まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

取締役会非設置会社の譲渡制限株式の譲渡承認

2008-11-21 11:51:15 | 商事法務

     会社法136条・137条には、譲渡制限株式の譲渡について株主・株式取得者の承認請求の規定があります。139条①では、この譲渡承認については、取締役会非設置会社については、定款に別段の定めの無い限り、株主総会の承認が要求されています。②では請求者に決定内容の通知をしなければならないとし、また145条①Iでは、当事者間に別段の定めをしない場合で、2週間以内に通知をしない場合には、「承認の決定をしたものとみなす」ということになっています。

     株主から承認請求をされたら、面倒でも総会を開催しないといけません。総会を開催するためには、まず総会で議決権を行使する株主を確定しないといけませんので、124条③の規定に従い、基準日の2週間前までに基準日の公告をしなければならないですね。(定時総会は、定款に規定されているので臨時総会の場合ですね)

     取締役会非設置会社は、全株式譲渡制限会社=非公開会社ですから、定款で別段の定めをしない限り、1週間前までに招集通知を出さなければならないですね。勿論、全株主が手続きの省略(300)・期間短縮に合意したりすれば、即日開催出来ますし、書面決議も出来ますが、(一族争い等で)譲渡請求株主・取締役(会社側)・譲渡反対株主の3者が対立していればややこしいですね。

     即ち、総会を開催し、譲渡承認の可否を決めるのに、承認申請されてから、会社はどんなに急いでも、別段の定めがされていない限り、3週間必要ですね。一方、承認申請されて2週間以内に通知しない場合には、承認を決定したものとみなすという規定になっています。おかしな規定その1ですね。では、以下では2つのケースに分けて、更におかしな点もを考えてみましょう。

会社側が反対のケース:基準日公告の事は少し横において、会社側(現経営陣)が、(新規株主は、うるさい敵対的な人とかで)承認に反対の場合、総会決議ですから、自分では決められません。総会決議で承認反対をしてもらわないといけません。ともかく、2週間以内に総会を開催し譲渡非承認の決定(普通決議)を得て、更に、指定買取人又は会社が自己株として買い受ける旨の特別決議(承認請求者は議決権行使が出来ない)もしないといけません。

 会社としては、譲渡承認に反対するよう他株主を説得したり(抱き込み?お金を使うとまずいですね。利益供与ですから。でも、食事ぐらい一緒にして事情説明して協力をお願いするのも礼儀かもね。牛丼の吉野屋では話も出来ません。私の場合は、この際行ったことのないミシュラン3星でゆっくりご馳走してもらうのが良いですね?)、否決のときは、自己株取得又は指定買取人指定(特別決議)ですから、その辺の事も考え、招集通知を出して総会開催して否決に持ち込まないといけません。大変ですね。時間が足らないですね。時間切れで譲渡承認になりかねません。意地の悪い(=背後事情がいろいろある)株主は別段の合意、即ち待ってあげるよとは言いませんね。

 また、自己株取得は、461Iの財源規制(分配可能額)があります。これに引っかかる場合は、指定買取人に買い取ってもらわないといけません。例えば、社長個人等ですね。金のある人ならまだしも、無い人の場合はどうすれば良いのでしょうか? まあ、会社か資金の貸付を行うのでしょうね。担保としては、勿論当該株式ですね。自己株取得が、財源規制に引っかかる場合、譲渡希望株主に融資してその株式を担保に取るのは、自己株取得の脱法行為と言われていますが、社長個人に買付資金の提供をする場合はそこまでは言えないでしょうね。

  ここで何かおかしいと思われませんでしょうか。譲渡承認・非承認は普通決議ですが、非承認のときは、自己株取得・指定買取人指定に進まないといけません。ところが309Iでこれは特別決議(承認請求者の議決権行使は出来ませんが)です。過半数と2/3の間の否決ときには、議決権行使できない承認請求者の株数にもよりますが、前に進めませんね。即ち、譲渡は非承認にも拘らず、自己株取得・指定買取人の指定が出来ない事態になります。この場合はどのようにすれば良いのですか?おかしな規定その2ですね。

  会社側が賛成の場合:基準日公告を行っている間に、2週間経過してしまいます。「承認の決定をしたものとみなす」を使えば良いわけですね。会社法では、総会の承認を求めていますが、総会を開催しないで、自動承認ですね。でも譲渡に反対の株主は、議決の機会がありません、反対決議できません。当然争いになりますね。一族郎党の醜い争い、あるいは相続・争族問題等にも発展しかねませんね。

  その他、自己株取得・指定買取人の買取価格等も簡単には決まりません。なかなか大変ですね。


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