まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

企業の目的と存在意義

2009-12-30 21:36:42 | 社会・経済

     今回は重たいテーマですね。企業の存在意義とは何か、また誰のために存在するかです。会社は株主のモノなどという軽薄な事を言う人が多くいます。政府の企業価値研究会でもそんなレポートを出していましたね。困ったものですね。株主は出資者ですが、資本金・準備金の額の減少を行わない限り、資本金・準備金は戻って来ません。出資の時点で株主の手から離れているのですね。分配可能剰余金(主としてその他利益剰余金)が生じれば配当はありますけれども。会社は、株主と役職員のものですね。株主のモノなら株主の自由にしていいのですか?そういう訳にはいかないですね。今の一部上場の大企業(創業者・オーナー型の会社以外)で株主が会社の方向性・方針を決めている会社がありますか?自分のモノなら自分で方針を決めるのが当たり前ですが、そういった事もしませんね。ところで、雑談はやめて、本題に入りましょう。

     企業の第一の目的は社会への貢献です。企業価値とは、社会への貢献の度合いです。具体的には顧客に有益なモノ・サービスを提供する事です。顧客が、モノ・サービスを購入してくれるから売上が計上出来ます。企業が成り立つのです。売上の計上できない企業はすぐに潰れます。当然です。これが基本であることは明らかです。また、モノ・サービスを提供するには、それなりに仕入などをしないといけません。仕入元にとって自社は顧客です。これの様々な組み合わせと循環で多くの企業、ひいては企業社会が成り立っているのです。ビジネスというのはGive & Givenです。モノ・サービスを提供(Give)するから、それの正当な対価としてお金がもらえるのです(Given)Give & Takeだとか、Win Win等という言葉を言う人がいます。ビジネスを分かってない人が言う言葉です。顧客によりよいモノ・サービスを提供し続けるには、モノ・サービスの質を高め、コストの低減を計り、利益を出しビジネス・企業を存続させる必要があります。

② 企業の第二の目的は役職員の雇用です。モノ・サービスは誰が提供するのでしょうか。企業で働く役職員です。コストの低減を計り、利益を出し、よりよいモノ・サービスを生み出すのは、株主ではありません。その企業の役職員です。役職員が人間的に成長するから企業の成長があるのです。従い、社長や役員は、職員が人間的に成長できる風土・文化を企業に植え付ける事が重要です。役職員は尊重され、安心して仕事に従事でき、処遇は公平であり、応分の報酬・給与が与えられ、健全な家庭を持つことが必要です。

 

     企業の第三の目的は継続性です。企業は、常に顧客が購入する、新しいモノ・サービスを継続的に提供する必要があります。これにより、継続的に売上が上がり、継続的に役職員を雇用できるのです。そのためには、企業は健全な利益を生まなければなりません。利益を生むことにより、研究開発、設備投資、新製品・新サービスが提供出来るのです。利益を生まない企業は、すぐに消えて無くなります。利益をきちんと確保することにより、法人税等の租税を支払い、国や自治体にも貢献できます。

上記を満たしたときに始めて、企業は株主に配当をすれば良いのです。継続性があるから配当も継続されます。上記①は会社法では債権者保護の切り口で規制しています。②はPLの視点で言えば費用ですね、主として労働法で規制されています。③は経営です。創業は安く守成は難しといいます。継続性というのは難しいことですが、これが重要ですね。

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中外合弁企業法の董事会は実質出資者総会?

2009-12-23 21:24:17 | 企業投資

       中国政府の4兆元(52兆円)の景気浮揚策で今年も8%成長が見込まれている中国ですね。日本が元気だった30-40年前を思い出させる雰囲気がありますね。益々中国が注目されています。従来は、中国リスク低減のため100%外資で中国に進出し、輸出を主としていた日本(外国)企業も、今後は中国マーケットを対象として、中国の内資企業と合弁会社を設立して進出する方式が増えそうですね。と言うわけで、今回は、中外合弁企業法という、少し変わった特色のある法律について考えてみましょう。

       中国内資企業との合弁企業設立の際には、中外合弁経営企業法が適用されますね。外国側投資企業(個人でも可能。中国側は個人は出資者になれない)は持分の25%以上出資しないといけません。登録資本の持分割合に基づいて、リスクとリターンを負担・享受します。合弁契約書と定款を作成して、関係機関の許可を取得しないと設立できませんし、また出資も出来ないですね。会社が出来ても営業許可取得までに時間がかかる場合もあります。日本でも同じですが、外貨・人民元の銀行口座開設、税務当局への届出、労働局への雇用手続等に加えて、当然、電気・水道・ガス・通信等の手続が要ります。最近は、コンサルティング会社も多いですから、慣れないことは任せた方が良いですね。

       中外合弁企業の最大の特徴は董事会が、会社の意思を決定する最高機関という事ですね。普通は董事会を取締役会と訳しますので、この訳は誤解を招きますね。株主総会とか出資者総会があって、そこが最終の意思決定機関と思いがちですが、違いますね。

董事は3人以上で、任期は4年各出資者が持分比率に応じて指名しますが、別に持分比率に応じて決める義務はありませんね。董事長が、会社を代表します。董事会は少なくとも年1会開催ですから、言って見れば株主(出資者)総会みたいなモノですね。でも資本多数決ではありません。董事会の定足数は2/3以上ですから、3人の場合は2人以上の董事の出席が必要(委任状も可)ですね。開催場所は、本店所在地で行う事になっています。

       董事会の権限は、経営計画、予算案、生産計画、人員計画の作成、決算・配当の承認、並びに実務執行者である、総経理、副総経理、総会計士(CFO)、監査役(審計師)等の任免ですね。①定款変更、②営業廃止・解散、③登録資本の減増資、④合併については、董事全員の承認が必要ですね。

       上で、別に持分比率に沿って董事を指名しなくても良いと言いましたし、出資者総会もありません。これとの関連で面白い問題があります。簡単な例でいうと、持分比率61%の会社が1名董事を指名して、39%の会社が董事を2名、董事会のメンバ合計3名のときに、どちらの会社の連結対象になるのでしょうか?この答えがわかった人は教えて下さい。尚、参考までに、連結子会社の定義は以下ですね。

○ 金融商品取引法の財務諸表規則の子会社の定義(842)

 他の会社等の議決権の40/100以上、50/100以下を自己の計算において所有している会社等であつて、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する会社等

ロ 役員若しくは使用人である者、又はこれらであつた者で自己が他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。

まあ、あんまり関係ないかも知れませんが、連結財務諸表原則第三一般基準の記載は以下ですね。

(2) 他の会社に対する議決権の所有割合が百分の五十以下であっても、高い比率の議決権を有しており、かつ、当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合」(注解5)(3)役員若しくは従業員である者又はこれらであった者が、取締役会の構成員の過半数を継続して占めている場合

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純資産を株主資本というのは誤りです

2009-12-13 21:23:54 | 企業一般

       今回は、普通の考え方からは非常識と思えることですが、私に言わせれば超常識ということを言いましょう。即ち純資産は株主資本(評価・換算差額は除く)であると考えるのはおかしいということです。資本はリスクキャピタルであり、ハイリスク・ハイリターンである。払込資本は零になるかもしれないが、利益がでればそれが留保されていても株主のものという考えが一般的となっています。しかしそうですか?と言いたいですね。単純に現実のお金の流れから見てみましょう。

       投資家の視点から言うと株式取得はCash outですね(会社にお金が入る場合はCash Injection)。現金が出ていきます。それに対し配当を受け取ります。現実のCash Inですね。分配可能剰余金(普通の配当原資はその他利益剰余金ですね)がいくらあっても配当がないと投資家には、お金は戻ってきません。しかし上場株なら売却できます(勿論現実的には流動性等も問題もありますが)。キャピタルゲインも得られますが、キャピタルロスが出るケースも多いですね。

       現実のCash OutとCash Inという視点で言えば、留保利益は投資家には関係がありません。それなのになぜ留保利益を含む純資産を株主資本と言うのでしょうか?会社型ファンド等のケースを除いて、会社が解散するときは残余財産分配請求権を持っていても実際に残余財産を受けられる例がありますか?まずないですよね。

       ところで貸借対照表の純資産の項目区分は、計算規則141条に定められています。纏めると以下ですね。(新株式申込証拠金と自己株式申込証拠金は除外しています。)

【純資産】

○ 株主資本

I 資本金

II資本剰余金 (資本準備金&その他資本剰余金)

III利益剰余金 (利益準備金&その他利益剰余金)

IV自己株式(これは控除項目)

○ 評価・換算差額等

(+新株予約権)

上記の内、評価・換算差額等は性質が違いますので、今回の議論の対象外ですね。問題は「株主資本」ですね。いつの間にか利益剰余金も含めて「株主資本」だとされました。

       「純資産は全て株主のもの」と言う意識は昔からありましたか?そうではなかったのではないでしょうか?「会社は株主のモノ」→「純資産は株主のモノ」。こういう考え方は、米国の市場原理主義にかぶれた学者・経営者、企業人等が米国から、常識だとして日本に持ち込んだ認識ではないでしょうか。

○ 会社法のどこに、株式会社は株主のものである等と書いてあるのですか。書いていません。それなのに、会社計算規則により「株主資本」と言うようになりました。何が株主資本ですか! 昔の商法時代は、純資産は資本の部と言って、資本金、資本準備金、利益準備金、その他の剰余金(任意積立金・当期未処分利益)に区分しており、「株主資本」等という言い方は無かったですね。

○ 一方、株式とは、株式会社における出資者である社員の地位を細分化して割合的地位の形にしたものですね。株式の保有者は株主です。株式の払込が行われると、原則は資本金ですね、但し、1/2までの金額は資本準備金とすることができます。即ち、上記の内で株主のお金は資本金と資本準備金だけです。まあ、資本金と資本剰余金と言っても良いでしょう。

○ 利益剰余金(実際は「その他利益剰余金」だけのケースが多い)は、株主が拠出したお金ではありません。その会社の役職員が、汗水たらして稼得したお金部分です。勿論株主は元手を出してくれましたから、配当で報いないといけません。しかし、元手が自動的に増幅した訳ではありません。役職員が働いたから利益剰余金ができたのです。利益剰余金は株主が生み出したモノではありません。それなのになぜこれを株主資本と呼ぶのでしょうか?利益剰余金はその会社の役職員のモノです。まあ、そうは言ってもタダの計算上の数字(資産―負債)ですけどね。

       多くの人が、純資産は株主のモノと思いこんでいます。この基本認識が間違っているのです。日本の株式会社の純資産は、役職員と株主のものです。

関連のブログは、以下ですね。こちらも合わせてご覧下さい。

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20070624

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保護手続不要の準備金減少―総会日の欠損額とは?

2009-12-06 18:35:05 | 商事法務

○ 前回少し触れましたが、今回は会社法449条1項についての「けち」です。449条1項では、資本金・準備金を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)、債権者は異議を述べることができるけれども、準備金のみ減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでないと定めています。即ち、債権者は異議を述べることが出来ない。従い、会社側としては債権者保護手続は不要ということですね。総会の決議だけで減少が出来るわけですね。

 ①号 定時株主総会において前条第一項各号(減少する準備金の額、全部・一部を資本金とするときは、その旨とその額、減少効力発生日)に掲げる事項を定めること。

 ②号 前条第一項第一号の額(減少する準備金の額)が前号の定時株主総会の日439条前段に規定する場合にあっては、436条III項の承認があった日=会計監査人設置会社の場合は、取締役会承認のあった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。

○ これを受けて会社計算規則151条では、「法449I②に規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる額(零、零から分配可能額を減じて得た額)のうちいずれか高い額をもって欠損の額とする方法とする。」というよく分からない規定をおいています。

     ここでの疑問点は以下です。

(1)  定時総会では何を決めるのでしょうか。会計監査人設置会社以外では、計算書類の承認・確定ですね。3月決算会社で言えば、6月中下旬に定時株主総会を開催して、3月末現在の欠損金の金額が記載されている計算書類が確定されます。定時株主総会の日における欠損の額ではありません。取締役会で計算書類を確定できる会社(会計監査人設置会社)でも同様ですね。前期の決算の確定を行います。

(2)定時株主総会の日(会計監査人設置会社の場合は、取締役会承認のあった日)に、その日(あるいは前日最終の)欠損の額は、分かりますか。例えば、3月31日の決算期に決算日における欠損の額はわかりますか?ということですね。分かる分けないでしょ。

どんなにコンピュータが発達しても3/31に全部入力して、同時に決算調整して、その日あるいは4/1朝一番に前日の決算数字を出すのは現実的には無理ですね。例えば4月1日に取引先からの3/31付の請求書なりが到着したりします。インプットは4/1にならざるを得ません。現状一番早い会社でも4月5日ぐらいでしょうか?

その日の欠損の金額がその日に分かるというのは、現在のところあり得ません。実務上殆ど不可能です。法律で、不可能な事書いて良いのですか?

(3)定時株主総会の日における欠損の額というのは、当然決算手続を経て決めるものですね。

ですから、定時総会で3月末の決算承認・確定をして、更に総会の日における臨時決算をするという意味でしょうか?それは、上記の通り現実的には無理ですね。

(4)  定時総会というのは、毎年一回しか行われません。当然ですね。3月決算会社は、通常6月に総会を行います。この総会では上記通り前期決算の承認・確定を行います。つまり、「定時株主総会の日における」という文言は、その日に決めないと、翌年の定時総会では、またその直前期の決算承認が行われるのです。つまり、この文言は、定時株主総会の日において欠損の額を決めて、その定時総会で決めない限り出来ないということですね。私に言わせれば、この規定は「何が言いたいねん!」ですね。削除した方が良いのではないですか。

全く不思議な文言です。まあ、実際は、定時総会の日では無く決算期の欠損金の額を準備金から減少する総会決議をしていますけどね。

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