まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

大量保有報告では開示情報の充実を

2008-01-29 23:47:10 | 企業投資

     株式の大量保有報告について、川崎市のテラメント(株)(H19.11.2設立)なる会社の虚偽報告が話題となっています。例えば、同社のソニー株取得の報告書を見てみましょう。

発行済株式 10億株の51% 511百万株を取得 単価 5210円 取得資金は、26648億円であり、その内訳として、自己資金 0円 全額借入金としています。

まあ、嘘八百とすぐにわかります。

     この大量保有報告書の様式を見て気になることがあります。それは提出者(大量保有者)の概要の情報が少なすぎることですね。個人の場合なら、住所、氏名、連絡先ぐらいで良いでしょう。それで誰か特定できますからね。しかし、法人の場合の情報があまりに不足しています。特にファンドの場合、誰が主な出資者なのか実質投資家なのか、重要な情報がありません。

開示情報は以下:法人の名称、住所、設立年月日、代表者氏名、代表者役職、事業内容、連絡先(担当者&電話番号)

     これだけども、一応それなりに名前の知れた日本の会社なら、どんな会社かわかります。WEBも普通は持っているでしょうから、まあWEB情報が真実正確かどうかはともかく、WEBをチェックすれば提出者(=大量保有者)の概要は分かります。特に問題は、外資系ファンドです。どこの誰かわかりません。

○ 例えば、ブルドック等でお騒がせのスティールパートナーズの保有報告を見てみましょう。2007/11/27提出 保有報告)

・表紙:氏名 弁護士 森 博樹 (渥美総合法律事務所)&その住所

・提出者:法人(その他リミテッド・パートナーシップ)

・名称:Liberty Square Asset Management, L.P. (&住所:Delaware)

・設立:H10.5.13

・代表者氏名;M.T.J.C.,Inc. (海外では個人ではなく会社も代表者になれる場合が多い)

・代表者役職:ジェネラル・パートナー(GP)

・事業内容:投資顧問業

     これだけの情報では、どこの馬の骨かわかりません。どうもスティールは、私募の特定少数の投資家の資金を運用しているようですが、誰がファンドのマネッジ・投資の意思決定をしているGPなのか、どれだけの資金規模のファンドか、ファンドの資金提供者は誰なのか不明です。

     スティールのリーダーというリヒテンシュタイン氏が、日本にきて「私は日本の経営者を教育する」等、横柄・傲慢・不遜な態度の会見をしたのが思い出されます。東京高裁が「企業価値、株主共同の利益を毀損する濫用的買収者」と認定しました。当然です。

     ファンドでも、カルパース(米国カリフォルニア州公務員年金基金)等ならまだ労働者の年金を長期的な視点で運用して、運用方針もしっかりしていますので、まあ外国の投資ファンドですが、外国の投資ファンドのお金も日本の資本市場に入ってこないと、株式市場も低迷(私の株式投資も長期低迷)しますので、仕方がない感じです。

     ともかく、ファンドの場合は、そのファンドの氏素性、誰が資金を出しているのか、実質投資家が誰なのか、そのファンドの概要をわかるように記載させるとか、ファンドの概要を説明しているWEBURLを記入させるとか、もう少し情報の充実が必要なのではないでしょうか。

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代表取締役の選定を投票で

2008-01-22 11:22:08 | 商事法務

     従来型の会社、即ち取締役会設置会社では、代表取締役は、取締役会が取締役の中から選定・解職をしますね。(会社法3622/3)。代表取締役は、取締役会の下部機関であり、取締役会の指揮・監督に服するというのが法律の建前です。建前では、取締役会が、会社の業務執行その他株主総会の権限以外の重要事項について、会社の意思を決定する事になっています。

      しかし実態は違いますね。会長・社長の支配下に取締役会がある感じです。会長・社長あるいは、副社長以上の投資委員会等が決めたことを、取締役会で形式的に事後承認している例が多いですね。即ち、取締役会が儀式の場になっています。これについては、「経営者(会長・社長)による会社支配」ということで、先にブログに書きましたので、そちらをご参照ください。↓

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20070817

     この主要な原因としては、やはり会長・社長等が人事権を握っているのが理由だと思います。後継社長を指名、あるいは新任役員を、会長・社長が指名します。取締役会が、本当の意味で、代表取締役会長・社長を選定していません。

     商法の現代化・会社法改定作業の着手時に、この代表取締役という日本独特の制度について、いっそ廃止してはという強硬な意見もあったようですね。代表取締役の暴走や怠慢をチェックできない取締役会の抜本改革の為経営の執行と監督を分離し、取締役会の監督機能を高めようとの考えが出てきた訳ですね。結局、法制審議会では、そこまで議論も進まず、代表取締役制度の廃止は実現しませんでしたね。

・そりゃそうですよね、継続性が重要ですし、独特の歴史・蓄積・慣行が確立しているところに、突然アメリカの猿まねをしても、大混乱するだけですからね。ということで、中途半端な制度として米国のまねをした委員会等設置会社を少し変更して委員会設置会社の制度を継続して選択肢を増やすというか、ごちゃまぜの制度を継続しています。委員会設置会社では、取締役の資格では業務執行をすることが出来ないですね(415)。しかし、現実的には取締役は執行役を兼任、取締役&代表執行役ということで、従来の代表取締役と同様に業務を執行し、あわせて会社を支配しています。

・日本の会社の大多数は、未だ取締役会設置会社であり、その代表取締役は、相変わらず経営の監督機能を持つべき取締役会メンバーとしての取締役と経営の執行機能を担う執行役員を兼ねています。一人二役ですね。これでは、経営のチェック機能等が働かないとの批判が、学者から出ている訳ですね。

     米国やドイツでは経営の執行と監督は分離されていますね。ドイツでは監査役会が機能しています。米国では、取締役会が監督機能を担っています。取締役会は、重要な経営事項は自ら決定しなければなりませんが、かなりの経営事項は委員会に権限を委譲しています。委員会は、通常複数(1人でも委員会を組成できますけれども)の取締役から構成される、監査委員会、指名委員会、報酬委員会、財務委員会、執行委員会等がありますね。これら委員会は、日本(404)と異なり会社法で組成を義務づけられている訳ではないですが、慣行的に出来たわけですね(模範事業会社法§ 8.25参照*)。業務の執行は、DirectorではなくOfficerが行います。取締役を兼任する場合も多いですが、OfficerのトップがCEO(Chief Executive Officer)であり、他にはSecretaryTreasurer などがいますね。

*模範事業会社法§ 8.25. COMMITTEES

(a) Unless this Act, the articles of incorporation or the bylaws provide otherwise, a board of directors may create one or more committees and appoint one or more members of the board of directors to serve on any such committee.

     では、現行の取締役会設置会社の制度の中で、どのように改善すれば良いのでしょうか。出来るところから改善するなら、会長・社長等から代表取締役の実質指名権を取り上げる事ですね。例えば、「代表取締役は、取締役会にて、取締役の中から、無記名投票で選定する。」。こうすれば、取締役会が実質的に選定します。会長・社長等の代表取締役候補者の名前を明記した投票用紙に○をつければ、誰が誰を投票したか分かりませんし、こうすることによって、法律の趣旨通り取締役会が代表取締役を選定します。

・ 代表取締役制度の廃止等という、3段飛びの議論をいきなりするのではなく、改善で徐々に変えていく、合わせて(オーナー型企業を除いて)経営者の会社支配という構造を転換するには、どういった制度が良いのか、米国の制度の猿まねはやめて、今後の企業のあり方を、長期的・本質的・多面的・国際的視点で検討する有識者の作業を、きちんと開始すべき時期なのではないでしょうか。

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取締役による株主の指名―授権資本制度

2008-01-15 00:20:09 | 商事法務

     取締役等の役員は株主総会で選任されますね。しかし、実質は違いますね。ケースとしては、①会社のオーナー、あるいは持株比率は相当低下しても、創業者一族が支配し、経営者を自ら勤めるなり、自分の息のかかった人を指名して、総会で選任してもらうケース。②大企業など株主が分散している場合は、現在の会長・社長等が後継者として、代表取締役を指名し、また新任取締役を実質指名し、形式的に総会で選任。代表取締役については、総会直後の取締役会で選定しますね。ともあれ、建前は株主が総会で選任します。

○ 一方、会社法では授権株式制度が採用されています1132項という、まあ、ご丁寧というか、どうでもよいような条項に続いて3項では以下のように規定されています。(設立時は373項)

2項 「定款を変更して発行可能株式総数を減少するときは、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数を下ることができない。」

3項 「定款を変更して発行可能株式総数を増加する場合には、変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。」

     (会社法上の)公開会社では、定款で定めれば(定款変更の特別決議で承認を受ければ)、発行済株式総数の4倍まで発行可能株式総数を定めることができ、その範囲内では、取締役会の決議で発行が出来ますね。但し、特に有利な価額で発行する場合は除きますけどね。(株式全部譲渡制限会社では、株主割当の場合だけ、定款にその定めがあれば、取締役会で決定出来ますが、それ以外の例えば第三者割当の場合等は、総会特別決議ですね。)

     何故4倍なのでしょう?(*) 多すぎますね。これでは、取締役が第三者割当で株主を選べますね。株主が、取締役を選任するという大原則をひっくり返せますね。これはちょっとおかしいのではないでしょうか。

       既存の株主にしてみれば保有株の希釈化も甚だしい訳ですね。1/3で拒否権を保有している株主も、拒否権を失います(まあ、経営陣も大株主には事前相談するのが常識ですが、経営陣と一部株主が対立している場合もありますからね)。

       昔から「4倍」という数字に慣れて鈍感になってしまっていますね。この数字を疑う必要があるのではないでしょうか。持ち合い時代の物言わぬ株主時代からの悪弊が続いています。既存株主は、ある日突然持ち株比率が1/4になると言うことが起こりうるわけですね。

       やはり、授権資本=発行可能株式総数は、発行済株式数の1.5倍ぐらいにして欲しいと思います。

○ 先日の日経新聞スイッチオン・マンデーに、英国は全株主に新株引受権を与える割当が基本。米ニューヨーク証券取引所は、発行済株式数の20%を超す新株発行は株主総会の承認を得るよう上場規則で定めていると書いてありました。

*4倍となったのは、戦前の株金分割払制度が原因だと思います。

この授権資本制度は、米国の制度をまねて昭和25年の商法改正で導入されたらしいですね。それまでは、株金分割払込の制度だったとの事。その制度では、株式を発行するときには、株金の1/4以上を払い込めばよい。残りの未払いの株金は、取締役が払込を催告したときに払い込めば良かったと言うことです。しかし、払込を求められたときには金の無い株主とか、業績が悪化しているときには払い込みに応じない株主がいるため、うまく機能しなかったため、昭和23年に株金全額を払い込む制度にしたが、昭和25年に米国の制度を見習って導入したと言うことです。

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計算書類、財務諸表と内部統制の監査

2008-01-08 00:32:45 | 商事法務

【計算書類の監査等】

       日本の会社法には、計算書類についての規定があります。会社法第5章ですね。431条に従い、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従って作成しなければなりません。そして、作成された計算書類は、監査役の監査を受け、取締役会の承認を得て、定時総会で承認を受けるのが原則ですね(438条2項)。「この承認は、計算が正当であることを承認する総会の決議である」(神田 会社法7版P226)と学者は言われていますが、株主が帳簿閲覧権を行使して調べる訳でもなく、経営成績・財政状態の結果表示の書類である計算書類だけを見て「正当である」等とどうして言えるのでしょう? 書類作成過程で不正経理をされていても、株主に分かる筈もないのに、どうして株主が「正当であること」を認めて承認するのか理解出来ませんね。後から不正経理等時々出てきますよね。これが正当だったのですか?れについては、先に(2007/6/1のBlog↓)「計算書類承認の意味」として記載しました。

http://masaru320.mo-blog.jp/business/2007/06/post_4884.html

       総会の承認が原則ですが、上場企業等では承認は不要で、内容を報告するだけですね。会計監査人設置会社ですからね(439条)。会計監査人設置会社の場合は、会計監査人・監査役の適法意見が揃えば、取締役会の承認でファイナルです(4363項)

       米国のDelawareNew York会社法等では、計算書類・財務諸表に関する規定はなさそうです。米国では、「計算書類の承認」は総会の決議事項ではありませんね。勿論連邦証券取引法では、公開企業に作成が義務化されおり、Annual Report 10-K, Quarterly Report 10-Q,Current Report 8-K等で詳細・正確・公正な作成が要求され、きちんとした開示が求められますけれども。(模範事業会社法では、16.20条にFINANCIAL STATEMENTS FOR SHAREHOLDERSが規定されていますけれども)

【財務諸表・内部統制の監査等】

       内部統制の会社法の規定は362条(委員会設置会社は41611号)ですね。36246号では、取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備を求めています。これを受けて施行規則100条に、求められる体制の規定がされています。

       金融商品取引法の内部統制報告の規定は、24条の44財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価の規定です。即ち、「有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、有価証券の発行者である会社は、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)を有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければならない。」としています。

       内部統制監査と財務諸表監査の関係

更に、内部統制の監査を監査人に要求しています。内部統制監査は、原則として同一の監査人により、財務諸表監査と一体となって行われることとされています。監査チームを同一として、内部統制監査報告書財務諸表監査報告書とを一つに統合した「統合監査報告書」とすることとされています。財務諸表は、数字という切り口から会社全体をみるものですし、内部統制は、体制整備という切り口から会社全体及び重要な業務を見ますね。監査証拠と内部統制監査の証拠は、相互に密接に関連しますし、監査業務の効率化とコスト低減からも同一の会計監査人が担当する方が良いということらしいですね。

=内部統制監査迄は過大要求=

・ しかし、私には腑に落ちない点があります。日本の監査法人は、会社法監査、金融商品取引法の財務諸表監査と内部統制監査と三重の監査を行う事になってしまいました。財務諸表の監査までは確かに監査法人が行っても良いと思いますが、内部統制監査まで行うのは過大ではないでしょうか?

・ 金融商品取引法では、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価を経営陣が行い、その監査を監査法人が行います。これって実質は、財務諸表の監査だけではないですよね。それ以上の要求ですね。独立監査人は、内部統制の監査も行わなければなりません。独立監査人の業務が、計算書類・財務諸表監査を越えて、内部統制監査にまで拡大しています。内部統制は、単に財務諸表の監査だけでなく、会社のあらゆる業務が適正に行われるためのプロセスコントロールですね。事業の内容まで十分に踏み込まないとこんな監査まで出来ません。会計士が、そう言った監査を行うプロでしょうか?知見・経験・ノウハウをどれだけ持っているのでしょうか?またそういった分野にまで踏み込むべきでしょうか?今の監査法人は大変ですね。

・ こんなに一挙に業務が拡大した原因は、金融商品取引法ですが、もとを正せば米国SOX法の猿まねですね。企業不祥事は昔からあります。最近のカネボウ事件や西武鉄道等だけではありません。法務省・金融庁や学者が、日米会社法、日米の証券取引法、SECルール、企業文化・風土、慣行、規制の実態・あり方、整合性、全体像まで十分に検討を重ねて、内部統制を日本に(少し手直ししていますが)導入したとは到底思えませんね。日本のこの猿まね体質は止めて欲しいと思いますね。

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資本コストWACCの誤った考え方

2008-01-02 20:48:28 | 企業投資

     負債と株式の両方を合わせた全社の資金調達コスト即ち資本コストを求める考え方にWACC (Weighted Average Cost of Capital:ワック:加重平均資本コスト)と言う考え方が有ります。米国の企業財務では一般的な考え方で、米国等でMBAを取られた人が解説本等を出されて日本でも一般的な考え方になってきました。また、最近は、さらにはやりのEVA(Economic Value Added)でも、WACCが以下の様に使用されますね。

EVA = 投下資本x(ROIC-WACC:EVAスプレッド) 

ROIC=Return on Invested Capital (投下資本利益率)=税引後営業利益/投下資本

税引後営業利益=営業利益―みなし法人税(営業利益x実効税率)=営業利益(1-実効税率)

     WACC

WACC=D/(D+E)x(1-Tc)x負債コスト+E/(D+E)x株主資本コスト

D=負債、E=株主資本、Tc=実効税率

・ 負債コスト:これから借り入れる予定の負債のコスト(金利)ですが、過去の有利子負債コストを代用するのが一般的。

     資本コスト:株主がその企業に求める期待収益率。DDM(配当割引モデル)という方法もありますが、CAPM(資本資産評価モデル)を使用して算出するのが一般的。

計算式:r = rf + βx(rM ? rf)

株式の期待収益率=無リスクレート + ベータx(株式市場全体の期待収益率―無リスクレート)

     WACCの誤った考え方

計算式というものは、同一の基礎・前提で始めて成り立つものですが、負債コストと株主資本コストでは前提が異なります。

【負債コスト】

     負債は債権・債務です。返済は法律上の義務です。

     金利が5%なら、5%の金利・収益を得ます。

     期待収益ではありません。支払不能にならない限り、確実に収益を得られます。

     現実のキャッシュフローです。返済期日に、金利・元本が返ってきます。

【株主資本コスト】

     株主資本は、理論上は株主の持分ですが、これは清算しない限り配分されません。日本では剰余金分配規制があります。資本金や準備金は分配出来ません。(米国では、少し考え方が違います。*)

     株主のキャッシュフローの視点で言えば、株式取得金額が、キャッシュアウトですね。増資引受以外は、株式市場で株式を購入しますね。キャッシュイン、キャピタルゲインは、市場で売却して得ますね。キャッシュインとアウトの相手は、配当を除けば会社ではありませんね。

    

     配当は、経営陣の裁量・判断が働きます。株主の期待通りに配当する義務はありません。

     キャピタルゲインは、会社と株主の関係ではありませんので考慮できません。しかし、 業績を伸ばせば株価は上昇する可能性があります。例えば、株主資本コストを15%とすると、経営陣が15%利益を増やせば、株価は上昇するかもしれませんが、15%上昇するとは限りません。それ以上かもそれ以下かもしれません。株価は、会社の業績のみによって決まるものではありません。何パーセント上昇するか、経営陣のコントロール外です。利益が増えなくとも、画期的技術の発明、事業化の公表などでも株価は上昇します。また利益を増やしても、金融市場・政治状況等が原因で株価が下がるときもあります。

* 「日米の剰余金配当の考え方」下記↓ご参照

http://masaru320.mo-blog.jp/business/2007/10/post_819a.html

○ 最近日本でも、米国の企業財務の考え方を請け売りする人が増えています。しかし、Warren Buffettは、「バフェットからの手紙」Lawrence A Cunningham著 増沢浩一監訳 出版Pan Rolling 第8刷 第2章 コーポレット・ファイナンスと投資 Page 136)で、「企業の所有者、すなわち株主たちにとって、学者たちのリスクのとらえ方は全くもって的外れで、ばかばかしいほどです」と言っています。こんな馬鹿な資本コストの考え方が何の役に立つのでしょう。企業経営者に数字の屁理屈を述べてもっと儲けろと言っているだけですね。

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