支えられるのですか?非常に疑問ですね。

ベンチャー企業が手がけられる事業分野は限られています。当然装置産業や製造装置製造等はかなり無理ですね。設計分野、ソフトウェア等の分野でしょうか。数少ない成功例として液晶=FDP関連半導体のファブレスメーカーのザインエレクトロニクスがあります。創業は91年です。時代の波に乗った、受託設計・下請けからスタートした、雌伏のときが10年弱あった、そうして花が咲いたわけですね。

技術力はあっても成功しない企業の数の方が多いですね。つまり投資をしても普通は失敗例の方が多く、しかも失敗の事例が先に出てくるという事です。失敗事例が山ほどでてきても産業革新機構は、諸々の批判・政治的圧力に耐えられるのですか?

     同業他社の特定部門を一本化して新会社設立

まあ、わかりやすい事例としては、日本で唯一のDRAMメーカであるエルピーダメモリ等ですね。NECと日立のDRAM部門の統合会社ですね。マイコン・ロジック等のシステムLSIメーカのルネサステクノロジは日立と三菱電機の合弁企業ですね。

これらは、民間が主導してやったのとエルピーダ等は経営者に恵まれてなんとかやって来られたのです。

産業革新機構が絵を書いて、一本化出来ると考えるのが間違いですね。今までに政府主導でそんな事出来ましたか。まあ、将来性の無い企業等は出来るかもしれませんが、それでは税金の無駄使いですね。

こんなこと考える前に、多くの独立行政法人の重複・類似部門を一本化して統合して欲しいですね。自分の傘下の独立行政法人の統合・整理もろくに出来ていないのにね。

    産業革新委員会

  投資の意思決定は産業革新委員会が、収益性や事業の公共性等を精査して決めるとの事。メンバーは、委員長として科学技術振興機構の吉川研究開発戦略センター長、メンバーとして新日鐵の三村会長等が委員になるとのこと。

  りっぱな人を揃えて権威を持たせて、如何にも慎重判断で決めた振りをするスタイルですね。委員会を開催して、ファンドマネジャーの作成した投資プロポーザルを読んで、差し障りの無い質問をいくつかして、何となくうまくいくかもしれない、あるいはよく分からないけどまあOKと言うのでしょうね。

  技術は、一つ隣の分野だともう分かりません。ましてやその技術・製品が将来大きく成長する等、判断の段階で分からない事が多いのです。収益性を精査と言いますが、投資プロポーザルは、ファンドマネジャーが右肩上がりの事業計画を作ります。そういった数字を並べて、如何にもそのように成長するかのように思うようになるのです。これが間違いなのです。

  投資判断は、直接ベンチャー企業の社長に会って話して、この社長なら信頼できるか、事業をやり遂げる情熱があるか、Andrew S.Groveが言うように、Only the Paranoid can surviveParanoidかどうかを自らチェックして、この人なら事業を大きくできるオーラがあるとか、そういった感触や理屈で説明出来ない事が結構重要なのです。自分の事業の事なら、しゃべり出したら半日でも、真夜中まで話し続ける人かなどですね。当事者にも会わずに、委員会室で書面だけ読んで判断するという事なら、投資判断はやめて頂きたい。

  投資を決定する委員には、自らの判断に責任を持って欲しいです。自分がYESというなら自分のお金を100万円その企業に出資して下さい。将来何倍にもになって戻ってくるかも。

 ベンチャー企業投資は、10件投資してうまくいって2―3件が成功ですね。2-4件が失敗。後は泣かず飛ばずですね。委員には、権威ある人ではなく、ベンチャー企業を興して成功した人等にやってもらいたいですね。

 

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産業革新機構について その①

2009-08-02 20:28:40 | 社会・経済

       前回、産業革新機構=「官民ファンドは税金の無駄遣い」と言いました。その具体的な例としてIPA=情報処理推進機構をあげて説明しました。その後725日の日経新聞に追加の記事が出ていました。私は、技術の事業化を数年やっていましたので、その経験なども踏まえてコメントしてみましょう。

       出資者「官民ファンド」と言われますが、実質政府ファンドですね。政府の経済活性化の一つの施策としてのファンドです。但し、政府出資のみでは、大儀も不足がちですし、成功可能性等に疑問も出る可能性もありますので、有力企業にも出資してもらって挙国一致の振りをしています。政策投資銀行は10億円ですが、各出資企業は5億円で、政府出資の820億円と併せて全部で905億円ですね。各企業はただの「おつきあい」です。企業にとってはただの5億円、何の真剣さもないし、金額もはした金ですので、寄付金みたいなものですね。

       人材:新聞によれば「財務面だけでなく、技術の目利きや販路開拓などの経験が豊富な人材が必要になる」との事こういう発想は全く表面的です。事業化ができる技術かどうか、その目利きが出来る人材というのがどういう人かわかっていませんね。

例えば、業務外の闇研究でフラッシュメモリを発明した元東芝の東北大学名誉教授の桝岡さんの場合、フラッシュメモリ発明当事、その将来性に技術会社の東芝は気づきませんでした。安くインテルや韓国サムスンに技術供与してしまったのではないでしょうか。あるいは、半導体ステッパーでも、これ以上は物理限界で製造不可能等という結論をだして開発を辞める理論を論文で出している、優秀な?技術屋もいます。目利き等の言うことは当たりません。

では、技術の目利きが出来る人がいるのかですが、少しですがいます。それはいろんな問題を改良しようと意欲的な顧客側にいるのです。新規技術を採用すれば、技術・製品が改良できるか真剣に考えている人達ですね。一般的に技術屋は非常に保守的で、新規技術・革新的な技術の採用をためらいます。

当然です。例えば製造技術等は、生産性向上・効率化では、現在の技術の改良しかしません。もし革新的な技術を採用しようとしても、その予算・リスク等、米国と異なり日本では経営陣が簡単に採用・OKしません。新規技術を採用すれば、工場の生産工程・作業が異なってきます。歩留まりが向上しないどころか、操業中断等のリスクもあります。工場の操業中断では、簡単に何億円の売上がパーになりますし、顧客への納期厳守も危うくなります。そういった危険を現場の技術屋は冒しません。

米国では、技術責任者が外部アドバイザー等コンサルタントを雇って絶えず新規技術を探しています。良い技術があれば、トップダウンで決めます。トップが責任とリスクを負うのです。日本の様にボトムアップで、しかも上に上げない風土とは違います。日本の大企業の技術系経営陣(現場の部長クラス)は、新規技術を検討して採用するのではなく、他社の事例を横並びに見て採用するのです。こういった事も、技術の事業化を考えるファンドの人はよく理解しておかないといけないでしょう。

但し、日本でも新規技術に積極的な企業が少し存在します。例えば、昔はミシンを作っていましたが、現在は事務機器メーカであるB社等は、落ち目のミシン専業を若い人達で改革し成功したDNAがありますので、結構積極的です。その他、オーナー型企業で、オーナーが技術屋の場合は、その企業に技術がその企業マッチしておれば採用(+お金があれば)される可能性もあります。どこに最初に採用してもらうか、どこを狙って技術を売り込むか等は、実は結構重要ですね。それでお金になるかですからね。お金にならないと事業は出来ません。技術が採用されるかは、そういった革新的な人・会社に出会うかどうかという運の世界の部分も随分あるのです。

販路開拓の経験ある人についてですが技術マーケティングの出来る人という意味でしょう。米国の技術マーケティングについては、アップルのマッキントッシュ等のマーケティングを成功させたレジス・マッケンナの事などを書いた翔泳社のキャズム(ジェフリー・ムーア著)という本が多少参考になりますね。

販路開拓は、何年もかかります。簡単に採用してくれません。その間技術・製品を顧客の要望も取り入れかつ他社にも売れる汎用性も確保しながら改良しなければいけません。大変な労力・お金・時間・人材が要りますね。ファンドで、販路開拓の経験ある人を雇っても役に立ちません。人の紹介くらいしかできませんし、そんなファンドの人の口先アドバイスで技術・新製品が売れると考えること自体、技術の事業化等、汗水タラしてやったこと無い、頭だけで考える人の発想です。

長くなりますので①はこれぐらいで。②では投資対象と、投資の意思決定機関の産業革新委員会という、投資対象評価等出来る疑問の機関「産業革新委員会」について述べる予定です。

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官民ファンドは税金の無駄遣い

2009-07-20 15:58:09 | 社会・経済

       720日の日経新聞には、27日に発足する官民ファンド「産業革新機構」の記事が掲載されています。パナソニックや東京電力など20社あまりの大手企業が総額100億円程度出資する見通しとなったと報じています。成長力の高い企業支援や先端技術開発を後押しする狙いで、純投資として将来のリターンも見込むとの事。

政府の出資規模は820億円であり、発足当初の資本金は1000億円規模。政府は、海外機関投資家の出資も呼びかけ資本金を2000億円規模に積み上げる方針。投資先の企業価値向上で剰余金が増えれば出資比率に応じて利益が配分される。投資先には業種制限はないが、半導体・環境・生命科学など比較的リスクの大きい事業分野を想定しているとの事。

       投資の意思決定は、他の投資ファンドの協力姿勢や経営統治といったガイドラインを踏まえ、中立機関である産業革新委員会(委員長:吉川弘之前産業技術総合研究所理事長)が是非を決める。同委員会には、三村新日鐵会長や、企業再生に詳しい学者・弁護士を起用することが固まった。融資については8000億円に上る政府保証がつく(レバレッジ1:4で従来のファンドの考え方)との事。新規事業への投資など、委員会等作って集団無責任の意思決定をするものでも無いですし、重要な事はお金以外にも汗をかく、実際の投資先の事業の育成をするということだと思いますがね。

       政府が関与した国家プロジェクト等で、まともに成功したのは、1976年に当事の通産省主導で始まった「超LSI技術研究組合」(リーダー:東京農工大学名誉教授 垂井康夫氏)だけだったというのが私の理解です。この成果で80年代日本の半導体業界は大躍進をとげました。だが残念ながら、その後90年代に韓国・台湾に追い越されました。

       政府が民間に補助金などを出して支援している事業は山ほどあります。しかし、研究所の自己満足の成果は少し出ていると思いますが、世の中の人に役立つ、即ち世の中の人がお金を出して購入して満足する技術がどれだけ出ているのか全く疑問です。

そういった、支援機関の大本が、産業技術総合研究所(産総研)、科学技術振興機構(JST)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、情報処理推進機構(IPA)ですね。これら独立行政法人には、民間企業に出向者を要請し受け入れています。即ち既に多くの官民プロジェクトが実行されてきているのですが、成果はあまり聞きません。

       例えば、IPAを取り上げてみましょう。前身は「特別認可法人 情報処理振興事業協会」であり、出資金の大半は経済産業省が出していました。これが、H16.1.5に組織変更され現在のIPA=独立行政法人情報処理推進機構になっています。現在の理事長は、元NEC社長の西垣浩司氏ですね、その前は、通産省出身(民間企業の経験もありますが)の藤原 武平太氏でした。

IPAH20.3の連結BSの純資産は、資本金359億円、資本剰余金△2億円、連結剰余金△9億円、少数株主持分3億円、評価差額4億円で、純資産356億円となっています。これだけ見るとそれ程悪い数字ではありませんね。

 http://www.ipa.go.jp/about/ipajoho/pdf/2007_cost.pdf

しかし、こんなのは大きな嘘です。情報処理振興事業協会をIPAに組織変更するときに、2416億円の赤字を消しています。そのときの政府出資は3226億円、IPA発足時の政府出資は810億円です。この810億円もIPAを作るために増やした筈です。確かその前は、政府出資約2500億円で赤字が2400億円ぐらいだった筈です。IPAH15事業年度の財務諸表がWEBに掲載されていますので、ご覧下さい。

http://www.ipa.go.jp/about/ipajoho/pdf/H15-financial_statements.pdf

これによれば、H16.1.4現在の資本金は3328億円、欠損金は2845億円(純資産479億円)となっています。

       独立行政法人の補助金は、個人に近い企業(なかには個人にも)、ベンチャー企業も利用しますが、大企業又はそのグループ企業も利用しています。申請書には、革新性・先端技術である旨唄っています。それの成果がこれです。

       学者や一部の(研究所で閉じこもって研究している現場に居ない)技術者は、実際に世の中に役立つ技術は何かなどわかりません。技術評論で生活している人です。また、事業再生に詳しい弁護士は、再生屋であって事業家ではありません。

       政府は、またIPAみたいな補助金交付機関を作る気ですか?形態は出資というだけで何も変わりません。過去の政府主導プロジェクトの反省・問題点・あるべき姿、お金の使い方を再検討しましたか?何かの不祥事があれば、政府等は再発防止策の提示を求めます。こんな組織を立ち上げる前に、政府は、プロジェクト失敗防止策を公表すべきではないでしょうか!!

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BRICsのインパクト

2008-02-20 00:04:11 | 社会・経済

     今回は少し話題を変えて、私が心配していることを書いてみましょう。BRICの世界経済に対するインパクトです。一例として、主要国の自動車保有台数を見てみましょう。

世界各国の、四輪車保有台数は、日本自動車工業会のWEB↓で見られます。

http://www.jama.or.jp/world/world/world_2t1.html

(単位:百万台。乗用車・商用車合計。)

国名   2000年  2005年末  アップ率

日本      75     76   1%

米国    222     241           9%

ドイツ   47        49          4%

中国    12       31   258%

ロシア   26     31   19%

インド            7                 17     243%

ブラジル      16                23     144%

その他                             429

世界合計                          897

BRICは、自動車会社が競って増産投資をしています。販売も伸びています。中国の05年の販売台数は576万台。07年の販売台数は879万台だそうです。例えば、中国の10年後の保有台数は、一部の廃車を考えても、このまま行くと1億台を越えてしまいます。そのとき、原油はガソリンはどうなるのでしょう。中国だけでなく、インドでも同じです。ブラジルではエタノール者かもしれませんが、飼料・食料の大豆・トウモロコシとエタノールとの兼ね合いはどうなるのでしょう。ロシアも今は原油の輸出国ですが、自国の自動車保有台数を大きく増えるでしょう。輸出余力が少なくなるでしょうね。車が1億台増えると原油の消費は、約900万バーレル増やす必要があるとの事です。

     CIAWorld Factbook↓によると、原油の生産・輸入量(million bbl/day)は、以下のようです。(Barrel=159リットル)

https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/index.html

          生産量 輸入量  消費量 輸出量 

中国      3.71      3.65     7.00  (少量)

インド        0.83      2.10     2.44  (少量)

ブラジル    1.59     0.67     2.10   (少量)

ロシア        9.87      0.10     2.92      5.08

日本            0.10      5.43     5.35      0.10

米国            8.32    13.15  20.80     1.05

全世界  78.90   63.18  80.29   63.76

中国の消費量は7million barrel/dayです。日本の車の保有台数の半分もないのにですね。車に限ら原油消費の効率が非常に悪いですね。省エネが全く進んでいませんね。車社会の米国は、13 million barrel/dayも輸入しています。一国で、世界の1/4も消費しています。使いすぎですね。

○ 今の原油価格は、US$100弱ですね。とうもろこし、小麦、大豆、稀少金属、石炭(原料炭)、鉄鉱石等が全て異常に上昇しています。このまま行けば、10年後の世界はどうなるのでしょう。日本は石油が無い、食料の自給率も39%、鉄鉱石・原料炭・LNGやその他資源の大半は輸入です。日本はこれから先一体どうなるのでしょうね。

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中国の行方―矛盾と不安

2007-04-06 00:36:14 | 社会・経済

       私は、これからは米中2強時代が到来して、日本は沈むのではないかという思いと、ひょっとしたら中国は混乱に陥るのではないか、その時日本は大混乱になるのではないか、いつかはそうなるのではという不安をもっています。皆さんは如何でしょうか。

○ 中国は、政治的には共産党一党独裁ですが、経済的には自由主義経済と同じようになって来ました。政治面では活動の自由がありませんし、インターネットは許可制で外人はインターネット事業は出来ません。Blog等は、政府と企業側の二重の検閲があり、政治的な事や政府を批判する事を書くと削除されます。それでも散見されるため、更に強化しようという動きになっています。

一党独裁で、政治的な自由が無く検閲・監視社会、しかし経済的には自由主義というのはシンガポールが典型的ですが、シンガポールは人口が350万人。中国は13億人ですから統治支配原理が一緒では成り立ちません。

       中央政府と地方政府とが必ずしも統一した政策を実行するわけでもありません。

北京が、小売業は許可制で原則認めない等と言っているうちに、広東省政府のOKを取って、どんどん進出してしまったフランス カルフール等もあります。中央集権のコントロールが地方まで利いていません。北京政府というのも強そうで、必ずしも基盤がいまいちの感じです。上海閥とかいろいろ対立等があるようですね。

       経済力の比較を見てみましょう。米国CIAThe World Factbookからの引用でGDPを見てみましょう。(2006年概算ベース)

          購買力平価  公式為替   購買力平価/人 人口(億人)

全世界 US$65兆    US$46.7     US$10,000     65

中国    10兆      2.5兆    7,600      13.14

USA    12.98兆   13.22兆    43,500       2.98

日本     4.22兆    4.91兆        33,100     1.27

https://www.cia.gov/cia/publications/factbook/index.html

・購買力平価で見た場合、中国は既に日本の2.37倍になっています。

・公式為替レートで見たGDP06年の実績、10年と30年の予想順位

06年 1) 米国 2) 日本 3) ドイツ(2.89) 4)中国 

10年 1) 米国 2) 中国 3) 日本     4) ドイツ

30年 1) 中国 2) 米国 3) 日本     4) ドイツ

       中国にはいろんな矛盾があります。どうなるのでしょうか?

     中国経済は年率2桁成長が続いていますが、多くの矛盾が一杯です。こんな高率な成長がいつまでも続くわけないですよね。いつかは終わります。何時終わるのでしょう?上海万博の後すぐでしょうか?それとももう少し後でしょうか?

     輸出の数十%は外資系企業で、上場している中国企業は赤字企業が多い。

     (企業できちんと働いてくれるホワイトカラーという意味での)人手不足、電力不足、燃料不足、交通渋滞、環境汚染、

     経済格差への不満―沿海と内陸の格差拡大、また沿海部の都市での新富裕層の台頭と庶民の格差(お金持ちはますますお金持ちになりますね。いろいろ仲間うちで儲けるネットワークがあるからですね)

     輸出産業と農業の格差、民族系企業と外資の格差

       13億人の所得分布(公式為替レートベース)

     沿海-1億人:世帯年収200万円以上

     内陸主要都市&沿海準主要都市-2億人:世帯年収70-80万円

     内陸準主要都市&沿海農村-3億人:世帯年収20-30万円

     内陸農村-7億人:世帯年収10万円以下

       昨今の、原油、稀少金属、鉄鉱石、石炭、穀物等の原材料の世界的な高騰は、がぶ飲み中国の影響が甚大ですね。一方、米国や日本は、電機製品・繊維製品始め、食料品、その他かなりの製品が中国依存です。100円ショップ、ユニクロ、プリンター、身の回りの品は、かなり多くのものが中国から来ます。

中国に何かあったら日本はどうなるのでしょうか?

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日本の法人実効税率は高いか?

2007-03-23 00:13:15 | 社会・経済

     経団連の御手洗会長の講演↓=「希望の国、日本」の実現に向けて(2007.2.19 於:経団連会館)にて、「イノベーションの推進とならんでもう一つ、日本経済の成長戦略の重要な柱となるのが、法人税の実効税率の引き下げであります。」と言われています。続けて「日本の法人実効税率は現在約40%と、欧州の先進国に比べましても、10%程度高いという状況にあります。――法人実効税率を、現在の40%から30%程度へ引き下げていくことを、掲げているのであります。」と言われています。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/speech/20070219.html

     経団連の会長さんが、嘘とまでは言いませんが、不適切・不正確な事を言っているなあと思いますね。欧州と比べて10%程度高いと言われていますが、本当にそうでしょうか?欧米とは言っていません。これは正解ですね。

     米国では、ニューヨーク州では46%弱、カリフォルニア州では41%弱ですからね。

     では欧州では、確かにイギリスは30%(20084月から28%に税率引き下げすると発表されましたが、環境関連の自動車税は増税するようですね。)ですが、ドイツは39.9%です。フランスは33.3%イタリアは37.25%です(=欧州は30%というのは、やはり嘘と言ってもいいでしょうね)

     日本は、東京は40.7%、標準税率だと39.54%ですね。

(日本は、事業税・法人住民税込み、海外も営業税とか生産活動税など込みの実効税率です)

     イギリスは、法人税率は確かに30%です。しかし、付加価値税率はどれだけでしょうか。17.5%です。EUは、欧州理事会指令で付加価値税は15%から25%ですよね。

     経団連が、40%から30%に下げろと言うことは、当然税収減を他の税源で賄わないといけません。税収を増やす税目は消費税しかないですね。即ち消費税を大幅に上げろ(又は上げざるを得ない)と言うことが背後に有るわけですね。経団連の主張は全く身勝手ですね。企業は栄えても、教育ローン・住宅ローン・日常生活で苦しめられている一般消費者、即ちかなりが会社員ですが、個人レベルでは、消費税をどんどん払えということでしょうか?こんなのイヤですよね!!

・ 経団連の会長さんが言っている事は、我々が身勝手に「所得税を減税しろ、生活改善するために」(税収減なら法人税上げろ)と言うことと同レベルの話です。

・ 確かに、法人課税の実効税率が低くなれば、利益留保は多くなります。銀行・その他社外からの借入・社債等を減らして、投資などに回すお金は増えるかもしれません。企業競争力も少しは増えるかもしれません。しかし、庶民は所得税・住民税等の他に、消費税の大重圧がかかるわけですね。

     同講演で会長はこんな事も言っています。「企業は、研究開発から生産、販売、流通に至るまで、国境をまたいで、常に立地を最適化していくことが求められております。そうした中で、企業の公的負担、とりわけ、法人実効税率の水準が、企業が投資を判断する際の、重要な指標となってまいります。」即ち、大企業は、税務戦略も一つの要素として、例えば中国で外資優遇税制を利用して、税金の安い地域で工場等を保有している訳です。大企業は、既に、低い実効税率を享受しているのです。

     例えばトヨタの今期業績予想は、連結税前利益2兆3000億円、税後1兆5500億円です。

こんな数字を見ると、税前1兆円以上は、その部分に付き追加10%税率アップ、2兆円以上は追加20%アップ等の累進税率にした方が良いのではと思います。トヨタは、自動車という環境を損なうものを作っていますし、エンジン等の主要部品を除けば他から部品を調達して組み立てている組立屋さんなのに、良くこれだけ儲かるな?下請けだいぶいじめているんじゃないのと思いたくなりますね(勿論トヨタの大変な努力によって達成している事は分かります。またデンソーみたいな立派なところはそれなりに儲けていますが。しかし、取引先・下請けいじめの話は良く聞きますね)。やはり儲けすぎはいけないよと言いたい。トヨタだけじゃなく、がっぽり儲けている企業には、追加課税しても良いんじゃないでしょうか。最近は企業は業績を改善していますが、個人の懐は改善していませんという人も多いのでは無いでしょうか?

     まあ、それはともあれ、私は、日本の法人課税の実効税率は、まあいい線行っている、決して高くないなと考えています。

【財務省のWEB

・法人所得課税の実効税率の国際比較

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/084.htm

・付加価値税率の国際比較

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/102.htm

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金持ちになる方法

2007-03-19 00:08:16 | 社会・経済

皆さんもいつもお考えのことに、どうすればお金持ちになれるのかがあると思います。私も、ときどき考えますが、結論としては、まあ真面目に働く、ローリスク・ローリターン人生しか、今となっては仕方がないなと思います。

金持ちになる方法には、4つぐらいあると思います。他に良い方法があれば、教えて下さい。

1)ともかく働く:会社に勤めるなりして一生懸命に働く。これでは決められた給料しかないですから、他にアルバイトして小遣いを稼ぐというのもあるかもしれませんが、これはそう簡単には行きませんね。昔、東南アジアのある国に行ったとき、昼はコンピュータのソフトウェアの仕事をして、夜はナイトバザールで屋台のラーメン屋さんをしておられ人がいました。職業に貴賤は無いですね。偉いと思いました。私も「たこ焼き」ぐらいなら焼けるのですが、土日まで働く体力も気力もありません。そこまでしなくても、まあ普通の暮らしで仕方がないなあと思っています。

2)事業を興す:事業を始める能力と精神力のある人はチャレンジですね。事業家は偉いと思います。私は、事業を興す能力がないから、企業で会社員をしているのです。まあ、少しぐらいは新規事業の立ち上げの経験はありますが。私は、事業家を尊敬します。でも、うまく行く人は少ないです。ハイリスク・ハイリターンの世界です。

3)株式・商品・競馬等で財産を築く株式などで儲けるこつは何でしょうか?簡単です、儲かったら止める事です。儲かったら、次回もうまく行くと思って続けていると、どかーんと損をします。私は、株で儲けた事が無いです。あるそれなりに名前の知れた株式評論家の人が言いました。「私の書いた本を読んで、資産運用の相談をしに来る人がいる。お金を預けるから運用してと。何をアホな事いってくるんだ。儲ける才能があったら、とっくに女房を質に入れて株やってるよ。1ページ10円の原稿、一生懸命書いてるのは、才能無いからだよ。ほんと、世の中、分からない奴が多いなあ」とおっしゃっていました。

4)金持ちの配偶者をもらう(自分ではなく家単位で考える):裏の手がありました。それは資産家の息子や・お嫁さんを貰うことです。日本では世代が下がるときは相続税が利いてきますから、3代目には財産が無くなりますが、2代目ぐらいまではまだ、元が多ければだいぶ残ります。これを狙う手はあります。でも私には家内がいますので、資格無しです。

皆さんは、どれを目指しますか?

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