まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

日本の風土と実態を無視したガバナンス改革

2018-04-30 08:11:37 | 企業一般
〇 日本の会社法は、ドイツ会社法を参考にして制定され、これに戦後GHQの指令に基づきアメリカの制度(授権資本制度等)を一部導入しました。いつの時代にも企業不祥事があり1990代には、監査役の任期を2年から3年・4年と、まったく小手先の意味のない変更をしたりしていました。2000年代に入り米国が自国のガバナンスを金の力(米国系Fund等の機関投資家)で世界中に輸出し始めました。

ということで、猿真似日本の法制審議会会社法制部会では、H13年に米国では証券取引所ルールである委員会等設置会社制度(今では「等」がなくなり、現在では指名委員会等設置会社と名称変更)を導入しましたが、東芝の例を見ても今一つ機能していません。ということで、またまた付け刃の監査等委員会設置会社という制度を設けましたね。

日本の会社の実態を把握せずに、思想も・理念もなく、小手先の変更です。法制審議会の委員は日本の会社の実態を踏まえた哲学というものがないのではないでしょうか。

〇 米国の上場企業では、毎年取締役を選任します。取締役会の過半数は社外取締役です。委員会も、日本の制度では報酬・指名・監査委員会(過半数が社外取締役。米国では全員社外)と硬直的ですが、別に他の委員会を組成しても良いですね。米国では、取締役の内1名がCEOで執行責任者となる例がおおいですが、原則officerは執行役であり取締役ではないですね。意思決定と執行は、きちんと分離されています。ところが、日本の監査役会設置会社では意思決定と執行役は分離されていません。

〇ドイツでは、株主総会は監査役会のメンバーを選任しますしかし、監査役会には労働者の代表を大企業では半分、中企業では1/3入れなければならないですね。共同決定法ですね。そして、取締役の選任・解任は監査役会が決めます取締役会が業務の意思決定と執行を行います。日本の会社は、ご承知の通り取締役会が意思決定を行い、取締役兼執行役が業務の執行を行います。ドイツの監査役会は、取締役の業務執行について同意権を留保できます。昔、三菱自動車へ出資を決めたベンツの監査役会が、同意できないということで、つぶれて、やむなく三菱グループが三菱自動車に出資しましたが、隠ぺい体質が変わらず(雪印も)ついに日産傘下に下りました。

〇 私は、取締役会と監査役会に労働者代表を入れるのが、日本としては良いのではないかと思っています。社長の覚えめでたい人だけで固めた取締役会では、社長の発言が一番重たいですね。確かに、うるさい社外取締役を入れれば、取締役会も少しは活性化する効用があるかもしれません(H26年改正では社外取締役導入の義務化は延期されました)、しかし所詮社外取締役は、お飾りであり、ほとんど発言もしない人に不相当な報酬を払っています。日本の企業社会の経営陣の流動性は、米国と比べて非常に少ない。経営陣は内部昇格が多い。監査役も監査役会の同意を得る必要があるとはいえ、結局社長・会長の意向を踏まえて指名され、形式的に総会で選任される。法制審議会等は、こういった実態を踏まえて、取締役会を活性化させるにはどうすればよいのかという議論よりも、外国の制度はどうなっているかを見て、その猿真似をする体質です。監査等委員である取締役の指名も結局現在の経営陣ですね(任期は2年で解任は特別決議という、相変わらずのこて先遊び)。監査役は、労働者・従業員・組合側が選任するとすれば良いのではないでしょうか。社長になれなかったといっても、社長などは上司の引き立てと巡り合わせと運なんですね。優秀な人でも冷や飯を食っている人も多くいます。こういう人を監査役にすると、取締役会も活性化すると思います。

〇法制審議会では社外取締役の機能を以下のように考えているようです。
1) 経営効率向上の助言:経営効率って何?あほかいな、そんなもん向上などするかいな。
2) 経営全般の監督機能:裏で不祥事はされるのです。取締役になれなかった社員を入れた方が、いろいろ社長ルートと違うルートで社内の動きの情報がはいりますね。
3) 利益相反の監督機能。
以上3つの機能は、企業の実態を知らない人が、社外取締役導入論を正当化するために考えた作文ですね。

○ 社外取締役の実態については、以下が多いのではないでしょうか。
1) 必ずしも独立取締役ではない。ビジネス・事業に関連する取引先の役員等が多い。
2) 必ずしも毎回出席しない。
3) 事前の配布資料もきちんと読まないし、読んでいる時間も無い。
4) 社外取締役になった企業の実態を十分理解していない。
5) 取締役会に出席しても、殆ど発言しない。お付き合いの一種の参加ですから。
6) 取締役会は、既に決まっていることを、形式的に承認する機関となっており、十分な議論もされないし、社外取締役がどれだけ議事内容を理解しているのか疑問もあります。また不祥事は、陰でされるので、オフィシャルな取締役会で発覚などあり得ないですね。法制審議会会社法制部会の皆さんは、部会員をやめたら、社外取締役の声がかかります。一人3-4社かけもちすれば、年間2-3千万円の、ほぼ不労所得が得られますね。こんな人を社外役員に指名してはいけません。

〇社外取締役の報酬
年12-13回の取締役会。社外取締役の報酬は不当に高いです。自分の働きと発言・機能に照らして、これほどぼろい収入はありません。年1000万円とすれば、1回で80万円、一回の取締役会の発言が5分とすると1分16万円。なかには殆ど発言しない社外取締役もいます。もうドロボーですね。
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コンサルタントの起用

2018-02-22 20:46:37 | 企業一般
○ ビジネスを行っていると、自社リソースだけでは不十分、また新規分野、プロジェクトやM&Aなどの場合は専門家も不足ということで、都度専門家をコンサルタントして起用し、調査レポート等を入手することがあります。中には、コンサルタントに丸投げして、そのアドバイス通り行おうとする役員もいますね。自分の頭で考えない、コンサルタントのコメントや調査は一つの参考として利用するのが良いのですが、コンサルタントに稟議書の一部まで書かせて、コンサルタントのコメントを自分の意見のように言うアホ経営者もいますね。

○ コンサルタントは専門家とか思っている人が多いですね。専門家でもなんでもありません。ただ、日本のコンサルタントは、一般的に一生懸命やりますから、また業務着手にあたり依頼主等からいろいろ情報収集しますから、すぐに依頼主の知識レベルに行きます。私も昔コンサルタントをしたときに、有名なコンサルタントからコツを聞きました。
彼は、お客からいろいろ聞きだし、2週間でお客のレベルに達する事と言っていました。
つまり、コンサルタントは専門家ではありません。

○ 例えば市場調査など、各種データを集めてきれいに見やすくまとめて調査報告書を作成してくれます。しかし、ここに大きな間違いと誤解があります。コンサルタントは、普通の人より多少データの集め方やパワーポイントの作成が上手いかもしれませんが、一定の分野の調査レポートでは、その分野の知見があるわけでもないですね。証券アナリストのように、特定の業界・会社を常時チェックしているわけでもないですね。要するに、ポイントは、一生懸命やってくれるかどうかということ、即ち自分でも一生懸命やれば、同じようなことはできるのですね。

○ コンサルタントを起用する場合には、提案書等をみて、それなりにやってくれそうなら、自分では時間もないので、お願いすることになります。するとコンサルタントから契約書のドラフトが送ってきます。コンサルタントの契約の特徴は、

1) 善管注意義務を負って調査報告書を作成しますが、それ以外には一切責任を負わないと明記しているのが一般です。コンサルタントが責任を負わないのは当たり前でわかっているのですが、はっきり契約書に、これ以外は一切の保証は行わないと記載してと言われると違和感を覚えますね。昔、ATカニとかエビとか言う会社が、これからの商社像について、何億円ももらって会社改造のレポートを書きました。結論として、これからは、日本の商社もエンロンのような、Hybrid商社を目指すべきだという報告書を出したら、その直後にエンロンの不正・でたらめが表に出ました。調査会社の報告書というのは、その程度のものだし、責任も負いません。

2) 故意・重過失以外は損害賠償額の最大額は、受領した報酬額を限度とするという規定が入ります。まあ、これは仕方がないですね、ソフトウェア開発等の契約と同じですね。

3) コンサルタントの契約書では、その内容の一部を将来の類似の調査依頼に使えるように著作権は、コンサル会社に帰属すると明記する場合も多いですね。調査報告書の完成・交付時点で、著作権はお金を払う顧客に移転するというのが原則なのですが、まあ別に、将来類似のコンサルを受注した時のために、一部ぐらいなら流用しても良いのですが、はっきり権利はコンサル会社にありと明記する場合があります。がめついですね。権利は自分、責任・保証は負わない、お金はしっかり払えというのが一般的ですね。

○ 調査報告書は、依頼した人・部署の一部の人が読んだり利用したら、それでファイルしてしまってしまう例が多いですね。2度と日の目を見ないですね。しかしコンサルタントなら、一部を利用する機会がありますね。コンサルタントに著作権等の権利を認めるときは、その内容の一部を利用して他社から収益を得ることができますので、著作権の帰属をコンサル会社に認めるときは、必ず値切りましょう。30%ぐらい値引き要求だしては如何でしょうか。

○ M&A等の場合もコンサルタント(FA=Financial Advisor)を起用します。米国のInvestment BankやFAと同じ、米国かぶれの理屈をこねます。Fairness Opinion等も発行します。自分で経済計算しておいて、それはFairです等とよく言えたものですね。それで追加の金をとります。また、最近ではStock DealでもPPA(Purchase Price Adjustment =価格の事後調整)の条項を入れたがります。
EBITDAのmultipleと、それが適正であるかのようなDCFの数字を作って、顧客に提示します。また米国などでは、それがFAのやり方の共通言語ですから、止むを得ない場合もあるのですが、買収価格など「えいやー」で決まるのに、DA締結日からclosingまでのcash flow等をもとに、買収価格を調整する条項を入れたがります。

Closing Dateをもって、買収価格をfinalにするというのは理論的には正しいです。しかし、実務的には150%誤りです。
-えいやーで決めた価格に+/-の厳密計算して意味があるのですか?砂上に楼閣を築く考え方です。
-事後調整など、双方がいろいろ主張してスムーズに行く筈ないのが、ビジネスの常識です。
-株主総会の決議は、総会開催日の株主が議決権を行使するのが理論的ですが、世の中ではそんなことやっていませんね(米国でもrecord dateです)
GCA等に丸投げして、アドバイスしてもらって、その通りに弁護士がSPAを作成、Closing後3か月内にPPAを行うことになっていた案件が、9か月もかかってSPAの価格調整方式では行わず、両者の主張を足し算して割2、別途SPAの該当規定の部分の変更契約書を作ってやったという例を聞いたことがあります。

○ 更に、ClosingのConditions precedentにきちんと記載せずSPAのScheduleに、pending・申請中のライセンス等を、Closingの時にライセンス取得済みかどうかチェックせず、買主に多額の買収資金を払わせた例もあります。後からConditions precedentが満たされていなかったことが判明した事例ですね。勿論アドバイザーは一切責任を負いません。Closing後に買主は駐在員を派遣します。それまでは売主側の経営陣の経営です。売主は、closing時点で、再度rep & warrantyが満たされている証明書を発行しますが、ほんとに満たされているか、ここがBuyer’s repの結構キーポイントのチェック事項なのに、きちんと裏付けがあるかなどチェックしません。満たしているよと書いている書類を、形式的に渡せば売主はxx億円という買収金額がもらえるわけで、売主・買主のFAも高い報酬を手にしますね。

○ コンサルタントやアドバイザー等の言う事は、単なる参考にする、またうまく使いこなすことが重要です。任せるのではなく、「任せて任せず」ということ、起用する側は自分の頭でよく考えるという基本に従うことがお勧めですね。
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子会社への親子ローンとDES

2018-02-10 00:16:05 | 企業一般
○ 事業拡大の為に、インド等の新興国に子会社等を設立して、製造拠点を設立、製品販売に乗り出さざるを得ない状況ですね。海外で子会社を設立しても人材不足などもありますが、当然予定通り事業が立ち上がることなどありえません。ということで、事業が黒字になれば返済も可能になると考え(希望的に想像して)親子ローンを供与(インドの場合は中銀規制のECB loan)を行います。

○ ところが、これまた予定通り返せないことが生じます。先日インド関連のセミナーに行ったら、日系企業は、何年ぐらいで黒字になっていますかという質問があり、まあ数年~7年ぐらいでしょうかという回答がありました。事業計画では、普通事業開始から3年目黒字、5年で累積損失一掃という希望を書いて、社内決裁を取ります。事業に困難はつきものですから、仕方ないですが、ローンでは金利負担もありますし為替リスクもあります。やはりEquityの方が、子会社にとっては楽ですね。返済しなくてもいいですから。また日系企業では、Capital Costを算出して、一定以上のReturnを求めている企業は、多分殆どないでしょうからね。

○ 子会社の立場から言えば、借金に返済の追われるより、Equityにして、落ち着いてビジネスに専念できる方が良いですね。

○ というわけで、親子ローンをEquityにする、あるいはせざるを得ない場合もありますね。まあ、最初から多分ローン返済は無理かもというときは、Convertible Bondを低金利で子会社に発行してもらうという方法もありますが、普通株ではなく、優先株だと柔軟性ある設計ができますね。優先株の場合の利点を挙げてみましょう。

1) 株式ですから、基本利益が無ければ配当しなくても良いですね。米国などの無額面優先株だと資本剰余金等も配当できますが、配当可能利益の規制のある国もありますので、実際配当を行う時には、子会社所在の国の会社法等の規制を守る必要がありますけれども。

2) 利益がでれば償還できる償還株式=Redeemable Stockの発行も、各国の会社法で認められておれば可能ですね。

3) その他、 累積的・非累積的(non-cumulative)とか、普通株配当を行う場合にその配当に参加できる参加的・非参加的( non-participating)な優先株式もあります。

4) 米国のVenture Capital等は、がめついですから、残余財産優先(liquidation preference)の優先株もありますが、4x (times)つまり普通株株主よりも4倍も多くの残余財産分配可能な条件で投資することもありますね。

5) Convertible to common stockもできますね。即ち一定の事項があれば、優先株を普通株にも転換できる株式も発行できるというとこですね。

○ 優先株を親子で発行する場合でも、親子間で優先株発行の契約を結ぶ。そういった優先株を会社として発行するためには、その内容を定款に記載する必要があります。即ち株主総会の承認が必要ですね。でも、最近は株主総会も書面だけでできる、あるいはInternet TV等で開催すれば有効とする会社法の国が増えてきましたので、だんだんやりやすくなりましたね。

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日本企業のインドでの税務申告

2018-01-20 00:09:40 | 企業一般
〇 経済産業省が公表している「新興国における課税問題の事例」として問題の多い国として、税務署職員にノルマを課し、現場も恣意的に解釈して税金を取りに来る中国が一番になっていますが、次に多いのはインドですね。インドでは、移転価格やPE問題も注意しないといけないのですが、税務の執行・手続きの問題として、例えばインドの合弁子会社等の企業から源泉徴収の対象となる支払いを受ける場合、PAN(Permanent Account Number)を取得しなければ租税条約が適用されず、インド国内法の源泉税率が適用される。PANを取得すると、PEの有無にかかわらずインドでの税務申告が、日本企業側に義務づけられ負担が大きいと解説しています。

〇 インドの人口は、13.9億の中国に次ぎ、約13.2億人ぐらいになったといわれています。経済成長率も2016年は7.1%であり、これに魅力を感じた日本企業が、現地に子会社・合弁会社を設立し事業の拡大を考えていますね。日本のインド大使館も領事館も、インドの各州の投資振興部局も外資導入に積極的で、地方も含めて各地で投資セミナーを開催しています。昔、中国でも「熱烈歓迎=いらしゃい いらしゃい」していましたね。中国投資がうまくいかず、撤退しようにも簡単に撤退できず、残余財産の日本への送金許可もおりず、いったんお金を中国にいれると利益配当は別として、多額の解雇保証金とか散々吸い取られますが、インドではまだ進出企業も多くないですから撤退の数としては少ないようです。インドは、進出機運としては、20年前の中国ですね。甘い誘致・投資勧誘に乗って、1年で工場作るぞといき込んでも、まあ実際は倍の2年かかるのが普通ですね。インドに進出すれば当然現地の子会社も苦労しますが、日本の親会社側もこれに付き合わされます。上記の通り、日本企業側でもインドの税務当局への税務申告が発生します。具体的な例として、例えば現地合弁企業に技術支援を行い、その支援料を現地企業が、日本の親会社に支払うとき、租税条約に則り10%の軽減税率の源泉税を現地で納めますが、そのためには日本企業側でインド税務当局の税務登録番号であるPANを取得し、また税務申告をしなければなりません。

〇 PANは企業だけでなく、その税務申告書に署名する人(インド内企業は取締役ですが)、外国企業の場合には、担当の課長などでもOKですが、その人のPANも取得しないといけません。更に、申告書の署名は電子署名ですから、それの取得即ちDSC(Digital Signature Certificate)も取得が必要です(DSCは、2年ごと更新)。このPANとDSCを取得の上、毎年、日本企業がインドの税務当局に税務申告書を作成・提出します。
といっても日本企業がインドの税務申告書を記載できるわけでもなく、現地の監査法人の税務部門などと契約して申告書を作成してもらうことになります。


〇 インドの財務会計年度及び税務会計年度は、4-3月です。日本のような確定決算主義ではないです。インド国内企業は、当然BS,PLなどの明細を申告書に記載します。日本(外国)企業のインド税務局への申告書も同じ申告用紙ですが、インドと例えば日本の親会社間の取引の明細・益金・源泉税の明細(TDS)等の部分だけが記載する内容になります。勿論、日本の親会社がどんな会社か、役員明細・住所、親会社の子会社一覧なども記載事項となります。

インド子会社は3月決算で、親会社の税務申告は、勅許会計士の証明書を取得する場合は11月末が期限です。結論を先に言いますと、作成し提出(インターネット提出で申告書はXBLで行います)する必要のある書類は以下です。
・3CEB(勅許会計士証明書)-税務申告書提出前に提出
・税務申告書作成・提出
・TP Memo (移転価格レポート)作成―このMemoは、当局への提出は不要ですが、作成して備置しておくことが、インド税法上の義務です。この書類は、別に11月までに作成しておく必要はないです。


〇 税務申告書類作成の流れは以下です。

3月 現地合弁会社の決算期
9月 9月頃までに、前年4月から当年3月までの、インド会社との取引(資本取引の明   細を含む)の全てをリストアップしておく。また、現地での源泉税納入(3か月単位)の際に作成するTDS(日本側はこれで税額控除を受ける)も整理しておく。そのうえで現地の監査法人の税務部門に、税務申告書作成依頼をして、そこと契約締結する。
9~10月  リストアップした資料と関係書類を、現地のへ送付。それを見て現地税務事務受託会社との間で、やり取りを行う。

11月 申告書、3CEB(会計士証明書)のDRAFTをチェック&内容を確認する。⇒現地税務当局に電子書類を提出(紙の書類での提出はできません。全て電子書類提出です)
11月以降 TP Memoを作成し、備置しておく。

尚、書類の保管期間は9年間です。


その他の必要書類は、日本側の企業が日本の企業であり、日印租税条約の対象である旨を証明するために、日本の税務当局から居住者証明書を取得して送る必要もありますね。


まあ、それぐらいでしょうか。
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米国拝金主義の終焉を願って

2017-12-23 10:38:53 | 企業一般
○ Johnson & Johnson(J&J)のOur Credo(わが信条)
J&Jは、Our Credoで、企業責任を定めています。
・第一の責任は、お客様(医師・看護師・患者等)に対する責任。
・第二の責任は、J&Jの社員に対する責任。
・第三の責任は、社会に対する責任。
・そして、最後の責任として株主に対して、健全な利益を生む、即ちこれによって配当を支払う事を上げています。米国企業にも拘わらずJ&Jは、健全な考え方をしていますね。日本でも、近江商人の考え方に「三方よし」、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」を挙げています。

○会社は株主のもの?
米国では会社は株主のものと考えている人が多いです。違いますね。
1) 米国では機関投資家に加えて、個人株主も多いし、従業員・役員等のESOPやその他のstock optionもあります。日本も米国の機関投資家等が投資しています。一方日本企業の従業員も持株会がありますが、1-2万円/月の拠出では、1単元株取得するのにも時間がかかります。従業員の自社株保有は、ほんの少しですね。
機関投資家とそれを取り巻く金融業界は、当然企業は株主のものという傲慢な主張です。
しかし、株式・株主権の中心は、議決に参加できる、配当を受けとることができるということであり、会社法に会社は株主のものという規定はありません。
株式を持っている人は株主ですね。では「株式とは、株主の会社に対する社員としての地位を細分化したものであり、通常の債権とは異なる。」即ち特殊な債権ととらえています(いろんな考え方があります。株式社員権説。社員権否定説。株式債権説。株式会社財団説等があります)株式を、物権である所有権という見方はしていません。
金を持って(従い力が強い)いる人の勝手な屁理屈です。

2) BSの借方を見ると、流動資産、即ちお客様に提供する商品、提供した後の売掛金、商品を作るための原材料が記載され、固定資産は、こういった商品を生産するための資産が表示されます。貸方は、買掛金や借入等が記載され、資産マイナス負債が資本ですね。
資本金・資本剰余金は株主が拠出したものですね。しかし利益剰余金は株主が出したものでしょうか?これは、従業員の努力・汗が生み出したものです。株主が汗をかきましたでしょうか?かいていませんね。自分の努力で得たものでもないのに、株主資本だとか言っていますね。これは、奴隷が稼いだものは、自分のものと言っているのと同じではないでしょうか?米国の株主は、泥棒でしょうか?

・米国で勉強した優秀?なMBA取得者が、自分の頭で考えることなく、企業は株主のものと言っていますね。猿まね・受け売りはやめてほしいですね?

・ドイツでは、共同決定法があります。大きな規模の会社では、取締役会の上部に監査役会があり、監査役の半分は労働者の代表です(小さな会社では1/3)。株主と労働者は平等です。健全な考え方ですね。

○ でたらめな企業価値計算
企業価値の計算で資本コスト(WACC)を算出しますね。
WACC=D/(D+E)x(1-Tc)x負債コスト+E/(D+E)x株主資本コスト

全く馬鹿げた計算方法ですね。負債コストと株主資本コストの考え方の前提が全く違います。即ち1+A=15%という言い方ですね。数字とアルファベットを足して、どうして計算できるのでしょう?
a)負債コスト:
・負債は債権・債務です。返済は法律上の義務です。
・ 金利が5%なら、5%の金利・収益を得ます。
・ 期待収益ではありません。支払不能にならない限り、確実に収益を得られます。
・ 現実のキャッシュフローです。返済期日に、金利・元本が返ってきます。

b) 株主資本コスト
・株主資本は、理論上は株主資本(利益剰余金が入っているのでおかしいのですが)ですが、これは清算しない限り配分されません。日本では剰余金分配規制があります。資本金や準備金は分配出来ません。(米国では、Cash flowに影響しない場合・無額面株の場合は、あまり配当規制はありません。)
・現実のcash flowではありません。Cash flowという観点から言えば、投資金額と配当です。Capital gainは、会社と株主の関係ではありませんので考慮できません。
・配当は、経営陣の裁量・判断が働きます。総会で株主提案で可決されない限り、株主の期待通りに配当する義務はありません。

〇投資銀行の身勝手理論
・米国の投資銀行等を仲介者としてM&Aを行う場合、投資銀行等がFairness Opinion を出します。自分でやっておいて、自分でFairnessですとどうして言えるのですか?日本でも、米国のやり方の猿まねをしているGCA等のM&A仲介会社等がFairness Opinionを、がっぽり金をとって作成します。なぜ、こういった誤魔化しの不健全な考え方が蔓延するのでしょうか?

・日本も昔は、米国猿まね社会ではなかったのですが、米国が金の力で世界を支配しましたので、これに洗脳された知識人と言われる人が、米国流がいかにも優れた考え方であるという風潮を作りましたね。

・米国の大手企業が節税で、パナマ・租税回避地で税金逃れをしています。BEPSの動きもあります。企業の使命は、お客様・社会への貢献です。税金逃れをすることが社会への貢献でしょうか?こういう企業への投資は、やめてもらいたいですね。機関投資家も、儲かる企業ならどこでもよいという反社会的な考え方はやめて、これからは健全な利益を上げ、税金も支払い、環境等にfriendlyな企業への投資をしないといけないのではないでしょうか?これからは「世間良し」社会への貢献を忘れた企業は長く存続できない世の中になるのではないでしょうか。

○ドイツのシュミット元首相は、もう20-30年ほど前に(福島清彦著 ヨーロッパ型資本主義(講談社現代新書)から引用)「間違ったアメリカ流の新しいイデオロギーがある。その一つが「株主の価値」である」「株主のための価値極大化が推進されると、会社の顧客、同僚、会社の従業員に対する責任がとれないという危険があることを確認しておかなければならない」「いずれにしても、二つの基本的な認識を見失ってはならない。第一に、社会で進行する超高齢化時代にあっては、超福祉国家を作ることはできないこと、第二に、「勤労する貧困者」という新しい下層階級を出現させてはならないことである」

J&Jでは、会社の顧客、同僚、会社の従業員に対する責任を優先しています。日本も、米国の猿まねから、そろそろ脱却する考えを持つ人が増えてほしいですね。
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社外取締役は無責任取締役

2016-05-09 00:16:40 | 企業一般
○ H26年の改正会社法では、社外取締役選任の義務化は見送りになりましたが、選任しない場合は、施行規則124条で「社外取締役を置くことが相当でない理由」の開示を求められています。しかし、東証コーポレートガバナンスコードで、独立社外取締役を少なくとも2名以上としており、「独立役員届出書」「コーポレート・ガバナンス報告書」も出さないといけません。ということで、多くの上場企業が社外役員の設置をしておりますが、その前提として、経営層の流動化が乏しい日本では、適格者がいないという現状があります。従い、無難というか企業経営の苦労を知らない、学者先生や弁護士・公認会計士等が社外取締役になっています。

○ 社外取締役については、施行規則124条で報酬額の開示に加え、取締役会における発言の状況、当該社外役員の意見により当該株式会社の事業の方針又は事業その他の事項に係る決定が変更されたときは、その内容を事業報告に記載することになっていますが、実態はどうでしょうか。取締役会で反対意見を述べたときは議事録に明記しないといけないですが、まああまり記載されていないようですね発言の状況も、「専門的見地から有益なアドバイス」などと、中身が全くない言葉で誤魔化されていますね。

○ でも、中には議事録や事業報告書には明確に記載されていませんが、結構発言する社外取締役がいます。この投資はそもそも反対だった、計画通りに行っていないのは理由を説明しろとか(議事録に反対意見の記載がないので賛成していますね)。まだ新規事業を始めて1-2年しかたっていないのに、お金も・あせも流してきたのに、やめてはどうかなどという無責任発言をする社外役員もいますね。経営学で成功事例・失敗事例の分析等した学者先生は、専門の経営学ですから、声高に取締役会で発言する例があります。専門の先生の発言ということで、他の取締役も、(例えば技術開発担当役員等は経営のしろうとという負い目があるのか)個人の性格の差もあり委縮して発言しないことも多いようです。逆に、殆ど何も発言しない学者先生もいるのかもしれません。委員会設置会社の東芝には、一流の経営学者が社外取締役としていましたね。何もしていないですね。報酬もらっているだけでしょうか?

○ 学者先生で、「計画通りに行っていないので事業を見直し撤退をすべき」などという人がいますね。汗をかいて事業を行っている人の労苦を考えない発言ですね。ブリジストンがファイアーストーンを高値で買収して、まともに経営できるのに10年もかかりましたね。事業に困難はつきものです。計画通り事業が進まないのが事業の常識です。その困難を乗り越えてどのように進めるか考えるのが取締役の職務です。

○ 取締役会では、頭でっかちで体を張って事業をしたことの無い学者先生の発言には、自信をもって反論しましょう。学者・弁護士等の社外取締役が事業に責任持ちますか?持つわけないでしょ!私は、東芝の例でもわかるように、独立社外取締役は、無責任取締役と考えています。

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上場企業役員の法令遵守意識

2016-05-08 16:19:57 | 企業一般
法令遵守・コンプライアンス等を会社の行動指針として制定して、従業員に法令遵守を求めている企業が多くなってきました。当然と言えば当然なのですが、従業員に求めていながら役員が遵守していない企業が多すぎますね。しかも当の役員が、自分は法令を遵守していると意識しているのが、また問題ですね。

最近は、東芝・三菱自動車・東洋ゴム等、国内でもいろいろは不祥事が表面化しています。これは氷山の一角ですね。国内でもこれですから、海外ではどうでしょう。

上場企業の役員(業務執行役員)は、海外の子会社・合弁会社の役員も兼務しているケースが多いですね。例えば、中国で中外合資会社の董事等をしていませんか?あるいは、東南アジアの合弁会社の取締役等していませんか?開催日時がブランクの議事録に董事・取締役として署名していませんか? 当然署名していますよね! これっておかしいと思わないのですか?

日本国内の法令は遵守しているつもりなってにいるかもしれないけど、海外在企業のその国での法令は遵守しなくていいのですか?上場企業の役員の法令遵守意識というのはその程度ですね。
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利益剰余金は誰のものか

2016-03-03 22:11:01 | 企業一般
○ BSの主な構成は、資本金・資本剰余金・利益剰余金ですね。これをまとめて株主資本と呼んでいます。資本金・資本剰余金は、株主が拠出したものですから株主資本と呼ぶのは当然です。しかし利益剰余金を含めてどうして株主資本と言うようになったかですね。昔の商法時代は、商法の計算書類規則で、I.資本金,II法定準備金(資本準備金+利益準備金)& III.剰余金(任意積立金・当期未処分利益)としていました。会社は誰のものと言われても、1990年代までは株主のものという人は少なかったですね。しかし、日本の優秀な頭脳が、米国の大学等へ留学し、MBA等を取得したり、米国会計基準等を勉強した人が増えました。そういった人たちから見れば、会社は株主のものであり、純資産は株主資本というのは当然と思われるようですね。

○ 資本金・元手を出してくれるのは株主ですので、配当金などで報いるのは当然ですね。しかし、どうして従業員の汗と知恵と努力で稼いだ利益剰余金が、株主資本になるのでしょうか?株主は、会社が利益を獲得するのに知恵や汗を出してくれたでしょうか?出していないですよね。利益剰余金は、その会社の役職員のものです。もし、株主のものならなぜ配当性向を100%とか90%にしないのですか?日本の企業の平均の配当性向は、どれぐらいなのでしょうか?多くても50%ぐらいではないでしょうか?
利益剰余金は、その会社の役職員のもので、次の役職員に引き継ぎ、企業の持続的成長・事業の成長に使用する資産ですね。といっても、純資産は資産マイナス負債の計算上の数字ですので、実際は流動資産や固定資産・投資等になっていますが。

○ 米国では、証券市場は個人株主や機関投資家がメインですし、ESOPやERISAなどで、従業員が株式を取得するシステムができています。しかし、日本では従業員持株会があっても、申し訳程度の少ししか従業員は株式を保有・取得しませんね。システムが、米国と日本では異なるのです。また会社に対する意識も、「わが社」ですし、基本的には、まだまだ終身雇用制ですね。最近でこそ、会社の役員は、会社は株主のものと答えないと、いろいろ支障が出るので、そうは言っていますが、本当に会社は株主のものとだけ思っているんでしょうか?会社は、株主のものとは会社法には記載されていませんね。

○ 米国で、米国の考え方に洗脳されて、それが世界標準であるかのように勘違いして、日本で、米国の考え・発想・Corporate Financeの講義・解説書を、受け売りで行っている学者先生や留学帰りが多すぎますね。みんな洗脳されているのですね。なぜ、会社は株主のものと言っている人が、配当性向は100%あるいはそれに近い数字にして、儲けた利益は株主に還元・配当せよと主張しないのですか?矛盾していますよね。

○ ドイツには、共同決定法等があります。従業員の代表が取締役会の上部機関である監査役会の委員になっていますね。日本の企業経営は、このドイツの制度をもっと勉強して取り入れるのが良いのではないでしょうか。会社は、株主だけのものではなく、役職員も共同所有者とすべきではないでしょうか?

米国の、利益剰余金も株主資本であるという発想は、奴隷の汗は自分のものであるという、奴隷制度と一緒の発想ですね。日本は、米国の制度・考え方の猿真似導入はやめて、一般従業員の代表も経営に参加して、1億総活躍社会?の新しいシステム・仕組みの一つを作るのが良いと思います。
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法令順守を謳う企業

2016-03-01 20:51:03 | 企業一般
○ 多くの会社で、基本理念と行動基準等を制定しています。基本理念としては3-5条ぐらいでしょうか。その下位規則として行動基準がありますね。企業により重点の置き方などは異なりますが、多くの企業で法令順守をうたっています。Panasonicでは、まず、綱領があり、信条があり、その下の事業活動の推進のところに法令の順守の規定があります。一方、味の素では、基本原則を定めて、「国内外の法令」、「行動規範」及びそれらの精神を遵守し、公正、公平、透明、簡素を基本として、信頼される味の素グループを目指します。」と言っています。

○ まあ、別に法令順守を謳うのは結構なことですが、どうも肝心なことを忘れていませんかと言いたいですね。

1) こういった行動基準は、経営トップが議論を重ね、取締役会決議で制定します。従い、経営トップが、率先垂範して順守しないといけませんね。トップが守っていないと、下には浸透しません。空言で白々しく聞こえますし、バカバカしくて守りませんね。
海外の子会社等を経験したうえで本社役員になった人もいるでしょう。その国の会社法には、年4回取締役会を開く義務が規定されていても、そもそもそういった法令は知らないし、会社のガバナンス等も行っていない人も多いですね。自分が、法令順守していなかった人が、いきなり法令順守を言い出すわけですね。

2) 会社のホームページで、自社の理念・信条・行動基準を謳っている会社は多いですが、どれだけ社員に浸透しているか不明ですね。特に、長々と10-15も行動規範と定めている会社の普通の従業員は、パンフレット配られているけど、机にしまってそれっきりですね。まあせいぜい3つぐらいでしょうね。覚えられるのは、それで十分ですね。
行動基準を、いっぱい定めても浸透しないということです。経営陣の力みすぎですね。

3) 法令は、必ずしも肝心なことを伝えている訳ではないことを理解していないですね。
例えば、独禁法では、「私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」とは書いていますが、これだけでは何をして良いか悪いかは不明です。ガイドライン等を見ないとわからないですね。価格カルテル等は独禁法が禁止していますが、日本では、独禁法違反にならないように、お互いのマーケットや価格は尊重した方がいいでしょう。やりすぎはいけませんが。これが、日本で1億2千万人以上の人が食べていく原理なのですから。
法律が、肝心なことを伝えていない例を分かりやすく言いましょう。刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。盗んだものは懲役に処すると記載されていますが、刑法には「盗んではいけません」とは記載されていないのですね。これは、法律なんかよりもっと大事なことがあるということですね。

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中国の理不尽課税 出向者PE課税

2015-12-20 21:40:17 | 企業一般
○ 中国の課税当局の理不尽課税については、経済産業省のWEB等に掲載されていますね。
ご承知の通り、中国の課税当局では担当者にノルマを課しています。だから、稼げない税務担当者は恵まれないのですね。昔は景気も良く法人所得税も納めていた日中合資会社でも赤字になると、税務署のおっさんに狙われますから注意が必要ですね。特に、日系合弁の少ない田舎町等で、他に中外合資企業の少ない場所は要注意です。
CO2などを蒸気機関車のように吐き出している、古い設備の中国企業等は、環境改善しないとどうしようもなくなってきたので、ときどき見せしめで工場をつぶされることもあるようです。しかし、2-3年前までは、中国の内資企業が、役所から狙われることは少なかったですね。外資系企業は、中国当局の監視下にあることを忘れないでほしいですね。税金だけでなく、技術もですね。技術についても、どういった技術なのかを説明する技術契約登記が必要ですから、しっかり盗める体制ができているのですね。

○ 出向者PE課税とは、海外親会社(日本)からの出向者を、親会社社員の中国における恒久的施設(PE)であるとみなして、出向先の合資企業が、親会社に送金した出向者の給与を親会社が収入として利益を得ているという言いがかりをつけて出向先企業に、出向元(親)企業の所得税を納付しろ、そのために、まず親会社の営業登記と税務登記をしろと言ってくることですね。


○ 今まで法人所得税を納付していたが、赤字を出して所得税を払わなくなると、税務署担当者はノルマを達成できなきから言うわけですね。ただ、他のノルマを達成したら、まあ今年は免除してやろうということもあります。
  出向者の給与は、親会社の基準+出向手当+留守宅手当等で決まります。しかし、現地で全部を受け取っても、中国の田舎では使い切れません。従い、現地企業では、給与総額の例えば2割だけを現地で人民元建で支払います。残りは親会社から現地合資企業に請求して、それを受領して出向者本人の日本の口座に振込むわけですね。この親会社からの請求額を親会社が受領して、親会社が儲けている。従って、この送金額の一定額(30-50%)を親会社の利益として推計課税して、その25%を税金として納税しろと言ってくるのですね。納税しないと、日本に送金するためには、US$5万ドル以上の支払いには、その正当性について当局の承認が必要ですが、この承認を下ろさないで意地悪する税務署員がいますね。

○ 中国法人が海外法人の子会社であっても独立した実体経営を行っており、以下の判定基準を満たしておれば、出向者 PE を構成しないとしています。
1) 子会社の要請に基づき親会社が人員を派遣していること(親会社の人事異動で親会社が決めているのではない振りが必要ですね)
2) 当該人員が子会社と雇用関係を有していること
3) 子会社が当該人員に対する指揮命令権を有していること
4) 業務責任とリスクが子会社にあり親会社にないこと。

○ 上記基準に加えて、国家税務総局は2013 年 4 月に“外国企業の派遣人員の中国内での役務提供に関する企業所得税関連事項の公告”(総局公告 2013 年 19 号)で、中国法人に出向者を派遣する外国企業がいかなる状況下でPE 課税を受けるかのポイントを明確にしています。判断の基本は、出向者の経済活動の成果の責任とリスクの所在であり、具体的には出向者の業績評価責任が派遣元か派遣先のいずれであるかという問題に帰結され、前者であれば派遣元(親会社)の中国内“機構”があり、日中間では連続して6 ヶ月以上の期間に亘り固定的、持続的な活動が認められれば恒久的施設(PE)を構成することになります。PE 認定の判断においては、下記の事項を総合的に考慮するとされていますが、現場の税務署のおっさんは恣意的に解釈して、言いがかりを吹っかけてきます。
1) 派遣先法人が派遣元法人に“管理費”“服務費”的な対価を支払っている
2) 当該対価が派遣元法人が立替払する給与/賞与/社会保険等実費を超える
3) 派遣元法人が派遣先法人から受取る対価を派遣者に払わず一部留保している
4) 派遣元法人の負担する派遣者費用の一部が個人所得税の計算対象外である
5) 派遣元法人が派遣者の人数、役職、報酬基準、派遣先を決定している

○ “較差補てん給与”は、実費である限りはそのことで PE 認定の判断基準とはされないとしているのですが、中国の税務署職員にとっては、実費以下なのか、実費を超える額を親会社が得ているか不明なので、PE認定を一方的に行って、一定の金額を推計課税してくるのですね。上記の5)等は、大半の日本企業行っていることですね。まあ、いったんこういった言いがかりを受けたら、非常に手間暇労力がかかります。少なくとも、出向元・出向先・出向者間の契約書の整備(現地へ行けば労働局指定の雇用契約を結びますが、これは現地の人民元建ての給与しか書いていないので、それ以外に必要ということです)、出向先企業が出向者に指揮命令権のある社内規定などの整備などが必要ですね。
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無責任社外取締役

2015-11-04 22:27:14 | 企業一般
○ 会社法では、経過処置として社外取締役選任の義務化は見送られました。しかし、社外取締役がいない場合には、「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明義務」が課されました。一方証券取引所ルールでは、独立役員(社外取締役又は社外監査役)の設置が義務づけられましたが、社外監査役でも構わないですから、誰かを呼んで来ればいいわけですね。社外取締役や独立役員の設置のことは、いろいろ話題になりますが、肝心の選任された社外役員が「まともに働いているのか?」「役立っているのか?」については、殆ど耳にしません。役立たない人を選んでも仕方がないですよね。米国のエンロンでもオリンパスでも、社外役員がいましたね。何か役に立ったのでしょうか?

○ ではどんな人が、社外取締役になっているのでしょうか?数社の上場企業の事業報告書を見ればわかりますね。弁護士等、学者、外交官、それと他の企業の役員ですね。取締役会の機能は、①会社の業務執行の決定、②取締役の職務の執行の監督、及び代表取締役(代表執行役)の選定・解職等ですね。まず、弁護士等ですが、法令違反の議題を取締役会の議題にすることはあるでしょうか?ないですよね。裏でしますね。外交官は、世界の情勢等には詳しいかもしれませんが、企業の取締役会で、飾り以外に何か機能を果たすことがありますでしょうか?また他の企業の役員を社外取締役に迎えることもあります。他社の会長職等余裕のある人なら別ですが、他社の社外役員などになっている余裕など普通はないですよね。自分の会社の忠実義務をしっかりやった方が、いいかもしれません。有能な社外役員というのは、簡単に見つかりませんね・

○ 社外取締役が今までに責任を負った例があるでしょうか?私は知りません。その中でもひどいのが学者先生の社外取締役ですね。東芝は委員会設置会社(改正会社法では「指名委員会等設置会社」)ですね。粉飾決算発覚前後を通じて、経営学の大家と言われている伊丹敬之氏等が社外取締役ですね。施行規則では、事業報告書に社外取締役の活動状況を記載することになっています。それによると「経営学の専門家、大学の組織運営者としての幅広い実績と識見に基づき、適宜必要な発言を行いました。」9月30日の招集通知には、「経営学の専門家、大学の組織運営者としての幅広い実績と識見に基づき、当社の経営に対する適切な監督を現に行っています。」例年同じ言葉でしたが、流石に今回だけは少し言葉を変えました。言葉を変えて何か変わりましたか?学者の取締役会での発言は、まあ「お経」みたいなものですね。経営学理論で難しいこと言っても、「ありがたいけど、実は何も聞いてない」。粉飾は裏でされますね。

○ 伊丹教授の弟子で、いくつかの企業の社外取締役を兼任されて取締役会等で積極的発言をされているような人もいます。三品和広氏ですね。ハーバードの教員等やった頭の良い人ですね。いろいろ難しい本等を出されています。会社の組織論等も広範な見識で、「持ち株会社化」等を推進提唱されているようです。持株会社化というのは、数年前に一度ブームがありました。企業文化、組織構造、子会社の種類と事業等を照らして、肌身で、持ち株会社化すればいいのか微妙複雑で大胆な決断が要ります。学者先生の理屈・理論でうまくいく世界ではないですね。数年前に持ち株会社化した会社で、うまく経営が行われている会社がどれだけあるでしょうか。そのメリット・デメリットは、どういうことでしょうか?あまり外には漏れてこないですね。三品氏の本に『経営戦略の実戦1:高収益事業の創り方』という本がありますね。事業を行ってきた人ならわかりますが、本を読んで高収益事業が作れますか?作れるわけないでしょ。

○ 金融業のように、証券・信託・企業対象銀行・一般預金者対象銀行のように、別々の業態なら持株会社化も機能するかもしれませんね。しかし、一般の製造業などはどうでしょうかね。持株会社化すれば、完全子会社は親会社に配当金という上納金を払わないといけません。持株会社は、事業を行っているわけではないですから、いろんな収益の手立てが必要です。親子間でどのように分割するか、一回分割すると、もとに戻すのが大変です。手間も大変です。決算も二重です。親子間で、親に収益を渡す取引等もいろいろ手間が発生します(知的財産を親が子会社にライセンスするなど)。税務は、連結納税が多いのでしょうか?仮想で持株会社化してから、うまく機能するか確認してからやればいいのにね。学者が頭で考えた理論等、うまくいくことは少ないでしょう。



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新設分割計画の実行

2015-08-16 22:04:39 | 企業一般
○ 会社分割には、新設分割と吸収分割がありますね。会社分割の実務の大変さを承知している適切なアドバイザーがいれば、吸収分割の方をアドバイスするでしょうね。M&Aが専門という看板を立てている弁護士は、大抵看板倒れで実務などの知識・経験はないですから、あまりあてにはしない方がいいでしょう。吸収分割が良いのは、受皿会社を設立しておいて、その会社が吸収分割すれば、ある程度事前準備ができますからね。まあ、今回は、新設分割を行った場合の注意点等(一部吸収分割とも共通の事を含む)を記載してみましょう。

新設分割設立会社の登記:分割会社が定めた日(3月期決算会社は、通常10月1日か4月1日から2週間以内に、通常下記のような書類を添付して登記申請します。
・新設分割計画書・定款・株主総会議事録・設立時取締役の一致を証する書面(分割計画記載の設立時役員)・役員就任承諾書・代表取締役個人の印鑑証明書(取締役会設置会社)・資本金額の計上に関する証明書・設立時代表取締役選定を証する書面新・設分割会社の登記事項証明書(管轄登記所が異なる場合)
債権者保護手続については、分割会社が併存的(重畳的)債務引受(又は連帯保証)する場合は省略できますね(法810-1-2)。
-仮に10月1日を分割日としてすぐに登記申請しても、登記事項証明書が出来上がるのは1週間から10日ぐらい必要ですね。税務署への法人設立届とか、許認可、不動産移転登記等に大量に必要ですね。新会社設立+吸収分割方式にしておけば、事前にできるものがかなりありますね。

分割会社・分割設立会社の確定決算:4月1日なら3月末で確定決算しますが、10月1日会社分割でも9月30日付けで確定決算しないと、分割設立会社に譲渡する資産・負債等が確定しません。従い、経過勘定・退職給付債務等の額を期末決算と同様の手続きで確定させます。それに基づき、10月1日の開始BSでは、分割会社に残っている資産・負債、分割設立会社に移転した資産・負債を作成します。
分割設立会社の純資産の部(株主資本)は、このBSの資産マイナス負債の金額ですね。そこから分割計画書記載の資本金額(=登記のときの証明書の金額)を引いた金額が、資本剰余金の「その他資本剰余金」になります。会社分割は、資本取引ですので消費税はかからないですね。

各種届出・変更:税務署に法人設立届を出さないといけません。登記簿謄本は当然として、設立時のBS等の書類添付が必要です。併せて、源泉所得税の届出書、消費税の各種届出書、その他青色申告承認申請書等などの提出が必要です。その他包括承継で譲り受けられる許認可もあるかもしれませんが、いちいち分割設立会社に移転した旨の届出が必要です。不動産の移転登記も必要ですね。

分割設立会社の銀行取引:大企業の会社分割では、銀行も設立会社の登記簿謄本を出さなくても口座を分割日から解説してくれるようになったと聞きました。でも中小企業では、登記簿謄本も出さないのに銀行口座を開設してくれるとは思いません。口座開設しても、お客さんが従来通りの口座に振り込んだりして、口座の入金が、分割会社なのか、分割設立会社なのか、きちんと確認しないといけませんね。

健康保険・労働保険:分割設立会社の被保険者が、常時700人以上いれば、国から認可を受け新たに健康保険組合を作れますが、相手が厚生労働省ですからね。早くても2-3か月ぐらいかかるのではないでしょうか?>健康保険証は10月1日の会社分割日から必要です。子供が病気になったとか、月初めには毎月保険証をみる病院も多いです。総合型の健保の場合なら、もう少し早く手続きが進むかもしれません。労働保険関係の手続きも必要です。

厚生年金・企業年金の承継・創設等:これも各種届出が必要です。当然勤続年数の通算等が必要です。分割会社に企業年金制度がある場合には、分割設立会社でも同様の制度設計が必要ですが、これが直ぐにできませんね。いわゆる確定拠出年金は、日本では年金積立金は会社拠出が原則(米国では制度を会社が設計し、この枠組みの中で個人が選択して、個人が拠出し会社がmatching contributionする個人の制度)ですが、この制度などは、分割設立会社ができる何か月も前から準備をしておく必要がありますね。
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合弁契約の関連契約

2015-08-08 08:16:07 | 企業一般
○ 新興国で工場を建設したり、製品販売をしようとするときは、やはり現地の事情を知っている現地パートナーと組んで、合弁会社を設立することがよくあります。そして、そのパートナーと合弁契約を結びます。しかし、それだけでは会社は動き始めません。合弁契約で、会社の本店住所、資本金や株式保有比率、役員構成などを決め、また定款を定め、会社登記局などに登記を済ませば会社はできますが、中には何もありません。従い、合弁契約に、当事者の役割を記載して、会社が成立すれば、それぞれが協力し合って会社を立ち上げます。ということで、今回は、どういった立ち上げに必要な契約があるのか一例をあげましょう。

○ では、会社立ち上げのための各種契約にはどんなものがあるのでしょうか。まず列挙しましょう。①工場建設用地取得契約、②工場建設のエンジニアリング・建物建設契約、③オフィスリース契約、④総務・管理業務委託契約、⑤ローン契約、⑥アパート賃借契約、⑦技術支援契約、⑧経営委任・派遣契約、⑨その他契約ぐらいでしょうか。

工場用地取得契約-国によって外資系企業は用地の取得ができません。中国やインドネシア等は土地賃借権・使用権の取得契約となります。工業団地などでは、その団地の運営会社が協力してくれますが、普通の土地の取得なら手間がかかります。普通は、現地の土地の状況、不動産取得、手続き、注意点を知っている合弁パートナーの協力を得ます。土地の調査―汚染、地耐圧、周辺環境、電気・ガス・水道の利便性、排水処理方法等種々の規制がありますので、やはり合弁相手の協力を得ます。

工場建設のエンジニアリング・建物建設契約-日本の大手建設会社なら大丈夫ですが、現地の普通の建設会社なら、まず日本人のレベルから行ってまともにできないでしょう。中国・インドなどでは、別に決められた設計図・計画などお構いなしで、いろんな手抜きを行うのが常識です。ですから、その上にエンジニアリング会社を置いて、計画通り・設計通り進むように手当てします。といっても計画通り進むことはまれです。遅れます。建設現場の連携は非常に悪いので、上工程ができるまで下工程は着手しませんし、自分の担当分野しかしませんので、単体は完成しても、連結してもうまく進まない、ましてや全体最適などは考えていませんので、そこは欧米委の一流・優秀な、でもお金も高いエンジニアリング会社の起用が必須です。高くても、それが結局得なのです。

オフィスリース契約-合弁会社への出向者が決まっても、本社工場ができるまでオフィスがありません。合弁パートナーのオフィスの間借り契約も必要です。

総務・管理業務委託契約―工場建設・関連の許認可取得などは合弁相手に頼みましょう。現地語で書類作成などできません。言葉が通じません。原材料を海外から手当てするときは輸入ライセンスが必要です。また現地語・現地のGAAPで経理をスタートさせなければなりません。しかし、優秀で信用できる人など簡単に採用できません。合弁パートナーに手伝ってもらうわけですね。

ローン契約-資本金のみでは資金が足りない場合には、株主からのローン供与の契約を結んで資金投入をします。中国では、投資総額・登録資本が批准証書にきさいされますので、その範囲の親子ローンですね。インドでは、株主は運転資金のローンはできません。あくまでも設備投資のローンです。ローン供与でも新興国では規制があります。

アパート賃借契約-出向者は普通、現地で外国人用の高級Condoを社宅契約で結びます。この契約書は、不動産仲介会社がひな形に記入して用意をしてくれますので、それに署名すればいいですね。

技術支援契約-工場立ち上げには、工場のレイアウト、機械設備の選定、据え付け、試運転等の支援が必要です。日本側の合弁パートナーが結ぶケースが多いです。

経営委任・派遣契約-これは派遣経営者、従業員の出向と合弁会社の雇用条件等を記載します。現地での労働ビザ取得に必要な場合も多いですね。

その他-工場が立ち上がれば、技術提供のライセンス契約、原材料輸入契約、現地販売代理店契約、従業員雇用契約など、いろいろな契約を作ります。

まあ、労力がかかるということですね。
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常識「会社は株主のもの」という非常識

2015-03-29 20:21:24 | 企業一般
○ 米国で勉強された人は、会社は株主のものという当然の理屈に洗脳されて、それを疑う人は少ないですね。証券業者の人もそうですね。株式を扱っている人ですからね。多くの人が「会社は株主のもの」と認識すると、これに異を唱えることは難しくなりまし、異論を唱えると批判や反論がでます。

○ 2008年1月24日、経産省の北畑隆生事務次官は、(財)経済産業調査会主催講演会で、「株主は(企業経営)能力がないうえに浮気者、それから無責任、有限責任であり、配当を要求する強欲な方」と発言しています。

○ 東大の岩井教授は、会社は所有の二重構造であると言われています。民法や商法の教科書では「本来ヒトではないが法律上ヒトとして扱うことのできるモノ」と定義されています。つまりヒトとモノの二重性があって、会社はモノとして株主に所有されると同時にヒトとして会社財産を所有する「二重の所有関係」にあるわけです。この法人の二重性からコーポレート・ガバナンスの問題を紐解くと、いわゆる米国型は株主によって所有される「モノとしての要素」が強調され、逆に日本型では会社財産を所有する「ヒトとしての要素」が強調されていることが見えてきます。つまりどちらが正しいということではなく、2つの側面のそれぞれ別な面を強調しているに過ぎないのです。

○ 優良企業のJohnson & Johnsonでは、我が信条(Our Credo)として、企業理念として、第一の責任は顧客(医療関係者等)に対する責任を果たす。二番目は全社員への責任。第三番目は社会に対する責任、そして四番目の最後の責任は株主に対する責任を果たすと宣言しています。何でも、株主comes first等ということは言っていません。

○ H22.3の平成21年度M&A市場における公正なルール形成に関する調査である「諸外国の上場企業法制に関する調査」報告では、従業員代表が会社の意思決定手続きに直接関与することを会社に義務付ける制度を持つ国について記載されています。共同決定法のドイツや取締役会又は監査役会メンバーの一定数を従業員から選任する制度を導入することができるフランスですね。

○ 会社は株主のものいう人は何を根拠に言っているのでしょう?アメリカ人が言っている、アメリカのビジネススクールの教科書に書いてあったとかでしょうか?あるいは、周りの人が、そう言っているからでしょうか?

会社法に、「会社は株主のもの」という規定はありますか?そんな規定はありません。株主は株式の保有者ですが、会社の保有者等ということは書いていません。会社の純資産を米国のまねをして「株主資本」という呼び名をつけています。おかしいですね。株主資本等と呼んでも株主の実際のCash outの投資に対して株主資本が戻ってきますか?Cash inで戻ってくるのは配当ですね。利益剰余金(実際は「その他利益剰余金」だけのケースが多い)は、株主が拠出したお金ではありません。その会社の役職員が、汗水たらして稼得したお金部分です。勿論株主は元手を出してくれましたから、配当で報いないといけません。しかし、元手が自動的に増幅した訳ではありません。役職員が働いたから利益剰余金ができたのです。利益剰余金は株主が生み出したモノではありません。

会社は、そこで働く従業員全体と株主の特殊な共有物と考えるのはどうでしょうか?
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会社の投資家と社外取締役

2015-02-01 23:38:31 | 企業一般
○ 授権資本制度により、通常発行済株式総数の4倍を発行可能株式総数にしますね。公開会社では、1倍から4倍までは、経営者・取締役会が第三者割当増資などで、有利発行に該当しない限り総会決議が不要ですから、新規株主を選べます。株主が会社の所有者かもしれませんが、その株主は、授権資本制度の範囲で経営者が選べる制度となっています。勿論現実は理屈通りになりませんが。

○ 今度の会社法改正では、支配株主の異動を伴う第三者割当増資には、50%超の第三者割当増資には、原則総会決議が必要と改正されます。勿論持株比率・構成では、50%以下でも実質会社の経営支配権を持つ株主を、経営者が選べることが可能です。しかし、これでも既存株主の利益が損なわれると指摘され、上場会社については、取引所の規則により、希釈化率25%以上又は支配株主の異動を伴う第三者割当増資については、独立者からの意見入手又は株主総会等による株主意思確認を行うことが要求されています(東証上場規程432条、同施行規則435条の2)。

○ 即ち、改正会社法では、公開会社において、①引受人が総株主の議決権の過半数(50%超)を新たに取得することとなる第三者割当増資を行う場合であって、②10%以上の議決権を有する株主から、通知・公告から2週間内に反対通知があったときには、原則として、当該引受契約について株主総会の普通決議による承認が必要となります(206条の2)。但し、「当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるとき、この限りではない」としています(同条4項)。改正会社法でも、非上場公開会社の場合は、50%以下なら企業経営者・取締役会決議で第三者割当増資が可能ですね。

○ 東証のルールは、総会決議は、定款・法令に規定されている事項のみ議決できるとする会社法規定との関係が解説されていないですね。でも、改正会社法に該当する場合は、総会決議が法定されることになりました。また、独立者からの意見というのも、本当の独立性があるのか疑問ですね。独立委員会の委員は、結局その会社から報酬もらうのですね。また、会社の事業・内情等を知らない人にどれだけのことができるのでしょうね?

○ 7-8年前に、経産省の事務次官が、講演会(経済産業調査会主催)で、「株主は、企業経営の能力がないうえに浮気者、それから無責任、有限責任であり、配当を要求する強欲な方」、社外取締役は「役に立たない」と述べています。これがかなりの企業経営者等の本音でしょうね。勿論例外もありますし、その企業の発展のために口先アドバイスする社外取締役はいます。しかし、入社後何十年と会社とともに成長し、会社の事業に精通し、表裏の人事ネットワークを持っている人、汗水をたらして愛着のある経営者とは責任の重さが天地の差があります。最近の社外取締役強化の動き、会社は株主のものという建前論もあり、今こんな発言をすれば、あちこちからたたかれるでしょうけどね。企業経営者にとってみれば、株主様は企業の資本の提供者であり、物言わぬ株主、年一回の平穏無事の総会だけに出席して、お土産渡してあとは黙っている株主ならWelcomeなんですね。

○ 株主は、企業の所有者であると一般に解されています。しかし、所有者なら所有物に責任を持つのが当たり前ですが、安定株主の一部を除けば、無責任だし出資額・投資額以上の責任は負いません。個人株主は、その企業と縁があって投資することも多いでしょう、しかしプロ投資家・機関投資家は、金もうけのために投資しているのであって、企業を所有して経営しようなどと考えていません。経営者は、その企業のために働いています。機関投資家は、その企業のために働いていません。なぜ、そんな責任を負わない人たちが言うことを聞く必要があるのでしょうか?

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