まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

代理店保護法制

2013-02-16 21:39:14 | 商事法務

 

 立場の弱い人は保護されますね。国内では消費者とか借家人・借地人等ですね。

海外でも同じですね。自国民保護という事になります。昔は、中国では、公園に入るときは中国人と外国人とは差別的な料金でした。国をまたがっても自国民保護というのもあります。インドではインド企業の株式を購入する外国人投資家は、購入最低価格が適正価格ですが、インド人が株式を買うときは、適正価格が最高価格という、露骨な内外差別を行っていますね。今回は、中南米(特にカリブ海諸国)、EU、中近東諸国で行われている代理店保護法制についてです。<o:p></o:p>

 

 

 中南米

中南米諸国では、代理店・販売店契約の解約・終了に関して特別法を制定している国が多いです。即ち、準拠法を外国のものとしたり、紛争解決を海外で仲裁すると当事者間で決めても、その国の特別法で効力を否定されると言うことです。この特別法は、契約の中途解約、終了、更新の場合に適用されます。解約の場合には、①十分な期間をもった事前通知、②解約の正当理由、③補償の範囲が問題となるようです。正当理由としては、代理店の契約不履行(破産・秘密情報漏洩等)、詐欺、背信行為等ですね。損害賠償の範囲として、算定要素(代理店の過去5年の純利益の総額等)を法律で規定している国もあるようです。解約するときは、多額の補償金を取られます。<o:p></o:p>

 

 

 中近東

中近東では、国内の商業活動を自国民・自国企業に限定して代理店起用を強制している国、起用は強制していないが起用するときは、自国民・自国企業に限定する国、政府関係入札では、自国民・自国企業を代理店として起用することを要求する国等があるようです。代理店起用を強制している国では、その実効性を担保するために登録制度を設けています。未登録で輸入しようとすると輸入が認められないか罰金を課せられます。国によっては、同一商品については複数の代理店起用を認めていない場合があります。<o:p></o:p>

 

 EU<o:p></o:p> 

EUが出来る前は、ベルギー・ドイツ・フランス等で代理店保護の法制がありましたが、EUで統一されました。理事会指令86/653/EEC(19861218日付)が出され、契約終了時の取り決めを定めていますが、対象となるのは個人事業主の代理商だけであり、法人格を持つ事業者は対象外ですので、殆ど影響が無いと思われます。

 契約期間のある代理店契約:期間満了後は、契約期間不確定として、いずれからも通告で契約を終了できる。

 契約期間の定めの無い代理店契約:契約期間の長さにより、事前通告の期間の定めがある。

 いずれかの契約違反・特別事情があれば即時解約できる。

契約終了の場合、利益機会喪失とこれまでの代理店の投資額補填の補償が認められる。

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海外子会社設立時等の税務上の留意点

2013-02-11 14:12:46 | 企業一般

 

 海外にて子会社・関連会社を有するあるいは設立(買収)する際の重要な検討課題の一つに税務戦略があります。国際税務戦略ですね。まず、税務上の留意点を述べましょう。

【1】 連結ベースで租税負担を最少化する。

2】 連結ベースで租税の納付時期の繰延を諮る。

3】 税務問題発生時の迅速な対応と経済的・時間的損失を回避する。<o:p></o:p>

 

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 では具体的にチェックすべき項目としては以下等です。

【1】 租税負担の最少化

1) 外国子会社配当益金不算入制度

H21.4.1から、25%以上の株式を有し、かつ配当の支払義務が確定する日以前6ヶ月以上引き続き直接保有している場合に、内国法人が受領する外国子会社の配当額95%が非課税になる制度ですね。但し、これに伴い現地でかかる配当の源泉税(従来は直接外国税額控除対象)は、税額控除・損金算入とも適用出来なくなりました。まあ、一般的には源泉税の税率は低いですから内国法人としてはメリットがあります。<o:p></o:p>

 

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2) Tax Sparing Credit System(みなし外国税額控除)の利用

上記1)の制度が適用されない所得については、外国で納付した税額を日本の法人税額から控除する外国税額控除方式が適用されています。一方、新興国では税制優遇制度があり、これの適用を受けている場合、外国税額控除制度をそのまま適用すると、日本では実効税率が適用されるため、新興国での優遇税制のメリットがなくなるところから、当該新興国で優遇税制で減免された税額について、本来の課税がされたものとみなして、日本で外国税額控除を認めるという制度です。但し、日本がその新興国と租税条約を締結しみなし税額外国税額控除を認めている場合だけ適用されます。(該当国を調べたら、中国、バングラデシュ、フィリピン、ブラジル、タイ、スリランカ、ザンビアの様です)<o:p></o:p>

 

3) 非償却資産の圧縮

これは、買収等で取得した現地子会社・関連会社でできる節税対策です。買収の場合、純資産を越える部分は「のれん」となりますね。のれんの償却は国際会計基準や米国会計基準では認めていません。従い、のれん代の金額を圧縮すれば良いのですね。即ち、可能な限り、商標権・商号権、特定技術使用権とか、顧客名簿代とか、ノウハウ代とかに振り当てに買収金額ののれん部分を圧縮すれば良いのですね。あるいは、不動産を買う場合に、非償却資産の土地では無く、土地を出来るだけ安くして、償却資産の工場建屋に代金を振り当てるなどの方法ですね。<o:p></o:p>

 

その他、タックスヘイブン税制のデメリット回避等の方法もあるかもしれません。<o:p></o:p>

 

 

【2】 租税納付時期の繰延

1) 新興国での金利は一般的に高いですね。同じ税金を支払うにしても、現地の制度を利用して支払時期を遅らせることにより収益が違ってきます。金利が仮に10%としたら、今支払うのと1年後支払うのでは税額が10%節約できなすね。<o:p></o:p>

 

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2) その他繰越欠損金を利用して納付時期を遅らせるとか、連結納税制度のある国で、複数の子会社がある場合で、欠損を出している会社と利益を出している会社を持株会社の傘下に収めて税金節税を諮る等も考えられます。<o:p></o:p>

 

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【3】 税務問題の回避<o:p></o:p>

 現地子会社と日本の親会社との間で税務問題が発生すると、いろいろ面倒ですね。経済的にも時間的にも労力的にも損失です。注意することは、建設事務所等のPE問題の回避と移転価格問題の回避ぐらいでしょうか。

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