まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

米国の州内・州外会社

2013-06-23 00:39:02 | 企業一般

 

 米国では会社法や商法は各州別ですね。大きな会社の場合、運営が柔軟なDelaware州法人にしている例が多くありますが、事業の拠点は別の州になっています。例えば会社はNew York州に拠点を持っており、登記上はDelaware州に置いたりします。このNew Yorkの会社は、Delaware州の州内会社(domestic corporation)であり、New York州から見れば州外会社(foreign corporation)ですね。ではこの会社が、New Yorkでの事業活動や不動産取得をするにはどのようにすればいいのでしょうか。<o:p></o:p>

 

 

 まず、考えられるのは会社設立の際には、資本金等を基準とした登録手数料がNew York州には入って来ませんね。即ち、New York州に会社があるのにDelaware州に税金(州税)を支払いDelaware州の会社法に従い経営します。各州(New York州)にとっては、州外会社が州内会社(New York州会社法の会社)より有利な条件でその州内で営業活動を行い収益を得るのは不公正で、州の収益(税金収入)という視点からも見過ごすことが出来ません。また各州にとって州外会社と取引する州内会社を保護する(債権者保護等)必要があります。従い、各州は、州外会社に対する法的規制を行っています。<o:p></o:p>

 <o:p> </o:p>

 

 規制としては、州外会社がその州内で営業を行うには資格の取得(qualification)が必要としています。これを州内化(domestication)とも言います。この登録手続きをするには、当然手数料・登録税を徴収します。登録されれば州務長官から許可証が発行されます。これによって、その州内での営業は適法になり、州内会社との取引での権利確保・行使のために、その州の裁判所に訴える事もできます。勿論営業許可を受けないで州外会社が、その州内で営業しても被告として訴えを起こされる側の資格は最初からあります。州外会社が州税を脱税しており、課税当局に訴えられ、加算税・課徴金を課されるということですね。<o:p></o:p>

 

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 逆のケース、即ち例えばNew York州の州内会社がDelaware州で営業登録するに際して、Delaware州のGENERAL CORPORATION LAWの関連規定を見て見ましょう。

§ 371. Definition; qualification to do business in State; procedure.

(a)  As used in this chapter, the words "foreign corporation" mean a corporation organized under the laws of any jurisdiction other than this State.

(b)  No foreign corporation shall do any business in this State, through or by branch offices, agents or representatives located in this State, until it shall have paid to the Secretary of State of this State for the use of this State, $80, and shall have filed in the office of the Secretary of State: (以下省略)

 

 では、上記の関連事項を2-3言いましょう。

 まず州際取引(interstate commerce)ですね。即ち、営業許可を得ており、本店を置いている州のA社は、別の州(A社はその州で営業登録をしていない)のB社と取引する場合、A社とB社との契約は、1)A社の本店が承諾したときに成立するとする。2)契約商品の発送は本店からするという条件になります。これは厳密な場合で、単なる倉庫をB社と同じ州に持っていたり、B社を訪問して取付作業を行ったりしたときとかはどうなるのか、こういった場合にも営業登録が必要なのか?となります。この辺はどうも基準が曖昧で確立していない用ですね。<o:p></o:p>

 

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  いくつかの州においては、営業登録をしないでその州内で不動産を所有できないと定めて居るようです。即ち、営業登録をしないで不動産売買契約を締結しても、無効となります。

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 営業登録をしないと営業ができないという例外、即ち営業登録をしなくても営業等の行為ができる場合を規定しています。373条です。邪魔くさいので、原文引用です。

(a) No foreign corporation shall be required to comply with §§ 371 and 372 of this title, under any of the following conditions:<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

(1) If it is in the mail order or a similar business, merely receiving orders by mail or otherwise in pursuance of letters, circulars, catalogs or other forms of advertising, or solicitation, accepting the orders outside this State, and filling them with goods shipped into this State; <o:p></o:p>

 

(2) If it employs salespersons, either resident or traveling, to solicit orders in this State, either by display of samples or otherwise (whether or not maintaining sales offices in this State), all orders being subject to approval at the offices of the corporation without this State, and all goods applicable to the orders being shipped in pursuance thereof from without this State to the vendee or to the seller or such seller's agent for delivery to the vendee, and if any samples kept within this State are for display or advertising purposes only, and no sales, repairs or replacements are made from stock on hand in this State; <o:p></o:p>

 

(3) If it sells, by contract consummated outside this State, and agrees, by the contract, to deliver into this State, machinery, plants or equipment, the construction, erection or installation of which within this State requires the supervision of technical engineers or skilled employees performing services not generally available, and as a part of the contract of sale agrees to furnish such services, and such services only, to the vendee at the time of construction, erection or installation; <o:p></o:p>

 

(4) If its business operations within this State, although not falling within the terms of paragraphs (a)(1), (2) and (3) of this section or any of them, are nevertheless wholly interstate in character; <o:p></o:p>

 

(5) If it is an insurance company doing business in this State;<o:p></o:p>

 

(6) If it creates, as borrower or lender, or acquires, evidences of debt, mortgages or liens on real or personal property;<o:p></o:p>

 

(7) If it secures or collects debts or enforces any rights in property securing the same.<o:p></o:p>

 

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UCCのWarranty(品質保証)

2013-06-15 08:56:41 | 商事法務

 

 Uniform Commercial Code(UCC)の定めるWarrantyについてです。原文はCornell大学のWEBhttp://www.law.cornell.edu/ucc/2/)をご覧ください。UCCでは、契約により発生するWarrantyとして以下を規定しています。

1) Warranty of Title and Against Infringement

2) Express Warranty

3) Implied Warranty of Merchantability

4) Implied Warranty of Fitness for Particular Purpose

5) Course of Dealing, Usage of Tradeから発生するImplied Warranty<o:p></o:p>

 

 

 Warranty of Title and Against Infringement (2-312条=第2編第3節第12)

売買契約の前提としてのWarrantyです。

i) 所有権を譲渡する権限を持ち、買主が第三者から権利侵害等で訴えられる不合理なリスクが無いこと。

ii) 販売される商品には担保権・先取留置権等が無いこと。<o:p></o:p>

 

 

 Express Warranty (2-313条:明示の保証)

直接の買主(immediate buyer)に対して、売主が約束した保証を行うというものです。この保証は、売買取引の基礎(the basis of the bargain creates)をなすものであり、例えば、売主がある事実の確認や約束(Any affirmation of fact or promise)をしたり、descriptionを述べたり、sample/modelを提供してこれに合致していると表明したときに発生します。必ずしも、売主から"warrant" or "guarantee"という言葉を取得する必要はありません。また、warrantyするというspecific intentionを売主から引き出す必要はありません。

しかし、単なる売主の意見・推奨(merely the seller's opinion or commendation)などはwarrantyとはなりません。<o:p></o:p>

 

 

 Implied Warranty of Merchantability (2-314条:商品性の黙示の保証)

Implied Warrantyとは、取引の性質や当事者を取巻く状況から、法律が当然そのようなWarrantyがあると推定しているもので、Implied Warranty of Merchantability(商品性の黙示の保証)とは、その種商品を取扱っているmerchantが行う全ての売買について自動的に生じます。

 どういう状態であればMerchangableであるかについて2-314(2)では次の様に定めています。

(a) pass without objection in the trade under the contract description;

(b) in the case of fungible goods, are of fair average quality within the description;

(c) are fit for the ordinary purposes for which goods of that description are used;

(d) run, within the variations permitted by the agreement, of even kind, quality and quantity within each unit and among all units involved;

(e) are adequately contained, packaged, and labeled as the agreement may require; and

(f) conform to the promise or affirmations of fact made on the container or label if any.

Implied warranty of Merchantabilityは、排除されない限り、その製品の安定性につき、売主に責任が生じます。売主が、その欠陥について認識していたかどうか、見つけることができたかどうかを問わない責任です。

Implied Warranty of Merchantabilityに関する争いは、食品に関するものが多いようです。アウト(売主の責任)の事例としては、サラダ油にネズミが入っていたとかパンを切ったら人間の指が出てきた等があるようです。セーフ(売主は責任を負わない)の例は、Fish Chowder(魚介類を入れて煮込んだ具だくさんスープ)の中に魚の骨があり、この骨がのどに引っかかったというのがあるようです。<o:p></o:p>

 

 Implied Warranty of Fitness for Particular Purpose (2-315条:特定目的適合性の黙示の保証)

買主が当該製品を特定の目的に使用することを売主が知っており、かつ買主が、そういった製品を適切に選択し提供する売主の技量や判断に依拠したときは、明示的に排除・修正されない範囲限り、売主は黙示の保証責任を負うことになります。<o:p></o:p>

 

 Course of Dealing, Usage of Tradeから発生するImplied Warranty(1-205)

Course of DealingUsage of Tradeから発生するImplied Warrantyもあります。UCCArticle 1 General Provisionsのところに記載されています。A course of dealingとは、当事者間の一連の特定・継続取引で共通の理解の基礎として確立した事項とされています。また、A usage of tradeとは特定業界の商慣習・独特のビジネス方法ですね。定義の詳細は、UCC 1-205をご覧ください。

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Assignment(譲渡)とNovation(更改)

2013-06-08 00:30:37 | 商事法務

 

 英文契約の一般条項の一つとして、契約の譲渡禁止の規定が記載されます。例えば、簡単な例としては以下ですね。

This Agreement may not be assigned by either of the parties hereto and any such assignment shall be null and void without the consent in writing of the other.

実際の契約で、この条項に従って契約が譲渡される例は、子会社などへの譲渡を除いてあまりないと思います。しかり法律屋というのはどうしても業界慣行的な書き方の文章を作りますので、しばしばこの文言が入ります。弁護士さんが、どうでもよい条項をいろいろ追加して、いたずらに契約書を長く(お金を稼ぐ?)する場合等にも入れますね。実際はどうでも良いことなんですけど。

 

 Assignmentとは、正確には、契約の譲渡・契約上の地位の移転では無く、権利の移転及び義務履行の委託」の事を言います。Uniform Commercial Code§2-210. Delegation of Performance; Assignment of Rights.には、以下のように規定されています。(3) An assignment of "the contract" or of "all my rights under the contract" or an assignment in similar general terms is an assignment of rights and unless the language or the circumstances, as in an assignment for security, indicate the contrary, it is also a delegation of performance of the duties of the assignor.<o:p></o:p>

 

 

 当事者の意識としては、契約(債権・債務)を新たな者に移転・承継(債務も免責的債務引受)するという意識が強いのではないでしょうか?日本の民法514/515条には、債務者・債権者交替による更改を規定しています。

   - 514条(債務者の交替による更改)債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。ただし、更改前の債務者の意思に反するときは、この限りでない。 

-515条(債権者の交替による更改)債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。

日本では、関係者間で契約上の地位移転の契約を締結して、移転日を設定して行います。、契約(原則は、債権+債務)は、そもそも当事者間の取り決めですし、地位承継を受ける人も地位承継確認書に当事者として参加しますので、515条の第三者対抗要件(確定日付ある証書)がどれだけ必要かよくわかりませんね。

 

 

 英文契約のAssignmentは、当事者としては、正確に言えば、更改(Novation)ということになるのではないでしょうか? Novationの定義を辞書で調べました。

Substitution of another party for one of the original parties to a contract, with the consent of the remaining party. The old contract is then extinguished, and a new contract, with the same content but with at least one different party, is created. A novation often involves a transaction whereby the original debtor is discharged from liability to his creditor by substitution of a second debtor.<o:p></o:p>

 

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Letter of Intentについて

2013-06-02 20:19:16 | 商事法務

 

 例えば、買収検討や合弁会社設立検討等の取引を検討しているときにLetter of Intentを出状したりしますね。今回は、このLetter of Intentの話しです。Letter of Interestとか、Memorandum of UnderstandingMOU)という表題を付けたものもありますね。ではどんな場合に、これが出されたり取り交わされたりするのでしょうか?

1) 入札型会社売却等で買収に興味のある者が、買収に興味があるとして興味表明として出すもの。

2) 当事者間の交渉がある程度進んで、引き続いて契約締結に向けて交渉する過程で、交渉やスキームのアウトラインを確認するためにだすもの。

3) 交渉がかなり進んで、基本的な条件について両者の共通の了解が出来、それを確認し、最終合意(Definitive Agreement)に向けての作業の一環として行われるもの。<o:p></o:p>

 

 

 大きく分ければ、上記のようなものになると思います。では形式面で言えばどんな形になるのでしょうか?

a) 一方的な意向表明で手紙形式で相手に差し出すもの。

b) 手紙形式であるけれども、相手方が認識している旨のサインを取り付けるもの

c) 契約書に準ずる形式で作成して、双方ともサインを行うもの<o:p></o:p>

 

 内容的には、どんな内容になるのでしょうか?

i) 法的拘束力を持たない一種のビジネスレターの延長のようなもの。

ii)  交渉内容の守秘義務契約書と同じようなもの

iii)  法的拘束力を持つもの。守秘義務以外についても法的拘束力をもつもの(例えば、exclusiveに当方とだけ3ヶ月、誠実に交渉する義務を負う等)。

iv)  基本的条件については合意しているもの(一種の基本合意書のようなもの)。<o:p></o:p>

 

 

 上記ですので、種類もタイトルも千差万別、そのときの状況次第ですね。でも、よく守秘義務等以外の義務・責任は負わないと記載します。ということで、例文を2つぐらい記載しておきましょう。

例文1:文末に

This letter merely reflects our intention to proceed with discussion with you. It is not and should not be construed as a binding agreement between the parties except for the paragraph 5 (Confidentialityとか一定期間の他社との交渉禁止とか) of this letter.

例文2:MOUNo Commitmentの例

This MOU shall not create a partnership, joint venture or relationship of trust or agency among the Parties. The Parties hereto acknowledge that they are not under any legal obligation to enter into a definitive agreement with respect to the Transaction, except for the confidentiality matters set forth in this MOU. For the avoidance of doubt, neither Party shall be liable to or responsible for any damages or expenses for any failure to agree upon a definitive agreement with respect to the Transaction.

<o:p></o:p>

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