まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

親会社による子会社コントロール

2010-09-23 22:03:40 | 企業一般

  親会社と子会社の定義は、法2条にありますね。法務省令の定めに従い経営を支配している会社が親会社で支配されているほうが子会社ですね。これを受けて施行規則3条に財務及び事業の方針の決定を支配している」会社が親会社で、支配されている会社が子会社と定義しています。即ち「経営」=「財務及び事業の方針の決定」とでも言いたいような感じですが、言葉の言い換えとしては如何ですかね。事業の方針等は、親会社が、子会社役員を指名したり、その事業を定めたりして支配しますね。「財務を支配」というのは、よくわかりませんね。確かに親会社は資本金を払い込んでくれますけど、払込が済めば、別に子会社独自の財務ですね。勿論、親会社が親子ローンで子会社の面倒を追加で見るという義務も無いですし、別に財務を支配しないケースも多いと思いますけど、変な事言っていると思いますね。まあ、定款の規定で一定額以上の投融資のときは、総会での承認ということにすれば、財務・事業の方針は親会社に支配されているといえますが。「経営の支配」とは、「人(役員選任等)・物(取引等)・金(資本金等)・情報・技術等により、その会社の方針・運営を支配すること」というのが私の定義です。

○ 会社法444条1項では、「会計監査人設置会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類を作成することができる。」とし、3項では「大会社であって証券取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならない。」としています。即ち、親会社は子会社の分もまとめて、連結計算書類を作りなさいと言っています。

○ 一方、会社法の内部統制は、348条(取締役の業務執行)3項及び362条(取締役会の権限等)で「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令(施行規則1001項)で定める体制の整備」を求めています。親会社・子会社等企業グループ一体の内容統制とは言っていません。会社法は単体の会社を扱っていますからね。

  上場会社は、①業務の有効性及び効率性、②財務報告の信頼性、③法令等の遵守、④資産の保全を目的として、会社によって遂行される一連の手続きとしての内部統制を行い、その報告書を提出しなければなりません(金商法24条の441項)。有価証券報告書の財務報告は連結財務諸表と提出会社の財務諸表の両方が掲載されますが、「財務報告の信頼性」という視点では、連結財務諸表重視ですから、有価証券報告書では「提出会社の状況」の部分を除けば、連結情報中心に継続開示義務(開示府令3号様式)を果たすことになりますね。

  では、財務諸表以外の切り口から親会社が多くの子会社を統制しているかというと、そうではないですね。有価証券報告書には提出会社のところに【コーポレート・ガバナンスの状況等】を記載するようになっていますが、グループのガバナンスではなく、あくまでも提出会社、即ち親会社だけのガバナンスが主として記載されています。即ち、多くの企業がグループ経営という視点では、ガバナンスは試行錯誤ということでしょうね。「企業集団における業務の適正を確保するための体制」としてきちんと記載している会社(東芝等)もありますが、殆ど記載していない会社もありますね。

  では、具体的にどのように、親会社は子会社をコントロールすれば良いのでしょうか。

1)  多くの会社では、担当部局を設けてチェックしていますね。数字だけチェックしている会社から、業務の内容にまでかなり入り込んでチェックする会社もあります。

2)  グループ企業行動基準を設けて、遵守させるとか言っている企業集団もありますが、まあ、行動基準はりっぱな事書いていますが、あまり遵守されていない企業集団もありますね。

3)  子会社の定款に、総会決議事項を詳細に記載して、その都度総会(株主1人なのでいつでも開催)で決議する例もありますね。(法1243項の2週間前までの基準日公告など当然守っていませんがね。→ここは会社法の方がおかしいね。非公開会社の場合は(電子メール等)通知で開催出来るようにしないとね)

4)  子会社の場合、きちんと取締役会を開催していない場合も多くありますので、親会社選任の社外取締役を通じて開催したり、定期協議会を開催してコントロールするんでしょうね。

5)  親会社による子会社管理の最も有効な方法は何でしょうか?簡単ですね。子会社の法務局届出印、銀行届出印を親会社の主管部門が保管し、インターネットバンキングも親会社で行うことですね。

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中国での合弁会社は持株会社経由で設立

2010-09-12 18:50:40 | 企業一般

  今回は中国の会社の話です。合弁会社の設立方法についてです。合弁会社と言っても、中国の企業(個人とは合弁会社は設立できないということになっていますが、そこはまあいろいろ工夫でできるようですね)との合弁会社、即ち中外合資会社では無く、合弁パートナー全てが外商=外国企業、即ち外商合資会社(有限公司)の事ですね。中国では、ご承知の通り、株式会社の数は少なく、一般的には有限公司ですね。

  中外合資会社の場合は、株主・持分保有者総会ではなく董事会が最高議決機関ですが、外商合資の場合は、持分保有者総会が最高議決機関ですね。即ち議決権が反映されるわけです。

  結論を先に言いますと、外国企業同士が、中国で合弁会社を設立するときは、CaymanとかMauritiusなりの租税回避地(Tax Haven)に合弁の株式会社を設立し、この会社の100%子会社として中国に外商独資の有限公司を作れば良いですね。

○ この持株会社方式のメリットは、最初の独資の有限公司を作るときは、持株会社も作らないといけないので、二重手間ですね。しかし、その後は増資・株主変更等が容易にできます。また、資金も現金は、例えばCayman法人の香港の銀行口座に貯めておけば良いですね。必要資金だけを中国の子会社の資本金にすれば良いです。ただし、注意しないといけないのは、外商独資有限公司を作るときに、投資総額(資本金と貸付金)を決められ過小資本の規制を受けることですね。

○ 中国の外商合資企業にすると、増資や持分譲渡の手続きが大変面倒です。管理当局に、持分変更の申請書に、当該企業の董事会議事録、持分(株主)保有者の議事録、役員解任・就任承諾書等十数種類(場合によれば20種類以上)の書類を取りそろえる必要があります。また時間がかかります、管理監督当局に根回しをしていても、申請書提出から許認可が下りるまで最短で約2週間かかります。それだけではありません。持分保有者変更の許認可証が下りたら、その後営業許可証の変更手続きをしなければなりません。これも最短で約2週間ぐらいかかります。

  こういった煩雑な手続きを回避するため、Cayman等に持株会社を設立して、その傘下に中国の外商独資有限公司を作って見てはいかがでしょうか。昔は、台湾の企業が中国に会社を作るときは、随分Cayman経由が多かったですね。台湾の場合は、台湾―中国という微妙な政治的な関係がありましたから、台湾→Cayman→香港法人→中国法人という例がかなりありました。また、このCayman→香港→中国法人のメリットはなんでしょうか。そうですね、Cayman法人でも、香港法人でも、また中国法人(この場合は勿論株式会社)でも、香港証券取引所・米国のNASDAQ等に上場できることですね。今後は、日本は右肩下がり、中国で事業を拡大して、将来香港市場で上場してひとやま当てようという事業家にとって見れば、持株会社方式で中国で新規事業を始めて見てはいかがでしょうか。

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取締役会の活性化―取締役の指名と累積投票

2010-09-05 18:38:47 | 企業一般

  東京証券取引所は、経済産業省の企業統治研究会の「企業統治研究会報告書(H.21.6.17)」等を踏まえて、有価証券上場規程を一部改正して、独立役員選任義務化とその開示などを行うことになりましたね。

  一方米国証券取引委員会(SEC)は、825日、公開企業の主要株主が取締役を指名し選任できるようにする規定を定めましたね。↓

http://www.sec.gov/news/press/2010/2010-155.htm

一部を抜粋すると以下ですね。This "proxy access" is designed to facilitate the ability of shareholders to exercise their traditional rights under state law to nominate and elect members to company boards of directors. Under the rules, shareholders will be eligible to have their nominees included in the proxy materials if they own at least 3 percent of the company's shares continuously for at least the prior three years.

(少なくとも、(議決権ある株式の)3%3年間保有している株主に取締役を指名する権利を付与する)

○ 東証の独立役員選任義務化は、取締役会の活性化について少しは貢献するかもしれません、勿論選任された独立役員の器量・見識などにもよりますが。しかし、取締役会の活性化という視点では、まだまだ道は遠いですね。理由は以下です。

・大企業では、取締役会決議は形式的儀式であり、実質上、社長室会・経営委員会で決定されている。

・大企業の取締役会では、案件が多数あり、案件ごとに実質的な議論等されていない。

・取締役会は、オフィシャルの決議機関であり、背後事情や不都合な事を隠して、議題を提示する。

・独立役員(社外役員〉は、月に一度の取締役会だけに出席して、会社の内情・事業の詳細など理解していない。

○ 会社の事業報告には、社外役員の主な活動状況を記載することになっていますね(会社法施行規則124条)。いくつかの会社の事業報告を見ましたが、社外役員が活躍した記載が全くありません。「経験豊富な経営者の観点から発言している」ぐらいしか記載がありません。また、施行規則には、「当該社外役員の意見により当該株式会社の事業の方針又は事業その他の事項に係る決定が変更されたときは、その内容(重要でないものを除く。)」を記載することになっていますが、こういった記載は(あるかもしれませんが)私は見たことが無いです。

  相変わらず取締役会は活性化していません。原因はどこにあるのでしょうか。主な原因は、①社外役員の指名は、現経営陣が行うということです。自分を指名してくれた経営者にたてつく人は少ないということです。②現経営陣の方針を堂々と批判する「うるさい取締役」がいないと言うことです。

○ ではどうすればいいでしょうか。方法は簡単です①累積投票排除の定款規程を、公開会社(又は有価証券報告書提出会社)には認めないことです。これにより一定比率以上の議決権を保有する株主は、役員を指名し選任することができます。また、 議決権比率10%以上保有の株主は、取締役指名の義務を負わせる、あるいは少なくとも指名できる権利を付与する事です。

関連の私のブログは以下です。

2009/05/24  企業統治強化は累積投票制度復活から

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20090524

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