まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

内部統制の空白?-経営陣の交際費

2008-05-26 21:47:49 | 企業一般

○ 内部統制報告制度が始まりました。東証は、「重要な欠陥」が記載されても、これを開示制度の対象にしないとしました。まあ、欠陥があっても財務報告の信頼性とは直接関係ないですからね。早急に改善すれば良いことですからね。大企業の中には、専門部署まで作って、業務記述書・業務フロー図・リスクコントロールマトリックス(RCM)等の作成など膨大な作業をされた会社も多いのではないでしょうか。規定を作っても、絶えず参照して運用をルーティン化しないと意味がないですね。

     ここでの疑問です。社内で内部統制構築作業をした人にお聞きしたいですね。「あなたは作成した書類の内容を覚えていますか?」。私の想像では、多分きちんと覚えておられないのではと思います。時間がたてば主な点しか覚えていないのが普通ですからね。勿論、何かあればそのたび毎に引っぱり出して参照すれば良いのでしょうけど。業務の度に参照して、改善していかないといけません。しかし、自然と身に付くまで慣れないと定着しませんし、定着はたやすいことでは無いですね。

     内部統制構築で、結構重要な事が忘れられている気がします。それは、経営者の高度の倫理観と自己規律ですね。山ほど書類を作るよりこちらの方が重要ですね。それと、内部統制をいろいろ実務部隊が作成したでしょうけど、経営者自身のチェックってどれだけ出来るのでしょうかね。その中でも、周りの人によく分かる経営者のお金の使い方は重要だと思います。すぐに下が真似をしますからね。経営陣が、接待・交際費を使用するときは、誰が社内で承認するのでしょうか?自分で決めて、自分で支出するケースが多いのでは無いでしょうか。即ち、内部統制の空白?になっているのではないでしょうか。

     経営陣のお金の使い方については、日本の企業では結構役得をフルに利用している人が多いのではないでしょうか。交際費・社有車等の不適切使用等ですね。例えば、社内の仲間内 (+出向者の会社の人を接待した等と組み合わせて)で遊びゴルフを会社の車で行って交際費で落としたり、半分遊びの海外出張で、しかも現地で飲み食い・観光旅行を現地会社の費用で楽しんだり、挙げ句の果ていろいろ取引先から贈り物をもらったりと、まあ個人的利得を得ている人もいるような気がします。

○ これに関して思い出す事例は、太陽誘電のケースですね。20062月に代表取締役社長が解職されましたね。交際費の使用が不適切だったとの事です。日経BPTech-onでは概要以下の様に報じています。

「太陽誘電は200621日,社長交代人事を発表。同日開催の取締役会で決定し、直ちに新社長が就任という事態が発生。交代理由は、前代表取締役社長の小林富次氏が在任中,太陽誘電や一部子会社での接待費や交際費の使用に関し,大きな責任を担う上場企業の取締役として,通常妥当と考えられる範囲を超えており,会社の費用として認められない部分があったというもの。従業員からの内部通報を受けて監査役会が調査を進め,「会社の費用として認められない不適切な支出」があったと認定した。監査役会の申し入れを受け,小林氏本人と取締役会で協議した結果,小林氏の代表取締役社長ならびに取締役の辞任を決めたという。 同社は「社内のコンプライアンス体制を早急に確立していく」としている。」↓

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060201/112928/

太陽誘電のプレスリリースは以下です。

http://www.yuden.co.jp/jp/release/release2.html

まあ、発表出来ない背後の事情もひょっとしたらあったかもしれないとも想像しますが、真相はわかりません。しかし、素直に受け取れば、自浄作用のある会社だと思います。

     大企業の経営者が会社を食い物にする例は枚挙に暇がないというか、多かれ少なかれ世界中どこでもやっていることだと思います。中でも世界的に「ちょーやりすぎ」は、エンロンの経営者等ですね。また、GEの業績を大きく伸ばしたジャック・ウェルチもひどいどん欲おやじですね。会長を辞めたあとも豪華なホテル代は勿論、日常の支払いまで会社に負担させていましたからね。

・ 私も、大企業の役員になって、毎日会社のお金で飲み食いしたり、土日は会社のお金でゴルフをしたいですね。

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無機能取締役会の改革

2008-05-18 18:23:16 | 商事法務

     会社の先輩である会長・社長が人事権を持ち、例えば副社長以上の4-5人が業務を決定し、その単なる追認機関としての取締役会が決議を行い、取締役以下が業務を執行しているのが多くの日本企業の実態ではないでしょうか。取締役会の無機能化が言われて久しいですね。これの弊害を除去するため、特別取締役会の制度などが設けられていますが、特別取締役を置いている会社は殆ど無いのではと思います。従い、客観的で適正かつ経営陣の顔を伺う必要の無い独立取締役を増やすべきだという声が増えて来ています。

     社外取締役・社外監査役(定義は21516)については、会社法施行規則1244号で、活動状況・発言状況、その意見により決定が変更されたときはその内容等を事業報告に記載することになりました。ところが、多くの企業の事業報告では、取締役会への出席回数等を記載して、発言状況としては「中立かつ客観的観点から、当社の経営上有用な意見等を行っております」等と記載されています。要するに、思いついた素人のコメントを少し述べた、それを「有り難いご意見」ということで記載していると言うことだと理解しています。活動状況と記載していますが、実際は取締役会への出席回数ぐらいしか記載がありません。一ヶ月に1回ぐらい開催される取締役会だけに出るぐらいで、何がわかるのですか?

     業務執行取締役は、①代表取締役、②代表取締役以外の業務を執行する取締役(原則は業務執行取締役として選定された者:業務担当取締役(*)、あるいは選定業務執行取締役と呼ぶ人もいます)ですね。業務執行取締役と社外取締役をたとえて見れば、代表取締役は総理大臣、業務担当取締役は例えば経済産業大臣、国土交通大臣等ですね。社外取締役は無任所大臣ですね。専門でもない無任所大臣が、総理大臣や経済産業大臣間で協議し、閣議(取締役会)に出される議案に、反対して変更出来ますか?あるいは、変更している事例がどれだけありますか?ということですね。こんな制度が機能しますかということですね。

     対内的権限だけと学者は言っています。現実的には対外的権限を持っているのが一般的です。また、14条によれば、使用人、例えば部長でも権限を持ちます。実体を無視した考え方ですね。以下のBlogをご参照下さい。

http://masaru320.mo-blog.jp/business/2008/03/post_4818.html

     仮に、弁護士等に社外取締役に就任してもらえばどうでしょうか?今から違法な事をやりますので決議して下さい等と、取締役会に議案を出す馬鹿な人がいますか?ということです。

○ 小手先で、社外取締役・独立取締役を増やしても、殆ど効果は見込めないと思います。(効果が無いとはいいませんが)取締役会は活性化しないというのが、私の考えです。ではどのようにすれば活性化するか、機能を発揮するか考えてみましょう。取締役会活性化の方策は以下です。

     取締役の選任は累積投票で行う。即ち、大多数の企業で、累積投票を定款で排除していますが、定款を持ってしても排除出来ないように、即ち累積投票排除を禁止する事です。

     取締役候補の指名は、株主上位5社迄が指名する事です。即ち、株主総会で株主は取締役を選任しますが、候補者の指名も、長老の会長・社長から人事権を剥奪して、本来の株主が持つことです。株主は、どんどん株主提案権を行使して、役員選任議案を出しましょう。

     代表取締役以外の取締役の業務執行を禁止して、執行役に行わせる事です。委員会設置会社でなくても、多くの会社で採用している執行役員制度を活用することですね。代表取締役以外は、執行役と取締役の兼任を禁止しましょう。即ち、本来の趣旨である、取締役は単に取締役のメンバーであり、経営事項を決定する機関にすることですね。

     その他、取締役の人数を限定することですね。人数を、少なく絞り込み、取締役会では執行役などを呼んで、きちんと議論をし、意思決定をすることですね。

上記の①―④のポイントは、人事権を現会長・社長から取り上げ、業務執行は執行役に任せて、業務の決定・意思決定を取締役会で十分協議・検討しましょうということです。これが本来会社法が予定したことでしょ。上記を実施すれば、ねじ曲げられた取締役・取締役会制度を機能するものにできるでしょということです。こういった会社がでてきて欲しいですね。

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株式持合と預合い②

2008-05-11 19:50:05 | 商事法務

○ 今回は前回の続きです。前回の株式持合と預合いについてBSという観点から発行済み株式の水増しなどもみましょう。増資の金額は、仮に1億としましょう。

       取締役が預合いを行った場合

     銀行から取締役個人が借入を行い、これを増資引受の資金として使用して払込を行います。払い込まれた預金が銀行に拘束されます。

(拘束)預金 1億円 /  資本金等 1億円

     一応取締役は株主ですから、誰か第三者が登場してこの株式を購入してくれたら、銀行に返済できます。預合いかもしれませんが、この時点(借金返済の時点)で治癒されると考えるのでしょうね。但し、だれも文句を言わなければですけどね。

     もし株式を購入してくれる第三者が登場しなければ、借入をした取締役は、銀行に返済出来ませんね。ということで、この預金1億円は、会社から借入した取締役への長期貸付金にして貸付ければ良いですね。(永久の貸付金としておくことも出来ますけど)

貸付金 1億円 / 預金 1 億円

     貸付を受けた取締役は、銀行に金利を付けて返済すればいいです。後は、会社へ1億円(+金利)の支払債務が残ります。

     取締役はどのようにして、会社に返済するのでしょうか?簡単ですね。取締役の報酬等を増額して、彼が返済できる資金を、会社の費用として取締役個人に提供すれば良いのですね。会社→取締役報酬の増額→取締役が会社に借入金の返済。

     ということで、資本金等1億円という数字だけが残って、会社から1億円が消えてしまう訳ですね。 但し、会社が、取締役個人に返済原資を提供しない場合は、会社→取締役の長期(実質永久の)貸付金等として、取締役個人から回収しないという場合もあるかもしれません。

       相互に株式持合をした場合

     A社が銀行から1億円を借りて、B社の増資を引受・払込んだ場合、及び今度は、A社の増資をB社が引受・払込んだ場合は以下ですね。そしてすぐに現金がなくなります。

BBS   

現預金  1億円  資本金等 1億円 

A社株式 1億円  現預金  1億円

ABS

    現預金  1億円  借入金  1億円

   B社株式 1億円    現預金  1億円

   現預金 1億円  資本金等 1億円

  借入金 1億円  現預金  1億円

     A社は、現預金が戻ってきましたから、これを借入した銀行に金利をつけて返済すれば良いですね。結局、1億円は、銀行→A社→B社→A社→銀行と循環する訳ですね。

     A社・B社のBSには、相手方株式を投資有価証券等として記帳されますが、お金はありません。ただし、この株式を第三者に売却すれば、お金が入ってきますね。

○ お金に色はありません。預け合いも相互第三者割当の増資も露骨に行えば犯罪になります。両方とも、きちんとお金を払い込んだ一般の株主には迷惑の行為です。持ち株比率が希薄化しますし、1株利益も減少します。

○ 預け合いは、発起人・取締役個人が銀行から借金して行いますので、一般には小規模会社の場合でしょうね。相互の第三者割当は、オーナー型企業で、オーナーが数社会社を保有しているとき等が考えられますね。但し、この場合普通は全株式譲渡制限会社でしょうから、第三者割当増資は株主総会の特別決議ですね。

○ 公開会社の第三者割当増資のときは、株主総会を開催する必要はありませんね。払込期日の2週間前までに募集事項を株主に通知or公告すれば取締役会で出来ます。公告なんて普通は見ていませんね。一般株主が知らないうちに増資されているケースもありますね。但し、有価証券報告書の継続開示会社の場合は、それによりますね(2015項)。上記の例で、もしA社とB社が合併するとき、相手方の株式を相互持ち合いしていますね。評価は、どうなるのでしょうね。多分、対等額において水膨れ額を減少させる、つまり投資有価証券と資本金等の金額を、両社とも控除して考えるということになるのでしょうね。

     相互の第三者割当増資や預け合いの場合は、一応お金が動きます。しかし、無価値な会社をDCF法など適当に評価して、株式交換で100%子会社化を行い、親会社の株式済み株式数を増やして、自分の保有比率を上げる方法等もあります。

やはり、株主になったらきちんと会社を見ておかないといけないですね。

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株式持合と預合い①

2008-05-06 19:48:39 | 商事法務

     会社法965条には、預合いの罪についての規定があります。即ち、「9601項1号-7号までに掲げる者(発起人・設立時のみならず設立後の取締役・監査役等の役員を含む)が、株式の発行に係る払込みを仮装するため預合いを行ったときは、5年以下の懲役若しくは500円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。預合いに応じた者も、同様とする。」とされています。結構厳しい罰則ですね。

     「預合い」とは、神田教授の会社法(7版P46)によれば、「発起人が銀行等から借入をしてそれを預金に振り替えて払込にあてるが、この借入を返済するまでは預金を引き出さないことを約束する行為」を言うと定義されています。会社法では発起人だけに限定していませんね。要するにこの規定は、株式払込の仮装行為の防止ですが、発起人・取締役と払込取扱銀行の役職員との通謀の有無・その範囲・程度を巡って争いがあり、判例も学説も分かれているようです。本来は、資本充実の原則に沿った規定で、中身の無いお金を回転させて資本金(設立時&その後の増資)を増やしてはいけないですよという規定ですが、この趣旨に反する事は、いくらでも世の中行われていますね。増資払い込みの資金を銀行から借り入れて引き受けることが行われているということですね。

○ 一方、持合株式の場合で、相互に第三者割当増資をする場合を考えましょう。(第三者割当増資では無く、株式市場でお互いが買うという場合もありますが、その場合は除外します)。募集株式の発行では、210条により、「株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合には、株主は、株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。」としています。有名な事例は、忠実屋・いなげや事件ですね。1989年7月におこりました。不動産業を営む秀和が、忠実屋の株式33.34%、いなげやの株式を21.44%取得した上で、忠実屋・いなげやに対し、秀和の関係会社との合併を提案した。これに対して、両社は秀和からの提案を拒絶する一方、秀和による持株比率低下を狙って、相互に大量の第三者割当増資を行ったケースですね。野村企業情報(当時の社長は後藤光男氏、2002.4に野村証券に吸収合併)のアイデアですね。資金需要もないのに、特定株主の持株比率の低下と現経営陣の経営権を維持することを主要目的(「主要目的ルール」と呼ばれていますね)とするときは、不公正発行にあたると、東京地裁は決定しました。

     株式持ち合いと預合いに共通するのは、資本勘定の水膨れですね。預合いの場合は、預金は増えますが、これは拘束預金で、発起人・取締役等が銀行に返済しない限り拘束されて、会社としては自由に使用出来ないお金となります。株主持ち合いでは、A社がB社の増資を引受B社に一時的にお金が入りますが、逆にB社がA社の増資を引き受ければB社のお金はA社に環流します。A社が銀行から借金をしてB社の増資を引き受ければ、A社は返済しないといけません。結局、資本勘定は増えますが、中身は空っぽということですね。また、既存株主の持株比率の低下、1株利益の低下を招きます。

○ 預合いも相互の株式持ち合いも、共通するのは、極端なやりすぎは違法ということですね。預合いでも、発起人の親族なり親戚に頼んで、その人が銀行借入できる能力があれば類似の事はできます。忠実屋・いなげやの場合は、相互に直接第三者割当増資を企てたからですね。第三者を入れて、店舗開発資金の調達等と称して急遽店舗開発計画を立てて資金調達すれば、「不公正発行」という要素にベールを掛けて薄くする事が出来ます。即ち、本人同士直接するのではなく、第三者を入れて循環的、A→B→C→Aとやれば、セーフだったかもしれません。まあ当時は財テク資金を適当な名目で多くの企業が調達していましたね。

 まあ、会社法は、関係者に文句を言う人がいなければ、結構グレーな事をしても、そのまま済んでしまうことも多いですね。有価証券報告書虚偽記載で上場廃止になった関連で言えば、7年間一度も取締役会をやったことがなかった会社もありましたね。世の中、露骨なやりすぎは、通らないということかもしれません。

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4月からの会計基準の変更

2008-05-01 22:37:32 | 企業一般

       10年程前に企業会計の考え方が大幅に転換され、国際会計基準(IAS)の影響を受けて、連結・キャッシュフロー計算書導入・税効果会計・退職給付会計・金融商品会計等の制度が導入されました。会計ビッグバン等と言われましたが、今も第2波、第3波と続いています。

       自分の勉強の為、また整理の為に、日経新聞等を参考に、08年度から変わる会計基準などを整理してみました。

     上場企業の四半期報告制度(金融商品取引法 45日以内に提出 監査法人のレビュー(簡易監査)必要―東証は決算短信を30日以内で開示するよう要請。)

     在外子会社との会計方針の統一(日本では海外子会社について現地の会計基準による処理を認めていたが、国際会計基準は統一を求めている為に変更。但し、海外子会社については日本のローカル基準では無く、国際基準・米国基準での作成でもOK。その場合、のれん代の処理など六項目(*、重要性に乏しい場合は除外。この六項目に限らず、明らかに合理的でないと認められる場合は、連結決算手続上修正の必要あり)を日本基準に修正する必要がある。日本ではのれんは最長20年の償却資産。海外では規則償却なしの減損処理)

       1) のれんの償却

2) 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理

3) 研究開発費の支出時費用処理

4) 投資用不動産の時価評価及び固定資産の再評価

5) 会計方針の変更に伴う財務諸表の遡及修正

6) 少数株主損益の会計処理

     リース会計2007年度の税制改正で償却限度額が100%全額でリースのメリットが減少)リース期間終了後借り手に所有権が移らないものは資産計上しなくてもよいという例外規定が廃止。中途解約可能なオペレーティングリースのみ資産計上の必要なし。国際会計基準に収斂=Convergence

     棚卸資産の評価法が、原価法は駄目となり低価法に一本化(国際会計基準に収斂。発生する評価損は原則売上原価=簿価切り下げ額、臨時・多額の場合は特別損失)

     企業関係者との取引開示(関連当事者の開示に関する会計基準。連結子会社と企業関係者との取引も開示対象になった。国際会計基準との収斂)

     少し振り返って見ましょう。

国際会計基準審議会(IASB)が米国の財務会計基準審議会(FASB)と会計基準の収斂の協議を重ねており、相変わらずスローの対応で、世界の会計ワールドや資本市場 で孤児になりそうな日本があわてて企業会計基準委員会(ASBJ)を作りましたね。 20051月に日本の会計基準と国際財務報告基準(IFRS=International Financial Reporting StandardsIASBの前身の国際会計基準委員会=IASBによって策定されたIASを含む)との差異を縮小する共同プロジェクトを、フェーズ毎に検討するフェーズドアプローチで立ち上げることで合意、3月には着手しやすい5項目(棚卸資産の評価基準、セグメント情報、関連当事者の開示、在外子会社の会計方針の統一、投資不動産)を取り上げ、9月に新株発行費(発行費と自己株処分費:日本では費用・繰延資産、国際基準では資本から直接控除)を追加、063月には更に3項目=資産除去債務、工事契約、金融商品の公正価値開示を追加しました。その後、フェーズドアプローチを止めて、全体像アプローチとして短期プロジェクト・長期プロジェクトで取り組むことになりました。今回の会計基準変更は、このプロジェクトの成果ですね。

       ASBJIASBは、日本のローカル基準を国際基準に収斂し共通化を2011年半ばまでに達成することで合意したと報道されています。そのうちに純利益を廃止して、時価変動を反映する「包括利益」が導入されると言われています。昔の経理に染まっている私には、もう世の中が2-3回回転したと言いますか、天地がひっくりかえりそうな感じですが、これも時代の流れでしょうか。

詳しい情報を得たい人は、企業会計基準委員会(=財団法人財務会計基準機構)のWEBで会員申し込みをされては如何でしょう(年会費5万円なので私は入会しませんが)

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