まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

不当に高い社外役員報酬

2016-06-20 21:47:07 | 商事法務
〇 会社法施行規則124条により、事業報告書には、社外役員について、取締役会への出席の状況、発言の状況、報酬等の総額及び員数を記載しないといけません。別に総額と員数ではなく、社外役員ごとに金額を記載すれば良いのですが、そういった開示をしている事はまれですね。但し、有価証券報告書では1億円を超える人は個別記載が義務化されましたね。
社長・会長が、海外視察等と称して海外に行ったり、社有車で保養所に行ったり、お客さんと称して接待費で飲み食いしていますからね。受領する報酬以外に、多くの役得があります。「厳しい第三者の目で精査」等と誤魔化した都知事も居ましたが、「何が厳しい第三者」なんですかね。調査した弁護士の費用は誰が出したんですかね。やらせの調査、都知事に「寄り添った」調査ですね。それでも、問題噴出でした。役員報酬も似たものですね。社外役員でも、高級料亭で社長に接待を受けているかもしれません。大同小異ですね。

〇 新日鉄住金の社外取締役は2名。1名は国鉄・JR出身者で、もう1名は外務省出身者ですね。報酬は、2名合わせて2880万円と記載されていましたので、1人1440万円でしょうね。取締役会は、14回開催されて、13回又は14回出席しています。
JR出身者(S18年生まれ)の活動状況として、企業経営者としての知見・経験も踏まえた発言を行っております。元外務省の人(S22年生まれ)は、国際情勢・経済等に関する知見・経験も踏まえた発言を行っております。
一回の取締役会で100万円。一回2時間として、せいぜい10分ぐらいの発言でしょうか?(1分10万円ですね。くしゃみをしても1万円?!)2人とも偉かった人ですし、年寄りでもあり、新日鉄住金のビジネスの事を熟知している訳でもありませんが、他役員は「有りがたく拝聴」でしょうか。新日鉄住金の経営にどれだけの貢献をした・しているのでしょうか?

〇 トヨタ自動車は、3名-経済産業省・大蔵省出身者と生保出身者で、報酬は3名で79百万円(2633万円/人)ですね。取締役会17回開催。従い1回155万円ですね。「発言状況につきましては、各人がその経験と見識に基づき、適宜発言を行っています。」
取締役会開催の際には、トヨタの高級車でお出迎えでしょうね。

〇 社外役員は責任限定契約を結んでいますし、東芝事件でもお分かりのとおり責任も負いません。なのにどうしてこんなに多額で不釣り合いの不労報酬を貰うのでしょうか?


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Commonwealthの担保法 ①

2016-06-05 20:15:34 | 商事法務
○ ここで言うCommonwealthとは,英国の旧植民地という意味で使っています。a country within British Commonwealthという意味ですと、英国女王を元首として国(54か国中16か国)を意味する場合もありますので、少し違うかもしれません。即ち、Australia等もありますが、どちらかというとIndia, Malaysia,あるいはアフリカではGhana等の新興国のイメージですね。これらの国の担保法・担保制度は、いずれも英国の担保法・担保制度をまねています。従い、英国の担保制度の概要が分かれば、英法系の国々の担保制度がわかります。しかし、どのように運用されているのかは、実際にやってみなければわかりません。一般的に言うと、インドは結構きちんとしています。インドですからね、屁理屈と制度にうるさいですね。またインド独特のECBローン規制がありますから、日本的感覚からは親子ローンは銀行ローンより劣後すると考えがちですが、特に銀行ローンを優先させる合意をしない限り Chargeは、Pari Passu=同順位ですね。Ghanaなどは、運用はでたらめですね。登記所Registrarもいい加減だし、担保を設定する銀行も、登記等せずいい加減ですからね。

○ もとに戻って英国の担保法・担保制度について整理してみましょう。英国担保の制定法は、Law of Property Act 1925, Land Charges Act 1925 & 1972, Land Registration Act 1925 & 2002等で規制しています。御覧の通り1925年に制定法ができて整備されたのですね。それまでは、厳格なCommon Lawとそれを緩和するEquityの判例法ですから非常にわかりにくかったでしょうね。整備されたと言っても別に判例法がなくなったわけではないので、法源としては、Common Law, Equity Law & 制定法の3つどもえというところでしょうか。尚、英国と言いましたが、EnglandとWalesでは、判例法の発達が違うので、多分実務では少し違いがあると思うのですが、私は勿論知りません。おたくの人が研究して下さい。

○ 担保権の形式としてはざっくり言えば3つあります。基本的形式で、その応用という点ではいろいろ派生しているのではないかと思います。
① Mortgage:債務者・担保権設定者が債権者に対して担保物の所有権を移転するものですね。日本では譲渡担保と言っていますね。
② Pledge:質権ですね。即ち、所有権は移転しないけれども占有を移転するものですね。留置権(Possessory Lien)とは、また別物ですね。
③ Charge:所有権・占有権を移転しないで担保に入れる形式で、結構ポピュラーですね。
上記の内、Pledgeは占有移転が条件ですから、不動産では認められませんね。①は所有権を移転する、③では、所有権・占有権の両方とも移転しないので法形式として随分違いますね。

○ しかし、実際の機能上から見れば、①と③にはあまり大差はなさそうです。Common Lawでは、担保物の所有権を移してしまうと、債務の期限が到来したときに、これを返さないと所有権が完全に債権者・担保権者移ってしまうという構成ですが、Equity Lawでこれを修正して、「債務を返済して担保物を受け戻す権利は、単に期日に債務を弁済しないという理由だけで消滅しない」という構成をとって、担保権設定者の救済を計ったのですね。これを、Equity of Redemption(衡平法上の受戻権)と言います。即ち、債務返済の期限が過ぎても、完全な所有権は債権者に移転するのではなく、その後債務を弁済すれば受戻しできるという構成をとったのですね。しかも、この受戻権は、債権的なものではなく物権的なものとして考えられる。即ち、受戻権は譲渡できるようになったのですね。

○ 上記ですので、Mortgageは、所有権移転という形式を利用して、日本の抵当権に近い性質を持ってきたということですね。債務者は期限が来ても受戻権をもっていますので、債権者は、この受戻権を消滅させない限り完全な所有権を持ちません。即ち、裁判上の手続きでこの受戻権を消滅させないといけないわけですね。

○ Charge by way of Legal Mortgage : 1925年法では、Charge & Mortgageの混合形態の担保が生み出されました。「As a result of the Law of Property Act 1925, a legal mortgage over land is now normally created by a document creating a "charge by deed expressed to be by way of legal mortgage" rather than by the mortgagor transferring the legal title to the land to the mortgagee.」法的な効果はMortgageであるが、法律的構成ではChargeである。即ち所有権・占有権は移転しないが、法律的効果はMortgageであるとしたのですね。

○ Mortgage・Chargeは登記されますので、第三者にもわかりますね。しかし、この部分はイマイチよくわからないのです。というのも、登記が、国によっていい加減だからですね(インドは結構きちんとしています)。英国のLand Registration Act 2002では、譲渡担保は、土地の登記された権益に関してはもはや利用することはできないとしました。しかし、登記されていない権益については譲渡担保は継続的に利用可能としています。英連邦の国では、まだこの法律を真似た法制を制定しているか、よくわかりません。

担保権の種類については上記ぐらいでしょうか。しかし、ここまで書いて疲れてきましたので、続きは気が向いたら書きましょう。

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